後記 2001-08-31


 

 前回念願の「石原吉郎」をアップして精神的に楽になったのか、一休みしようと言う気持ちが何処かへ飛んでいって、またぞろ旅をしたくなってきたようです。
 先月は、梅雨のさなかというのに熱帯夜が続く東京に嫌気がさして、突然キャンセル待ちの高速夜行バスに乗ってしまい、山口・広島・岡山と廻ってきました。東京だけでなく何処へ行っても、梅雨空というのに真夏日から解放されず、身体的には非常に辛い旅でしたが、久しぶりに旅愁というものを味わうことができました。

 今回、アップした金子みすゞ・中原中也・種田山頭火等は、その時取材したものです。金子みすゞの墓は山口県の長門市仙崎の遍照寺という小さなお寺にあります。みすゞが生まれた明治36年頃は、山口県大津郡仙崎通村という日本海に面した小さな漁師町であったようですが、児童文学者・矢崎節夫氏の熱意によって没後半世紀を経てみすゞの世界が紹介されてから一躍観光スポットになり、たまたま訪れたこの町は今、金子みすゞ生誕100年記念行事の真っ直中で、映画やテレビのロケが頻繁に行われ、あちこちに宣伝ポスターが張り出されていました。町のいたるところに碑がはめこまれて、まさに「みすゞ」づくしという感があります。以前訪れた岩手県花巻の「宮沢賢治」づくしを思い出してしまいました。この日は平日の午前ということで、人もなく閑とした通りをぶらぶらしていると、何か映画のセットを歩いているようで気恥ずかしくなり、路地裏に逃げ込んでみたくなりました。みすゞの詩は蘇り、多くの人の心に優しく入り込んでいったけれど、そんな風情もこの町の何処かに消えてしまったように思えるのは、思考能力を奪い取ってしまうような湿気と暑さのせいばかりでもないでしょう。特にこの町と言うことではなく、金太郎飴のように都市化され、商業化され、均一化されていくこの国から、かって愛され歌われた詩情が消えていくのは、時代の流れとはいえ寂しいことです。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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