運動神経の70%は、遺伝によるものだとか、、、。
その70%で、しっかり私の運動音痴を引き継いでしまったような長女E。
おっとりした性格もあり、外遊びよりは家でお絵かきや本読みをしていたいタイプだった。
そんなEが、「ママ、逆上がりもう少しで出来るよ。」と言い出したのは5歳の頃。
幼稚園で先生に励まされながら、練習しているらしい。
早速、公園へ行ってお手並み拝見。、、、しかし、お世辞にも、もう少しとは言い難い状態だった。
だが、本人は「あ〜早く逆上がり、出来るようになりたーい。」と、やる気満々である。
やる気がある時が、練習のし時と、翌日からトレーニングを始めた。しかし、なかなか成果は上がらない。
無理なのでは、、?と、小さな不安が浮かんだりして、暗くなっている私達。

ひょんな事から、毎日公園へ通えて大喜びで遊び回る2歳の次女L.。
となりで、クルクル足抜き回りをしている身軽な彼女を見て、さすがの
Eもくやしそう。
そんなある日、鉄棒に、膝がぶつかった。「本当にもう少しだー。」
努力した成果を感じたEは、ますます練習に熱が入る。
この春、花粉症が特にひどかった私だが、Eの助けになればと、
マスク、サングラス、帽子とすごい姿で公園へ出掛ける毎日。
「なにも、そこまでしなくても、、。」なんて声が聞こえてきても無視。
これは、Eにとって初めての試練。たとえ1年かかっても絶対に、

乗り越えなければ、、、と私の決意は固かった。
成せば、成るもの、花粉もようやく下火になった頃、
「幼稚園で逆上がり出来た。」と、Eからの嬉しい報告。
半信半疑で公園へ。そして初めて私の前で、回る彼女。
「ほら、出来たでしょう。」と、得意げに言うEの顔は自信に輝いていた
6歳になり、補助無し自転車をマスターするという、新たな目標を立て
たE。夏休み中にと、練習の日々が始まった。
倒れた自転車を、起こすのに手こずっているEを見て、
「まだ無理だよ、補助付きだって、まともに乗れなかったのだから、、。」と、主人。”無理”という一言に、
「もう、パパには頼まない。私が絶対乗れるようにするから。今言った事、忘れないでね!!」と、執拗にかみつく私。
1〜2時間で乗れるようになったという友人達の話を後目に、汗びっしょりでモクモクと練習しているE。
その姿の心打たれ、家事一切を後回しにして、出来る限る応援した私。
ペダルがすねに何度も当たり、お風呂に入ると、毎日あざが増えていた。
それでも、決して”やめる”と言わなかったE。「昨日は3回だったけど、今日は5回こげたね。転び方も、うまくなってきた
よね。」と、夕食の時は、必ず励まし合い、夜、布団に入ると、「Eは絶対、乗れるようになるからね。
ママとEが力を合わせて頑張れば、出来ないことなんて無いものね。明日も、頑張ろうね。」と、元気づける毎日。

3こぎが5こぎ。5こぎが10こぎ。そして数え切れなくなったのは、
夏休みも終わりの頃だった。
思わず、トイレに駆け込んで涙を抑えた私。
「ママー、パパがこれ勲章だって。頑張った勲章なんだって。」と、
あざだらけの足を、誇らしげに見せるE。
「今日は嬉しかった〜、涙が出るほど、嬉しかったよー。」と、
夕食の時、言い出した。
時には涙を流しながら、本当に良く頑張った彼女。
そんな姿から、諦めない力を、再認識させられた私。
今では、何処へ行くのもマイ自転車で私の後を着いてくるE。嬉しそうに走る
彼女を見つめるたび、あの暑かった夏を思い出す。
今後も休む間も無く、やってくるだろう試練に、くじけず立ち向かってはしいと、
願う私だった。 成せば成る、のだから、、、。
♪文とイラスト yun ♪
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