へんな子ちゃん
”この子、何か見えているみたい”
Eが4.5ヶ月の頃、良く感じたもの。
寝ながら、空中の一点をじっと見つめ、微笑んだり、声を掛けたりしている。
何処の子にも、少なからず同じ現象はあるらしい。
ある人は”まっくろくろすけ”と呼び、ある家庭では”オーラ”とか、名前がついている。
”いったい何者? どうして私には、見えないの?”気になって、仕方ない。
「赤ちゃんは、天使が見えるのよ。」ある日、友人が言った。
”天使かー。フワフワ空飛んで、ちっちゃくてかわいい、あの天使、、、。
そうねー、天使なのかも、、、。”と、すっかり天使が、気に入ってしまった。
それから、いろいろな天使の絵をEに見せてみた。
どれも反応、いまいち。でも、その中にじっと見つめる、1枚の絵が、、、。
私の描いた、しっぱい天使の絵。その日から、謎の天使は”へんな子ちゃん”と名付けられた。
Eが2歳位まで、”へんな子ちゃん”は現れた。 突然、部屋のすみをじーっと見つめたかと思えばいきなり、きゃっきゃっと、笑い出す
「どうしたの? 何がいるの?」と、聞くと、
「ほら、そこそこ。」と、
指指すのだけど、 何も見えない。 「何? 見えないよ。
何がいたの?」と、しつこく聞いても、 うふっと笑うだけ。 まるで、言っても無駄よーと、言われているよう。
また、ある時は
「今日は公園に、いくよ、ママ。約束だから。」
と言う。 「へー、誰とのお約束? もしかしてお友達?」
人見知りのEも、とうとうお友達が出来たかと、喜ぶのも束の間、「ちがうよー。」、、と、例のはぐらかしスマイル。
”ははぁーん。へんな子ちゃんとの、約束ね。”好奇心にかられ、そそくさと公園へ。
しかし、へんな子ちゃんの影も形もなし。 ものすごい観察眼で、Eを見張っていた私も、疲れ果て、帰宅。
「へんな子ちゃん いたの?」と、聞くと 「いたよ。」と、すずしい声。
いつも、その調子で結局、へんな子ちゃんの正体は不明のまま、いつの日か忘れ去られた。
下の子Lが謎のへんな子ちゃんを、話題にしたのは、1歳位の頃。
彼女の場合、最初から名前付き、しかも2人いた。”ジェイク”と ”あかちゃん”。
日々、様々な色に変化し、そのうえジェイクは犬らしい。で、出掛ける時、連れて行ったりする。
ある日、外出してから、 「あっ、あかちゃん忘れた。」
と、始まった。 「あー、そう。」と
軽く聞き流すと 「ママ=お家に戻って。
あかちゃん、忘れた>」と、
驚くほど強い口調。
どう言いくるめても、
「もどる。」とあきらめない。 Lの意思の強さに、
圧倒されながら、 結局家へ帰ることに。 部屋へ入り
「はい。連れてきた。じゃ、
行こう。」と、ニコニコして 出掛けるLに、少々、不気味なものを感じた。 また、ある日は散歩の帰り道、道ばたに大きい犬のうんちが、、。 「わーおおきいうんち。やーね、きっと大きいワンちゃんが、していったんだね。」
と、話ながら家に着くと、「ママ、ジェイクとあかちゃんが、大きいうんち、見てないって。もう一回、うんち、見に行く。」と、始まった。 ジェイクとあかちゃんに対しては、妥協を許さないLちゃん。
仕方なく、うんち現場まで、トボトボと引き返すことに、、、。
そして未だに、2人を連れ歩いているLちゃん。ある時はダッコして、またある時はバックに入れて、、、。
私、子供達にからかわれているのかしら、、、?とも、思うのだが、、、
いや、確かに居る。、、らしい。
Lが話題にしている間に、何とか正体を突き止めてみせる、、、と、息巻いて居るものの
正体不明のへんな子ちゃんは、私の前には、これからも現れそうもない。
文とイラスト yun |
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