遠近・複眼メガネ


  漢字は絵の"感じ"

第十九回 絵と文 長尾みのる
漢字は絵の感じ

 近ごろ、日本人が和製外語をカタカナで連発しだした一方で、中国人は外来語を巧みに漢字化するようになってきた。

 明治以来の日本人は欧米語を上手に漢字で表現してきたが、今日このごろは、その巧みな和製漢語の製造が間に合わない。面倒だからカタカナでそのまま和製外語にしてしまうのだ。

 明治以来の和製漢語の多くはカタカナのない中国にも導入されたほど便利な漢字化だった。が、カタカナなら中国人には不要だ。

 もともと漢字は絵だったので、記号的ローマ字などより感じが伝わってくる。感字だ。

 コンピューターは電脳、ハッカーは黒客、コンピューター・グラフィックスは計算機図形、ロボットは機械人、キャッチフレーズは広告詞…、というように、中国語の方が感じが出ていてわかりやすい。

 が、近ごろは、その中国も国際感覚的に多忙だ。表現が合理化して味気なくなった。

 個人計算機だったパソコンはPC机という冷たく無機的な表現に進化してきた。他にもAA制とは日本的割り勘のこととかで空しい。

 日本的と言えば、「の」という日本文字そのままを中国語の「的」の代わりに使うのも流行しているとか。意味も似ているし、「的」より「の」と書いた方が楽で速く絵になりカッコイイらしい。
 で、私のホームページも「NAGAOの絵」で始まるが、この場合も、ちょっと進んでいる中国人なら「NAGAO的絵」と中国式に解釈できるはず。和・洋・漢の同時表現だ。

 日本人よ、明治の初心に戻り、便利な和製漢語を創作せよ!


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