火薬塔 50 05 13.85N,14 25 39.41E
百塔の町プラハ。そんな中で部外者が頂上近くまで上れる塔は貴重です。この塔の名は市内を防御するためのゲートを設け、そこに火薬をストックしたからだとか。確かに頼もしい名前ですね。でもこの立面というかこのプロポーション、ちょっと微妙で言ってみれば可愛らしいのです。市内にぽつんとある塔で比べてみると、例えばイタリアのボローニャの斜塔のようにひたすら聳えるというものではない。決して高さを誇示するものでもない。内部空間をたっぷり取るだけの「太さ」がある。その縦と横の比が、塔といいながら可愛らしさを持つ背景にあるのかもしれません。建設は1475年、市の城壁の一部として建てられ、その後19世紀末に上部がヨゼフ・モッカーによって完成されたものだそうです。カレル橋の橋塔をお手本に、結構真似て出来上がっています。
そしてここからの眺めは卓越したものがありました。すぐ下には国民劇場のある市民会館、その向こうにはティーン教会、更にその向こうにプラハ城、反対側を見るとプラハ中央駅、あっちの山には現代のプラハタワーがある位で、遮るものは何もなし。要は現代的なものが市内に全くないのです。ほぼ統一された赤茶の瓦、ちょっとくすんだその色が、プラハのアイデンティティそのものだし、それをここに登ると、改めて実感させられるのです。 |