カール・A・ウィックランド(C.A.Wickland,M.D.)著
近藤 千雄(こんどう かずお)訳
ハート出版
平成 5年 8月17日 第1刷発行
平成11年10月23日 第3刷発行
平成15年 2月23日 新装版第1刷発行
平成20年12月16日 新装版第3刷発行
迷える霊(スピリット)との対話
―スピリチュアル・カウンセリングによる精神病治療の30年
まえがき
本書を出すに当たって、著者の私には主義・主張や信仰上の説を広めようとする意図は、さらさらない。
三十有余年にわたって正常・異常の両方の心理学を実験・研究してきた成果と、そこから引き出される見解を披露しようとするものである。
それが、とかく曖昧である死後の生命と、それが現実の生活に関わっている側面に光を当てることになると思うからであり、良識ある人ならばきっと、その重大性を認識されるものと確信する。
献辞
本書を、わが妻アンナ・ウィックランドと、見えざる世界の協力者”マーシーバンド”(※)に捧げる。
妻はその博愛精神と理想への無私の献身とによって、またマーシーバンドは霊界からの鼓舞と指導とによって、この業績を完逐させてくれた。
※Mercy Band 慈悲・哀れみをもった霊団という意味で、その存在が明らかとなる経緯については第1章で解説がある。
その中で指導・監督に当たる”知的存在”Guiding Intelligencesという表現もしているが、私はこれをあえて日本語に置きかえずに、マーシーバンドで通している。 ――訳者
反駁や論駁を目的としたり、逆に、頭から信じて無批判に受け入れる態度、あるいは話のタネになるものを探そうといった態度で読むのではなく、その内容をよく吟味し、思考の糧とするために読むべきである。
さて、アンナ・ウィックランドの夫君は精神科医だったが、早くからスピリチュアリズムに理解があり、数人の友人・知人でホームサークルをこしらえて、交霊会を催していた。最初の頃は、これといった目的もなしに行っていたが、ある時期から『慈愛団(マーシーバンド)』と名乗る霊団の者が出るようになり、やがて一つの提案をしてきた。
それは、ウィックランド博士が扱っている精神病患者の大半が低級霊による憑依が原因なので、その霊を患者から引き離してアンナに乗り移らせて喋らせるから、博士が応対して実情を聞き出すと同時に、霊的真理に目覚めさせてやってほしい――アンナの身の安全は霊団の方で保障するから・・・というのが主旨だった。
そうして始められた『招霊実験』は実に三十年以上にわたって続けられ、おびただしい数の精神病患者が正常に復すると同時に、その患者に憑依していた霊達も救われた。この対話の記録は『迷える霊との対話』と題されて出版されている。精神科医はもとよりのこと、広く霊的なものに携わる人の必読の書といえよう。

目 次
まえがき
献辞
第1章 除霊による精神病治療のメカニズム
第1節 ●霊的要因による障害の危険性
第2節 ●実例・死後も肉体に執着するスピリット
第3節 ●霊媒による患者救済のメカニズム
第2章 潜在意識説と自己暗示説を否定するケース
第1節 ●招霊実験が物語る『真実』
第2節 ●スピリットの生前の身元を確認
第3節 ●『人格』として現れるスピリット
第4節 ●ウィックランド バートン夫人の憑依霊
第1項 バートン夫人の憑依霊1
第2項 バートン夫人の憑依霊2
第3項 バートン夫人の憑依霊3
第4項 バートン夫人の憑依霊4
第5項 バートン夫人の憑依霊5
第3章 地球圏の低階層と人間の磁気オーラから抜け出せないでいるスピリット
第1節 ●死後なお生前の商売を続けるスピリット
第2節 ●地縛霊による憑依
第3節 ●死後、良心の呵責に苦しむ牧師
第4節 ●英国王も愛した人気女優
第5節 ●最後の憑依霊
第4章 意識的・無意識的に人間に害を及ぼしているスピリット
第1節 ●人間に憑依されたと思い込んだ憑依霊
第2節 ●『逆上癖』の女性を救済したケース
第5章 犯罪および自殺をそそのかすスピリット
第1節 ●肉体離脱後も残る『犯罪癖』
第2節 ●マジソン・スクェアガーデン惨殺事件の真相
第3節 ●ホリスター夫人殺害事件の真相
第4節 ●人間を自殺に追い込む憑依霊
第5節 ●突然首吊り自殺した女性のスピリット
第6節 ●自殺した映画女優の警告
第7節 ●シカゴで自殺した女性
第8節 ●恋人と心中した男性のスピリット
第9節 ●身重女性殺害事件の真相
第6章 麻薬・アルコール中毒、記憶喪失症の原因となっているスピリット
第1節 ●麻薬中毒を克服したスピリットの警告
第2節 ●魂の深奥まで冒す麻薬の恐ろしさ
第3節 ●モルヒネ中毒死した女性とその夫
第4節 ●『死後』も酒に執着する酔っぱらい
第5節 ●記憶喪失患者の憑依霊
第7章 慢性病の原因となっているスピリット
第1節 ●除霊で背骨痛から解放された女性
第8章 孤児のまま他界したスピリット
第1節 ●家族を知らないまま他界したケース
第2節 ●霊界の浮浪者・アンナ
第3節 ●スピリットが少女を算数嫌いに導いた
第4節 ●霊界の『家なき子』
第9章 物欲のみで霊的なものに関心を示さなかったスピリット
第1節 ●倫理に無感覚だった人間が陥り易い例
第2節 ●妻に自殺を促す『唯物的現実主義者』
第10章 うぬぼれ・虚栄心・野心・利己心が禍いしているケース
第1節 ●タイタニック号事件で他界した男性
第2節 ●幸福とは無縁だったと嘆く上流階級出身者
第3節 ●死後も”美”に執着する女性
第4節 ●死後、親友の身体に憑依したスピリット
第11章 地上時代の信仰から脱け切れずにいるスピリット
第1節 ●霊的事実に無知のまま他界した牧師からの警告
第2節 ●誠実なメソジストだった身障者
第3節 ●死後も自己暗示状態から脱け出せない『狂信者』
第4節 ●間違いだらけの信仰の犠牲になった少女
第12章 地上時代の信仰の誤りに目覚めたスピリット
第1節 ●クリスチャン・サイエンスの信徒の証言
第2節 ●クリスチャン・サイエンスの教祖の懺悔-その一
第3節 ●”死”んでなお教祖に傾倒する狂信者
第4節 ●クリスチャン・サイエンスの教祖の懺悔-その二
第13章 誤った再生思想に囚われているスピリット
第1節 ●再生を信じて子供に憑依するスピリット
第2節 ●セオソフィスト・ウィルコックスの霊界からの報告
第3節 ●ドクター・ピーブルズ、地縛霊を前に語る
第4節 ●輪廻転生説の誤りに気づいたブラバツキー
第14章 実在に目覚めたスピリットからの助言
第1節 ●スピリットの語る『死後』の世界
第2節 ●アダムズ博士の地上人への警告
第3節 ●妻の背後霊が語る『生命の実相』
第4節 ●妻の友人が語る『肉体から霊体へ-』
第5節 ●幼児期に他界したスピリットの警告
第6節 ●アメリカ・インディアンの霊的生活
第7節 ●スピリット劇団の演じる道徳劇
第8節 ●高級霊からのメッセージ
第15章 二つの世界の相互関係
第1節 ●可視の世界と不可視の世界
第2節 ●否定しがたいスピリットの実在
第3節 ●霊の世界と物質の世界の相互作用
第4節 ●憑依現象に関する記録
第5節 ●精神病とスピリットの憑依
第6節 ●霊媒による精神病者救済の有効性
終章
人類史に残るスピリチュアリズムの一大金字塔
●「事実というものは頑固である」
●物的身体のほかに三つの霊的身体がある
●霊的身体は変幻自在、意のままに動く
●死後の世界にも段階がある
●霊界の落伍者――地縛霊
●”自分”とは何なのか
●真理に”古い”も”新しい”もない