第2部 アラン・カルデック自伝
──孤独と休みなき戦いの日々(『遺稿集』第四章「自伝的ノート」から抄訳)
第4章 私の使命は「最初の礎石を置くこと」
一八五六年四月三十日、ルスタン氏宅で、霊媒はジャフェ嬢。
私はしばらく前から、ルスタン氏宅で行われていたセッションにも参加していた。やがて『霊の書』として刊行されることになる書物の内容を検証する為である。
七、八人しか出席していない、ある私的な集いで、「社会を変革するにはどうすればよいか」ということに関して議論している時に、突然、霊媒が籠を手にして次のように書き始めた。
「反対者がいくら騒いでも放っておきなさい。同じ志を持つ人々に語りかければよいのです。そうした人々を癒しなさい。そして、各人が自分の役割を果たすのです。そうすれば、全てが上手くいきます。
宗教はたった一つあればよろしい。真実の、偉大な、美しい、そして宇宙の創造者に相応しい宗教です。最初の礎石は既に置かれました。
リヴァーユ(アラン・カルデックの本名)よ(この瞬間、籠が激しく位置を変え、まるで指で私を指すかのように私の方を向いた)、最初の礎石を置くことが、あなたの使命です。M氏よ、あなたの使命は、全てを壊して更地をつくることでした。したがって、切り込み隊でした。リヴァーユはその後にやってきて、破壊された建物を建て直すのです」
これが、私の使命に関する始めての建設的な啓示であった。正直なところ、籠が私の方を向いた時、私はある種の感慨を禁じ得なかった。
M氏は、最も過激な思想を持った若者で、ある政治的な事件に巻き込まれていた為に、人目につかないようにしている必要があった。社会を大きく変える必要を感じていたので、その事件に参画して、自分の社会改革の計画を実行に移そうとしていた。とはいえ、その人柄は、優しく、穏やかであった。
一八五六年五月七日、ルスタン氏宅で、霊媒はジャフェ嬢。
――(指導霊のハネマンに)過日、指導霊団から私の使命を告げられ、また、その目標を授けられました。私の使命は本当にあの通りなのでしょうか?
「そうです。あなたがこれまで願ってきたこと、あなたの傾向性、瞑想の際に常に念(おも)いを定めてきたことをじっくり思い返してみるならば、何も驚くべきことではないと分かるはずです。久しい以前から夢見てきたことを実現するということではありませんか?
さあ、さらに活発に仕事をして、怠ることなく準備しなさい。その日は近づいています。あなたが考えているよりも早くやってきますよ」
――この使命を果たす為には、まだまだ私は力不足です。
「我にとらわれず、大いなる力に委ねなさい。そうすれば、全ては上手くいきます」