訳者あとがき
思い切って告白しましょう。
訳者がまだ唯物主義者だったころ、本当に恥ずかしいことですが、
「どうせ死ねば何もかも終わるのだから、生きているうちに、やりたい放題をやるだけだ」
「バレさえしなければ、何をやってもかまうまんか」
「自分さえよければ、人のことなんかどうでもいい」
などと思いながら、日々を生きていました。

しかし、本書をお読みくださった読者のみなさまにはすでのお分かりのように、それは実に実に危険な生き方であるのです。
というのも、死後の生命は巌然としてありますし、また、神は、私たちの地上での生き方を、細大もらさずすべてご覧になっているからです。
そうして、私たちが死んだとき、私たちは地上での自分の生き方についての「成績表」を見せられることになります。そのときには、いっさいのごまかしが通用しません。
「もっと早く知りたかった!」というのが私の正直な気持ちです(笑)
しかし、まだ間に合うでしょう。
『天国と地獄』そして『天国と地獄Ⅱ』に収められたケーススタディーをつぶさに研究することによって、「この世とあの世を貫く幸福」を手に入れるべく、頑張ってみたいと思います。

近代スピリチュアリズムの歴史の中で、最初にして最後、最大にして最高の体系家と言われるアラン・カルデックの”Le Ciel et l’Enfer”(『天国と地獄』)の全貌を、このようなかたちでご紹介することができ、訳者はいま深い感謝と喜びに満たされています。
本書が、多くの方々のスピリチュアルな糧となりますことを、心よりお祈りいたします。

二〇〇六年夏 神秘の扉がさらに大きく開かれるのを待ちながら
浅岡夢二