オーストリア
国別に鉄道事業者を紹介します
オーストリア路線図
鉄道運行事業者(オーストリア連邦鉄道ÖBB)さんのダイヤ検索アプリが充実しています。が,路線図を眺めるような用途には向いていないようですので、公式鉄道路線図へのリンクをご紹介します。
- 【公式】ダイヤ検索
- 【公式の路線図(official railway map of railway operators】
- ウィーン周辺の国鉄系路線図
- ウィーン国際空港から市内の路線図(CAT:City Airport Train)
鉄道運行事業者(オーストリア連邦鉄道ÖBB)さんの公式のダイヤ検索サイトでも、検索した経路周辺の路線図は見られます。こちらをご参照ください。
以下は路線図への直接URLです。古くなっている可能性があるため鉄道事業者さん(ÖBB)のインターネットサイト経由でアクセス願います。ですが、見つけづらいと思いますので以下に直接のURLを記載しております。
直リンク(古くなっている可能性があります。2022年時点です)
路線図の見方です。
Uは地下鉄、Sは都市近郊線、Rは地域路線です。Uと同じ構造のS線もあります。ウィーンは路面電車が発達しています(下)
REXは、ちょっと遠くの街までいく急行列車のような列車です。ドイツでは[RE(RegionalExpress)と呼んでいるものに当たります。
CJXは、特急のような列車(cityjet)です。最高速度160km/hだそうです。
RJ(Railjet)又はRJX(Railjet Xpress)は、国際運行列車です。最高230km/hで走行できる列車で、ベルリン、ミュンヘンや、チェコのプラハ、ハンガリーのブダペスト、スイスのチューリッヒ、イタリアや、ザルツブルクなどの国内の主要都市を結んでいます。RJX(レールジェットエクスプレス)は停車駅が少ない速達タイプ、RJは途中の主要駅に停まるタイプです。
世界遺産・ゼメリング鉄道については、以下に記しますが1時間に1本程の頻度です。ウィーン−グラーツ間の幹線の山越え部分です。
ゼメリング(Semmering)鉄道
ゼメリング鉄道は、1854年開業の、標高差を乗り越えて初めてアルプス越えした鉄道路線で、山岳部での高架橋・鉄橋・トンネル等の建築技術の高さから世界文化遺産に登録されています。
「ゼメリング鉄道」という鉄道ではなく、現在はオーストリア連邦鉄道ÖBBの幹線の一部の「グロッグニッツ駅(Gloggnitz)〜ゼメリング駅(Semmering)〜ミュルツツーシュラーク(Mürzzuschlag)駅」間の約41kmがこう呼ばれているもので、現役の幹線の一部です。
現役でありつづける理由の一つは,山間を縫うように走ったり、著名なゼメリングトンネルのような大規模なインフラが必要になるにも関わらず、日本のようなナローゲージではなく,標準軌(1,435mm)で建設されたため、動力は蒸気機関から電気に変わっても現在でも幹線となっているということだと思います。
ウィーンからグラーツまでは約200kmあるのですが、ゼメリング鉄道区間はその中間の、峠越えの部分になります。鉄道運行事業者(オーストリア連邦鉄道ÖBB)さんの公式のダイヤ検索サイトで調べますと,以下の図のように地図付きで、列車と列車の停車駅が表示されます。「RJxxx」という列車は、RailJetという幹線列車(特急に相当)で、ゼメリング鉄道の範囲の駅ではミュルツツーシュラークにしか停車しないものもあります(ゼメリングには停車したりしなかったり)。
そのため、せっかくの風景を見逃さないよう、走行位置が分かる画面が各席についていますのでご注意下さい。ウィーンからは約1時間ほど、運賃は私が調べた時で、大人片道25ユーロ弱(ウィーン中央駅からミュルツツーシュラーク駅まで、割引なし)でした。ご参考までに。
source of the background map and the plan 元の地図の出典:オーストリア連邦鉄道ÖBB SCOTTY(ダイヤ検索)に、書き込んで作成。
オーストリアの旅客鉄道運行事業者さん
オーストリアは上下分離されています。そのため、ÖBBさんの線路を保有するのは、ÖBB Infrastruktur AGさんです。
一般的な名前 (ブランド名) |
鉄道会社名 | 備考 | 参考 保有線路 |
ÖBB | オーストリア連邦国鉄 OsterreichischeBundesbahnen |
上下分離の上側 | (5,000[km]) |
GKB |
グラーツ・ケーフラッハ鉄道 Graz-Köflacher Bahn und Busbetrieb |
グラーツ近郊の路線 | 100[km] |
mbs | モンタフォンネ鉄道 Montafonerbahn AG Bludenz-Schruns |
ブルデンツ-シュルンス鉄道 | 10[km] |
NÖVOG | 低地オーストリア交通局 Niederösterreich Bahnen |
世界遺産のWachaubahn、シティーバーン・ヴァイトホーフェン、マリアツェル線等 | 300[km] |
SLB | ザルツブルク地域鉄道 SALZBURGER LokalBahn |
ザルツブルク近郊路線 | 100[km] |
Pöstlingbergbahn | ペストリングベルク鉄道 Pöstlingbergbahn (Lint AG) |
リンツ市の路面電車等の運行会社Linz AGが運行する路線の一部。 リンツ市内の路面電車線と直行運行する900mmゲージの路面電車。 ドナウ川北側のMühlkreisbahn駅〜Pöstlingberg駅が営業区間ながら、市中心部・ドナウ川南側のHauptplatz駅からドナウ川をわたり、前述のMühlkreisbahn駅(国鉄駅とも接続)を経由してPöstlingberg駅まで255mの標高差を直行運行する。 最急こう配116‰(約6°37分) 山頂には著名な教会がある。 |
4.1[km] |
StB |
シュタイナーマーク鉄道・バス Steiermarkbahn und Bus |
グラーツ近郊の路線 | 100[km] |
Stern&Hafferl |
シュテルン・ハッファール旅客交通 Stern&Hafferl Verkehrsgesellschaft |
リンツ近郊の路線 | 100[km] |
WLB | ウィーン地域交通会社 Wiener Lokalbahnen |
ウィーン近郊の路線 | 30[km] |
westbahn | ヴェストバーン WESTbahn |
オープンアクセス会社 (ウィーン−ザルツブルク) |
− |
ZillertalBahn | ツィラータール鉄道 Zillertaler Verkehrsbetriebe |
760mmナロー | 30[km] |
この表のほかに、ケーブルカー路線も多数ありますが省略しています。また保存鉄道も何路線かありますが割愛しています。
最急勾配について
上の表中にもありますが、オーストリアでは勾配の大きな区間があります。リンツのペストリングベルク鉄道は116‰(パーミル)もの最急勾配区間があります。安全対策で、電磁吸着ブレーキが必須になっています。
日本では、路面電車では東京都交通局荒川線が路面電車の最急こう配同67‰(王子駅前−飛鳥山間。角度では3°50分)ですから、半分ですね。
粘着式の普通鉄道では神奈川県の箱根登山鉄道が日本の最急こう配で80‰(箱根湯本駅付近。同4°35分)、アプト式の大井川鉄道の井川線でも90‰(5°10分)ですから、116‰の急さが分かります。
ケーブルカーのような構造であれば、高尾山ケーブルカーが日本の最急こう配であり約608‰(同31度18分)となります。
ウィーンの路面電車の構造について
話は変わります。
路面電車は道路の中央に走ることが一般的ですが、歩道側、すなわち道路の両端に分かれて運転する場合があり,この構造を通常の「中央リザベーション方式」に対し、サイドリザベーション(side reservation)方式と言っております。
狭隘な道路を走行する区間ではサイドリザベーション風な箇所はあるにはありますが,敢えて広い道路のサイドに配置している箇所は,日本では札幌市交通局の延伸部(すすきの−狸小路−西4丁目電停間)くらいです(以下写真)。
歩道側に線路があるとバスのように乗降できるため、交差点に電停を作る必要はなく、利用者も道路中央部までわざわざ渡って行かずに済んで便利で、かつ、(場所によっては)安全になります。その反面、自動車は道路端に駐停車できなくなるため、この構造を採用できる場所は限られます。
そんなサイドリザベーションが、ウィーンの中心部(インナーシュタッド)を取り囲んで運転される部分の路面電車で見られます。
下図で紫色で示している路線が路面電車です。
図の中心部は旧市街地で、道路は複雑で、路面電車も乗り入れておらずまるで旧市街地の周囲を回るように路線網が作られているのですが,そのうち、図中の紫色の中でも太線部で示している、旧市街地を3/4周している部分がサイドリザベーションになっています。
場所によっては平行する道路があるため分かりにくいのですが,現地で,乗降するときにご確認下さい(乗っている間には気づかないので)。
なお、U2線は延伸工事中です。このInnere Stadtを取り囲むような路線になる予定です。サイドリザベーションはウィーン以外では,ブリュッセルのYser電停付近でも見られます。
他にも、バスターミナルや、大きな広場をよけるために路面電車が両側に避けるため、局所的にサイドリザベーション風になっている場合はあちこちにあるのですがここで紹介しているウィーンの中心部付近ほどの長さの場所は無いと思います(多分)。