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日本製品の海外展開先

初期投資が大きすぎる新規参入

日本製車両が走る場所を調べる方が多いようですので、導入区間を一覧化したいと思います。

鉄道車両等の仕様は国や路線によって異なるため、基準調和が進んでいる自動車とは違って、買いたい人がいるからといって売りにいける製品ではない・・・という話も申し上げます。

 

これまで輸出実績が無い国の仕様に合わせて車両を製作し、その国の行政機関の認可を得る(※これをホモロゲーション:homologationといいます。)には、大変な時間と手間がかかるのです。

鉄道車両の輸出先

日系車両メーカーさんの輸出先をまとめます。

現在も走っているものをメーカー各社のホームページと工場パンフレットを参考にまとめたため、2000年以降製造のものが中心になっています。

悩ましいのが、大手鉄道車両メーカーだった旧アンサルドブレダ(イタリア)さんを2015年に買収し、日立製作所グループ傘下となったHitachi Rail STSさん傘下のイタリア工場や米国工場で製造・組み立てられた車両を計上すべきかどうかです。この点、まだ完全子会社化して数年ですから躊躇がありますが、東京の日立製作所さんが日本語でプレスしている案件は、日本政府もインフラ海外展開の実績に含めているようですので一応掲載します。しかしながら、ヨーロッパ諸国やアジア40国以上に客先がある旧アンサルドブレダさんの全部はフォローできません。とても無理です。

旧アンサルドブレダさんの工場は元々欧州企業ですからひとまず置いておくと、鉄道車両の輸出先は下の各表の通り、特定の国・地域に偏っています。

また東南アジアの案件は、シンガポールを除くと日本からの円借款を供与した案件を獲得しています。円借款が無い案件はなかなか厳しく、苦戦しているといえます。

一方、エジプトの案件のような特定の国には2〜3世代目の車両が継続的に納入できており、高い評価をえていることが読み取れます。

なお、各表中で塗色している案件はLRT車両やAPM(ゴムタイヤ式新交通)車両です。普通鉄道とは工数が異なるためちょっと別にしています。

それでは、地域別にご紹介していきます。

台湾向け鉄道車両

アジアでは台湾が最大のお得意先です。高速鉄道の408両を含む900両ほどが輸出されています。

古くなったため下表には掲載していませんが、旧東急車輛さん(現 総合車両製作所さん)も、台湾には多く輸出されていました。

【表1】鉄道車両の輸出先(台湾)
地域 客先 メーカー 車両製造時期 円借款
台湾 台湾高速鉄路 川崎重工業
日立製作所
日本車輌製造
2004年〜2005年
(開業時)
台湾 台湾高速鉄路 川崎重工業 2014年〜2015年
(増備時)
台湾 台湾鉄路管理局 川崎重工業 2012年〜2013年
台湾 台北地下鉄 川崎重工業 2005年〜2009年
2010年〜2012年
台湾 台北地下鉄
(新荘線、蘆洲支線)
日本車輌製造 2005年〜2008年
台湾 台中地下鉄
(緑線)
川崎重工業 2016年〜2017年
台湾 台湾桃園空港
 スカイトレイン
川崎重工業 2011年〜2013年
台湾 台湾桃園空港
 スカイトレイン
新潟トランシス 2001年
台湾 阿里山森林鉄路
(機関車)
日本車輌製造 2006年

台湾以外のアジア向け鉄道車両

著名な中国向け高速鉄道に、日本から納入した車両は40両ほどでした(ライセンス生産のため)。

日本から見るとシンガポールがお得意様ですが、シンガポールにはフランス企業の鉄道車両も多く入っていますし、イギリスの地下鉄の仕様ベースで車両調達が行われている中、海外の車両メーカーとコンソーシアムを組んでかなり健闘しておられます。

 

シンガポールを除くと、東南アジア諸国向けはほとんど円借款供与案件です。

 

円借款は相手国に供与した瞬間から相手国のお金になりますので、日本勢だからといって落札できるわけではなく、円借款があっても、インド・ムンバイのメトロ1号線等外国メーカーが獲得しており、大変厳しい世界です。

【表2】鉄道車両の輸出先(アジア)(※海外工場分は一部除外)
地域 客先 メーカー 車両製造時期 円借款
中国 高速鉄道線 川崎重工業 2005年
香港 KCRC
(東西走廊)
近畿車輛 2015年(増備)
香港 KCRC
(東鉄線、西鉄線、馬鞍山線)
川崎重工業
近畿車輛
2001年,2007年
香港 香港国際空港APM 新潟トランシス 2005年
2014年
2022年
澳門 マカオAPM 三菱重工業 2012年〜
韓国 大邱市 都市交通3号線 日立製作所 2012年
シンガポール セントーサ モノレール 日立製作所 2005年
シンガポール MRT
・南北線、東西線
・トムソンイーストコースト線(合弁)
川崎重工業 1999年〜2001年
2011年〜2012年
2013年〜2014年
シンガポール SBSトランジット
センカン・プンゴル線
三菱重工業 2012年頃〜
シンガポール チャンギ国際空港APM 三菱重工業 2007年頃
フィリピン LRTA マニラ1号線 近畿車輛
日本車輌製造
2006年
フィリピン 国鉄 マニラ南北線 総合車両製作所 (受注中)
タイ バンコクMRT
パープルライン
総合車両製作所 2015年
ベトナム ホーチミン都市鉄道
1号線
日立製作所 2019年〜2020年
ミャンマー ミャンマー国鉄 新潟トランシス 2019年頃
インドネシア ジャカルタMRT
南北線
日本車輌製造 2017年〜2018年
インドネシア ジャカルタ近郊(KCI) 日本車輌製造 1983年
バングラデシュ ダッカMRT 6号線 川崎重工業 2021年

北米向け鉄道車両

次は最大のお得意先であるアメリカについてです。

米国にはバイ・アメリカン条項(※)があるため、現地(米国)調達率の達成が要求されています。現地工場製造分や現地工場で最終組み立てを行う鉄道車両が多いため、日本の統計上では両数がはっきりしません。そのため以下は各社のホームページやプレス資料を素材としてまとめたもので下表に掲載されているもので計3千両超になりますが、現地生産されている車両は2千両を超えています。

なお、下表には日立レール社(旧アンサルドブレダ社)の工場での製造分はハワイ・HART案件以外は含んでおりません

※「バイ・アメリカン条項」は、Buy America Act(バイアメリカン法:1982年)をはじめ、様々な法令内や、各州の公共事業入札条項等により、一定比率以上の米国製品を使うよう求める制度です。案件によって米国製品を取り入れる比率は異なりますが、金額ベースで50%以上〜70%ほど。米国の公的資金が原資に含まれるプロジェクトに適用されるため、ほとんどの鉄道プロジェクトはバイ・アメリカン条項に適合する必要があります。

【表3】鉄道車両の輸出先(アメリカ・カナダ)(※海外工場分は一部除外)
地域 客先 メーカー 車両製造時期 円借款
米国 ボストン地下鉄MBTA
[2階建て客車]
川崎重工業 1992年、2004年
米国 ニューヨーク地下鉄NYCT
[R143,R142A, R110A,R211,R188]
川崎重工業 2001年〜現在
米国 ハドソン湾横断公社PATH
[PA-5、PATHtrain]
川崎重工業 2008年〜現在
米国 メトロノースMNR
[M-8]
川崎重工業 2008年〜2011年
米国 ワシントン地下鉄WMATA
[7000系(ステンレス車)シルバーライン]
川崎重工業 2013年〜2018年
米国 ロングアイランド鉄道LIRR
[M9(電車)]
川崎重工業 2015年〜2018年
米国 カリフォルニア州PCJPB
 [Amtrak サンフランシスコ−Gilroy間]
日本車輌製造 1999年
米国 北東イリノイ地域鉄道公社NIRCRC
シカゴ・メトラ線Metra
[ギャラリーカー、ハイライナー]
日本車輌製造 2002年〜2008年,
2012年〜2015年
米国 ヴァージニア州VRE
[ワシントンDCに乗入のVirginia Railway Express線]
日本車輌製造 2006年〜2009年
2012年〜
米国 インディアナ州北部通勤
輸送公社NICTD
[CSS&SB鉄道]
日本車輌製造 2009年
米国 カリフォルニア州Sonoma-Marin Area Rail Transit (SMART)  日本車輌製造 2015年
米国 ニュージャージNJTransit
[ハドソン、ニューアーク(LRT)]
近畿車輛 1998年〜,2013年〜(中間車増備)
米国 サンタクララVTA(LRT) 近畿車輛 1999年〜2000年
米国 ダラスDART(LRT) 近畿車輛 2005年〜2010年
米国 フェニックスVMR(LRT) 近畿車輛 2006年〜2007年
米国 シアトルST(LRT) 近畿車輛 2006年〜2010年
米国 ロサンゼルスLACMTA(LRT) 近畿車輛 2013年〜2015年
米国 アトランタ国際空港APM 三菱重工業 2009年頃
米国 ワシントン・ダレス国際空港APM 三菱重工業 2009年
米国 マイアミ国際空港APM 三菱重工業 2010年,
2015年
米国 フロリダ・タンパ国際空港APM 三菱重工業 2014年頃
米国 フロリダ・オーランド国際空港APM 三菱重工業 2018年頃
米国・ハワイ ホノルル高速鉄道輸送機構(HART)
現Hitachi Rail S.P.A
(旧アンサルドブレダ)
2014年〜
(同社米国工場)
カナダ オンタリオ州鉄道公社Metrolinx
[トロント国際空港−ユニオン駅]
日本車輌製造 2014年〜2015年

中南米向け鉄道車両

日本勢が総力を挙げて取り組んだアルゼンチンのロカ線電化をはじめ、鉄道関係者の間で今に語り継がれる案件が多くみられます。

現在日立製作所さん傘下のHitachi Rail STSさん(旧アンサルドブレダ系)は、新規案件を獲得しています。

【表4】鉄道車両の輸出先(中南米)(※海外工場分は一部除外)
地域 客先 メーカー 車両製造時期 円借款
パナマ パナマ運河庁 牽引用電気機関車 川崎重工業 2005年〜2006年
パナマ パナマメトロ
[3号線]
Hitachi Rail STS
(旧アンサルドブレダ)
受注中
アルゼンチン Roca(ロカ)線電化
[M./R4000型]
日本車輌製造
川崎重工業
近畿車輛
総合車両製作所(現)
1984年〜1985年
ベネズエラ ベネズエラ国鉄 カラカス近郊路線 日本車輌製造 2001年
ベネズエラ ベネズエラ国鉄 カラカス近郊路線 日本車輌製造 2014年頃
ブラジル SuperVia
[500系]
日本車輌製造
日立製作所
川崎重工業
1975年
ブラジル メトロ・デ・ポルトアレグレ
[1号線 type 100]
日本車輌製造
日立製作所
川崎重工業
1984年頃
ペルー メトロ・デ・リマ
[2号線及び4号線]
Hitachi Rail STS 受注中 不明

中近東向け鉄道車両

中近東は欧米の仕様で鉄道が調達されています。鉄道システムはフルターンキーベースで輸出されています。鉄道システム供給を行うためのアライアンス(連合)にはトルコの企業や、自動運転システムはThales(タレス)さん(※2021年に日立さんに買収されるまではフランス企業)という大手信号メーカーも参加した多国籍案件です。

タレスさんは開業当時はフランス企業であり、その信号システムにより無人運転を行っている路線ながら、システムインテグレータ(遂行責任者)と車両メーカーが三菱重工業さん及び近畿車輛さんのためか、「日本の技術で自動運転をしている」と紹介されることあります。

ドバイメトロ向けには395両(アフマル線(Red line と英語で表記)線 220両,アフダル線(同Green line)175両)、ドーハメトロ向けには計330両が納入されており、超大型案件です。ドバイ空港に乗り入れているのはアフマル線です(ちなみに始発は5時5分頃で、1乗車220円くらいです。日本からの飛行機は未明に到着しますので、乗り継ぎ待ち時間があって空港内の免税店に興味がない方はぜひ見に行ってみては。)

ドバイメトロは、メトロと言いつつも都市部以外は高架橋上を走行する路線のため、明かり区間(地下鉄部分以外)の建設工事は、夕方から夜間に行われるという、気候風土や労働法制の違いを感じる話題にも事欠きません。

またドバイメトロ・ドーハメトロとも日本政府が関与しておらず、民間で遂行された案件です。ここまでの成功案件でありながら2020年頃まではインフラ海外展開の成功事例紹介としての扱いも小さかったため、世間的にあまり知られていないのも興味深い点ではないかと思います。

【表5】鉄道車両の輸出先(中近東)
地域 客先 メーカー 車両製造時期 円借款
UAE ドバイメトロ 近畿車輛 2008年,2010年
UAE ドバイ空港APM 三菱重工業 2012年頃
カタール ドーハメトロ 近畿車輛 2015年〜2021年

アフリカ大陸向け鉄道車両

前述のとおり、エジプトには長年取り組んだ近畿車輛さんの車両が第2世代に入っています(1世代目の車両は1970年代製造)。エジプトでは、もともとフランス規格が使われており、現地エジプトの仕様に合わせて鉄道車両を製造し、所定の実車走行試験もクリアする等同社の努力が結実しています。これまでに1600両(現地協力会社分も含む)が納入されているそうです。

・・このように書くと、カイロどころかエジプトは日本の車両を選んでいるようにみえてしまいますが、それは誤解です

鉄道車両は何期化に分けて調達する(※微細なモデルチェンジや予算の都合。公営企業が多いですから)のが普通なので、同じカイロメトロ2号線及び3号線について韓国のヒュンダイ ロテムさんは、カイロメトロさんから320両を受注したそうです(2022年8月25日wowKoreaさん報道)し、また、これまでにカイロ1〜3号線に計484両納入しているそうです(協力会社さんの生産分を含んでいます)。

自国の車両がどこそこに納入された、という記事や、世界地図を使って日本の車両が納入された国を示す手法はよく目にしますが、そのシェアは分かりませんので1両だけかもしれない訳です。前述のwowKoreaさんの記事は、「韓国の技術力が選ばれた」とまとめていますし、日本も日本で同じようなことを言ってしまう訳です。基本的に、自分の国しかみていませんからね。

エジプト以外の国については、近年はエジプト以外には鉄道車両は南アフリカ以外には輸出されていません。以前は10国ほどに機関車や気動車を納入したことがありますが、もう年十年も前の話で、現在は途絶えています。

最近はアフリカ諸国に価格競争力のある中国企業等各国支援の鉄道が建設されたり鉄道車両が導入されたという報道が多くなっており、日本は出遅れていると考える方が増えています(インフラシステム海外展開戦略 2025。)。

このページで後述するように、鉄道は初期投資が大きい上に受注生産産業ため、成功事例となるかどうかは潤沢なODA供与次第ではないかと思います。

【表6】鉄道車両の輸出先(アフリカ大陸)
地域 客先 メーカー 車両製造時期 円借款
エジプト カイロ市交通局(NAT)1号線 近畿車輛 2008年
エジプト カイロ市交通局(NAT)2号線 近畿車輛 2012年
エジプト カイロ市交通局(NAT)3号線 近畿車輛 2010年〜2012年
エジプト カイロ市交通局(NAT)4号線 近畿車輛 (受注中)
エジプト カイロ市交通局(NAT)1号線
[特殊車両]
北陸重機 2016年頃
南アフリカ Transnet freight社(鉄道公社貨物)
(交直流電気機関車19E,
交流電気機関車15E)
[Ermelo〜RichardsBay等]
東芝
(組立は現地)
2013年頃
南アフリカ Transnet freight社(鉄道公社貨物)
(交流電気機関車15E)
東芝
(組立は現地)
2007年頃,
2011年〜2013年頃
 

ヨーロッパ向け鉄道車両

最後にヨーロッパ向けの車両です。RAMS規格欧州統一鉄道技術基準であるTSIが制定される以前に輸出された車両も健在だそうです。
 日立さんについては、表7中の車両の9割以上は現地工場(Hitachi Rail STS傘下の ニュートンエイクリフ工場、カラブリア工場、レッジオ・ピストイア工場、又はナポリ工場)製で、1割弱がパイロット的に笠戸事業所で製造されています。

上述のように買収でグループ傘下となった元大手鉄道車両・信号メーカーのアンサルドブレダ(イタリア)、アンサルドSTS(イタリア)及びタレス(フランス)さんの工場は欧州や米国に所在するため、貿易としては日本からの輸出ではない車両の方が多数を占めるわけですが、現地工場製造分と日本の笠戸事業所製造分をあわせた両数としてはClass395(ジャベリン)は174両、Class800は536両、Class801は330両、Class802は356両、Class803は25両、Class805は65両、Class385は約200両、下表にはないですがClass807は70両が納入されるそうで、1600両を超えています。このほか、多くの旧アンサルドブレダさんに由来する案件があります。

インフラシステム海外展開戦略 2025 p11〜p12の効果KPIの項によると、海外現地法人の売上も「インフラシステム受注額」に含まれるようですから、その考え方に合わせれば日立製作所グループ傘下の旧アンサルドブレダさんの客先の欧米・インド等の各国の多数の地下鉄車両・高速鉄道等の案件もフォローしたほうがいいのだろうとは思いますが、とても掴み切れない量が公表されていますので表7では割愛しております全てが掲載されていない点、どうかご注意ください

 

【表7】鉄道車両の輸出先(ヨーロッパ)(※海外工場分は一部除外)
地域 客先 メーカー 車両製造時期 円借款
英国 CTRL(IEP) (Class395)
[St.Pancras Int.〜Ashford Int〜
Dover Priory,〜Ramsgate,Margate]
日立製作所 2007年〜2009年
英国 GWR,London North Eastern Railway
向け(Class800/0〜Class800/3)
[King's Cross〜Edinburgh Waverly、
Paddington-Cardiff Central等]
日立製作所・
Hitachi Rail(現)
2015年〜2019年
英国 London North Eastern Railway向け
(Class 801/1,801/2 )
[King's Cross-Leeds-Newcasle-
Edinburgh Waverly等]
日立製作所・
Hitachi Rail(現)
2017年〜2020年
英国 Lumo向け(Class 803/0)
※イーストコースト線オープンアクセス事業者
日立製作所・
Hitachi Rail(現)
 
英国 Avanti West Coast向け(Class 805/0) Hitachi Rail(現)  
英国 Abellio ScotRail(Class 385)
(通勤車両) 等
[ エジンバラ〜グラスゴー間各線]
日立製作所・
Hitachi Rail(現)
2015年〜2019年
英国 GWR、TransPennine Express、Hull Trailns 向け(Class 802/0〜Class 802/2) Hitachi Rail(現) 2017年〜現在
アイルランド アイルランド国鉄
[首都近郊路線,8500系,8510系電車]
総合車両製作所(現) 2000年〜2004年
アイルランド アイルランド国鉄
[Commuter、2600系,2800系ディーゼル車]
総合車両製作所(現) 1993年〜1994年,
2000年
 −
ドイツ ドイツ鉄道Cargo社
(ハイブリッド機関車)
東芝 2020年受注
スペイン iryo社(イタリア国鉄系)
(FRECCIAROSSA 1000)
Hitachi Rail・
ボンバルディア
2020年受注

鉄道信号(CBTC)について

 

※工事中です。ニューヨークの地下鉄路線図が複雑すぎて作れないので・・・。

輸出相手国が偏る理由

現状で鉄道が全く無い国でも、建築物や自動車に対する火災対策や感電防止のための技術基準や、日本でいうJISに当たる国家規格は大なり小なり存在しています。

そのため、日本でJIS規格ベースで作成しているものは、一つ一つその国で義務付けられる基準にあっているかを確認し、合ってないものや試験方法が違うものについては試験等をやり直す必要があります。

このような外国のルールに仕様を合わせ、行政機関の認可を獲得することホモロゲーションの獲得と言うのですがホモロゲーションが取れないと、当然その国で走行することができないため、引き渡しができず大赤字となります。

メーカーや商社さんは事前に相手国の法令や規格をコストをかけて調べますが、ある規格からさらに引用されている一般規格のようなものまでは調べきれませんので、場合によって思わぬコスト要因となってしまいます。

日本から鉄道システムを輸出する場合には、日本の仕様のまま走行できることは今後はなく(インドネシアは例外です)、初めての案件の国ほどホモロゲーションにかかる経費は増します。

下図の右側にあるように、その国の規格や試験を行うための再設計費用や製造コストは結構な割合で、国内案件と比べると設計(※試験方法の検討も設計担当が行います)の手間は5倍工数がかかる、と(大げさですが)言われているほど初期コストが膨大です。

入札に参加するためには見積を作る必要があるので概略設計する必要がありますが、円借款案件であっても入札を勝ち抜けられる保証はないため、最悪すべての検討が無駄になる可能性をはらんでいます。
 ということで新たな国に新規参入しようという場合には目の前の案件だけで初期投資分を回収するのは一般的に難しい(かなり割高になり、入札が厳しくなります)ため、数十年かけて回収するくらいの長いスパンの投資判断も必要で、新しい国に進出するリスクは民間会社ではなかなか取れない現状です。

【図】輸出先によって製造コストは違います。

今後の課題

上の図において、日本国内案件と比べて海外案件ではコスト要因となっているのは次の2点です。

一つは、青で塗色している試験検証コストです。

 

日本国内案件ではメーカーの試験で足りる項目や、規制緩和されている試験が多い一方、海外案件では一つ一つ試験が行われるため、行政の認可まで半年以上かかるのが普通です。

多数の認証・試験の中でも、「RAMS認証」と車両火災試験(車両材料の燃焼性試験を含む)は大きな課題です。この2つは作業量が多いことと、RAMSは後から行うことは難しいなどの特性があるためで、輸出が難しい理由としてこの2つが代表選手ですが、他にも海外案件はハイリスクなこと、マンパワーが無いこと等、様々な課題があります。

コスト要因のもう一つは、設計製造コストの中のピンクで塗色している経費です。

日本国内で安全に走っている車両をベースに作った車両であっても、相手国が「車両火災対応のための試験はこれ」と言えば、金属以外の車両材料すべてを指定された試験を行わなければなりません。実物大のモックアップを作って実際に燃やす試験を行わなければならない場合もあり、対応できる試験所を探したり、試料を持ち込んだりするためには時間もコストもかかります。

単に相手国の溶接方法や強度計算方法の規格に、日本で一般的な方法が含まれていないために技術的にみれば「無意味」であっても、相手国の採用している規格に沿った方法で行う必要がある場合もあります。この場合は、日本の方式が優れていることを立証することができれば相手国のOKがもらえる可能性がありますが、この立証は実際には言うほど簡単ではない膨大な作業だと思います。

・・・このような状況について、「海外案件は認証に苦労する」とか「日本のJIS規格が海外でも使われていればコストがかからなくなる」、という言い方がされています。

日本と同じ仕様になれば、上図のピンクや青で表示しているコストが不要になり、それはありがたい話です。しかし、ライバルメーカーが黙っていないでしょうから簡単な話ではありません。

少なくとも相手国に技術基準を変えて欲しい、とか、日本JISを採用してくれ、と本気で要望するなら、相手国の技術基準と、JISとの差分を示すことが不可欠なはずです。


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