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日本製の車両とは

主要部品が日本製の車両は、どこ製?

このリンク先は、日本の有名鉄道車両メーカーが公表している、車両部品を欧州メーカーからの調達していることを示したイメージ図です。

※右図のような図解が出ています(拡大版はメーカーサイトをご覧下さい)→

 

このメーカーさんではこの型式(Class800/801)の生産を日・英で分担しており、日本では総車両数の1割の車両を製造し、残りの9割を英国で製造しています。

この車両型式に使われる部品の7割は、英国の工場から40マイル(64km)以内のメーカーから調達していることが報道されています。(※日本経済新聞2014年12月27日記事がリンク切れのため、東洋経済社の記事に変更しました。)

これほど現地化しているこの車両は、「日本の車両」なのでしょうか。
 感覚的には日本の車両、いや、日本発祥の技術だといいたくなる気持ちはわかりますが、日本の部品が過半数割れしているのですから、工場のある英国側で「英国の車両だ」と考えたとしても不思議ではないほどの現地化レベルです。


上とは逆のケースとして、海外系車両メーカーさんの車両部品に、日系電機メーカーの制御装置やブレーキ装置のような車両にとっての重要部品が搭載されていることはよくあります。見た目上は海外系車両メーカー製ながら、車両性能を決める主幹部分は日系メーカー製なのですから、日本製の車両(少なくともコアは日本製)といってもよいのではないのでしょうか? 
 ただ、シンボリックなのはやはり車両部分です。いくらコアが日本製でもこれらは見えませんから開業式典に日本の政治家は招けないのですが(=国土交通省や外務省の手柄とならない)、車両部品メーカーにとっては販路の拡大と日本の技術が生きているので、それでもとてもいいことではないでしょうか。何をもって日本製の車両というのべきなのかは、曖昧で、感覚的なものと考えて、コアは日本製という発想に切り替えていくことが必要ではないでしょうか。

現在日系の電機機器メーカーさんは、部品サプライヤーとして強い国際競争力を持っています。そのようなグローバルなメーカーさんの立場からすると、納入する国によってA国での振動試験はこの規格、B国ではあの規格、と国によって細かな相違があるのは製品製造コスト要因となります。日本の規格だろうが、欧州の規格だろうが、仕様はなるべく統一されているほうがよいと考えているはずで、(日本では使われていないものの)欧州規格に基づいて作られている製品も増えています。

少し前のページにて述べているように、日本の電機機器メーカーは海外で活躍していますが、その強い競争力の理由の一つには、RAMSをはじめとする客先から求められる国際標準に対応していることもあるはずです。

国際標準に合わなくても、自分たち式のこれまでのやり方をベースとした業務を行うことも時に大切ですが、その結果、案件を受注してから相手国の要求する「RAMS(EN50126、IEC 62278)」を調べようか・・ということですとかなりリスクがあります。このサイトの冒頭のところで紹介しているように、RAMSは手順などのマネジメントを見るため、製品開発段階で行っておかなければならない社内の分業体制の明確化などのマネジメント系の業務については、念のため、早く手をつけておくことが必要ではないかと思います。