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古民家の宿 鮑集
Hoshu
33 11 15.79,129 03 25.61

 8畳と6畳が続く客間。贅沢な、そしてとても懐かしい空間です。

 小値賀島に行こうと思ったのは野崎島のベースの島だからというのが大きいのですが、魅力的な宿があるからこそ訪れたと言えるかもしれません。東京から遥か離れた地に行くだけの価値がこの島にはありました。

 そのオペレーションをやっているのが、小値賀アイランドツーリズムと名乗っている株式会社小値賀観光まちづくり公社という組織です。おいおい何で公社が株式会社なんだ、だったらアイランドツーリズムという会社にすればいいのではないかなどと突っ込みを入れたくなりますが、そこは地道に活動してきた歴史があります。

 最初は修学旅行生などを中心に、所謂民宿を組織的にやっていたのですが、2006年に子どもキャンプ宝島、島らいふ、民泊事業を主としたNPO法人「おぢかアイランドツーリズム協会」を立ち上げ、更に2009年に株式会社おぢか観光まちづくり公社を作り、両者を総称して小値賀アイランドツーリズムという冠をつけたといった変遷を辿っています。
 多分収益事業を様々に展開するためには、NPOだと役不足というか様々な制約があったからだったのでしょう。そして多分そのきっかけになったのがこの古民家宿なのです。
 
 あちこち古民家の宿や古城の宿に泊ってきましたが、ここの力の入れようの凄さ、設備のグレードは半端ではありません。先ず床面積は180m2。昨日泊まったホテルリソルが20m2ですからその9倍。実際には10倍以上の感じがします。また風呂は檜、その他にシャワーブースが全く別にある。トイレ2カ所、キッチンは正にフルイクイップメントで、マイクロウェーブも当然、エクスプレッソマシンも完備、什器は気の利いたものばかり。洗濯機もあるし、リビングは床暖房。掛け布団は当然羽布団、そして上の写真の客間の贅沢さ。本当にたいしたものです。外国のアパートメントホテルでフルイクイップメントはあちこち体験しましたが、空間の豊かさはここに勝るものはありません(フィンランドのサウナがあるコテージとか、オーストラリアのチャペルは別の面白さがありました。)。

 この時を本当はゆっくり味わいたかったのですが、嵐による船の欠航により、一日遅れ。結果として夜8時チェックイン、朝7時10分チェックアウトという実に慌ただしいものとなってしまいました。そして削られたのが睡眠時間で、夜はこの空間にはしゃいで終わり、朝は暗いうちに起きてシャワーを浴び、エスプレッソを入れ、港を眺めながら・・・ゆったり朝食を作る予定が、コンビニおにぎりになってしまったのが実に残念ですが、大嵐の後に、嵐のように疾風のごとく体験出来た古民家の宿でした。
 
 あと言えるとすれば、料金設定と食事です。料金は4人以上だと1泊12,600円/人だから、長崎の旅館の1泊2食付きとほぼ同じ値段です。この空間の豊かさだから納得でしたが、やはり高いと感じる人は多いでしょう。
 今回は野崎島への往復を町営船から帰りはチャーター船にしてもらったりとか、ツーリズムの人々がよく動いてもらいましたので、そうしたソフト代だと思えば全然納得でした。

 もうひとつは食事です。ゆったりと近所の寿司屋でもと思っていましたが、到着が夜になったことから近所の店も一杯で席を探すのに苦労しましたが、何とか入れてもらい、ありつくことが出来ました。アイランドツーリズムは食事の問題に対応するために古民家レストランをオープンさせたのでしょうが、結構遠くにあるため何かの時に機動性に欠けてしまうということはあります。

 朝食はせっかくのフルイクイップメントを活かそうと予定していたのですが、夜到着になったから買い出しを諦め、コンビニになってしまったし。やはりゆったりした時間がないと楽しめません。
 ここいらのサポート体制、情報、機動性があるともっともっと楽しく過ごすことが出来ると思います。しかし得難い空間体験でした。多くの人に体験してもらいたい宿なのです。

ツーリズムのHPから間取り図を拝借しました。土間周辺の大改装と水回りの強化が伺えます。
玄関の間というのでしょうか。これで6畳あります。お出迎えの空間。 客間をちょっと俯瞰してみました。床の間がなかなかですね。当然欄間も凝っています。
広間から土間を見ています。立派なオープンキッチンです。 平面図では広間と言っている言わばリビングです。掘り割りにしています。
客間の裏を寝室としました。客間は広すぎて・・・・ バスは檜をたっぷりと使っています。
土間の脇にある洗面、トイレとシャワールーム。 キッチンはオール電化でした。 表札です。

ダイニングテーブル。港の明かりが海に映っています。

古民家の宿「鮑集」