わたしたちが今日なすことは、明日への土台となるのです。現在あるものはすべて過去の経験の上に成りたっています。つまり未来のものはすべて、現在あるもののなかにすでに存在しているのです。
ですから今日のあたらしい書体は、かつて人間が創りだしてきたものの歴史のなかに錨をおろしており、もしそれが価値があるものならば、未来のための基礎となります。したがって活字の製作者は時代にたいして二重の責任を負っています。一つは過去のものを完成させる「かなめ石」となる責任であり、もう一つは、どれがあたらしい発見への真正な道筋であるかを見わける、未来への礎石を築く責任です。