Alternative Views》 2001年12月2日

旧書体化中の常用漢字と迷走中の表外漢字を含む拡張Watanabe明朝族の試用上の注意

内田明 <uchida@happy.email.ne.jp>

拡張Watanabe明朝族は、内田が自分自身の需要を満たすために制作しているフォントです。《青空文庫の“明日の本棚”を読む際に用いる》ことを主目的としているため、「文」「建」などの右払いに“ひっかけ”をつけてみたり、「分」「公」などの屋根も“横棒つき”にしてみたり――と、常用漢字を旧書体化することで《読書用フォント》らしくなるものかどうかの実験をしてみています。また、2面1区63点(人へんに前)の「月」が“ちょんちょん”ならば同じ表外字である「揃」の「月」も“ちょんちょん”だろう――といった揃え方も一部で試みています。

これら、第1水準・第2水準漢字における旧書体化や“旧字体”化は、《78JIS化》といったものを目指しているわけではありませんし、作業が完了したわけでもありません。従って、ご利用に際して、字形設計について何の法則性も見出せない思いがけない字体が出現する場合があります。

この結果、平成明朝やMS明朝などの互換製品を欲している方の需要は満たさないフォントになっている他、JIS X 0221フォント化に際して一部グリフが適切でない符号位置へ変換されてしまう可能性が生じています。拡張Watanabe明朝族の試用にあたっては、部分字体の揺らぎに、十分にご注意ください。