これまでの話題(2000年12月後半)

[Index| 12月前半| 11月後半| 11月前半| 10月後半| 10月前半| 9月後半| 9月前半| 8月後半| 8月前半| 7月後半| 7月前半| 2000年前半] [1999年]


2000年12月27日(水)〜28日(木)

「2001年の飲食業界を考える」


例年asktakaは、飲食業界の専門誌の新年号に、新年の展望について800字程度の原稿を書いています。今年も「2001年飲食業の経営課題と注目飲食業種・業態」と題して寄稿しました。asktakaは飲食専門ではないのですが、フランチャイズチェーンやショッピングセンターとの関連で、以前から「飲食店経営」(商業界)から原稿を依頼されていたのです。

20日に新年号が発売され雑誌が送られてきましたので、使い回しになりますが以下に転載いたします。飲食業界のみならず、他の業界の方々の参考にもなると思うのですが、いかがでしょうか。

【2001年の経営課題】

とうとう21世紀の最初の年がやってきた。足元ばかり見ていても先行きの展望が開けない。そこで、少し視点を先において、飲食業の経営課題を考えてみたい。

結論から先に言うと、筆者の考える経営課題は、意識革新、IT革新、営業革新、この三つの変革の推進である。ここで、営業革新とはサービスと販促の革新を意味する。

先ず、経営トップに意識革新を提言したい。貴方は飲食の世界の常識、通説にどっぷり浸かっていないか。例えば、飲食業には優秀な人材が集まらない、定着率が悪い、という通説は必ずしも真ではない。それはこれまでの飲食業が、従業員にとって十分な魅力やインセンティブを提供していなかったからだ。飲 食業は、他業種からマネジメントを学び、業界の常識を一新することで、21世紀の成長産業として翔くことを期待したい。

IT革新や営業革新は、こうした意識革新をベースにしてはじめて効果的に実践されるのである。

【2001年の注目業種・業態】

今年は、�ヽ或�外資��脱マニュアル業態�K楹頁疋弌爾肪輒椶靴討い襦�

先ず、外食外資は、今年もT・G・Iフライデーズやアウトバック・ステーキハウスの動向から目が離せない。また、外資コーヒーショップは、スターバックスがすでに160店を超えた。今後はシアトルズやタリーズ、イタリアのセガフレード・ザネッティなどの展開が注目される。

次に、脱マニュアル業態とは、従来のチェーン展開発想を超えた業態を言う。その本質はサービスの革新にある。例えば、居酒屋かあさんなどをイメージするとよい。

最後に、渋谷、青山、六本木、西麻布、銀座界隈のお洒落なバーに注目したい。老舗から最近オープンしたバーまで、年齢を超えた憩いの場としての復権が期待される。

以上で、ちょうど800字の原稿です。皆さんも800字から1000字ぐらいで、自社の来年の課題なり展望をまとめてみませんか。頭が整理されるし、決められた文字数で文章を書くトレーニングをすることで、文章に磨きもかかると思いますよ(余談:二十歳前後の頃に読んだ社会学者の清水幾太郎の文章読本の中に“1000字エッセイのすすめ”があって、asktakaは当時これを実践していました。それでもこの程度か、と笑わないでくださいね・苦笑)。



お知らせ:昨日の話題は「20世紀は資本主義凱旋の世紀」 でした。



2000年12月25日(月)〜26日(火)

「20世紀は資本主義凱旋の世紀」


20世紀も残すところ後1週間になりました。そこで、今日は20世紀を経済システムとして見るとどう総括できるかを考えてみましょう。

結論から言えば、20世紀は、社会主義の崩壊と資本主義が勝利した世紀であったと総括できると思います。では何故社会主義は崩壊したのでしょうか。 asktakaには次の3点が決定的だった思います。

1.計画経済のような中央集権的経済システムは、市場を活用した分権的システムに比べて資源配分上非効率だった。

2.単一のイデオロギーや独裁的政権による統制が情報化社会の中で人心を捉えるには無理があった。

3.平等という名の悪平等が、国民の労働意欲を減退させ、経済全体の活力をそぐ結果となった。

旧ソ連や中国の社会主義国家としての崩壊は、市場に委ねる分権的な資源配分に敗北したといっても過言ではないでしょう。この意味では、資本主義とは民間資本を中心にして、市場の力を活用したシステムだといえます。

こうしてカール・マルクスが述べたような、“資本主義がそれ自体の客観的矛盾によって崩壊”して、社会主義が誕生、発展する、と言う結果には至らなかったのです。

一方で、asktakaが起業家精神を述べる際にシュンペーターの名前を出します。実は、シュンペーターは、“資本主義は成功ゆえに崩壊し、社会主義に至る”と考えていました。サミュエルソンはハーバードでシュンペーターの講義を聞いて、この言葉に反発して資本主義を守るために混合経済を提唱したという見方もあながち嘘とはいえません。

いずれにしても、マルクスもシュンペーターも資本主義が崩壊して社会主義に至ると考えた点は間違いだったわけです。草葉の陰で現在の資本主義を見守っている両巨頭に、弁明を聞いてみたいものですね。

ところで、勝利した資本主義ですが決して万能ではありません。市場主義万能からヨーロッパ諸国で実験中である「第三の道」という考え方が生まれました。社会学者のアンソニー・ギデンスなどが提唱したものですが、市場経済の枠組みの中で、社会正義と自由と公正を実現しかつ効率的な経済運営を行うには、企業の力を規制するしかないという考え方です。以前この欄で紹介した京都大学の佐和隆光教授の『市場主義の終焉』の中の提言は、実はこのような「第三の道」の流れを汲んでいたのです。

こうした「第三の道」の道も英国のブレア政権の人気が低下していることでも分かりますが、決してすんなりいきそうもありません。21世紀は“市場の力”を生かしながら、新たな資本主義の道を模索することだけは確かです。

ところで、このような動きがあるにせよ、企業はゴーイング・コンサーンで生き続けなければいけないのです。では、21世紀には企業はどうあるべきか。 asktakaは、資本主義の原点を考えるべきだと思います。すなわち、市場の力を生かして効率性を追求し、価値観の多様性を認めて個人の創意を育み、かつ悪平等を廃してインセンティブを与える、この3点が基本的に重要だと思うのです。

企業がこうした原点を見つめて変革していれば、例え政府が資本主義を修正して介入する動きがあっても、企業にとって影響が軽微だと思います。何故ならば、いかなる政府といえどももはや市場機能を捨て去ることはありえないからです。

要するに、21世紀を迎えるにあたって、企業は先ず愚直に“市場の効率性”を考えるべきだ、とasktakaはいいたいのです。“市場”とともに歩みその機能を十二分に活用する姿勢こそ、21世紀型企業の基本であることを肝に銘じるべきではないでしょうか。但し、ここでいう“市場”とは決して金融市場のことをいっているのではなく、実物経済での製品・サービス市場などを念頭においている点をご留意下さいね。



お知らせ:昨日の話題は「小売業再建の哲学」 でした。



2000年12月22日(金)〜24日(日)

「小売業再建の哲学」


20世紀の最後の10年で、バブル崩壊の影響もあって最も環境が激変した業界は、金融、不動産、建設、流通ではないでしょうか。もちろんIT革命の波の中で、この波に乗っているかどうかで大きく影響を受けることも確かです。しかし、まだ負の遺産を背負いながら再生の道を模索するという意味では、上述した業界の重荷は決して軽くはないと思います。

流通業の中でもダイエーの再建問題は、不透明なトップ交替劇と相まって、こうした重荷の中での再生可能性に注目が集まっています。鳥羽前社長の退任後トップ不在のままでしたが、通産省OBの雨貝氏(会長就任予定)、リクルートから戻った高木氏(社長就任予定)に加えて、平山敞氏が代表権を持つ副社長に就任しました。平山氏はユニード(九州のスーパー)の再建を手がけ、その後ニコニコ堂の再建計画を社長として策定しました。業界筋の話では、同氏はダイエー再建の“最後の切り札”として期待されているとのことです。

この平山氏によると、小売業の“再建の哲学”を次のように述べています。

「業種を問わずヒト、モノ、カネの経営資源の質が大事だが、とりわけ小売業にとっては“ヒト”が重要だ」

このような話は当たり前で、今更何を言っていると思う向きもあるかもしれません。しかし、asktakaは、この言葉を流通の再建のプロの発言として聞き流すべきではないと思います。

もともと流通業界は、ずば抜けて優秀な人材が集まる業界ではないと思います。経済学部系ですと、かっては優秀な人材は銀行、商社、一部の有力メーカーなどに就職しました(東大などは官界も)。慶應義塾などは百貨店業界の人材を輩出している方ですが、客観的に見て経済学部からはあまり優秀な学生は行きません。銀行や伝統業種は文学部出身者を敬遠するので、文学部出は相対的に出来のいい学生が就職する可能性はあると思いますが、これはむしろ例外です。

百貨店でもこうした状況でしたから、70年代以降の量販店(総合スーパー)の大量採用時代に、優秀な人材が集まりにくいのが現実だったと思います。

ところで、平山氏の発言をこうした背景を踏まえて考えてみると、asktakaは次のように捉えています。

1.モノ(工場等の設備)に依存するメーカーと違って、流通業は相対的にヒトに依存するウエートが高い。

2.右肩上がりの“行け行けどんどん”方式の時代は体力だけでもこと足りたが、今後は企画力、発想などのブレーンワークが重要となる。

3.流通業においては、ブランド品を除き商品の差異が少なくなっているので、現場での接客など“人的要因”の重要性がますます高まる。

4.とはいえ、手持ちの“ヒト”は飛び抜けて優秀ではないので、トップが夢を与え、やる気を引き出し、時には現場主義に徹してコーチする必要がある。

5.こうして、“普通のヒト”を“必要なヒト”に変身させることが出来れば 再建の道は半ば達成したことになる。

カリスマ的な創業者が一線から退き、D社の“指示されて動く”行動パターンが染み付いた体質をどう変えていくのか。asktakaのD社再建に対する関心は、実はこの点にあります。そして、これからのD社は、このような体質を変革するための試行錯誤が続くことになります。成功しても、失敗しても、D社の事例は、多くの企業にとって生きた実験になることは確かだと思います。

皆さんも、asktakaと一緒にD社の再建を、“ヒトの変革”という視点から定点観測してみませんか?



お知らせ:昨日の話題は「日米欧の3極体制は20世紀の遺物?」 でした。



2000年12月19日(火)〜21日(木)

「日米欧の3極体制は20世紀の遺物?」


世紀末ということで、20世紀を総括する話題が多いですね。一方で21世紀を展望する記事や論文も増えています。asktakaはこの手の論文にまだよく目を通していないので、年末から年始にかけて世紀をまたぐレビューを行うつもりです。

そう思って今日の日経夕刊を見ると、米CIAが2015年の世界経済を予測したという記事が目に付きました。何でも、日本は15年後には、経済力は高まるものの相対的な世界経済における重要性は低くなると予測されているそうです。そして、米欧に次ぐ世界の3極にとどまることは困難だと予測しています。

その根拠は、遅々として進まない日本の構造改革の遅れが、欧米に更に水をあけられること、中国の軍事的、経済的台頭が予測されること、この2点にあるようです。

asktakaが欧米の論調を斜めに読んでいる限り、21世紀は米欧及び中国の“3極体制”と見る向きが多いようです。それもそのはずで、中国大陸の10数億人の市場は経済がもう少し活性化してくると、たちまち魅力的な市場に転換します。昨日asktakaが購入したモバイル用のIBMのパソコンを見ると、ACアダプターなどは中国の深せんで製造されたものです。以前にも述べたように、今や中国の製造業のレベルは急速に高まりつつあるのです。

では、日本はどうすればよいでしょうか。asktakaは、そのキーワードは次の3点だと思います。

1.ボーダーレスな“商人国家”

2.企業の抜本的構造改革

3.旺盛な起業家精神

日本は中国の政治的、経済的な台頭に対抗して覇権を求めることは出来ないと思います。せめて、各企業が商人(あきんど)として更に世界へ進出し、政府が強力にこれをサポートすることが肝要ではないでしょうか。

日本が日米欧の3極構造から脱落すると予測される背景は、上述したように規制緩和や構造改革が進まないからです。それはそうですよね。政治の世界に頼っていては時代の流れに遅れます。企業が盛衰をかけて、個々に抜本的改革に取り組めばよいのです。マクロのレベルで進まなければミクロで改革を進めるしかないのです。

最後の起業家精神については、既に何回か述べているように、米国も20年の歳月を経て、起業家精神が育ってきたのです。80年代初頭までは米国でも有力大学の優等生は、ビッグブルーと呼ばれるIBMをはじめ大企業志向が強かったのです。それが大企業の人減らしと規制緩和の推進などが相俟って、起業家精神が徐々に育まれてきたといえます。

資本主義経済において決定的に重要なのは、旺盛な“起業家精神”があるかどうかだと思います。これは何もasktakaが学生時代にシュンペーター先生の本から学んだせいだけではありません。開業率とGDPの成長率の間には正の相関関係があり、開業率が高ければ成長性も高いことが実証研究から分かっているからです。

欧米が2ケタの開業率である一方で、日本はわずか4%前後にとどまっているのを見るにつけ、起業家精神が今後の日本にとって鍵になると思うわけです。

では、起業家精神を育むにはどうするか。やはり、起業家が“尊敬”される社会にすべきなんでしょうね。今では、“尊敬”はおろか、本音は“どこの馬の骨”的なイメージがありますね。こう考えるとなかなかやっかいですが、ここは21世紀に向けてもっと真剣に考えるべきだと思います。

asktakaは、後15年で日本が3極体制から脱落するかどうかは、上記の3点にかかっていると思います。皆さんも一緒に、明日に向けて一歩前進しませんか?



お知らせ:昨日の話題は「戦略と人事制度」 でした。



2000年12月16日(土)〜18日(月)

「戦略と人事制度」


asktakaは現在何社かの伝統企業の新ビジネスの立ち上げに関わっています。あまり具体的なことは書けませんが、一社はインターネットを使ったビジネス、他は周辺分野への進出です。

こうした本業以外のビジネスを行う場合、子会社あるいは社内の一部門として 本社と同様な人事システムを適用するには往々にして無理が生じます。有名なチャンドラーの“組織は戦略に従う”という言葉がありますが、まさに本業と他の分野では戦略が異なる場合が多いからです。

結論から言うと、asktakaは、“人事は、戦略と企業のライフサイクルに従う”といいたいのです。

ここで“戦略”という場合、asktakaは次の二つの次元で考えることにしています。

1.事業領域(ドメイン)の設定(Domain Difinition)

2.ドメイン運営(Domain Navigation)

無論、全社戦略とか事業毎の事業戦略という区分もありますが、これにしても 上記の二つは不可欠です。

何がいいたいかというと、人事諸制度はドメイン運営の中のサブシステムということです。それから、ドメイン自体とそれをどう運営するかといういわゆる戦略、及びドメインのライフサイクルに依存するといいたいのです。

実際に、グループ戦略を推進したり、子会社を立ち上げたりする場合、従来は本社との人事諸制度上の連携を図る必要がありました。そのため、子会社やグループ会社の戦略の実行に支障が出るケースが多かったと思います。

例えば、Eビジネスに参入しようとする場合、例え業績評価が高まったとはいえ、ストックオプションの適応範囲を拡大しなければインセンティンブに欠けることになります。よい人材を確保するには、ドメインに合った人事体系が必要なのです。

また、かっては歩合給という名の成果報酬のウエートが高かった業種の一例として、住宅産業をあげることが出来ます。現在はそうした企業も、上場したり、規模が大きくなっていますが、高度成長期の伸び盛りの頃は、成果を重視した歩合報酬でどんどん売上を伸ばしてきたのです。このように市場が拡大していて、ライフサイクルが成長前期にある企業の場合、歩合給によるインセンティンブが効果的だったものと思われます。しかし、こうした企業も規模が拡大するに従い、一様に安定的な固定給に移行したのです。

ところが、住宅リフォームなどの成長企業を見ると、ほとんどが歩合給制度を とっています。新築市場からストック市場へ重点が移行する中で、既存の大手住宅会社各社は盛んにリフォーム事業を強化しています。だが、従来型の報酬制度のままでは、急成長する新興企業群に太刀打ちすることは出来ないのが現状です。そのため、大手の中にもリフォーム部隊だけ歩合給に移行した企業もあるのです。

同様なことが、成長力の高い流通業や飲食業に属する企業にもいえます。歩合給にも似た業績にリンクした報酬制度が、急成長を支えているものと思われます。

かくして、asktakaは、業界の成功の鍵(KFS)と企業のライフサイクルを抜きに、報酬を含めた人事諸制度を語ることは出来ないと思うのです。やはり、人事諸制度はドメインとそれをいかに運営するかという視点から構築されるべきであって、決してアプリオリに“あるべき姿”が決まるものでもないでしょう。まして、効果がよく検証されていない人事手法を安易に導入する企業があるとすれば、結果は明らかです。衰退企業がストックオプションを導入する例をみれば、その滑稽さがよく分かります。また、成熟企業が成果報酬を導入しても、その効果は直感的には疑問が残るところです。

いずれにしても、asktakaは、人事制度に関しては秘匿情報が多いため、企業間、業種間で導入効果の検証ができないところにも問題があると思います。例えば、成果報酬を導入して、具体的に個々人の成績が伸びて収益に貢献したのか、この点を人員削減の効果と切り離して検証する仕組みが必要ではないでしょうか。

asktakaは、実際にビジネスを行う立場から、このような検証する姿勢と、企業のライフサイクルやドメインのKFSにあった人事制度の構築が求められていると思います。皆さんは、この点をどうお考えでしょうか?



お知らせ:昨日の話題は「2000年のベスト&ワースト」 でした。



トップ・ページへ