これまでの話題(2000年8月前半)

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2000年8月13日(日)〜15日(火)

「老舗企業の経営革新」

現存する日本最古の企業はなんと飛鳥時代(589年)に創業されました。天王寺市にある寺社建築(宮大工)の金剛組です。また世界最古といわれるホテルは、養老2年(718年)に創業の温泉旅館「法師」(石川県小松市)で、ギネスブックにも載っているとのことです。

このように1400年以上も前から続く老舗企業が現在も綿々と行き続けています。業種で見ると江戸時代までに創業した老舗企業は、和菓子、旅館、酒造、医薬品、呉服・和装などが多くなっています。住友金属鉱山が1590年に創業していますが、現在上場している製造業では日本最古といえます。

江戸時代には、松坂屋(1611年)、三越(1673年)などの百貨店をはじめ、製薬、醤油・油脂、鉄鋼、輸送機器、銀行、商社、建設など多くの上場企業が創業しています。

では、こうした老舗企業は「何を変化させず」「何を変化させて」きたのでしょうか。老舗企業を対象とした調査結果によると、「変化させていない伝統」は次の6つです(以下、横澤利昌編著「老舗企業の研究」(生産性出版)より)。

1.顧客第一主義
2.本業重視の経営・堅実経営
3.品質本位
4.製法の維持継承
5.従業員重視
6.企業理念の維持

一方、時代の流れに応じて変化させてきたのは、主に次の5点です。

1.商品・サービスに関する顧客サービスへの対応
2.時代の半歩先を行く
3.販売チャネルを時代に合わせて変更
4.本業の縮減を前提とした新規事業の確立
5.家訓の解釈を時代に合わせる

このように、老舗企業は“顧客第一主義”を原点に、時代の流れに合わせて革新を続けてきたといえる企業群だといえるでしょう。

別の調査によると、老舗企業はベンチャー企業に比べて、企業理念が明文化されていないという結果となっています。これはベンチャーは企業ビジョンや企業理念を明文化して価値観の統一を図る必要があるのですが、老舗企業はすでに理念が浸透していて明文化するまでもなかったと見た方がよいと思います。

重要なのは老舗企業といえども、果敢に変化していることです。例えば、 100年前に創業した株式公開企業をみると、ほとんどが事業内容をシフトしています。1899年創業のNECは、当初米国企業との合弁会社として、電話機の輸入販売からスタートしました。現在では、皆さんもご承知のように、C&C(コンピュータと通信)分野へと事業領域を広げています。更に、カゴメ、森永製菓、凸版印刷、日清製粉など多くは事業構成を変化させているのです(前掲書より)。

Asktakaは、戦後まもなく創業した多くの企業のトップの方々に問いたいと思います。“本業重視、堅実経営の名のもとに新たな事業のタネ探しを怠っていないか”“守りの経営といえども、タイムリーな攻めを忘れていないか”、と。成熟化した企業は、老舗企業から企業変身の知恵、ノウハウを学ぶべきだと思います。さて、皆さんの会社が成熟企業であれば、どうされますか?



お知らせ:昨日の話題は「モラル・ハザード」 でした。



2000年8月11日(金)〜12日(土)

「モラル・ハザード」

最近“モラル・ハザード”という言葉を聞かない日は無い。それくらい巷に氾濫していますが、“倫理の欠如”という表面的な訳語のみならず、この意味するところを理解して人はというと、案外少ないのではないでしょうか。

もともとモラル・ハザードは、保険用語だそうです。保険をかけていれば火事になっても補償されるので用心しません。そこで火災が起きますが、こうした保険制度がなければ火災が発生する確率は少なくなります。このように、保険はモラル・ハザードを生むという風に使われます。

経営に行き詰まった企業に公的資金を投入するような仕組みがあると、経営破たんした企業は皆国に救済を求めてきます。そうなると経営責任はどうなるのか、モラル・ハザードを生むのではないか、というのが昨今の使われ方のようです。

最近出た雑誌に中央大学の奥村教授が、いわばモラル・ハザードとは「無責任経営」を意味すると喝破していました。なるほど、その方がよっぽど話は分かりやすいですね。

では、そうした無責任経営を生む背景はどこにあるのでしょうか。Asktakaは、次の3つがポイントだと思います。

1.コーポレート・ガバナンスの欠如
2.集団意思決定という名の無責任体質
3.サラリーマン経営者の限界

コーポレート・ガバナンスの問題は、日本企業においては制度上社長の権限が強すぎることです。こうした企業統治の問題は、Asktakaもこれまでも幾たびか取り上げておりますので繰り返しません。だが、一言だけいうとすれば、社長の人事も含めてチェック機能が弱い点が本質的に問題なのです。

昔からよく「おみこし経営」といわれますが、制度上社長の権限が強いものの、実は社長は実務から離れて実権が無いケースが多いのです。この点は徳川幕府時代の“よきに計らえ”式のやり方に似て、家老(担当役員、担当部長あるいは番頭役)以下が藩(会社)を取り仕切っているのです。日本の企業では、社長の指示がすんなり実行されるとは限りません。むしろ、責任を明確にしないで、役員会や稟議制を通じて集団で意思決定され、実行されるのです。

こうしたやり方では、米国企業のように誰が意思決定したかが明らかでなく、責任のとりようがありません。もちろん誰もが言い出しっぺは知っているのですが、これまではあえて問題の責任が追求されないケースが多かったのです。だって、皆が版を押しているか、賛成していますからね。

上場企業の社長は大半がサラリーマン社長です。Asktakaはこれを否定するつもりはありません。しかし、平社員から営々と築いてきた地位でも、報酬はせいぜい役付き役員の2、3倍、新入社員の20倍ですからね。とてもサラリーマン根性から抜け出すには至りません。つまり、トップとしてのリスクをとって、成功すれば多大な報酬を得るという、擬似起業家を生むシステムが定着しなければ、社長は単なる社員の上がりのポストでしかないのです。

このように考えてみると、無責任経営は、リスクをとらず、その代わり報酬も少ない、日本のトップの仕組みに内在していることが分かります。今、成果主義人事制度の導入が叫ばれていますが、社員よりもトップにこそこの制度が不可欠だと思います。

ストックオプションも含めて年俸100億円のトップがいてもいいではないですか。その代わり、業績が上がらなかったり、破綻した企業のトップは報酬面を含めた経営責任をとる仕組みが出来ていればいいのです。

モラル・ハザードの問題は、これまで情緒的に対応されてきた経営責任問題に明確なルール、仕組みをもたらすものと思います。このような機運の高まりが、真の企業統治とは何かを考え、経営改革を行う契機になることを祈るばかりです。



お知らせ:昨日の話題は「世界的一物一価と日本の競争力」 でした。



2000年8月9日(水)〜10日(木)

「世界的一物一価と日本の競争力」


昨日は東京と地方との物価の差について話題にしました。ことの本質は地方おける競争の欠如に伴う高コスト体質が、地方の一部の商品・サービスの物価高の原因なのです。この東京と地方との関係は、海外と比べた日本の物価高、資産価格高と似ています。

グローバル化の進展は日本の物価を下落させます。つまり、貿易の自由化や資本移動の活発化によって、割高な国内財の価格破壊が不可避になり、内外価格差が縮小し世界的に一物一価に向かうのです。このような価格下落は消費者にとっては大歓迎なのはいうまでもありません。

では、こうした好循環をもたらす日本の物価安・低コスト構造を定着させるにはどうすればよいでしょうか。先ず、政府がこの点を認識し、日本(企業)の競争力向上のための施策を講じるべきです。一層の自由化の促進、規制緩和をはじめ合理化投資に対する優遇措置、容積率緩和、農地の宅地並み課税等による土地供給量増加対策などです。

この点に関して、マイケル・ポーターと竹内弘高両教授による「日本の競争戦略」(ダイヤモンド社)によると、日本の政府の政策課題を7つ上げています。主な課題は次の通りです。

1.貿易自由化が日本企業の国際競争力向上につながることを認識
2.世界に通用する大学制度を構築
3.非効率的な国内産業分野を近代化
4.真の企業責任を追及する制度を構築
5.イノベーションと起業活動に関する新モデルを構築

このようにまだ政府のやるべきことは山ほどあります。土木主体の公共投資から日本の将来に対して重点投資するよう政策転換すべきなのです。

もちろん、企業や業界団体も規制緩和や自由化に抵抗ばかりしないで、積極的に構造改革を行うべきです。この点についても、同書では主に次のように提言しています。

1.長期的視野に基づく独自性のある戦略の構築
2.産業構造に対する理解不足による戦略下手を克服
3.間接部門、IT、企画などオペレーション効率の向上
4.経営目標を成長性から収益性に転換
5.関連のない分野への多角化を中止
6.日本型組織モデルを構築

何だかAsktakaが日頃話題にしている点とよく似ているような気がしますね。 いずれにせよ、皆さん、この夏休みには、日本の官民が競争力をアップするために何をすべきか、そして自分の会社は何すべきかを考えてみませんか。



お知らせ:昨日の話題は「地方の物価は高い?」 でした。



2000年8月7日(月)〜8日(火)

「地方の物価は高い?」

今日は身近な話題を取り上げたいと思います。ワイフはこの週末に実家のある東京近郊で少人数の同窓会に参加しました。地方から里帰りした同級生達も一緒で、女同士で物価の話で盛り上がったようです。

地方と東京では、サービス価格と野菜、魚、肉などの生鮮食品などで価格に差があるようです。それも地方の方が高いという意外な結果です。例えば、サービス価格では子供の理髪代や美容院代が話題になったそうです。また、野菜や果物なども地方の方が高いとは驚きです。

この原因として、都会の方が競争が激しいことが考えられます。競合店が多いことで価格競争が激しくなっているからです。また、売上は単価と販売数量との掛け算ですから、大消費地である都会では単価が安くても量がはけるわけです。しかし、地方では販売量に限界があるため、あまり単価が安くては採算がとりにくくなります。そのため、都会では価格を下げることが可能となります。

それから、都会と地方では価格や財・サービスに関する情報量の差があるかもしれません。以前ほどは差がないにしても、都会の方が情報の流通量が地方よりも多いものと思われます。そのため人々はより安いお店を探索しやすく、結果として物価が下がることになります。

ところで、財やサービスによって、都会と地方とで価格に差があるものと、そうでないものがあるのはどうしてでしょうか。Asktakaは、その鍵は生産性の差にあるように思われます。例えば、もともとサービス分野などは生産性が悪く、競争の激しい都会で生産性向上の余地が多いと考えられるからです。農作物なども同様で、都会で安く野菜などを販売している量販店は生産性の高い特定の農家と契約しているケースが多いのです。

さて、地域による価格差について述べましたが、それは大雑把にいって競合の数と情報量の差に起因することが分かりました。しかし、今後インターネットが更に普及するに従って、地域による情報格差は縮小し、競合も空間を越えて、一物一価に近い状況が出現しそうです。

またモノによって価格差が出やすいのは、地域や供給側によって生産性の差があるからです。これも標準化された財・サービスを提供する供給者が、全国展開することによって価格差は縮小されるでしょう。

現にビジネスチャンスを狙って高価格体質の地方へ進出する企業も出現しています。例えば、10分で1000円の理髪店チェーンなどが好例です。今後外資も含めてますます全国展開する店も増え、地域による価格差もつかの間のことだと思います。

今日は素人の床屋談義のようなお話で前置きが長くなりましたが、地方の物価高という話を聞いて、そこにビジネスチャンスを感じるAsktakaでした。



お知らせ:昨日の話題は「エグゼクティブ・プログラムのすすめ」 でした。



2000年8月5日(土)〜6日(日)

「エグゼクティブ・プログラムのすすめ」

当ホームページの「B−Schoolsのエグゼクティブ・プログラム情報」及び「海外BSのエグゼクティブ・プログラムに関するノート 」をご覧いただいたことはありますか?もともとこの二つは、Asktakaがクライアントなどにエグゼクティブ・プログラムへの参加を促すためにまとめたものです。

これまでもハーバードやスタンフォードをはじめ、有名ビジネススクールへ経営幹部を派遣する日本企業が存在しました。しかし、ソニー、東芝、松下電器、NTTや大手総合商社、そして外資系など一部の企業が中心でしたし、こうした派遣を制度化している企業はごくわずかでした。

ところが、昨日の日経朝刊(8月4日付15面)にちょっと嬉しい記事が出ていました。日立製作所が経営幹部の育成を目的としてエグゼクティブ・プログラムへの短期海外留学制度を創設したとのことでした。

同社は経営を担う人々を専門職と位置付け、こうした短期留学と部門を超えた人事交流によって経営専門職を育成する方針だと記事は伝えています。なお、当然のことながら留学中も給与は支払われ、帰国後は元の職場に復帰することになります(Asktakaには、このような当然と思われる事柄を記事に明記すること自体が何か滑稽でしたが)。

具体的には、企画室長をハーバードの9週間プログラム"AMP:Advanced Management Program"に、電力事業の生産担当本部長をフランスのインシアードに派遣するそうです。その他、コロンビアやノースウエスタン(Kellogg)にも派遣する計画だという。

まだ横並び主義がはびこる日本企業ですから、こうした動きが続けば一気にエグゼクティブ・プログラム派遣熱が高まるものと思われます。この記事を見て嬉しく思ったのは、Asktakaの思いが急速に実現される予感がしたからです。

Asktakaはこの10年ばかり、機会のある限り日本企業に経営のプロが不可欠なこと、そのためには経営幹部及び幹部候補をエグゼクティブ・プログラムに参加させるべきだと述べてきました。深く静かに潜行していたこうした企業の動きが大きな流れとなって、日本企業の経営層のレベルが向上することを願ってやみません。

ところで、皆さんもご自分の会社で、エグゼクティブ・プログラムへの派遣を制度化するよう働きかけてはいかがでしょうか。大体こうした制度は、言い出しっぺが真っ先に参加するものと相場が決まっています。えっ、英語が不安ですって?心配ご無用!自分の考えが日本語で明確に発言できるのであれば、前の晩にそれを英語にして頭に叩き込んでおけばよいのです。実は、Asktakaも最初の2、3日はこのように言いたいことを英語でインプットすることにしています。但し、ヒアリングは日頃から英語を聞くしかないですね。

では、皆さんエグゼクティブ・プログラムを目指して幸運をお祈りします!!30代までの若い方々は、エグゼクティブ・プログラムの前にMBAを目指して頑張ってくださいね!



お知らせ:昨日の話題は「今日の言葉(28):“ガースナ−IBM会長&CEO”の言葉」 でした。



2000年8月4日(金)

「今日の言葉(28):“ガースナ−IBM会長&CEO”の言葉」


IBMを再生させたルイス・ガースナー会長兼CEOの発言については、内外のマスコミに取り上げられています。その中で、元マッキンゼー社のコンサルタントにして、アメックスの社長、RJRナビスコの会長兼CEOとして辣腕を振るった同氏の次の言葉は印象的です。

「私自身には戦略などといったものはない。いまの我々の企業にとってはそんなものは重要でない」

この言葉は、93年4月にIBMの会長兼CEOに就任したガースナーが、当時の経営陣に対策(戦略)を問われた時の言葉だそうです。マンモスと揶揄され、過去の成功体験にしがみついて顧客から遊離していた経営陣に、あえてコンサルタント出身の同氏が“戦略はない”と言い切ったところが面白いと思いませんか?

ガースナーは、戦略や全体的なプランにこだわっていては先に進めないので、先ず現状を認識し、出来るところから実行していく。そしてある一定のレベルに到達することが先決だと判断したのです。つまり、顧客から受注が来るのを待つ“受身の経営”から、顧客のニーズに機敏に対応する“攻めの経営” が出来る水準へと転換させたのです。

Asktakaは戦略コンサルタントとして、上述したガースナーの言葉はとても含蓄があると思います。私もややもすると仕事柄、グランデザインや戦略的方向性が先にありきのアプローチをとることが多いのです。しかし、大きな組織や伝統的な体質を持った企業など、全体プランを作るには時間がかかる上に、それを浸透させて実行に移すまで更に多大な時間を要します。

IBMが2年で業績が過去最高とほぼ同じ水準に到達したのも、ガースナーの現実路線があればこそだと思います。Asktakaは、日本の大企業にとってガースナーの言葉は、すんなり受け止められると思います。ただ忘れてはいけないのは、ガースナーは未来永劫戦略が不要といっているのではないということです。ある一定の水準に到達した段階で、つまり、基本動作が備わった段階で 戦略が生きてくるのです。さて、皆さんの会社は、戦略を云々する以前の段階にあるのでしょうか、それとも戦略が必要な段階にあるのでしょうか?



お知らせ:昨日の話題は「猛暑と景気」 でした。



2000年8月3日(木)

「猛暑と景気」

猛暑が続いています。昨日のゲストブックにも思わず書き込みしましたが、こうも暑いと背広姿がなんとも恨めしく思います。この調子だと当分“痛勤地獄”が続きますね。

しかしながら、こうした猛暑も景気にはよい影響を与えるのが救いです。皆さんもご承知だと思いますが、今年は猛暑のおかげでクーラーをはじめビール、飲料、夏物衣料などの売れ行きが好調とのことです。この暑さも消費拡大に一役買っているわけで、政府の景気対策を後押している格好です。

ところで、このような自然の営みがGDPにプラスに働くことはよく知られています。例えば、昨年中国地方を襲った台風の影響で住居や道路の補修需要が県民GDPを押し上げました。また、今年に入って千葉県の一部に雹が降ったことをご記憶の方もいらっしゃると思います。この際も同様な需要が派生したそうです。

何だか景気回復は、お天気任せの神頼みのような印象ですが、政府もこれまで随分いろんな手を打ってきたことは事実です。その効果がやっと現われて、民間設備投資がいい方向に向き始めたところだと思います。そして、この夏の猛暑を契機に、停滞しつづけている消費支出に光明が見えてきたかに見えました。

だが、そごう問題や旧長銀、日債銀の問題に絡んで、またまた日本の改革の遅れが表面化した形で、消費者や海外投資家の心理を不安なものにしています。Asktakaは、“失われた10年”は7,8割は政府の失政が原因だと思います。そして、残りの2,3割は、いうまでもなく改革を先延ばしにしてきた企業のトップの責任です。

政府は地方での非効率な公共事業のばら撒きを廃止して、経済効果の高い分野へ重点投資すべきです。野党でもどこかのシンクタックでもいいですが、例えば、過疎地に誰も使わない立派な公共施設をつくる場合と、利用度の高い道路の早期の拡幅を行う場合の経済的な波及効果を測定してほしいものです。もちろん福祉や弱者対策を切り捨てろとはいいませんが、いいかげんに政府支出の効率性や効果を真剣に考えるべきです。そうすればもっと早く景気回復が可能だったはずです。もちろん、政府は毅然として改革を推進することが前提ですが。

企業がやるべきことは、あえていうまでもないですね。猛暑頼みの消費の活発化ではしょうがないですからね。さぁ、皆さん、秋に向けて頑張りましょうね!



お知らせ:昨日の話題は「今日の言葉(27):“牛尾会長のベンチャー精神”」 でした。



2000年8月1日(火)〜2日(水)

「今日の言葉(27):“牛尾会長のベンチャー精神”」

ウシオ電機の牛尾治朗会長は、昔は青年実業家として積極的に発言していました。また、ベンチャー企業に理解がある経営者としても知られています。 今日は牛尾会長の次の言葉をご紹介します。

「ベンチャー経営者は目移りせずに10年はまっすぐ進め」

「井深さんと本田さんに学べ」

現在はドッグイヤーとかいって、やたらにビジネスの時間の回転が速くなっているかにみえます。しかし、実業の世界で大きなビジネスチャンスをつかむには10年単位の時間軸が必要です。牛尾会長は、3年やって芽が出ないとすぐにあきらめる若い経営者が多いことに警鐘を鳴らしています。

牛尾会長は、ベンチャー企業は、ニッチ(すきま)を見つけてそこでトップを狙うべきだという。それには3年に1回ぐらいは壁にぶつかる。それを何回か繰り返していく精神力と行動力があれば、チャンスを物にする可能性も高くなると指摘しています。

それから、井深さんからは、“金と株を動かすだけで企業を大きくする人物は経営者の風上に置けない”“自分で商品のシーズを探してそれを肥す過程こそ起業家の生きがい”というモノ作りへの執念を学べという。そして、本田さんからも自分の事業への思い入れを学ぶべきだといっています。

かっての青年実業家からみると、現在の若きベンチャー経営者は危なくてみていられないと思うのでしょう。時代は変わって、株式公開による創業者利益を得るチャンスが増え、経営手法も多様化しています。しかしながら、ちゃんとしたモノやサービスを提供できない企業やビジネスシステムに無理がある企業は淘汰されます。この点は、最近株式の時価総額の最大化を企業目的にしたS氏とO氏が率いる2社が問題になっていることからも理解できるでしょう。

牛尾会長の言葉は、ネット関連ベンチャー企業のトップのみならず、これから起業を目指し、ジャパニーズ・ドリームの実現を願う人々にとって傾聴 値します。Asktakaは、ニッチでトップを狙いベストなモノあるいはサービスを提供する、これがベンチャーで成功する王道であり、それには事業への熱中と10年単位の時間が不可欠なのだと思います。大企業のサラリーマン社長のように、3年で単年度黒字に転換しなければ撤退するという発想では大化けできない、と肝に銘じるべきではないでしょうか。



お知らせ:昨日の話題は「今日の言葉(26):“GMの新CEO”の言葉」 でした。



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