これまでの話題(2000年8月後半)

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2000年8月31日(木)

「ネットバブルの宴の後」


インターネット関連株のバブルがはじけて早半年になります。今年の2月18日に、ソフトバンクをはじめ日本のネット関連株16銘柄の合計時価総額は43兆円を超えてピークを迎えました。今やその時価総額も四分の一以下になっているそうです。

Asktakaは、何も時価総額の最大化を狙った新興企業群のトップが悪いといっているのでも、今回のバブル崩壊前に煽りまくったアナリスト達を責めているのでもありません。彼・彼女達の大半は宴の後に冷静さを取り戻していると思いますからね。今後に期待したいと思っています。

Asktakaが心配しているのは、このバブル崩壊プロセスを通じて、熱しやすく覚めやすい日本人の本性が現れて起業熱が沈静化することです。現に日経の記事によると、クレディ・リヨネ証券の市川真一氏のように「日本では新興企業がIT革命の担い手になりにくいことが見えてきた」とする向きもあるようです(8月30日夕刊「ニュース複眼」より)。

こうした背景には、日本ではネット関連ビジネスについても大手企業の参入が盛んで、新興企業の入り込む余地が少なくなっている点があげられます。また、企業を評価して役員派遣から人材の紹介まで、一貫してインキュベーション業務を行えるベンチャーキャピタルが少ない点もネックになっていると思います。何せまだ“横並び”でしか投資できないですからね。

しかしながら、この1、2年Asktakaの会社にも起業志望の方々の応募が増えています。コンサルタントになって経営の勉強したいというのです。また、起業を目指す方々が、メールなどでAsktaka個人や会社宛に問い合わせをしてくるケースも目に付きます。

ここは起業家志願の方々に、以前紹介したウシオ電機の牛尾会長の言葉を再掲したいと思います(8月1〜2日「今日の話題」)。

「ベンチャー経営者は目移りせずに10年はまっすぐ進め」

言い換えれば、急速な収益増や時価総額に目を奪われることなく、事業コンセプトを試行錯誤しながら十分に練り上げ、満を持してチャンスを待つ姿勢が必要ではないでしょうか。そして、事業理念ややろうとするビジネスに自らほれ込んで、粘り強く継続していく努力が不可欠だと思います。

時代に逆行するといわれるかもしれませんが、今一度牛尾会長の言葉をかみ締めて、宴の後を総括してはいかがでしょうか?



お知らせ:昨日の話題は「今日の言葉(30):“BMW元社長”の言葉」 でした。



2000年8月30日(水)

「今日の言葉(30):“BMW元社長”の言葉 」

ベルント・ピシェッツリーダー氏は、90年代の半ば以降のBMW再生の立役者として知られています。同氏は、BMWに君臨していたエーバーハート・ファン・クーンハイム会長(当時)に対して、取締役会において次の発言をしました。

「“進化”は違った考えがぶつかることによってのみはじまる」

当時日米韓の自動車メーカーの進出により、BMWの欧州市場における地盤沈下が進んでいました。ところが、クーンハイム会長の意見が絶対視されていたため、組織改革は一向に前進しない状況だったのです。こうした中で、ピシェッツリーダー氏は上述の言葉を述べて、会長に再考を促したのでした。

この発言を契機に、クーンハイム会長は20歳年下のピシェッツリーダー氏を次期社長に指名して、自らは監査役に退いたのでした。

Asktakaは、無論勇気をもって発言したピシェッツリーダー氏は立派だと思います。社長就任後は、当時7万人の社員に対して、取締役を6人に減らしました。そして、異なる個性や意見をもつ取締役が活発に議論する環境を作って、積極的に問題解決に取り組んだのです。その結果、BMWの業績が回復したことは皆さんもご存知だと思います。

それにもまして、Asktakaは、これまで絶対的な権力を握っていたと思われるクーンハイム会長の引き際こそ立派だと思います。引き際の美学は洋の東西を問わない、としみじみ感じます。最近の日本の問題企業のほとんどは、長期政権による弊害が現われたものといえます。ピシェッツリーダー氏の言葉を、世のトップにかみ締めてもらいたいものですね。



お知らせ:昨日の話題は「ITと長期的好況」 でした。



2000年8月29日(火)

「ITと長期的好況」

「百聞は一見にしかず」とはよくいったものです。あの何が何だかよく分からない、どこかの国の首相が、先般インドのシリコンバレー、バンガロールを訪れ、IT革命の進展に驚愕したというのです。それですっかりITづいて、最近では日本もIT革命を急ぐべきだと言っているようです。

ところで、米国ではシナリオ・ライティングで有名なPeter Schwartzが書いた The Long Boomという本が注目されています。シュワルツ氏は未来学者ですから、Asktakaの友人達の評判はあまりよくないですが、長期的な流れを洞察するには参考になると思います。

同書の結論は、ウィンドウズ95やインターネットなどのIT革命によって、1995年から2020年かけて長期の経済成長をもたらすというものです。 同書では、パソコン及び通信、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、代替エネルギーを核技術としています。そして、ITが他の技術革新を促し、それがまたITの発展に寄与するといった好循環、相互補完性が、長期の成長の原動力となると予測しています。

このような四半世紀にも及ぶ好況を予測する本が出ること自体、現在の米国経済の力強さと自信の現われと、Asktakaには失礼ながらほほえましく感じます。もしそれが実現すれば、それは経済史、いや経済学を変えることになるでしょうね。

さて、こうしたIT革命は、日本経済に長期的経済成長をもたらすのだろうか?答えはイエスです。但し、トレンドとしての成長であり景気の波は存在すると思います。それから、次の条件がクリアすることが不可欠です。

1.規制緩和と公正な競争原理の導入

2.電子商取引をはじめITによる経済活動を阻害する諸制度を改革

3.民間企業のIT対応のスピードアップ

先ず、最初の規制緩和と競争原理の導入なしには、IT革命による恩恵は半減するでしょう。安くて速いネットワーク環境とするには、NTTの半独占体制を更に開放すべきです。そして、折角ボーダレスでリアルタイムな経済に移行しても、自由な取引や新規参入が制限されていれば、経済のダイナミズムは失われていくと思われます。

次に、電子商取引等を阻害する諸制度は、例えば、書面主義、保険業法による相対での説明による契約など枚挙に暇がない。また、ネット上の私的所有権や個人情報の保護、セキュリティの問題なども整備される必要がある。

最後の問題は、まだ財界首脳の話を聞くと、業界によってITに対する温度差は明確です。また、企業規模による差もあると思われます。しかしながら、もし同じ道路で走ったり、同じプールで泳ぐならば、周囲と同程度の速さで移動しなければ、他者の邪魔になるだけです。ここは従来の半分の時間感覚でIT問題に対処すべきだと思います。

いずれにしても、日本がIT革命の恩恵を受けて長期の好況を持続するには、その過程で「勝ち組」「負け組」が生じることは必定です。そのための手立ては是非政府に考えていただきたいと思います。ただ、真の長期好況の原動力は、量と質を伴った旺盛な起業家精神に他なりません。実は、Asktakaは、日本にとってこの問題が最大のネックだと思うのです(注)。皆さんはどうお考えですか?


(注)この点については「独り言(第3回)」や「今日の話題」で何回か取り上げています。



お知らせ:昨日の話題は「無知と“たこ壺経営”」 でした。



2000年8月28日(月)

「無知と“たこ壺経営”」


皆さんはJapan Mail Media(JMM)というメール・マガジンをご存知ですか?作家の村上龍が編集長を務め、金融・経済のトピックスに本質的に切り込む点が人気を呼んでいます。この分野の専門家でない村上龍の手になるところが味噌で、才能のある人は異分野においても能力を発揮するという見本のような話です。芥川賞を受賞した町田康もそうですけどね。(笑)

このJMMが書籍としてシリーズ化されていて、『失われた10年を問う』 という番外編が出ています。このテーマでのNHKスペシャルを出版したものですが、なかなか視点が面白いですね。例えば、“失われた10年”は無知が 根本的な原因だという指摘は、よくぞ言い切ったと喝采を送りたい気分ですね。

先ず、バブルの責任論の話は、戦争責任をめぐる議論と類似しているというのです。つまり、次の議論です。

「現場の兵士は命令を拒否できるような状況ではなかった」

「将官や司令官は現場の声を聞かず、また命令を下した責任を取ろうともしなかった」

「参謀本部や大本営は、明確な戦略を持たず、国際的な情報・知識も不足して おり、場当たり的な対応に終始した」

兵士、将官、司令官、参謀本部、大本営などの言葉を言い換えれば、ほとんで現在でも通用するとは思いませんか?どうしてこのような話になるかというと、いわゆる集団的意思決定とかいって決定権の所在が不明でその結果責任も不明確となるというのです。そして、このような無責任体制の下で問題を先送りすると、膨大なコストがかかることに“無知”だったのではないかと指摘しています。

更に、この無知というキーワードを使うと、日本のバブルとその後の処理の まずさの説明がつくというのです。例えば、「銀行や企業は土地神話が絶対のものではないことを知らなかった」「大蔵官僚や政治家はバブル退治の際、経済が根本的に腐っていたことを知らなかった」等々です。

どうも日本には、知らずにやったことに対して大目に見る風潮があります。でも、世界で無知が許されるのは日本だけではないでしょうか。村上氏も指摘しているように、こうした無知に対して内部では免責されても、国際社会という外部から見ると許されないことは明らかです。米国でよく日本企業が訴えられるのは、このような無知によるとする同氏の指摘は、全く的外れとは言い切れません。

ところで、日本企業は“たこ壺”型だといわれることがあります。以前は、Asktakaは研究開発、技術開発などのR&Dの技術者は、まさに“たこ壺”で 壺の中が見えるようにするか、たまには壺から出して活用するべきだと思っていました。だが、最近の出来事を見ていると、企業全体が自社でしか通用しない価値基準をもっていて、“たこ壺経営”を行っていることを痛感します。

これも無知の一種だと思いますが、ここは素直に社内と社外との常識や価値観の差を認識して、時代の流れに合った新たな理念、哲学を創造すべきではないでしょうか。そして、意思決定を行うトップや経営幹部の方々は、無知が許されないことを自覚して、青臭いと思わずに理論武装すべきだと思います。さて、皆さんがトップであればどうされますか?



お知らせ:昨日の話題は「物価下落は何のシグナル?」 でした。



2000年8月26日(土)〜27日(日)

「物価下落は何のシグナル?」

少し前の日経「大機小機」に、現状の消費者物価の下落の要因を取り上げていました。先般、このコラムの論調を鵜呑みにしてコメントしたところ、大機小機氏のロジックが間違っていて、Asktakaも経済学者の友人に指摘されるまで気付かなかったことがありました。今日はこの失態を繰り返さないように気を付けようと思います。

先ず、何故に物価が下落するのか?この点は経済学の教科書を紐解けば明快ですね。そうです。需要曲線と供給曲線の関係を考えればよいのです(縦軸は価格・コスト、横軸は需要量・供給量)。ちょっと復習のために整理してみましょう。

1.需要曲線はそのままで、生産性の向上などでコストが削減され供給曲線が下方にシフトして物価が下落

2.供給曲線は変わらず、需要が減退した結果需要曲線が下方にシフトして物価が下落

つまり、簡単にいうと大機小機氏は、物価下落は生産性上昇か需要低迷のいずれかの結果生じたものだと述べています。そして、結論として、まだ需給ギャップが存在しているので、需要低迷が物価下落の要因であり、経済はデフレ状態にある。そのため景気の先行きは予断を許さないというものです。何だか、仰せの通りと言っちゃいそうですが、ちょっと待って下さい。

現在の物価下落は本当に需要量が低迷しているせいでしょうか?Asktakaは、必ずしもそうとは思いません。例えば、スーパーや百貨店の既存店の売上高が 連続して下落しています。しかし、品目にもよりますが、消費量は減少しておらず、むしろコスト削減や生産性向上による価格の下落が売上減に影響しているようです。

少し違う視点から考えてみましょう。皆さんは最近のパソコン価格の低下をみて、これが需要低迷が原因だとは思わないでしょう。この場合は、部品やデバイスの価格の低下や販売方法の革新なんどによって、一層低価格でモノが提供できるようになったからです。また、100円ショップやファストリテリング (ユニクロ)、マックの65円ハンバーガーなどは、ビジネスシステムの革新によって供給曲線を下方にシフトさせた結果、従来の常識を超える低価格が実現したのです。

こうして考えると、現状の物価の下落は、需要低迷だけに焦点をあてることは出来ないと思います。どうも大機小機氏は、デフレ経済を強調して財政出動に期待している節がありますね。Asktakaはむしろ供給曲線を下方にシフトさせるような企業の構造変革こそ重要だと思います。これが日本企業の競争力の源泉の一つになるからです。

Asktakaには、現在の物価下落は日本企業に変身を迫るシグナルのような気がします。これを見落としている企業の明日はないと思うのですが、皆さんはいかがお考えですか?



お知らせ:昨日の話題は「ヴィーナスフォートの行く末は?」 でした。



2000年8月24日(木)〜25日(金)

「ヴィーナスフォートの行く末は?」

最近、臨海副都心のパレットタウンにあるヴィーナスフォートの客足が落ちているという話を何人かから聞きました。ヴィーナスフォートについては「独り言」で第9回、第13回、第19回と3回話題にしていますし、少し気になっていました。幸い今日お台場で打ち合わせがあったので、6時間ばかりアクアシティを含めて観てきました。そこで、今日は「独り言」から場を変えてこの話をしたいと思います。

ヴィーナスフォートはもうすぐ1週年になるのですが、すでに2階の“空のフロア”、3階の“小路のフロア”ともに複数の空き店舗が出ています。米国のショッピングセンターなどは、絶えずテナント面積全体の5%ぐらいの空きはあるようですから、この点も見習ったのでしょうか?

ヴィーナスフォートの中で、Asktakaの予想以上に健闘しているのはサービス系です。つまり、スキンケア、ネイルサロンなどのビューティケアやレフレクソロジー(足裏健康法)です。レフレクソロジーは平日のお昼にも関わらず女性客を主体にフル回転でしたが、試しにAsktakaも30分のコースをトライしてみました。足裏のつぼを押して人間の持つ自然治癒力を刺激するとのことで、確かに効果はあるようですね。

飲食はお昼の3時頃と7時頃の2回各店を観てきましたが、週末以外は商売にはなりませんね。それと米国スタイルやフュージョン系の飲食店が多いので、 奇をてらった感は否めません。開店当時は行列ができていた「お台場カレー」の店も、今日は夕食のピーク時でも3割ほどしか席は埋まっていませんでした。もっとも飲食店の場合は、一般に開店後1ヵ月とそれ以後では来店客数の差が激しいので、ごく自然な結果かもしれません。

一方、この春にデックス東京ビーチの隣に出来た「アクアシティお台場」は、物販と飲食及びメディア−ジュ(シネマコンプレックスとアトラクションなど)からなる商業施設です。この施設の特徴は、15,000�屬箸い錣譴觜馥盧蚤腟蕕離哀襯瓮勝璽鵑旅�さにあります。新名所としてヴィーナスフォートよりも賑わっていましたが、これはある意味では当然ですね。

テーマパークや遊園地などの業界では、個々の施設の売上あるいは需要は、新施設や新しいアトラクションを導入すれば増加するという構造になっています。つまり、売上(需要)は階段関数になっているわけです。それゆえ臨海副都心を一つのテーマパークと考えれば、その中で新しい施設が需要を生んで、全体では売上が伸びるということになります。

しかし、Asktakaはヴィーナスフォートの最近の不振は新施設が出来たせいだけではないと思います。先ず、模倣したラスベガスの施設と同じ設計者を活用したようですが、縦動線が悪いですね。つまり、2階から3階への移動がスムーズでない点が難点です。また、同一フロアでもあえて迷路のように配置したのかもしれませんが、迷子になりそうなのはAsktakaだけでしょうか。それほど頻繁に来店する立地ではないのに、分かりにくさと歩きにくさは問題だと思います。

それから、もっと重要なことは、基本的なテナント構成がアーバン・リゾート立地としてミスマッチであるということです。デザインだけじゃ商売にはなりませんからね。この点については、「独り言」の第9回で述べていますので再掲します。

「こうしてみると、パレットタウン内の主な商業施設は、イメージ先行でアーバン・リゾート立地においてやや魅力に欠ける。デックス東京ビーチと一層明確にポジションを分け、商品力を強化する必要がある。それには、前述した美容系などのような商品・サービスの差異化とサンウォーク内店舗のような遊びの要素が鍵になると思う」

そして第19回の「独り言」では次のように指摘しました。

「もし失敗するとすれば、それもコンセプトとターゲットの絞り込みが原因です。つまり、コンセプトと物語性で話題づくりをして、どこまで実際に購入するか、またリピーターとなるか、が問題です。つまり、間接課金型テーマパークとして、入場料無料で物販、飲食、サービスの売上で事業収支の帳尻があうかどうかが問われているのです」

宮本雅史氏(ゲームソフト大手、スクウェアのオーナー)とコンサルタントのO氏が仕掛けたヴィーナスフォートですが、さて次の一手をどう打つのか。Asktakaの関心はこの点に移っています。皆さんも、ヴィーナスフォートの今後に注目してくださいね。



お知らせ:昨日の話題は「今日の言葉(29):“デル会長&CEO”の言葉」 でした。



2000年8月23日(水)

「今日の言葉(29):“デル会長&CEO”の言葉」


今やデル・コンピュータの会長&CEOである、マイケル・デルを知らないビジネス・パースンはいないでしょう。今日ご紹介するのは、このマイケルの言葉ですから、きっと皆さんもどこかで聞いた(見た)ことがあるかもしれません。その場合は、もう一度彼の言葉に耳を傾けてくださいね。

「私の意志決定にはデータ重視のものと、直感重視のものがある。ただ感情で決めることはない」

何とも含蓄のある言葉ではないでしょうか。Asktakaは、仕事柄前者のデータ重視の意思決定のお手伝いをすることが多かったのです。つまり、ロジックを積み上げて、またはストーリーを描きながら、それをデータで検証して最適案や代替案を提案するということです。

しかし、いうまでもなく新しいビジネスに進出する場合には、データを重視しようにもまともなデータが存在しないことが多いのです。その場合は、直感がものをいうことになります。95年に発表し、翌年7月から開始したインターネットによるパソコン販売は、まさにデル会長の直感の勝利だといえます。正しくは、同氏は少量のデータと直感によって、他の役員を説き伏せたのです。

そういえば、かって日本の名経営者といわれた何人かの方々も、“他の役員が全て反対したので、意思決定した”と述べています。Asktakaはこれこそ上述のデル会長の言葉の本質を表しており、トップの発想は国境を超えるのだと思います。

Asktakaは「今日の言葉」を、特にこれから起業しようとしている若い方々に贈りたいと思うのです。といっても、闇雲に突っ走れというのではなく、時代や市場の大きな流れに乗っていて、とことん納得できるまで考えたことであれば、その後はチャンスを逃さずに実行するのみだという意味です。真の市場創造は、データを超えた決断にあることを肝に銘じるべきだと思います。



お知らせ:昨日の話題は「されど理念!」 でした。



2000年8月20日(日)〜22日(火)

「されど理念!」

米国は理念、ビジョンの国であるという。だが、その影響で米国のビジネスの世界で、企業理念やビジョンがもてはやされているのではないのです。 それは目的をもつ組織の運営にとって、これまでも重要な役割を果たしてきたからです。しかも21世紀企業にとってはもっとその重要性が増すものと思われます。

先般の“老舗企業の経営革新”(8月13日〜15日号)でも述べているように、日本企業もかっては理念が企業経営の中に根付いていました。例え明文化されていなくても、老舗企業には理念に基づく行動規範が社員の中に浸透している(いた)のです。

例えば、旧財閥の家訓は、企業の理念、哲学を現すものとしてよく知られています。そして、ある調査によると、老舗企業がこれまで存続できたのは、こうした家訓の果たした役割が大きく、今後も家訓・理念の継承が重要だという結果になっています(横澤利昌編著「老舗企業の研究」(生産性出版)より)。

だが、このように日本の老舗企業が社内的には家訓を重視していても、この情報の時代には外部に対してよく説明することが肝要です。この点は日本企業の今後の課題として残されています。

ところで、特に米国企業は理念・哲学、そしてそれを明文化したミッション(Mission)を重視している企業が多い点を認識すべきです。実際に、日本に進出している米国企業でも、日本人社員が誇りをもって理念を前面に出しながらビジネスを行っているのです。

この背景にはよく言われているように、多民族国家である米国ゆえに理念が必要だったと見る向きもあるかもしれません。しかし、Asktakaは、米国企業の理念重視は、組織目的を達成するための求心力として根付いたものと思います。1982年に出版された「シンボリック・マネジャー(原題:Corporate Culture)」は、この辺の事情をよく説明しています。

このように洋の東西を問わず、企業組織にとって理念が重要だと思います。今後、企業組織のヒエラルキーがなくなり、現場に戦略的な判断と行動が移行すれば、ますます理念の果たす役割が増加することでしょう。皆さんは、もし企業の理念、哲学がなければ、果たして組織としての体をなすとお思いですか?



お知らせ:昨日の話題は「MBA取得者への期待」 でした。



2000年8月18日(金)〜19日(土)

「MBA取得者への期待」

最近当ホームページのゲストブックで、MBAについての活発な議論が続いています。そこで今日は雇う側から見たMBAホルダーへの期待を、独断と偏見で述べてみたいと思います。

一般的に採用側がMBAを雇う際の期待は、英語力とビジネスのファンダメンタルズを身に付けている点にあると思います。特に米国企業などの在日外資系は、自分たちと同じ言語を話す人達を便利に思うのは人情でしょう。もっとも、“言語”の意味は単に英語だけではなく、ビジネス言語も意味します。例えば、ミッション(Mission)という言葉を聞いて、肌で理解できない人とは仕事がしにくいでしょうからね。

もう少し具体的に話をしましょう。コンサルティング会社にとって、MBAを採用することは教育コストの面からメリットがあります。つまり、コンサルタントとして基本的には次の知識や能力が求められます。

1.経営手法等の知識
2.業界知識
3.分析力
4.プレゼンテーション能力

この中で、1、3及び4はMBAであればある一定の水準に達していると想定されるからです。しかし、コンサルティング会社に入っても、全てのMBA取得者が成功するわけではありません。それはコンサルティングが、所詮は人間相手の泥臭いビジネスである点と関係があると思っています。

つまり、コンサルティング会社に入社すると、先ず、新米アソシエイトあるいはリサーチャーとして、先輩のコンサルタントの下で調査や分析を行うことになります。これを卒業すると、他者のレポートをチェックしたり、解決策、提言の方向付けを行ったりする一人前のコンサルタントになります。そしてプロジェクトの現場責任者クラス、マネジャーあたりになると、プレゼンテーション能力や説得力が求められ、更に昇進するには受注力が不可欠です。ここまで書けばお分かりのように、最初の段階以外は全て人間(クライアント)対人間の関係が大きく結果を左右するのです。

コンサル会社以外の一般の事業会社でも、似たような状況だと思います。日本企業も外国企業もMBAを中途で採用するのは、即戦力を求めているからです。管理職・役員コースと専門職コースとに分かれていても、昇進するには成果が求められ、チームを率いることが出来る人間かどうかが評価されるのです。

いずれにしても、採用側ではMBAは一つの条件でありそれ以上ではないのです。実際の仕事で使えなければ、それまでです。MBAを過大にも過小にも評価することなく、自社の評価基準に従って評価するだけです。

ビジネススクールをはじめ教育によって人間を磨いたりリーダーシップを涵養できるというのは幻想かもしれません。でも幻想でもいいのです。また若い人に必要以上にそういった理論やスキルを教える必要はないかもしれません。昇進を重ねるうちに、MBAを持つか否かを問わず、自然に人間が磨かれてくるからです。

AsktakaはMBAを採用するほどの企業は、MBAホルダーである彼・彼女達に競争原理によってトップ候補の質を向上させる役割を期待すべきだと思います。日本企業のトップマネジメント層の質を内部から高めるには、短期的にはこの方法か、外部から導入するしかないでしょうから。企業がMBAにこのように期待すれば、最終的には人間が勝負になりますから、とかく噂のある傲慢さも自ずとなくなるのではないでしょうか。さて、ファイト!さん、出番も近いですから、頑張って!もちろんMBAを目指す他の皆さんも!



お知らせ:昨日の話題は「21世紀企業のマネジメント」 でした。



2000年8月16日(水)〜17日(木)

「21世紀企業のマネジメント」


Business Week誌の夏休み合併号の特集は、"The 21st Century Corporation"です。100ページ弱の特集は、企業の未来を展望する読み応えのある内容です。Asktakaは米国礼賛主義者ではないですが、米経済誌のこうした特集の企画力、構想力にはいつも感心しています。そのうち日本の雑誌が真似っ子するのは目に見えています。皆さんも日経ビジネス、週刊ダイヤモンド、東洋経済あたりを気をつけて見ていれば分かりますよ。

憎まれ口はこのへんにして、特集の一部をご紹介しましょう。全体の構成は次の6章からなります。

1.The Creative Economy(創造的な経済)
2.THe Great Transformation(大転換)
3.The New Leadership(新リーダーシップ)
4.Architectural Visions(建築・仕事空間のビジョン)
5.The Corporate Ecosystem(企業生態システム)
6.Back to The Future(バック・ツー・ザ・フューチャー)

今日はこの中から、21世紀企業の特徴を紹介します(上記の2の中の記事です)。先ずは、下の表をじっくりご覧いただきたいと思います。

21世紀企業と20世紀企業のマネジメント
項目20世紀企業21世紀企業
組織ピラミッド型ウェブ型orネットワーク型
フォーカス内部 外部
スタイル構造的 伸縮的
強さの源泉安定性 変化
組織構造自己完結的 相互依存的
資源原子−物的資産 ビット−情報
オペレーション垂直統合 垂直統合
製品大量生産 マスカスタマイゼーション
リーチ国内 グローバル
会計四半期 リアルタイム
在庫月単位時間単位
戦略トップダウン ボトムアップ
リーダシップ独断的 鼓舞・激励的
従業員社員 社員とフリーエージェント
仕事への期待保証 個人の成長
モチベーション競争すること 創ること
改善増分的 革新的
質許される範囲でベスト 妥協を許さないベスト


さぁ、皆さんいかがでしたか。この表を見れば21世企業の姿が目に浮かぶではありませんか。Asktakaがあえて解説するよりも、上記の18項目の意味するところを熟考することが大事だと思います。

その代わり、最終章のBack to The Futureで"Build to Last"の著者の一人、ジャームズ・コリンズの次のコメントを引用しておきましょう。

"Despite the rise of first-class B-schools and the explosion of management literature, only 11 of 1,435 companies went from good to great."

いかにビジネススクールや経営書が氾濫していても、コリンズの定義(注)によるgreat companiesは米国の大企業の中でも1%に満たないことになります。ゲストブックでは、MBAやエグゼクティブ・プログラムについての議論が活発です。だが、マネジメントには教育や読書を超えた何かが必要なことはいうまでもありませんね。


(注)1965年以降の米国の大企業500にランクされた1,435社の中で、過去15年間で累積的な株主価値が平均の3倍を超える企業を"Great"と定義。詳しくは来年出版される"Good to Great"(Harper Business)をお楽しみに!



お知らせ:昨日の話題は「老舗企業の経営革新」 でした。



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