第8章 交霊会の舞台裏
太陽が地球の周りを回っているのではない。地球の方が太陽の周りを回っているのだ。
・・・これはもう常識中の常識ですが、例え学問的にはそうだとしても、吾々人間の目にはやはり太陽は東から昇り西へ沈んでいます。つまり現実の感覚としては太陽の方が地球を巡っていると言うのが実感です。
又その地球が太陽の周りを回る速度は時速千六百キロだそうですが、どう考えても地球は静止していると言うのが実感です。
このように実感と真相とが大きく異なる例は幾らでも挙げられますが、実は霊的なことについても同じ様な錯覚をしていることが案外多いようです。
地上と言う三次元の物的生活に慣れきっていることから生じる錯覚です。その錯覚がいけないと言うつもりはありません。実感は実感としてやむを得ないのですが、真実の相についての知識を是非持っていなくてはいけないと思うのです。
そのよい例が自動書記現象です。霊能者の手が一人でに動いて次々と文章が書かれていく様子を見ていると、どう見ても霊が乗り移って腕そのものを直接操っているかに思えます。
事実そう言うケースも皆無ではないのですが、高級霊からの通信となると往々にしてリモートコントロール式に霊波で操っている場合が多いのです。通信者は高級界にいるわけです。
この高級界と言う言葉自体についても、人間はとかく空の高いところを想像しがちですがこれも地上的感覚から生じる錯覚です。地上の言語ではどうしても高いとか低い、あるいは向上とか下降とかの用語を用いざるを得ませんが、原理的にはバイブレーション(振動)の問題です。
ある時列席者の一人がシルバーバーチにこんな質問をしました。「他界直後の幽界から更に向上していった高級霊が人間と交信する時、わざわざ幽界まで降りてくるのですか」
これに対してシルバーバーチはあまりに意外な質問に驚いた様子で「いえ、いえ、そうじゃありません。地上に一番近いところまで降りて来ないと通信出来ないと思ってはいけません。
通信しようと思えば、それなりの手段(霊媒)さえ見つかれば、どんな高級な界からでも直接の通信を送ることは可能です。要はバイブレーションの問題です」と答えています。
ここで参考までに私自身の強烈な体験を紹介しますと、恩師の間部氏は各地の支部を回られると必ず会員と共に神前で「大祓」(オオバライ)をはじめ幾種類かの祝詞をあげました。
ある支部での祈祷が終って散会し、二三の側近の者と就寝前の雑談に耽っていると、先生がこんな話をされました。
大祓を挙げて居た所祭壇の上あたりに大きな光の輪が出来ました。光と言ってもややぼやけた感じだったのですが、やがてその輪の中にもう一つ小さい輪が出来ました。前の輪より一段と明るいのです。輪の中全体が明るいのです。
何だろうと思って見ていると更にその中央にもう一つ、くっきりとした輪が出来て、その中全体が皓々と輝いて見えました。
何かあると思って見つめていると、その中央に“空海”と言う二文字が見事な達筆で書かれ、書かれたかと思うと、その光の輪と共にパッと消えてしまった、と言うのです。
当時私はまだ学生で、その話を聞いてただあの空海が自分達の処に出てくれたと言う嬉しさと、空海ほどの高級霊が出る先生はやっぱり霊格が高いのだな、と言った感激しか抱きませんでしたが、のちにその事を思い出し、あれがいわゆる“霊的地場”なのだと理解するようになりました。
つまり高級霊が出られる高い波長の磁場を三段階でこしらえた訳で、空間における位置あるいは場所は祭壇のあるところと一緒だった訳です。光の輪は多分空海の霊団が人間流に言えば手をつなぐ格好で捉えたのでしょう。本当の事は分かりませんが・・・。
さてシルバーバーチが入神したバーバネルの口を借りてしゃべる時は直接シルバーバーチがバーバネルの身体に宿ります。身体と言っても実質的にはオーラの事です。
最初の「まえがき」でも紹介したように、シルバーバーチというのはそのバーバネルに宿るインディアンその人かと言うとイエスでもありノーでもあります。
つまりインディアンは自分の事をシルバーバーチと名のり幽界より遥かに高い界の存在で「波長を下げて地上に降りてくるのは息がつまるほどの苦痛です」と述べている程ですが、観方を変えればそうやって何とか波長を下げて直接人間を支配できる、
いわば“霊媒的素質”を持ったスピリットであると言う事が出来るわけです。が実質的な通信を送っているのは、そうした中間的存在による中継を必要とするほど高級な界のスピリット、日本流に言えば八百万の神々の一柱と見て良いと私は考えております。
が、その神も決して遠く離れた高い空のどこかから見下ろしているのではない。その交霊会の開かれている同じ部屋の中に居ると考えてもいいわけです。
シルバーバーチは語ります。
「全てはバイブレーションの問題です。バイブレーションを通じてどれだけ伝わるかの問題です。あなた方は霊媒の口をついて出たことしか分からない。出なかったものについては何もご存じない。
譬えてみれば電話でしゃべる時と同じです。あなたはただ受話器に話しかけるだけでいい。そして相手の言ったことを受話器で聞くだけです。
が、あなたの声が相手に届くには大変複雑なメカニズムが働いております其れを発明した人や電話局で働いている人々がいるわけですが、電話でしゃべっている時はそんな人のことは考えもしないし目にも見えません。
交霊現象も一緒です。あなた方は霊媒を通じて聞き、私達も霊媒を通じて話かけるのですが、その中のメカニズムは大変複雑なのです。
この交霊会の為に大勢のスピリットが働いております。発達程度もいろいろです。一方には地上に近い、多分に物質性を備えたスピリットがいます。そう言うスピリットでないと出来ない仕事があるのです。
他方光り輝く天使の一団もおります。本来属している高い世界での生活を犠牲にして、地上の為に働いております。少しでも多くの霊的真理を地上にもたらそうと心を砕いているのですが、今までのところ、それはまだ暗夜に光るほのかな明かり程度でしかありません。
しかしそれでもなおそうした神の使者が足k~くこの小さな一室に通うのは、ここが素晴らしい場所だからです。素晴らしいと言う意味は建物が大きいとか、高くそびえているとか、広いとかの意味ではありません。
地上に真理と言う名の光を注ぐ通路としてここが一番すぐれていると言う意味です。こうしたサークルからこそ、地上世界は新しいエネルギーを摂取するのです。
それ以外の、諸々のスピリットを含めて、今夜だけで五千人もの霊がここに集まっております。あなた方のよく知っている人で交霊会に関心のある者もおれば、こういう場所がある事を今日まで知らなくて、今日初めて見学に来たと言う霊もおります。
また霊媒を通じて仕事をする為に、私達がここでどの様にやっているかを勉強しにきている一団もおります。世界各地から来ております。こちらの世界でも、地上に働きかける方法についての研究が盛んに行われるのです。
霊的エネルギーをいかに活用するかが最大の研究課題です。それを無駄にしてはならないからです。その為にこちらからいろんな形で人間に働きかけております。自分では意識しなくても、霊界からのインスピレーションを受けている人が大勢います。
偉大な科学者も発明家も教育者も、元をただせば霊界のスピリットの実験道具に過ぎない場合があります。法則なり発明なりが地上に伝われば其れで良いのであって、どこそこの誰が、と言ったことは私どもにはまるで関心が無いのです。
宇宙は全て協調によって成り立っています。一人だけの仕事と言うのはありません。だからこそスピリットは“霊団”を組織するのです。目的に必要とするスピリットを集め、そのうちの一人が代弁者(マウスピース)となって地上に働きかけます。
私も私の所属する霊団のマウスピースです。霊団の一人として働く方が自分一人で仕事をするより遥かに楽に、そして効果的にはかどります。仕事の成果はそうした霊団全部の力を結集した結果であるわけです。
成果が素晴らしいと言うことは霊団の調和が素晴らしいということでもあります。それは霊媒の出来がいいと言うことが霊媒と支配霊との調和がいいと言う事であると同じです。そうでないと必ずどこかにきしみが生じます。オーケストラと同じです。
演奏する楽器は一人一人違っていても、ハーモニーさえ取れれば一つの立派なシンフォニーとなります。が、そのうちの一人でも音程を間違えば全体が台無しになってしまいます。調和が大切なゆえんです」
シルバーバーチの交霊会が開かれた場所はハンネン・スワッハー氏の自宅でしたが、後にバーバネル氏の平屋のアパートの一室(バーバネル氏の書斎)となりました。
いつも使っている椅子に腰かけて入紳するだけのことです。が、その何の変哲もない部屋に、天使の一団をはじめとして科学者、化学者、技術者、研究生、見物人、果てはやじ馬まで入れて五千人ものスピリットが詰めかけていると言うのです。
シルバーバーチが「あなた方は何もご存じない」と言うのが分かるような気がします。
シルバーバーチの交霊会は私的なもので、出席者も十数人のレギラーに制限され、これに特別に招待された人が二、三人加わると言う、至ってささやかなものですが、英米では、大きな会場で何百人、何千人もの聴衆を前にした公開交霊会(デモンストレーション)というのが良く聞かれます。
霊能者が壇上に上がってスピリットからのメッセージを次々と列席者に伝えていくのですが、そういう会には無数の霊が群がってきますから、背後霊団は霊能者の周りを囲んで邪魔が入らないようにし、一方メッセージを送りたいと詰めかけているスピリットの中からどれを選ぶか苦心するそうです。
それだけの配慮をしても野次馬や聞き分けのない懇願者がしつこく付きまとって、一言でいいからしゃべらせてくれとせがむのだそうです。
高級な霊団に守られた霊媒にしてこの通りですから、霊能者だ、超能力者だと言うだけで無節操に担ぎあげることがいかに危険であるかがお分かりと思います。
以上は交霊会全体の裏側を紹介したのですが、シルバーバーチがバーバネルを支配してしゃべる、メカニズムはどうなっているかをシルバーバーチに語ってもらいましょう。
「あなた方の住む物質界は活気がなくどんよりとしています。余りにうっとうしく且つ重苦しい為に、私達がそれに合わせようと波長を下げていく途中で高級界との連絡が切れてしまうことがあります。
譬えてみれば、こうして地上に降りて来た私は、篭に入れられた小鳥のようなものです。用事を済ませて地上から去っていく時の私は、カゴから放たれた小鳥のように、果てしない宇宙の彼方へ喜び勇んで飛び立っていきます。
死ぬと言うことは鳥かごと言う牢獄から解放されることなのです。
さて私があなた方と縁のあるスピリットからのメッセージを頼まれる時は、それなりのバイブレーションに切り替えてメッセージを待ちます。その時の私は単なるマウスピースに過ぎません。
状態がいい時は連絡は容易に出来ます。が、この部屋の近所で何か事が起きると混乱が生じます。突如として連絡網が途切れてしまい、私は急いで別のメッセージに代えます。バイブレーションを切り替えなくてはなりません。
そうした個人的なメッセージの時はスピリットの言っていることが一語一語聴きとれます。それはこうして私が霊媒を通じてしゃべっている時のバイブレーションと同じバイブレーションでスピリットがしゃべっていることを意味します。
しかし高級界からのメッセージを伝えるとなると、私は別の意識にスイッチを切り替えなくてはなりません。シンボルとか映像、直感とかの形で印象を受け取り、それを原語で表現しなくてはなりません。それは霊媒がスピリットからの通信を受け取るのと非常によく似ております。
その時の私は、シルバーバーチとして親しんで下さっている意識よりも更に高い次元の意識を表現しなければならないのです。
とは言え、私は所詮この霊媒(バーバネル)の頭にある用語集の制限を受け入れるだけでなく、この霊媒の霊的発達程度による制約も受けます。霊媒が霊的に成長してくれれば、その分だけ、それまで表現できなかった部分が表現できるようになるのです。
今ではこの霊媒の脳の何処にどの単語があると言うことまで分かっていますから、私の思うことというよりは、ここに来る前に用意した思想を全部表現することが出来ます。
この霊媒を通じて語り始めた初期の頃は、一つの単語を使おうとすると、それとつながった他のいらない単語まで一緒に出て来て困りました。必要な単語を取りだす為には、脳神経全体に目を配らなくてはなりませんでした。現在でも霊媒の影響を全く受けていないとは言えません。
用語そのものは霊媒のものですから、その意味では少しは着色されていると言わざるを得ないでしょう。が私の言わんとする思想が変えられるようなことは決してありません。あなた方西洋人の精神構造は、私達インディアンとは大分違います。
うまく使いこなせるようになるまでに、かなりの年数が要ります。まずその仕組みを勉強した後、霊媒的素質を持った人々の睡眠中を狙って、その霊媒を使って試してみます。そうした訓練の末にようやくこうしてしゃべれるようになるのです。
他人の体を使ってみると、人間の身体がいかに複雑に出来ているかが良く分かります。
一方でいつものように心臓を鼓動させ、血液を循環させ、脳を伸縮させ、脳の全神経を適度に刺戟しながら、他方では潜在意識の流れを止めて、こちらの考えを送り込みます。容易なことではありません。
初めのうちはそうした操作を意識的にやらなくてはならないのです。それが上達の常道と言うものです。赤ん坊が歩ける様になるには一歩一歩に全神経を集中します。
そのうち意識しなくても自然に足が出るようになります。わたしがこの霊媒をコントロールするようになるまで、やはり同じ操作を辿りました。一つ一つの操作を意識的にやりました。今では自動的に働きます。
人間の潜在意識はそれまでの生活によって働き方に一つの習性が出来ており、一定の方向に一定の考えを一定のパターンで送っています。
その潜在意識を使ってこちらの思想なりアイディアなり単語なりを伝える為には、その流れを一旦止めて、新しい流れを作らなくてはなりません。
もし似たような流れが潜在意識にあれば、その流れに切り替えます。レコードの様なものです。その流れに乗せれば自動的にその考えが出てきます。新しい考えを述べようと思えば新しいレコードに変えなければならないわけです。
この部屋へ入ってくるのに、壁は別に障害になりません。私のバイブレーションにとって壁は物質ではないのです。むしろ霊媒のオーラの方が固い壁のように感じられます。
私のバイブレーションに感応するからです。もっとも私の方はバイブレーションを下げ、霊媒の方はバイブレーションを高めています。それがうまく行くようになるまで十五年もかかりました。
こうして霊媒のオーラの中に入っている時はまるで牢獄に入れられているみたいです。その間は霊媒の五感に支配されます。暗闇では物が見えません。もっとも足は使えません。私の仕事に必要でないものは練習しませんでした。脳と手の使い方だけ練習しました。
こうしてしゃべっている時に他のスピリットがメッセージを伝えることがありますが、その時は霊媒の耳ではなく私自身の霊耳で聞きます。すべてはオーラの問題です。私には私のオーラがあり、霊媒のオーラより鋭敏です。そのオーラに他のスピリットがメッセージを送り込みます。
其れは言ってみれば電話で相手に話しかけながら、同じ部屋の人の声を聞くのと同じです。二つのバイブレーションを利用しているのです。同時には出来ません。切り替えることは出来るわけです」
一問一答
問「霊言現象は霊が霊媒の身体の中に入ってしゃべるのですか」
「必ずしもそうではありません。大抵の場合オーラを通じて操作します」
問「霊媒の発声器官を使いますか」
「使うこともあります。現に今の私はこの霊媒の発声器官を使っています。拵えようと思えば私自身の発声器官を(エクトプラズムで)拵えることも出来ますが、そんなことをするのは私自身の場合はエネルギーの無駄です。
私の場合はこの霊媒の潜在意識を私自身のものにしてしまいますから、全身の器官をコントロールすることが出来ます。言わば霊媒の意思まで私が代行し、・・・霊媒の同意を得たうえでの話ですが・・・暫く身体を預かるわけです。
終わって私が退くと霊媒の意識が戻って、いつもの状態に復します」
問「霊媒の霊体を使う事もありますか」
「ありますがその霊体も常に肉体とつながっています」
問「仕事を邪魔しようとするスピリットから守るために列席者にも心の準備が要りますか」
「いります。一番大切なことは身も心も愛の一つに成りきることです。そうすれば愛の念に満たされたスピリット以外は近づきません」
問「霊界側でもその為の配慮をされるのですか」
「勿論です。常に邪魔を排除していなくてはいけません。あなた方出席者との調和も計らなくてはなりません。最高の成果を上げる為に全ての要素を考慮しなければなりません。こちらにはその為に組織された霊団がおります」
問「霊媒は本をよく読んで勉強し、少しでも多くの知識を持った方がいいでしょうか。それともそんなことをしないで自分の霊媒能力に自信を持って、それ一つで勝負した方がいいでしょうか」
「其れは霊能の種類にもよるでしょうが、霊媒は何も知らない方がいいという考えには賛成できません。知らないよりは知っている方がいいに決まっています。知識と言うものは自分より先に歩んだ人の経験の蓄積ですから、勉強しそれを自分のものとするように努力した方がいいでしょう。私はそう思います」
問「立派な霊能者となるには生活面でも立派で無くてはいけませんか」
「生活態度が立派であれば、それだけ神の道具として立派と言うことです。と言うことは生活態度が高度であればある程、内部に宿された神性がより多く発揮されていることになるのです。日常生活において発揮されている人間性そのものが霊能者としての程度を決めます」
問「と言うことは、霊格が高まるほど霊能者として向上すると言ってもいいのでしょうか」
「決まり切ったことです。生活面で立派で有ればある程霊能も立派になります。自分の何かを犠牲にする覚悟の出来ていない人間にはろくな仕事は出来ません。このことは、こうして霊界でも生活を犠牲にして地上へ戻ってくる私達が学ばされる教訓と言ってもいいでしょう」
問「他界した肉親や先祖霊からの援助を受けるにはどうすればいいでしょうか」
「あなたが愛し、あなたを愛してくれた人々は、決してあなたを見捨てることはありません。言わば愛情の届く距離を半径とした円の範囲内で常にあなたを見守っています。時には近くもなり、時には遠くもなりましょう。が決して去ってしまうことはありません。
その人達の念があなた方を動かしています。必要な時は強く作用することもありますが、反対にあなた方が恐怖心や悩み、心配等の念で壁を拵(こしら)えてしまい、外部から近づけないようにしている事があります。悲しみの涙を流せば、その涙が霊まで遠く流してしまいます。
穏やかな心、安らかな気持ち、希望と信念と自身に満ちた明るい雰囲気に包まれている時は、そこにきっと多くの霊がよって参ります。
私達霊界の者は出来るだけ人間と接触を求めて近づこうとするのですが、どれだけ接近できるかは、その人の雰囲気、成長の度合い、進化の程度に掛っています。霊的なものに一切反応しない人間とは接触できません。
霊的自覚、悟り、ないしは霊的活気のある人とはすぐに接触がとれ、一体関係が保てます。そう言う人はスピリチュアリストばかりとは限りません。知識としてスピリチュアリズムを知らなくても、霊的な事を理解できる人であればそれでいいのです。
宗教の違い、民族の違い、主義主張の違い、そんなものはどうでも宜しい。冷静で、穏やかで、明るい心を保つことです。それが霊界の愛する人々、先祖霊、高級霊からの援助を得る唯一の道です。恐れ、悩み、心配、こうした念が一番いけません」
問「そう言う霊にこちらからの念が通じますか」
「一概にイエスともノーとも言いかねます。魂の進化の程度が問題となるからです。波長の問題です。もし双方がほぼ同程度の段階にあれば通じるでしょう。が、あまりに距離があり過ぎれば全く反応し合いませんから通じないでしょう」
問「他界した人のことを余り心配すると霊界での向上の妨げになるのでしょうか」
「地上の人間に霊界の人間の進歩を妨げる力はありません。スピリットはスピリット自身の行為によって向上進化します。人間の行為とは関係ありません」
問「世俗から隔絶した場所で瞑想の生活を送っている人がいますが、あれで良いのでしょうか」
「“良い”と言う言葉の意味次第です。世俗から離れた生活は心霊能力の発達には好都合で、その意味では良いともと言えるでしょう。
が私の考えでは、世俗の中で生活しつつ、しかも世俗から超然とした生活の方が遥かに上です。つまり霊的自覚に基づいた努力と忍耐と向上を通じて同胞の為に尽くすことが、人間本来のあるべき姿だと思います」
問「世俗から離れた生活は自分の為でしかないと言うことでしょうか」
「一番偉大な事は他人の為に己を忘れる事です。自分の能力を発達させること自体は結構なことです。が開発した才能を他人の為に活用することの方がもっと大切です」
問「これからホームサークルを作りたいと思っている人達へのアドバイスを・・・」
「いやな思いをすることのない、本当に心の通い合う人々が同じ目的を持って一つのグループをこしらえます。
週一回、同じ時刻に同じ部屋に集まり、一時間ばかり、あるいはもうすこし長くても宜しい、祈りから始めて、其のまま冥想に入ります。目的、動機が一番大切です。面白半分にやってはいけません。
人の為に役たたせる為に霊能を開発したいと言う一念で忍耐強く、粘り強く、コンスタントに会合を重ねていくことです。そのうち同じ一念に燃えたスピリットと感応し、必要な霊能を発揮すべく援助してくれることでしょう。
言っておきますが、私どもは何かと人目を引くことばかりしたがる見栄っ張りの連中には用はありません。使われず居眠りをしている貴重な能力を引き出し、同胞の為に人類全体の為に有効に使うことを目的とした人の集まりは多いに援助します」