スタン・バラード / ロジャー・グリーン共著
目 次
まえがき
編者まえがき
シルバーバーチとは何者か(訳者)
第1章 祈り
第2章 啓示と宗教
第3章 ナザレのイエスとキリスト教
第4章 死後の世界
第5章 再生…生まれ変わり
第6章 生・老・病・死・苦…地上人生の意義
第7章 霊的治療(スピリチュアルヒーリング)
第8章 動物と人間との関わりあい
第9章 さまざまな問題
第10章 神…大霊とは
第11章 大自然の摂理
第12章 霊性の進化
訳者あとがき
まえがき
本書を手にされたいきさつは、人それぞれに異なるであろう。第一に考えられるのは、古くからシルバーバーチの愛読者で、その崇高な英知と人生への霊的洞察から多くを学んでいるので、何の躊躇もなく手にされたというケースである。また、シルバーバーチのメッセージを、地上のみならず、死後の人生の指針としている人から送られたという方もいるであろう。
本書は、そういう方を決して裏切らないであろうことを断言しておきたい。もしかしたら書店でふと目にとまったからと言う方、あるいは新聞広告を見て興味を覚えて買ったという方もいることであろう。いわば偶然のなせる業であるが、お読みになれば決して偶然ではなく、何らかの形で霊的な導きがあったのだと、ご理解がいくことであろう。
ともあれ、シルバーバーチの教えの素晴らしさを、今ここで筆者の拙い筆で改めて宣伝しようとは思わない。それよりも、本書の二人の編纂者の労をねぎらいたい心境である。すでに発刊された(そして廃刊となった)数多くの霊言集の中から珠玉の「Q&A」を抜き出して一冊にまとめるというアイデアそのものに敬意を表したい。こういう形で読むと、シルバーバーチが一段と身近に感じられ、その意味の深さを改めて認識することになるであろう。
編者まえがき
人生のスピリチュアルな面とサイキックな面に関心を向けながら求道の旅を続けている人々のために、遭遇する疑問への解答を与えてくれる一冊の書を用意してあげたい。・・・これが本書を編纂した理由である。
また我々が「勉強会」を始めた時、何か手頃なテキストがないものかと話し合ったことがある。スピリチュアリズムの枠内でも起こりうる誤解や勝手な解釈を一掃したもの、と言うのが第一の条件であったが、そうなると「シルバーバーチ」という名で知られている、あの高級霊が遺してくれた宇宙哲学と生きる叡智以外には有り得ないのではないかと言う結論に達した。
本書に盛られた質問には、実質的には1920年から始まった交霊会で何度も出されているものがある。がシルバーバーチはその都度、内容を深めたり敷衍(フエン)したりして答えているので、本書でも重複をいとわず掲載した。
霊言集の出版が終わった今、こうした形でシルバーバーチの霊言を世に出すということは、真理普及に改めて貢献することになる。この一冊によって光を見出す人が一人でもいれば、われわれの努力も無駄でなかったことになる。
シルバーバーチとは何者か(訳者)
本書を手にして「まえがき」と「編者まえがき」に目を通した時、シルバーバーチの霊言集がほとんど廃刊となった今でも、英国において「霊的真理普及財団」や勉強会と言う形で脈々と生き続けていることを知って嬉しかった。 人間は形而上的にも形而下的にも「なぜ?」問いかけたくなるものにあふれている。たとえば「地動説」という厳然たる事実が常識となるまでに何百万年もかかったが、一体なぜ地球が太陽の周りを回転するかは、いまだに謎である。
まっすぐに進もうとする地球を太陽がひっぱるから、と言うのは単なる原則的解説であって、では、なぜ地球はまっすぐに進もうとするのかは、天文学でもいまだに謎である。 こうした「なぜ?」と問いかけたくなることは、人生にはいくらでもある。本書は、そのいくつかに納得のいく回答を与えてくれる。かけがいのない英知の泉であるが、シルバーバーチと名のる霊は一体いかなる存在なのであろうか。本書によってはじめて知ったという方のために、おおよそのところを紹介しておきたい。
シルバーバーチというのは、霊媒のモーリス・バーバネルの口を使って、1920年から60年間にわたって霊的教訓を語り続けてきた古代霊の仮の名で、今から3000年前ごろ、つまりイエス・キリストより1000年も前に地上で生活したという以外、地上時代の国籍も姓名も地位も不明のままで終わった。
せめて姓名だけでも教えてくれるよう何度かお願いしたが、その都度、「それを知ってどうしようというのですか。人間は名前や肩書にこだわるからいけないのです。もしも私が歴史上有名な人物だと分かったら、私がこれまで述べてきたことに一段と箔がつくと思われるでしょうが、それは非常にたちの悪い錯覚です。前世で私が王様であろうと召使であろうと、大富豪であろうと奴隷であろうと、そんなことはどうでも宜しい。私の述べていることに、なるほどと納得がいったら真理として信じてください。そんな馬鹿なと思われたら、どうぞ拒否なさってください。それでいいのです」
と答えるのが常で、そのうち出席者も聞かなくなってしまった。 ただ一つだけはっきりしていることは、霊視能力者が描いた肖像画が北米インディアンの姿をしていても、実はそのインディアンがシルバーバーチその人ではないということである。
インディアンはいわば霊界の霊媒であって、実際にメッセージを送っているのは高級神霊界の存在で、直接地上に人間に働きかけるには波長が高すぎるので、その中継役としてインディアンを使っていたのである。近代の科学的霊魂学ともいうべきスピリチュアリズムによって、死後も今と同じ意識をもって生き続けることが明らかとなった。
これを「個性の死後存続」と呼び、これは「地動説」と同じく科学的事実として、好むと好まざるとにかかわらず、万人が認めざるを得ないものである。その詳しい解説は第四章に譲ることにして、シルバーバーチが繰り返し説いている特徴的な教訓の一つは、仏教で「生・老・病・死」を不幸としてとらえているのとは対照的に、そうしたものを体験するところに地上生活の意義があり、いわば魂のこやしとして前向きにとらえることが、死後の向上につながると説いていることである。
第6章を「生・老・病・死・苦…地上人生の意義」という見出しにしたのは、これがシルバーバーチの教えの圧巻だからである。そこには在来の全ての宗教に見られる「現世利益」的な気休めの説教はかけらもない。「事実なのですから、そう述べることしかありません。もし私が地上生活を楽に生きる方法があるかに説いたら、それは私が高級神霊界からあずかった使命に背いたことになります」とまで述べているのである。
シルバーバーチの教説は、その意味で「大人の人生指導原理」と言えるかも知れない。気休めのありがたい話を好まれる方には厳しすぎるかもしれない。が、現実界を見れば、気休めやご利益信仰など吹っ飛んでしまうような事実が毎日のように起きている。今後とも、それは変わることはないであろう。
本書によって生きる勇気を与えられることを願っている。