第2部 アラン・カルデック自伝
──孤独と休みなき戦いの日々(『遺稿集』第四章「自伝的ノート」から抄訳)

第17章 教会の動きについて
一八六〇年七月十日、自宅で、霊媒はシュミット嬢。

――([真実の霊]に対して)つい最近届いたマルセイユからの手紙によると、かの地の神学校では、このところ、霊実在論の研究と『霊の書』の研究が真剣に行われているということでした。このことについて、どのように考えるべきなのでしょうか? 聖職者達もようやく事態を真剣に考え始めたということでしょうか?

「その通りです。彼らは事態を極めて真剣に捉えています。というのも、霊実在論が引き起こす結果を予測しているからです。その為に、霊実在論を大いに気にしているわけです。聖職者達、それも意識の高い聖職者達の一部は、あなたが考える以上に霊実在論を研究しています。

しかし、いいですか、それは霊実在論をよしとしているからではないのですよ。全く逆に、彼らは霊実在論を砕破しようとして研究しているのです。彼らは、いずれ、霊実在論に対して激しい攻撃を仕掛けてくるでしょう。しかし、心配することはありません。ただ、あくまでも用心深く、慎重に振る舞いなさい。彼らが仕掛ける罠に注意しなさい。無用心に言葉を発して揚げ足を取られないようにしなさい。
道は茨に満ちていますが、恐れることなく前進し続けなさい。こちらに戻ってくれば、大いなる満足を得ることが出来るのですから」