第2部 アラン・カルデック自伝
──孤独と休みなき戦いの日々(『遺稿集』第四章「自伝的ノート」から抄訳)
第14章 教皇庁について
一八六〇年一月二十八日、ソリション氏宅にて、霊媒はソリション嬢。
――(C霊に対して)あなたは生前、ローマに大使として滞在し、その頃既に、「教皇庁が終焉を迎える」ということを予言しておられました。今日、そのことに関して、どのような意見をお持ちですか?
「私の予言が成就する時期が近づいているように思われます。そして、それは多くの痛みを伴うでしょう。全てが複雑になり過ぎており、数々の野望が頭をもたげています。キリスト教世界全体が震撼するでしょう」
――教皇の世上権(世俗的・物質的な領域に関する権限)に関しては、どのようにお考えですか?
「世上権は、教皇の偉大さ、権威にとって、必要なものだとは思えません。むしろ、全く逆です。臣下が少なければ少ない程、教皇は尊敬されるでしょう。地上における神の代理人たる教皇は、世俗的な権力など一切必要としないのです。『地上の人々を霊的に指導する』、これが教皇の最も大切な使命なのですから」
――「教皇も枢機卿会も、離教や内乱を避ける為の措置を取る必要はない」と仰るのですか?
「その通りです。教皇も、枢機卿達も、全員が、無知で、頑迷で、世俗的快楽にうつつを抜かしています。そして、そのような快楽を得る為にお金を欲しがっているのです。新たな秩序が生じれば、そうしたお金が得られなくなるのではないかと恐れています。彼らはやりたい放題をやり、未来のことには無関心で、自らの行動がどのような結果をもたらすかに関して、全く盲目なのです」
――この内乱の結果、イタリアが主権を失い、オーストリアの支配権に屈することにはなりませんか?
「それは有り得ません。イタリアが勝利し、かの地には栄光がもたらされるでしょう。イタリアこそが我々を野蛮状態から脱せしめたのです。イタリアこそが、高貴で卓越した知性を備えた、我々の指導者だったのです。いかなる軛(くびき)にも屈することはありません」