レナ・オリン以後退潮した感が否めないとはいえ、かつてはスウェーデン出身の女優さんがハリウッドに殴り込みをかけることが多く、本ホームページで取り上げられている女優さんだけでもモード・アダムス、ビビ・アンデション、リブ・ウルマン(厳密にはノルウェー出身ですがスウェーデン映画への出演が多い)、アニタ・エクバーク、ブリット・エクランド、インガー・スティーブンス、カミラ・スパーヴ、アン−マーグレットと枚挙に暇がなく、いずれも人目を惹く美女タイプが多いことは皆さんご存知のことでしょう。そのようなスウェーデン出身の女優さんの中でも、グレタ・ガルボと双璧をなすのがイングリッド・バーグマンであることは今更言うまでもなく、代表的な主演作である「カサブランカ」(1943)、「ガス燈」(1944)、「凱旋門」(1948)の名を挙げれば、映画ファンでなくとも少なくとも題名くらいは知っているはずです。実際に、何度もアカデミー賞にノミネートされ(以下のリストにある作品以外にも、彼女の最後の出演作「秋のソナタ」(1978)でも主演女優賞候補に挙げられています)、2つの主演女優賞と1つの助演女優賞に輝き、単なる人気スターであったというだけではなく、実力の面でも申し分ありませんでした。彼女がガルボと異なるのは、それなりの年齢になったところでガルボがさっさと引退してしまったのに対して、クリーシェ的な言い方をすればバーグマンが生涯女優であったことです。従って、当たり前といえば当たり前田のクラッカーですが、彼女がロベルト・ロッセリーニとしけこんでいたイタリアからハリウッドにカムバックした後は、「old
maid」すなわちオールドミス的な役を演ずることが多くなりました。カムバック第一弾でアカデミー主演女優賞に輝いた「追想」(1956)でも、彼女のかつての華やかなイメージと、殊にこの作品の前半のうらぶれたしょぼいイメージの落差が効果的に機能していました。明日のニュースターの看板を背負って登場したゴールディ・ホーンと共演した「サボテンの花」(1969)では、よりにもよってアーネスト・ボーグナインも裸足で逃げるような醜男ジャック・ウェストンに、起死回生のナースコスプレ姿を「でかいバンドエイドのようだ」と哀れにも評される始末で、かつてのバーグマンファンはついに終末の世が到来したのではないかと疑ったことでしょう。但し、個人的な印象としては、「カサブランカ」や「ガス燈」の頃ですらも、バーグマンには華やかさだけではなく一方では落ち着いた雰囲気があったように考えています。というのも、彼女の声の質に落ち着きがあるからです。ご存知の通り「ブルー・ベルベット」(1986)のイザベラ・ロッセリーニは、彼女とロベルト・ロッセリーニの娘ですが、何やら北欧生まれのお母ちゃん以上に、それどころかほとんど病的と言えそうな程お肌が白いですね。尚、「bergman」をバーグマンと読むのは明らかに英語読みであり、有名なスウェーデンの監督イングマル・ベルイマンも同じスペルなので、もしかして彼女も本来スウェーデンではベルイマンと発音されているのでしょうか? |
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(スウェーデン及びイタリア時代の英語外作品を除く)
1943 |
カサブランカ |
1956 |
追想 |
1943 |
誰が為に鐘は鳴る |
1958 |
無分別 |
1944 |
ガス燈 |
1958 |
六番目の幸福 |
1945 |
白い恐怖 |
1961 |
さよならをもう一度 |
1945 |
サラトガ本線 |
1964 |
黄色いロールスロイス |
1945 |
聖メリイの鐘 |
1969 |
サボテンの花 |
1946 |
汚名 |
1970 |
春の雨の中を |
1948 |
凱旋門 |
1973 |
クローディアと貴婦人 |
1948 |
ジャンヌ・ダーク |
1974 |
オリエント急行殺人事件 |
1949 |
山羊座の下に |
1976 |
ザ・スター |
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