繁華街明洞の奥にそびえる海老茶色の建物が明洞大聖堂です。韓国カトリックの中心でありソウル大教区の司教座教会で、枢機卿もここにいます。韓国の近現代史の中でたびたび登場するこの大聖堂は重厚なつくりで入り口付近に立って見上げるとその美しさが良くわかります。
10数年前、学生運動が活発であった頃、政府に抗議する学生や市民はこの大聖堂の敷地内で篭城し、政府もこの敷地内には踏み込まないで外から取り囲みにらみ合うと言うことが頻繁にありました。また、カトリックと言う存在は日本では考えられないほど大きく、全斗煥政権時代に盧泰愚氏が6・29宣言を発したときには、その前に枢機卿とも協議するなど、韓国社会には大きな影響力があります。
この大聖堂の周辺にはいくつか関連施設もあって、病院、カトリック専門のFM放送局とテレビ放送局、新聞社などが集まっています。日本では東京四谷の麹町教会周辺に大使館や書店が集まっているのにも似ています。
韓国ではカトリックは「天主教」という言葉の方を主に使います。「私はカトリックです。」という表現も「私は聖堂に通っています」と言う表現をすることが良くあります」「教会」というのはプロテスタント「改新教」の用語と言う感覚があるようです。もちろんさまざまな用語が違うので大変興味深いものがあります。