「安さんが見付けた 法則性の展開」 (些論 ver1.5)

安さんが 1960年代の半ば頃に見付けた 法則性とは、そんなに 難しいものではありません。

*「生産のために投入された [基本投入費(=設備費と労務費の和)]は、業種や規模を問わ

[産出する付加価値]に相関(比例)している」。ただ それだけのコトです。《11.1へもどる》

 そして この法則性を、「基本投入費原理」と 呼んでいます。《1.4上へもどる》

《42.1へもどる》

 設備費とは、土地・建物・設備等の 直接的な生産手段のリース料相当額であり、労務費

は やはり直接的な、生産価値を生み出すのに不可欠な 福利厚生費込みの給与を考えて下さ

い。付加価値は 加工高とも言われ、売上高から 外部からの購入高を差し引いた金額です。

*「景気の回復のカギは IPI と COM にある 

                      と考える安さん」 (歯痒末説 ver28.1)

《末説2.1株価水準へもどる》《末説3.1経営資本へもどる》《末説33.1自由を我らにへ戻る》

この例は敢えて バブル崩壊の不況の結果が締めくくられた、1994年度の 実績から採りまし

た。資料は 中小企業庁編・中小企業 診断協会発行(同友館発売)の「中小企業の原価指

標」です。プロットされた点は 製造業の各業種で、業種数は28,相関係数R=0.921で、直線

の傾き(基本投入費の 何倍の付加価値を生み出しているか)は、3.47倍になっています。《6.1へもどる》

 

 この時期は なお、経営は楽ではなかった時期ですが、調査回答 全3977社の内、52.5%の

企業が黒字で 前記のような傾向にありました。この現象は 安さんが研究を始めてから30年、

まったく変わっていませんし 建設業や商業も同傾向にあります。ただ 好況のときには、相関係

数が少し高まり 直線の傾き(勾配=基本投入費/付加価値高)が大きくなる(生産性が 低くな

る)ことが確かめられています。

 

 面白いのは(と言っては 悪いのですが)、47.5%の 赤字企業です。当初 赤字企業は、前記

の黒字型の相関の傾向から外れた経営で 経営が悪化したのだと考え、赤字企業だけの相関

分析では 相関係数は低く(直線に沿わず ボケた状態に)なると予想しました。しかし 直線の

傾きは当然に大きいのですが、相関係数は かえって高いのです。これは 赤字企業の経営者

が、実施内容の間違い あるいは努力の不足ではなく、思い込みの内容が ネライからズレてい

ることを示します。

 

革新(改善・改良・改革)で 難しいのは、それを実現する 技術の問題 以前に、改善・改良

の余地があるのに 考え方から変える革新へ飛躍しようとしたり、逆に 小規模の改善・改良で

は間に合わないのに、必要な革新をためらい 時機を失うなど、「自社の現状の 適確な見極

め」です。厳しい 企業環境の中では、経営戦略のマチガイや手直しは 致命的な結果を引き

起こします。

 

前記の 赤字企業の場合には、解析してみると 圧倒的に投資ミスが多いのですが、そういう

誤りを防ぐために 安さんは次のような経営指標を考えてみました。以下 [付加価値]総合生産

性指標を、IPI(アイピイ:Integrated Productivity Index) と略すことにします。《1.1へもどる》《1.3へもどる》

 IPI= [(期間当たりに産出した)付加価値] / [(同期間に 生産に使った)基本投入費]

   《末説12.1虚業へもどる》 《末説2.1株価水準へもどる》《末説40.1選択と集中へもどる》

 すぐ判るように これは前記の相関直線(回帰直線)の勾配の逆数です。生産性は 一般に、

「指標の数値の大きさで 生産性の高さを表す」ので、分子(上)を 生産額に、分母(下)を 生

産手段の量にすることにしました。さらに このIPIを眺めているうちに、この生産性指標の向上

に対する 分母の基本投入費の貢献の度合いが気になり、次の係数を 造りました。

機械化係数(COM-コム:Coefficient of Mechanization)=[設備費] / [基本投入費]

労働貢献度(DOL-ドル:Degree of Labor)=[労務費] / [基本投入費]=1 - COM

                    《42.1へもどる》《末説1.1へもどる》《末説2.1株価IPIへもどる》

 いずれ 事例を示しますが、これらは 大変に便利な指標で、日常の管理にも 革新の具体化

にも効果的に使うことができました。あと一つ 財務の指標との橋渡しをするために、「経営資本

に対する 基本投入費の比率」の、基本投入(費)を策定しました。これは 次のような位

置付けです。

[経営資本利益率]=

[付加価値利益率] × [IPI(付加価値・総合生産性)] × [基本投入(費)率]

 

 ここで各項目の内容は 次の通りです。

 [経営資本利益率]=[営業(あるいは経常)利益率] / [経営資本]= @ × A × B

   @ [加価値利益率]=[営業(あるいは経常)利益率] / [付加価値]

   A [IPI(付加価値・総合生産性)]=[付加価値] / [基本投入費]

   B [基本投入(費)率]=[基本投入費] / [経営資本]

 

 基本投入(費)率は 最近になって、思わぬ働きを 見せました。一般に 堅実に製造業の価値

付加だけで生きる企業では、この比率が低い(経営資本が相対的に大きい)と まず儲かりませ

ん。そして やはり、すべての業種について それぞれ収斂値を持っています。従って この基本

投入(費)率が水準以下であれば、在庫がコゲ付いているとか 価値付加外の思惑にカネを張

っていることが判り、経営体質の放漫性やバブル性を 見破るキッカケになることが判りました。

《1.4下へもどる》

 

 IPIは 30年あまり試算して、製造業の業種間・業種内の各企業・企業内の各事業所や工場・

工場内の生産系列・系列内の各設備 等、基本投入費を 設備費と労務費に分けて管理で

きるククリ(職場単位)であれば、問題なく 使える経営指標(尺度)であることが判りました。ここ

で「管理できる」というのは 固定的にでなく、現業の職場間の 「設備の貸し借り」や「人的な応

援関係」が把握できる状態を言い、だからこそ そこに柔軟で自律的な請け負い態勢が構築で

きるのです。

 また お会いしましょう。お話ししたいことは まだまだあります。こういう情報

の交換が どういう発展の仕方をするか楽しみです。[B] の部分には なるべ

く、お送りできる関連資料の標題を 挙げておきますので、その請求を含めて 

下記「答苦」欄へご連絡頂ければ幸いです。

 これは 社会還元の意味のホームページなので、ご意見やご質問のほか

に 経営上のご相談も、無償で お受けします。遠慮なく どうぞ。

安さんの E−mailアドレス[ ke7y−mtmt@asahi−net.or.jp ]

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