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「景気の回復のカギは　IPI と COM にある

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　と考える安さん」 (歯痒末説 ver28.1)

　ＩＰＩ (総合生産性指標）：基本投入費原理に基づく　「任意の期間当たりの　産出付加価値

　　　　　　　　　　　　　　　と基本投入費 [設備費＋労務費] の比率」

　COM（機械化係数）：同じく　「その時点の　設備費と基本投入費の比率」

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　ＩＰＩは　式で表せば『 = [ （産出付加価値）/（設備費＋労務費） ] 』であり、基本投入費原理

は　『経済単位の　国・県あるいは産業全体や業種間・業界、企業や事業所･工場･系列から

個別設備まで、産出の付加価値が測定できれば　どの単位ででも、「その分母と分子の付加

価値の間には　高度の相関がある」』ということです。《法則性へもどる》《末説一覧へもどる》

　それを前提に考えると　日本の経済活動は、この分母と分子の循環の間で、行われている

ことになります。ここで重要なことは　「ある時期の分母（設備費＋労務費）は　起業時には他

からの前借りで賄われますが、生産の循環に入ってからは　基本的に、前期以前の分子（産

出付加価値）から　賄われる」ということです。もちろん　企業ですから、金が足りなければ　借

りてでも払いますが、その担保は　前期以前の産出実績あるいは収益性になる訳です。

　経済というものを　この式に当て嵌めて考えてみると、「経済は　標記の分子・分母の循

環過程である」と言えますし　「景気は　この分子・分母の循環度の関数（少なくとも　比

例関係にある）」と言うことができます。ここで　この分子・分母に高度の相関があったことを

思い出して下さい。それは　正しい経営努力があれば、ＩＰＩの値が　ほぼ一定の値に収斂し

てくるということです。同時にもし企業の場合　他社と一味違う経営努力があれば、その企業

は　収斂のバラツキの上方に位置することができることも意味しています。

　みんながウマク遣って　前記の経済の循環が活発に行われるには、今の製品（商品）だけ

を　高い生産性で生産してもダメです。必要性は　いつかは飽和してきますから、分子の付加

価値から　新製品の開発に投入される分があり、それが　前段階の必要性が衰退する前に

立ち上がって、分子の産出付加価値と　分母の基本投入費に継続的に上乗せされたときに、

景気は　本物になってくることになります。それも皆　分子と分母の（時間的な　前後の貸し借

りはあっても）バランスの中で行われなくてはならないのです。

　ここで成果配分の参考資料としての　機械化係数の内容を見てみましょう。

　COMは　式で表せば『 = [ （設備費）/（設備費＋労務費） ] 』です。参考までにＤＯＬ（労働

貢献度）Ｉは　式で表せば『 = １－COM＝[ （労務費）/（設備費＋労務費） ] 』ということにな

ります。安さんは今のところ　（ここでは理由は省略しますが）このＤＯＬを、直接に成果配分

係数として使うことには　賛成していません。

　このCOMに関係する　一般的な傾向としては、①一般に　これまでは、省力化よりも　省人

化投資の結果の方が多いこと、②途上国においてはトカク（「後進国は先進する」の論法で）

機械化の始めから　高い最新の機械化係数の技術の導入を望む傾向が多いこと、③既に使

えない　「賃金水準を　労働生産性にリンクさせる」という暗示が残っており、同一の企業でも

高機械化係数の部門には　高単価の賃金が支払われる傾向があること、などが　あります。

　機械化が　「逐次の高度化でなければ　失敗し易い」のは、前記の　分母・分子の循環が

造り難いからです。今後　世界の経済の重要なカギになる中国にしても、これまで前述の傾

向が強く　所得エリートを造ってしまい、消費の裾野を拡げるのに　却って時間が掛かった例

があります。方法は一つで　『最初は低いCOMで　なるべく多くの人に生産に参画させ、基本

投入費の労務費が多くなっても　低単価の労働力の活用でＩＰＩを向上し、単価の高騰と可処

分所得の増大に応じた　「生活設計→消費設計→生産設計→サービス（所有の移転を伴わ

ない取引き）化設計への転換」を、極力自律的に　自由な市場活動を通して実現して行く』の

が、無理なく　再短時間で全世界の生活水準を向上させる道なのです。

　振り返って　日本を見れば、高度成長期に　地球環境などを省みる暇も無く同質量産に盲

進した結果、現在　質･量の両面で今後の日本には適さない多大な過剰設備を抱え込んでし

まっています。これは　設備の資本としての不活用が問題であるだけでなく、多い分の設備

を処分し終えても　残した設備が陳腐化・違和化することの方が問題なのです。世界には現

在　今の日本の過剰設備の労働活用機能を必要とし、導入で　その国の経済の循環の立ち

上げが可能な国が、まだまだ　タクサンあります。その方策を　考えて見ましょう。

　今　日本の景気を立ち上げる政策が、そのまま　世界の人達の生活水準の向上に役立つ

のですから、悪くない　話しでしょう。少なくとも　最終消費から引っ張って淘汰を遅らせる地

域振興券のような、バカゲタ政策に　使うお金があったら、全額でも部分補助でも　ＯＤＡと併

せれば、日本の中堅企業の過剰設備を買い上げて　途上国へ無償でも売却でも相当な手が

打てた筈です。場合によっては　過剰でなくても買い上げて処分すれば、補充・更新の必要

性が起こり　中間需要を刺激する効果が出るのです。

　ついでだから言いますが　この問題についてはアメリカの好況の事例は役に立ちません。

今のアメリカを　基本投入費原理で解析すれば、循環しているのは　日々実業の40倍もの

金額が動いている虚業（バクチ・投機）と消費の間の資金です。日本のように　生産部門（製

造業）が、「モノとしては　最終消費との間の総合付加価値を造り出し、経済的には　その一

部の付加価値だけを手に入れて、その他は流通以降のサービス業に付加価値を配分（タダ

分けるのでなく　生産のために分けること）をしている」のは、アチラが　羨むべきことです。

　顔役の親分が賭場を開いて　諸国の親分衆を集めれば、バクチの勝ち分の他にも御祝儀

やテラ銭が入って　地場の景気が良くなるのは当たり前です。世の中には　パチンコで食って

いるい人もいますから、罪になることをしない限り　勝手と言えば勝手ですが、安さんは　国

が政策として遣ることではないと思っています。どちらにしてもそれは　賭場がある内のこと

です。日本には　「宴の後」などという美しい言葉もあります。バクチ理論にノーベル賞を出す

方も出す方ですが　貰ったからと言って国の政策でまで遣ることは無いでしょう。

　アウトソーシングなどが流行るのも　比較優位の得手を持っていて言うのなら立派ですが、

「モノ造りは　バクチに比べて儲からないから、なるべく　働き蜂に遣らせよう」というのでは、

まだ彼等が　植民地時代の夢を見ているとしか思えません。国民が二極分化するだけでな

く　そのすべてが年金を担保に、運用と称してバクチに将来を賭けているのは狂気の沙汰で

す。付加価値を生む　仕事があり、その仕事に必要な投資に　金利が付いてウマミになるレ

バレッジは、仕事の方の総額が　投資額を超えている場合です。バクチは　ゼロサムの世界

ですから、そこで全員のプラス期待するのは　物理学で言う「永久動」を信じるのと同じです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《法則性へもどる》

　アメリカの尻が割れるのは　時間の問題ですが、そのとき日本は　慌てふためいてジタバタ

しない覚悟が必要です。ジタバタすれば　またアメリカの手に乗って、「世界の経済を崩壊さ

せたのは　日本が引き金を引いたからだ」と言われ兼ねないのです。手持ちのアメリカの国

債は当面は紙屑になったと考えて諦めましょう。それよりも　自身が働いて成長と生活水準

の向上を早期に実現したいと願う諸国と手を組んで、グローバルな　ＩＰＩとCOMを目標化し、

安定した経済の循環を造り出すことが先決です。本稿は　これだけで完結させるために、一

部　「些論」の本論や歯痒末説と重複があることをお許し下さい。　　　　《末説一覧へもどる》

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「景気の回復のカギは IPI と COM にある

と考える安さん」 (歯痒末説 ver28.1)

「景気の回復のカギは　IPI と COM にある

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　と考える安さん」 (歯痒末説 ver28.1)