「企業の得意分野への選択と集中≠ノ使える 基本投入費原理」 (歯痒末説 ver40.1)

 2000年11月14日付の 日本経済新聞の夕刊第3面のニュース複眼@唐フ、編集委

員・井本省吾氏の 「外部委託の恐ろしさ…中核能力の練磨怠る懸念…」は正に頂門の一

針である。ひとりの人間が ナニモカモ出来る訳はないし、それぞれに生きる権利があり 得

意な分野を持っているならば、技術は正に このホームページの本論の「安さんが感動した 

取り引きの算術」(些論 ver7.1)ように 特化して使われなければならない。しかし その選択

と集中≠ヘ、井本氏が指摘するように 多くの危険性を含んでいる。その危険を回避するには

いろいろと方法はあるが どういう場合にも必要なのは選択と集中≠行なう「判断の尺度

と基準である。安さんは この尺度と基準について、万能では無いものの 実用的に相当な

程度まで「基本投入費原理」が使えると考え、また 実用化している。 《末説一覧へもどる》


 この企業業績の評価については 日本経済新聞は一応「労働生産性」を暗黙の目安にして

いるらしい。しかし 本2000年6月14日付日経新聞の夕刊1面の 『米(国)の生産性 IT

が改善」』にしても、同じく 8月31日から経済教室下欄に連載した 帝京科学大学助教授

小林和生氏の「生産性を考える」にしても、あるいは 最近では11月8日付の経済教室の日

本銀行国際局エコノミスト斉藤克仁氏の「…ITの生産性向上効果…規制緩和進んだ国で

鮮明」についても、それぞれメールで丁重に 「労働生産性を 国や企業の評価の根拠にす

る理由」について教えを請うと 最初は一応のお答えが頂けるのだが、それがあまりに「語呂

の論理」に近い形式論理なのでその根拠を再質問すると トタンに言い合わせたように音信

不通になってしまう。

 

 結局 察するところ、基本投入費原理における 「経営資本利益率とIPI ⇒[(付加価値)/(設

備費+労務費)]の相関の検証」のような現実のデータによる検証は行なわず、信じ難いこと

だがモノの本やマスコミなどの「伝聞・言い伝え」によって「労働生産性中心の論理」を展開し

ているらしいのである。

 「世の中は イイカゲンが通る」 と言ってしまえばそれまでだが、一方に今回の井本氏のよ

うな 正鵠を射た意見があるだけに、日本経済新聞内部の バランスが取れないというか不統

一というか、疑問を感じるのは 安さんだけだろうか。閑話休題。

 

 標記の選択と集中≠ノついての 具体的な基本投入費原理の使い方を言えば、それは

現状と考えられる外部委託案とについて、IPI=総合生産性 [付加価値/(設備費+労務費)]

を試算してみることである。条件は 「一定の品質の生産」だけで良い。場合によって 品質が

常時付加価値に正しく反映されれば、それすら要らないくらいである。

 基本投入費原理によれば 素直に、途上国の安い労務費で グローバルに通用する付加

価値が産出できれば、それは その国の仕事として(当分の間は)定着するし、成果配分に

よって賃金水準が上昇し 他国の水準との比較でIPIが劣ってくれば「外部委託を受ける資格

が 無くなった」というだけのことである。

 安さんは これを外部委託のみならず、M&Aから 分社・カンパニー制・部門の独立採算

制に適用して矛盾が無かった。必要を感じる方の 試行をお勧めしたい。

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