![]() |
---|
ヴィタール | ![]() |
---|
2004年作品。日本映画。86 分。配給=ゼアリズエンタープライズ。監督=塚本晋也。製作=塚本晋也。プロデューサー= 日下部圭子、日下部孝一、朱京順。脚本=塚本晋也。撮影監督=塚本晋也。美術監督=塚本晋也。編集=塚本晋也。音楽=石川忠。エンディングテーマ曲=Cocco「blue bird」。音響効果=北田雅也。照明=吉田恵輔。録音=小原善哉。高木博史=浅野忠信、涼子=柄本奈美、吉本郁美=KIKI、柏淵教授=岸部一徳、大山三郎=國村隼、高木隆二=串田和美、高木慎子=りりィ、大山のり子=木野花、中井教諭=利重剛
これまでの塚本作品には不釣り合いな雰囲気の浅野忠信だが、今回は不思議なオーラが新しい塚本映画の誕生に貢献している。そして塚本監督は浅野忠信の不気味さを見事にえぐり出していた。クラシック・バレリーナの柄本奈美のキレの良い踊りが、作品の広がりを支えている。モデルのKIKIも尖った存在感を見せた。
塚本監督は「鉄男」から「双生児(GEMINI)」まで手回しのフィルム編集機を使ってきたが、今回初めてFinal Cut Proでデジタル編集した。これまでは4カ月かかっていた編集作業が1日で終わったとか。音と絵のシンクロが非常に簡単にできるなど、1人で編集全体が進められるので、とても効率的だったらしい。これまでもかなりの部分を手掛けてきたが、Final Cut Proでは「スタッフゼロ」で作品が創り出せる。「このままだと自分のやりたい映画が一生のうちにできない」とデジタル編集を始めた塚本監督。これまで以上のペースで新作に出会えそうだ。
シルヴィア | ![]() |
---|
2003年作品。イギリス映画。110分 。配給=ザナドゥ エレファント・ピクチャー。監督=クリスティン・ジェフズ(Christine Jeffs)。製作=アリソン・オーウェン。脚本=ジョン・ブラウンロウ。撮影=ジョン・トゥーン。編集=タリク・アンウォー。作曲=ガブリエル・ヤレド。音響デザイン=デヴィッド・クロージア。美術デザイン=マリア・ジャーコヴィク。衣装デザイン=サンディ・パウウェル。メイクアップ=レベッカ・ラフォード。ヘアデザイン=ケイ・ジョルジオ。シルヴィア・プラス=グウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)、テッド・ヒューズ=ダニエル・クレイグ(Daniel Craig)、 オーレリア・プラス=ブライス・ダナー(Blythe Danner)、 トーマス教授=マイケル・ガンボン(Michael Gambon)、アル・アルヴァレス=ジャレッド・ハリス(Jared Harris)、 アッシア・ウェヴィル=アミラ・カサール(Amira Casar)
芸術家どおしの結婚が悲劇に終わりやすいことは、容易に想像できるが、シルヴィア・プラスの場合はファザーコンプレックスという底流があった。作品は、比較的静かに進んでいく。そこから芸術家の苦悩を読み取れるかどうかで、評価が分かれる。グウィネス・パルトローとしては、名演技の部類だろうが、美しくて恐ろしい詩を書いたシルヴィア・プラスの凄みには欠ける。
パッチギ! | ![]() |
---|
2004年作品。日本映画。119分 。配給=シネカノン。エグゼクティブプロデューサー=李鳳宇。原案=松山猛「少年Mのイムジン河」。脚本=羽原大介、井筒和幸。監督=井筒和幸。音楽=加藤和彦。撮影=山本英夫、金田克美。照明=高村智。録音=白取貢。編集=冨田伸子。松山康介 (府立東高2年生)=塩谷瞬(しおや・しゅん)、リ・アンソン (朝鮮高校3年生)=高岡蒼佑(たかおか・そうすけ)、リ・キョンジャ (朝鮮高校2年生/アンソンの妹)=沢尻エリカ(さわじり・えりか)、桃子 (アンソンの彼女)=楊原京子(やなぎはら・きょうこ)、モトキ・バンホー (朝鮮高校3年生/アンソンの親友)=波岡一喜、チョン・ガンジャ (朝鮮高校3年生)=真木よう子、吉田紀男 (府立東高2年生/康介の同級生)=小出恵介、チェドキ (朝鮮高校2年生/アンソンの弟分)=尾上寛之、坂崎 (康介に「イムジン河」を教える坂崎酒店の若主人)=オダギリジョー、布川先生 (康介と紀男の担任)=光石研
グループ・サウンズ全盛の1968年が舞台。いきなり失神シーンが登場し笑わせる。次は京都府立東高校の空手部と朝鮮高校の番長・アンソンらによる乱闘シーン。激しくぶつかり合い血が飛ぶ。主人公の松山康介は、アンソンの妹でフルートが得意なキョンジャに心を奪われる。そして彼女が奏でる美しい曲が「イムジン河」という朝鮮半島に思いをはせた歌だと、音楽に詳しい坂崎に教えられる。康介は、ギターの弾き語りで「イムジン河」を練習し、朝鮮語の独学を始める。そして日本と朝鮮の歴史に目覚めていく。この辺の展開は、スムーズで無理がない。さすが熟達な井筒和幸監督である。坂崎役のオダギリジョーは、相変わらず軽妙で魅力的。松山康介を演じた塩屋瞬は、すがすがしい姿が印象的だった。
北の零年 | ![]() |
---|
2004年作品。 日本映画。168分。配給:東映。監督:行定勲(ゆきさだ・いさお)。脚本:那須真知子。撮影:北信康。照明:中村裕樹。美術:部谷京子。装飾:大庭信正。録音:伊藤裕規。編集:今井剛。VFXプロデューサー:尾上克郎。小松原志乃=吉永小百合、アシリカ=豊川悦司、馬宮伝蔵=柳葉敏郎、小松原多恵=石原さとみ、小松原多恵(少女時代)=大後寿々花、馬宮加代=石田ゆり子、持田倉蔵=香川照之、小松原英明=渡辺謙、稲田家家老=石橋蓮司、モノクテ=大口広司、政府役人=田中義剛
さすが大女優・吉永小百合には、凛とした存在感がある。顔のアップがなければ年令は気にならない。それにしても渡辺謙が、こんな汚れ役を演じるとは思わなかった。彼が演じたことで、単なる悪役には見えなかった。志乃の娘・多恵の役は、少女時代が大後寿々花、思春期が石原さとみ。二人ともなかなか良い演技を見せた。そして、迫力あるクライマックスでの馬たちの大熱演も書き留めておこう。
エンドロールには、夕張でのロケを切望していた中田鉄治・前市長の名前が流れ、別の深い感慨にも包まれた。エンドロール全体に、ロケ地で協力してくれた人たちへの感謝の思いがあふれていた。
お父さんのバックドロップ | ![]() |
---|
2004年作品。 日本映画。98分 。配給=シネカノン。監督=李闘士男(第一回監督作品)。エグゼクティブプロデューサー=季鳳宇。プロデューサー=原田泉。Coプロデューサー=石原仁美。原作=中島らも(「お父さんのバックドロップ」集英社文庫刊)。脚本=鄭善信。音楽=coba。撮影=金谷宏二。照明=嶋竜。美術=佐々木季記貴。編集=宮島竜治。録音=甲斐田哲也。下田牛之助=宇梶剛士、下田一雄=神木隆之介、金本英恵=南果歩、金本哲夫=田中優貴、下田早苗=奥貫薫、下田松之助=南方英二(チャンバラトリオ)、菅原進=生瀬勝久
プロレスラー役の宇梶剛士は、実直な父親と血みどろファイターを好演。神木隆之介は、かわいらく芯の強さ男の子を演じ、見事に泣かされた。祖父役の南方英二も良い味を出していた。原作者の中島らもが、床屋役で出演しているが、単なるゲスト出演ではなく、ちゃんと芸を見せていた。2004年7月26日に52歳で病死し、この作品が遺作となった。
カンフーハッスル | ![]() |
---|
2004年作品。中国・アメリカ映画。103分 。配給=ソニーピクチャーズ 。監督・脚本・製作=チャウ・シンチー 。製作=チュイ・ポーチュウ、ジェフ・ラウ 。製作総指揮=ビル・ボーデン、デヴィッド・ハン 。脚本=ツァン・カンチョン、チャン・マンキョン、ローラ・フオ 。アクション・コレオグラファー=サモ・ハン・キンポー 。撮影=プーン・ハンサン 。美術=オリバー・ウォン 。編集=アンジー・ラム 。視覚効果スーパーバイザー=フランキー・チャン 。衣装デザイナー=シャーリー・チャン 。音楽=レイモンド・ウォン 。チャウ・シンチー、ユン・ワー、ユン・チウ、ブルース・リャン、ドン・ジーホワ、チウ・チーリン、シン・ユー、チャン・クォックワン、ラム・シュー、ティン・カイマン、ラム・ジーチョン、ジア・カンシー、フォン・ハックオン、フェン・シャオガン、ホアン・シェンイー
さんざん笑っておいてなんだけれど、「少林サッカー」ほどの驚きや爽快感はなかった。「少林サッカー」のツボを押さえたストーリー展開と、結末の鮮やかさに比べると、明らかに完成度は低い。とりわけ、最後のオチはイスから転げ落ちるほど、ひどかった。それでも楽しい作品であることは、間違いないが。
1996年 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1997年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
1998年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
1999年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
2000年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
2001年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
2002年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
2003年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
2004年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |