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ハリー・ポッターと秘密の部屋 | ![]() |
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2002年作品。イギリス・アメリカ合作。161分。配給=ワーナーブラザース。監督・製作総指揮=クリス・コロンバス。製作=デイビッド・へイマン。製作総指揮=マーク・ラドクリフ、マイケル・バーナサ/ダンカン・ヘンダーソン。脚本=スティーブ・クローブス。編集=リチャード・フランシス=ブルース。音楽=ジョン・ウィリアムズ。撮影=ジョン・シール。美術=スチュアート・クレイグ。衣装=ジュディアーナ・マコーフスキー。チーフ・アニマル・トレーナー=ゲイリー・ゲイロー。視覚効果監修=ロブ・レガート。ハリー・ポッター=ダニエル・ラドクリフ、ロン・ウィーズリー=ルパート・グリント、ハーマイオニー・グレンジャー=エマ・ワトソン、ドラコ・マルフォイ=トム・フェルトン、ジニー・ウィーズリー=ボニー・ライト、ダドリー・ダーズリー=ハリー・メリング、ミスター・アーガス・フィルチ=デイビッド・ブラッドリー、ギルデロイ・ロックハート=ケネス・ブラナー、ほとんど首なしニック=ジョン・クリーズ、ルビウス・ハグリッド=ロビー・コルトレーン、トム・リドル=クリスチャン・コールソン、フリットウィック先生=ウォーウィック・デイビス、バーノン・ダーズリー=リチャード・グリフィス、コーネリウス・ファッジ=ロバート・ハーディー、アルバス・ダンブルドア校長=リチャード・ハリス、嘆きのマートル=シャーリー・ヘンダーソン、ルシウム・マルフォイ=ジェイソン・アイザックス、マダム・ポンフリー=ジェマ・ジョーンズ、スプラウト先生=ミリアム・マーゴリズ、マダム・ピンス=サリー・モーティモア、セブルス・スネイプ先生=アラン・リックマン、ペチュニア・ダーズリー=フィオナ・ショー、ミネルバ・マクゴナガル先生=マギー・スミス、ミセス・モリー・ウィーズリー=ジェリー・ウォルターズ、ミスター・アーサー・ウィーズリー=マーク・ウィリアムズ
もっとも生き生きしていたのは、意外にも妖精ドビー。次は無気味な叫び声をあげるマンドラゴラ。人間たちは精彩を欠いている。ハリ−役ダニエル・ラドクリフは、相変わらず振幅がない。ハーマイオニーを演じたエマ・ワトソンが、眼の演技に開眼。しかし出番が少なく残念。ギルデロイ・ロックハート役ケネス・ブラナーはやや悪趣味。こんなひどい演技のケネス・ブラナーは、初めてだ。
山崎幹夫作品集4 |
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まるバ会館で11月22日-24日に「山崎幹夫作品集4」上映会が開かれた。「あいたい<2002年版>」(11分)「こぼれる黄金の月」(9分)「セル、眠っちゃだめだ」(8分)という今年の8ミリ作品のほか、私のベスト邦画の一つ「グータリプトラ」(56分、1999年)も再上映された。
「あいたい<2002年版>」は、「極星」などに主演した神岡猟氏が病気のため他界したことをきっかけに、神岡氏が撮った映像に山崎氏がナレーションをつけたもの。切実な語りによって、映像の印象が激変するという山崎マジックの一作。「こぼれる黄金の月」と「セル、眠っちゃだめだ」には、反復と変奏を感じた。
「グータリプトラ」は、3年前に比べて、いくぶん違った印象を受けた。観客としてよりも製作者として、山崎作品を食い入るように見つめている自分がいた。人を食ったようなユーモアと、欲望と諦念と自己韜晦と、宇宙と時間の広がりと人間の営み。故・湊谷夢吉さんの曲を山崎氏が巧みに歌っているのも、強い印象を残している。古びることのない20世紀の奇跡。
たそがれ清兵衛 | ![]() |
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2002年作品。日本映画。129分。配給=松竹。監督=山田洋次。脚本=山田洋次、朝間義隆。原作=藤沢周平「たそがれ清兵衛」「祝い人助八」「竹光始末」。撮影=長沼六男。美術=出川三男。音楽=冨田勲。照明=中岡源権。編集=石井巌。衣装=黒澤和子。井口清兵衛=真田広之、飯沼朋江=宮沢りえ、余吾善右衛門=田中泯、井口萱野=伊藤未希、井口以登=橋口恵莉奈、井口藤左衛門=丹波哲郎、井口以登(大人)=岸惠子、久坂長兵衛=小林稔侍、甲田豊太郎=大杉漣、飯沼倫之丞=吹越満
清兵衛役の真田広之のリアルさは、特筆もの。器用な俳優だが、山田洋次監督の狙いを見事に受け止めている。宮沢りえが上手くなった。演技が浮いていない。清兵衛のふたりの子役も可愛らしい。そして、映画初出演の田中泯の存在感に圧倒される。娘の遺骨を食べる鬼気迫る演技は、真田広之との壮絶な殺陣シーンとともに、長く語られることになるだろう。どの登場人物も、本当に良く考えられている。
ガーゴイル | ![]() |
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2001年作品。フランス・日本合作。100分。配給=キネティック。 監督=クレール・ドゥニ。脚本=クレール・ドゥニ、ジャン=ポール・ファルジョー。プロデューサー=ジョルジュ・ブネコン、ジャン=ミッシェル・レイ、フィリップ・リエジョワ。共同プロデューサー=三尾和子、塚田誠一。アソシエイトプロデューサー=フランシス・ダグリエルミ。撮影=アニエス・ゴダール。編集=ネリー・ケティエ。プロダクション・デザイナー=アルノード・モレロン。コスチコーム・デザイナー=ジュディ・シュールスペリ。キャスティング=ニコラ・リュプラン、リシャール・ルソー、ジェームズ・カレリ。音楽=テインダースティック。ファーストアシスタントディレクター=ガブリエル・ジュリアン=ラフェリエール。サウンドミキサー=エマヌュエル・クロセ。レコーディング=ドミニク・エスカン。サウンド=ジャン=ルイ・ユゲット。サウンドエディター=クリストフ・ウインディング。スクリプトスーバーバイザー=ゾー・ズルストラッセン。シェーン=ヴインセント・ギャロ、ジューン=トリシア・ヴェッセイ、コレ=ベアトリス・ダル、レオ=アレックス・デスカス、クリステル=フロランス・ロワレ=カイエ、エルヴァン=ニコラ・デュヴオシェル、リュド=ラファエル・ネル、ショアール=ジョゼ・ガルシア、マレコー=エレーヌ・ラピオヴァル、フリッセン=マリル・マリーニ、ジャンヌ=オロール・クレマン、夜警=パカリー・サンガール、受付=リオネル・コルドスタン、パーにいた女性=セリーヌ・サミ、トラックドライバー=アルノー・シュラン、クリステルの友だち=スリマーヌ・プライミ、地下鉄の若い女性=アリス・ユーリ、地下鉄の女性=ヴェラ・シディヴァル、ホテルのメイド=シーラ・ルカス・モルナール、ホテルのメイド=ネリ・ザルガリアン、ホテルのメイド=ローザ・ニュリー
ベアトリス・ダルの野性的な迫力は健在。コウモリのようにコートを広げ、豹のようにどう猛な牙をみせる。「ベディブルー・インテグラル」(ジャン・ジャック・ベネックス監督)の濃厚な官能を、いまも保っていて嬉しい。ヴインセント・ギャロは、自分の殺人的な欲望を抑えようとして苦悩するシェーンを演じている。渋い。ふたりが絡むシーンが、悲劇的な場面だけだったことが惜しまれる。奥さん役のトリシア・ヴェッセイは、無垢さを狙ったのだろうが、ふたりに比べてあまりにも魅力が乏しかった。
さっぽろ映画祭2002 |
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さっぽろ映画祭2002が、11月10日から15日まで、札幌のシネマ11を会場に開かれている。すべて無料という驚くべきスタイル。ただし、抽選なので観たい作品が必ず見れるとは限らない。オープニング、クロージングの入場は完全抽選で、私は外れてしまった。
11日には当日配られる整理券を入手し、三池崇史監督の「SABU さぶ」と熊澤尚人監督の「陰陽師-妖魔討伐姫」を観た。三池崇史監督の「SABU さぶ」は、名古屋テレビの開局40周年記念として製作し、今年5月に放映された95分に、映像を追加して121分の劇場公開版にしたもの。三池監督らしいケレン味はほとんどなく、懐かしい時代劇の味わい。登場する人物がみな魅力的。逆境の中での人間的な成長、友情、愛情がまっすぐに描かれ、じっくりとしみ込んでくる感動を堪能した。「陰陽師-妖魔討伐姫」は、ストーリー構成がなげやりな低予算の希薄な内容。映像的にもセンスを感じない。ただ、主演の安藤希の端正な美しさが光っていた。安藤希は、上映前にあいさつし、過酷な撮影の舞台裏をさりげなく明かした。彼女は、ラストに流れる主題歌を作詞し歌っている。歌はへただが、歌詞に微かな才能が匂う。
12日は、「NEXTFRAME JAPAN2002」から。世界中の学生によるフィルム・ビデオの短編作品を審査・厳選し、全米、海外で上映ツアーを行っている国際映画祭NEXTFRAMEからのAプログラム。「もぐら家族」(Hiroyuki Wada監督)は、全盲の家族の中で一人だけ眼が見える主人公が、自分の視覚について思いをめぐらせるというストーリー。なかなか興味深い物語だが、ほとんど会話ですませてしまっている。「If you don't like the weather...」(Aaron Greer監督)は、一年間を概念的に見せるコンセプチュアルな作品。インパクトに乏しい。
「Breaths」(Amy Ellison監督)は、重いぜんそくの少女が友人を見つけるまでの物語。どたばたから友情劇に移る流れが弱い。「Better Life」(Atsuko Kudota監督)は、淡々としたアニメーションで日常のけだるさを表現している。「15 Ways to Describe the Rain」(Anja Stuck&Lars Henkel監督)は、小粒な幻想的作品。結構好き。そして「Out of Darkness」(David Rittey監督)は、事故にあった少女の内面の変容を見事に表現していた。作品として傑出している。上映後のトークでは、敬愛する山本政志監督のユーモアあふれる毒舌も聞くことができた。
「完全なる飼育 香港情夜」(サム・レオン監督)は、映像に力がある。構図と照明がしっかりしていて観ていて気持ちがいい。「完全なる飼育」シリーズとしてではなく、独立した作品としてみた方がいいだろう。主演の伊藤かなは、演技にぎこちなさはあるものの、ときおり魅力的な表情をみせる。肢体は、はつらつとして美しい。トニー・ホーは、素朴で気弱な誘拐犯役を自然体で演じている。凧や玩具という小道具を巧みに使った映像が楽しかった。拾い物。伊藤かなが舞台あいさつで「完全なる飼育シリーズの中で一番良いと思う」と、ぬけぬけと話していたが、確かにそうだろう。
13日は注目の廣木隆一監督の「アイノウタ [ai no uta]」。BSiで放送した連続ドラマ26話のうち最終回までの4話を上映した。違和感はなく、それだけで独立した作品として楽しめた。青春ラブストーリー。十勝を舞台にしていたのも、嬉しい。独創的なストーリーではなく、紋切り型に近い結末を迎えるのだが、会話に込めた微妙なニュアンスが印象に残った。上映後の監督をはじめとする脚本家・武田百合子、俳優の大森南朋らによる軽妙なトークも、面白かった。
モンスーン・ウェディング | ![]() |
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2001年作品。インド映画。114分。配給・宣伝 :メディア・スーツ。監督・プロデューサー=ミラ・ナイール。プロデューサー=キャロライン・バロン。音楽=マイケル・ダンナ。脚本=サブリナ・ダワン。撮影=デクラン・クイン。美術=ステファニー・キャロル。衣装=アージュン・バシーン。ラリット・ベルマ=ナジルラディン・シャー、 ピミ=リレット・デュベイ、リア=シェファリ・シェンティ、アディティ=ヴァソンダラ・ダス 、ヘマント=パルビン・タバス、ウェディング・プランナー・デュベイ=ヴィジェー・ラーズ、メイド=ティロタマ・ショーム
声高かではないが、現代社会へのメッセージもこめられている。ラストで輝くのは、富豪一族ではなく、ウェディング・プランナーとメイドのラブストーリー。そして、アメリカというグローバルスタンダードに対抗するインド文化の豊かさをしっかりと主張していた。インターネットと伝統が共存するインドという祖国への愛情が、率直に出ていた。
ゴースト・オブ・マーズ | ![]() |
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2001年作品。アメリカ映画。98分。配給=メディアボックス。監督=ジョン・カーペンター(John Carpenter)。脚本=ラリー・サルキス、ジョン・カーペンター。製作=サンデイ・キング。撮影監督=ゲリー・B・キップ A.S.C.。美術監督=ウィリアム・エリオット。編集=ポール・ウォーシルガ。衣装デザイナー=ロビン・マイケル・ブッシュ。特殊効果メーク=ロバート・カーツマン、グレッグ・ニコテロ、ハワード・バーガー。視覚効果スーパーバイザー=ランス・ウィロイト。音楽=ジョン・カーペンター。メラニー・バラード=ナターシャ・ヘンストリッジ、ジェームズ“デゾレーション”ウイリアムズ=アイス・キューブ、ロデール=ロバート・キヤラデイン、インターン生=デイモン・カロ、ウィットロック=ジョアナ・キャシディ、ビッグ・ダデイ・マーズ=リチャード・セトロン、ナレー夕ー=シャーロット・コーンウェル、ウノ=デュエイン・デイビス、アクーシェイ=ワンダ・デ・ジーザス、現地の婦人警官=ダニエル・バーギオ、バシラ・キンケイド=クレア・デュバル、ジマーマン=リック・エデルスタイン、尋問官=ローズマリー・フォーサイス、トレス=ロドニー・グラント、ヘレナ・プラドック=パム・グリア、若い女性=マージーン・ホールデン、マックシムズ=ピーター・ジェイソン、ローヴァーに乗った男性=マイケル・クラウィック、ヤレド=レックス・リン、ベンチリー=ダグ・マクラス、鉱山夫=マット・ノーラン、大きな戦士=チャド・ランダルー、ジェリコ・バトラー=ジェイソン・ステイサム、ドス=ロボ・セバスチャン、マイケル・デスカンソ=リアム・ウェイト、女性戦士=アイリーン・ウェイジンガー
パンク・テイトスのSFといえば、「バタリアン・リターンズ」(ブライアン・ユズナ監督)のインパクトは、今も忘れない。「ゴースト・オブ・マーズ」も、愚直なほどパンクに爆走する。パム・ダリアが、早々と首チョンパになったのには驚いた。なかなかいいぞ。そして何といっても嬉しいのがナターシャ・ヘンストリッジのB級SF回帰。「隣のヒットマン」(ジョナサン・リン監督)の演技で、俳優として認められた彼女が「スピーシーズ」(ロジャー・ドナルドソン監督)のような、荒唐無稽なSFに帰ってきたのが、何とも感慨深い。作品は、イマイチぶっ飛びが不足していたが、ナターシャ・ヘンストリッジだけは十分にぶっ飛んでいた。
ザ・リング | ![]() |
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2002年作品。アメリカ映画。118分。配給=アスミック・エース・エンタテインメント。監督=ゴア・ブァービンスキー(Gore Verbinski)。製作=ウォルター・F・パークス。製作総指揮=ニール・エデルステイン、ロイ・リー、ラウリー・マクドナルド、マイク・マカリ、マイケル・ウエイズラー。原作=鈴木光司(Koji Suzuki)「リング」。脚本=スコット・フランク、アーレン・クルーガー。撮影=ボヤン・バゼリ。編集=クレイグ・ウッド。プロダクションデザイン=トム・ダフィールド。美術=パトリック・M・サリバン・ジュニア。特殊メイク効果=リック・ベイカー。メイクアップ効果=ローランド・ブランカフロア。特殊効果スーパーバイザー=バート・ダルトン。視覚効果スーパーバイザー=チャールズ・ギブソン。レイチェル・ケラー=ナオミ・ワッツ(Naomi Watts)、ノア=マーティン・ヘンダーソン(Martin Henderson)、リチャード・モーガン=ブライアン・コックス(Brian Cox)、エイダン・ケラー=デイヴィッド・ドーフマン(David Dorfman)、ケイティ=アンバー・タンブリン、ベッカ=レイチェル・ベラ、サマラ・モーガン=ダヴェイ・チェイス、シャノン・コクラン、宿屋の主人=リチャード・ラインバック
「マルホランド・ドライブ」で、驚くべき演技力を見せつけたナオミ・ワッツが、主人公のレイチェル・ケラーを演じている。貫禄すら感じさせる渾身の演技だ。長い下積み時代が、幅のある演技を支えている。ニコール・キッドマンとの友情話しには、泣かされる。それに対して「リング」では真田広之の役に相当するノアを演じたマーティン・ヘンダーソンは、やや影が薄い。代わりに子役のデイヴィッド・ドーフマンが、オスメントばりの名演技を見せてくれる。
1996年 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |||
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1997年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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1999年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
2000年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
2001年 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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