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コールド マウンテン | ![]() |
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2003年作品。イギリス・イタリア・ルーマニア合作。155分。配給=東宝東和。監督・脚本=アンソニー・ミンゲラ(Anthony Minghella)。原作=チャールズ・フレイジャー「コールドマウンテン」(新潮文庫刊)。製作=シドニー・ポラック、ウィリアム・ホーバーグ、アルバート・バーガー、ロン・イェルザ。製作総指揮=イアイン・スミス。共同製作=ティモシー・ブリックネル。撮影監督=ジョン・シール。編集=ウォルター・マーチ。美術=ダンテ・フェレッティ。衣装=アン・ロス。音楽=ガブリエル・ヤールインマン=ジュード・ロウ(Jude Law)、エイダ・モンロー=ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)、ルビー・シューズ=レニー・ゼルウィガー(Renee Zellweger)、モンロー牧師=ドナルド・サザーランド(Donald Sutherland)、セーラ=ナタリー・ポートマン(Natalie Portman)、ヴィージー=フィリップ・シーモア・ホフマン、ジュニア=ジョヴァンニ・リビシ、ティーグ=レイ・ウィンストン、スタブロッド=ブレンダン・グリーソン、サリー・スワンガー=キャシー・ベイカー、エスコー・スワンガー=ジェームズ・ギャモン、マディ=アイリーン・アトキンス、ボジー=チャーリー・ハナム、渡し舟の少女=ジェナ・マローン、パングル=イーサン・サプリー 、ジョージア=ジャック・ホワイト、オークリー=ルーカス・ブラック
インマンとエイダ。ジュード・ロウとニコール・キッドマンが演じると絵になる。ただ、ふたりの人間造形はやや弱い。むしろ、エイダを助けるルビーの方が、丁寧に描かれている。レニー・ゼルウィガーの熱演もあり、アカデミー賞助演女優賞に輝いた。インマンを助ける未亡人や老女たちも、多くは語られないにも関わらずおのおのの歴史を感じさせる。戦争の悲惨さが底流にあるので重苦しさはあるが、壮大な自然風景とバンジョーの音色が暗さをカバーしている。
CASSHERN | ![]() |
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2004年作品。日本映画。141分。配給=松竹。監督・撮影監督・編集・脚本=紀里谷和明。脚本=菅正太郎、佐藤大。コンセプチュアルデザイン・プロダクションデザイナー=林田裕至。コンセプチュアルデザイン・VFXスーパーバイザー=木村俊幸。VFXスーパーバイザー=野崎宏二。コンセプチュアルデザイン・CGスーパーバイザー=庄野晴彦。コンセプチュアルデザイン・DK。衣装=北村道子。ヘア&メイクアップデザイン=稲垣亮弐。バトルシーンコンテ=樋口真嗣。東鉄也(キャシャーン)=伊勢谷友介、上月ルナ=麻生久美子、東博士=寺尾聰、東ミドリ=樋口可南子、上月博士=小日向文世、アクボーン=宮迫博之、サグレー=佐田真由美、バラシン=要潤、上条中佐=西島秀俊、内藤薫=及川光博、坂本=寺島進、上条将軍=大滝秀治、老医師=三橋達也、ブライ=唐沢寿明
ミュージックビデオなどで、独創的な美意識を発揮してきた紀里谷和明。「CASSHERN」の映像でも、独自の世界観を見事にビジュアル化している。あまりにも濃密なデザインにへとへとになる。141分という時間を考えると、章分けしてめりはりをつけるなどの工夫が必要だった。映像は評価できるが、脚本はいただけない。派手な戦闘シーンと会話劇がかみ合わず、バラバラな印象を受ける。反戦のメッセージが言葉に頼り過ぎている。思いの強さは伝わってくるだけに残念だ。
アップルシード | ![]() |
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2004年作品。日本映画。103分。配給:東宝。原作=士郎正宗(青心社刊)。監督=荒牧伸志。プロデュース=曽利文彦。音楽=Boom Boom Satellites。参加アーティスト=坂本龍一、Paul Oakenfold、Basement Jaxx、Akufen、Atom Heart、T.Raumschmiere 。脚本=半田はるか、上代務 。エグゼクティブプロデューサー=三宅澄二 。プロデューサー=植木英則、渡邊直子 。共同プロデューサー=小西規夫 。CGプロデューサー=豊嶋勇作 。CGディレクター=大塚康弘。キャラクターデザイン=山田正樹 。音楽プロデューサー=安井 輝 。オリジナルスコア=高橋哲也。音響監督=鶴岡陽太 。音響制作=楽音舎 。制作=デジタル・フロンティア 。製 作=アップルシードフィルムパートナーズ。モーションアクター=三輪明日美、秋本つばさ。デュナン=小林 愛、プリアレオス=小杉十郎太、ヒトミ=松岡由貴 、アテナ=小山茉美、ニケ=山田美穂
士郎正宗の原作だが、ストーリー展開は、ハリウッド好みに変えられている。しかし、その点は今回大目に見ようと思う。世界に向けて配給するためには、仕方のないことだ。すでに「2」の制作が始まっている。畳み掛けるように公開し、アニメの新しい地平を世界に示してほしい。
赤目四十八瀧心中未遂 | ![]() |
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2003年作品。日本映画。159分。配給=赤目製作所。監督=荒戸源次郎。原作=車谷長吉(文藝春秋刊)。撮影=笠松則通。照明=石田健司。美術=金勝浩一。音楽=千野秀一。生島与一=大西滝次郎、綾=寺島しのぶ、岸田勢子=大楠道代、彫眉=内田裕也、犀=新井浩文
観ていて「長いな」と感じてしまう作品は傑作ではない。159分のうち、何度か「長い」「無駄が多い」と思った。情念の物語のはずが、拡散している。重苦しさがない。平凡すぎる映像が続き過ぎる。閉塞的な尼崎と赤目四十八瀧の対比も、十分に生かされていない。
内田裕也と大楠道代の存在感、俳優としての艶は見事なものだったが、主役の2人が軽すぎる。生島与一役の大西滝次郎は、下手なうえに精悍すぎて、疲れてうらぶれた雰囲気が乏しい。好演が評価された綾役の寺島しのぶも、それほど上手いとも魅力的とも思えない。各賞は、御祝儀ではないのか。
殺人の追憶 | ![]() |
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2003年作品。韓国映画。130分。配給=シネカノン。監督:ポン・ジュノ(Pong Jun-Ho)。脚本=ポン・ジュノ、シム・ソンボ。撮影=キム・ヒョング。助監督=ハン・ソングン。音楽=岩代太郎。照明=イ・ガンサン。編集=キム・ソンミン。製作=チャ・スンジェ、ノ・ジョンユン。パク・トゥマン=ソン・ガンホ、ソ・テユン=キム・サンギョン、チョ・ヨング=キム・レハ、新捜査課長=ソン・ジェホ、旧捜査課長ピョン・ヒボン、ペク・クァンホ=パク・ノシク、パク・ヒョンギュ=パク・ヘイル、ソリョン=チョン・ミソン、ギオク=コ・ソヒ、チョ・ビョンスン=リュ・テホ
事件は錯綜し、人々は錯乱していく。最後まで犯人は分からない。しかし、たっぷりと濃厚な人間ドラマを見せてくれるから、見終わって物足りなさは残らない。「ミスティック・リバー」と似ているようでいて、その視線は正反対だと思う。「ミスティック・リバー」は高みから見下ろすが、「殺人の追憶」の視線は地を這う。だから監督の姿勢に共感できる。
死体描写の手も抜いていない。実にリアル。冒頭に登場する全身虫だらけの死体から刺激的。そのテンションの高さは「クリムゾン・リバー」(マチュー・カソヴィッツ監督)以上だ。死体役の女優に同情したが、死体に這っている虫はCGで作ったものだった。こんなところにも、CGが効果的に生かされている。
イン・ザ・カット | ![]() |
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2003年作品。アメリカ映画。119分。配給=ギャガ・ヒューマックス共同。監督=ジェーン・カンピオン(Jane Campion)。製作=ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)、ローリー・パーカー(Laurie Parker)。製作総指揮=エフィ・ブラウン、フランソワ・イヴェルネル。原作=スザンナ・ムーア。脚本=スザンナ・ムーア、ジェーン・カンピオン。撮影=ディオン・ビーブ。音楽=ヒルマル・オルン・ヒルマルソン。美術= デヴィッド・ブリスビン。衣装= ベアトリス・アルナ・パスツォール。フラニー=メグ・ライアン(Meg Ryan)、マロイ=マーク・ラファロ(Mark Ruffalo)、ジョン・グラハム=ケヴィン・ベーコン(Kevin Bacon)、ポーリーン=ジェニファー・ジェイソン・リー(Jennifer Jason Leigh)、リチャード=ニック・ダミチ(Nick Damici)
メグ・ライアンがヌードを披露し熱演という触れ込みだったが、崩れ始めた身体よりも疲れ切った表情が印象に残った。「死と処女」のシガニー・ウィーバーの裸くらいに無惨だと迫力があったが、中途半端。演技的にも煮え切っていない。ロマ・コメの女王からの脱皮には成功しなかった。むしろカンピオン監督が彼女に気を使い過ぎているように思う。もっと、心をずたずたにしなければ、挑戦した意味がない。
全体的には評価できないものの、終始やり切れなさが漂う映像センスは、認める。さまざまな映像的なアイデアも見ごたえがある。特に、父と母を回想するスケートシーンには、カンピオンらしい切れがあった。
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