第 5回 落語『うなぎ屋(江戸版:素人鰻)』 上方落語・世紀末亭様へ飛びます。
江戸料理百選 真夏の風物詩 も併せてご覧ください。
鰻を食べて夏バテ防止!
にょろにょろ・ぬるぬるのちょっと不気味な『うなぎ』の姿。
素晴らしいスタミナ栄養源だと誰が教えてくれたのか。
それを知っていた御先祖様は本当に凄い。
うなぎの掴み方【ワンポイント】
両手でうなぎを掴む型(これであなたもうなぎ屋になれる)
1)親指を除く4本の指を山型に重ね合わせるようにする
2)片方の親指を下から出しもう片方の親指でつかむ(ギュッ)
3)親指をジワリとせり出し、素早く反対の親指とすりかえる(ニュル)
4)3の動作を繰り返す(ニュルニュル)
5)コツは、親指を出す時に、手全体を親指の向く方向に移動する
上方落語・世紀末亭『うなぎ屋(江戸版:素人鰻)』HPより
※うなぎを掴むチャンスがあったら、是非実行してみてください。
*うなぎの歴史
夏バテ防止に効く代表的な食べ物といえば「鰻」。むかし鰻は水神の使いとして神聖視されていたのですが、 これは生態が不明で不思議な魚として人々にとらえられていたことからきています。 食用の歴史は古く、『万葉集』にも大伴家持が友人の吉田石麻呂の夏やせに鰻を勧めたという内容の歌が残っています。
石麻呂に 吾物申す 夏痩せに
よしというものぞ 鰻とりめせ
鰻の故郷は日本から南へ2,000キロ離れたマリアナ諸島付近で、そこから約6カ月もかけて海流に乗って流されてきます。養殖ものもこの流されてきた稚魚を育てて出荷されているのです。
なぜ土用の丑にうなぎなのか
土用という時期は立夏、立秋、立冬、立春(暦の上での季節の変わり目)の前18日間、そのなかの「丑の日」を指すので年に4回から8回くらいあることになりますが、うなぎを食べるのは夏の土用の丑の日だけです。
『土用の丑に鰻』という風習は、江戸時代、物知りで有名だった科学者の平賀源内(1726〜1779)が売れない うなぎ屋を助けるために「本日、土用の丑の日(皆さん、鰻を食べましょう!という意味で)」と一筆書き、 それを看板にしたところよく売れたので、ほかのうなぎ屋がまねをして広がったと言われています。
平賀源内がうなぎの栄養を知っていてそれを書いたのか、適当に自分の知名度を利用しただけなのかは今となってはわかりませんが・・。
ちなみに、鰻を開いて調理する国はそう多くなく、大概は丸のままブツ切りにして調理するようです。 また調理法が関東と関西では異なります。武家社会が中心であった関東では切腹に通じるので縁起がよくないとの理由で背中から開き、竹串に刺して皮のほうから素焼きにし、蒸してからたれをつけてふっくらと焼きます。一方、商人の街関西では合理的が一番とのことで腹開きが一般的です。頭をつけたまま金串に刺し一尾丸ごと身の方からじっくり焼き上げます。
うなぎ職人さんによると背中からの方が開きやすいとのことですが、いずれにしても香ばしい蒲焼きの香りは食欲をそそられるものです。
うなぎの栄養価はすばらしい!!
蒲焼き1人前で一日必要量の3倍も含まれるビタミンAはレチノールと呼ばれ、消化吸収の促進や呼吸器・目の粘膜の強化、胃腸の病気や風邪の予防、夜盲症などに効果があり、野菜のカロチンと違って全て吸収されます。疲労回復に効果のあるビタミンB1、皮膚を保護するビタミンB2、骨とかかわりの深いビタミンD、老化防止に効果のあるビタミンE、DHAやEPAなど良質な脂質、タンパク質などが豊富なほか、ミネラル、カルシウム、亜鉛、鉄なども含まれ、まさに栄養の宝庫。また、皮にはコラーゲンが豊富に含まれています。
うなぎの弱点ってあるの?
うなぎってカロリーが高そう、脂っぽい、見た目が気持ち悪いなど、こと女性には敬遠されがちですが、うな丼のカロリーをみてみると、とんかつ定食、刺身定食、カルボナーラ、ミックスサンドといった定番の外食メニューより低く、同じ丼物類で比べてもカツ丼、天丼、中華丼、ネギトロ丼の中で一番低いのです。
表面がぬるぬるしているのは糖たんぱくの一種で、弱った胃腸の粘膜を保護し消化を助けてくれるので、夏の食欲不振を解消してくれます(胃がもたれるという人は胃を強化し抗酸化作用をすすめる効果のある山椒をかけることをお勧めします)。『肩こり・冷え性・肌荒れ』にも効果がありますので、皆さん、積極的に食べてください!
豊富なビタミン、ミネラル、体にいい脂肪酸と優秀食品の鰻ですが弱点はビタミンCと繊維質が少ないこと。
※ 鰻の血には猛毒が含まれていますので調理の際には気をつけて下さい。
熱には弱いので加熱すれば心配ありません。
うなぎを扱った江戸落語
『うなぎの幇間(たいこ)』---幇間持ちの一八が通りがかりの男にうなぎをご馳走になろうと取り入った。ご馳走になっている途中にその男が厠へたった。実はその男は反対にご馳走になって食い逃げを決め込んで厠からそのまま姿を消した。一八は食事だけでなく土産代まで払う羽目になり、買ったばかりの下駄までその男の汚い下駄にすり替えられてしまった。 ※参考文献:『古典落語(大尾)』興津要編 講談社文庫
『後生(ごしょう)鰻』---ちょっとブラックで、今のご時世ではちょっと批判が出てきそうなネタだそうです。でも、どんな落語なのか気になりますねぇ。
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