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*** 第7回 ***
長屋連中の人気のおかず『鰯のぬた』は、貧乏人のおかずとされていた。
いくら安くて旨くても、江戸のおかみさん達は、手が臭くなるのがいやで魚を料理するのをいやがった。 * * * * *
イワシを泥棒猫がくわえて逃げている。
「そこにあるすりこ木を持ってこいっ。今日という今日は、張り倒してやる。」
「待っといでよう。いま、あたしゃいただいているところだ」といいながら その女房のこの不思議な行動はどうやら何かいきさつがあるらしい。 * * * * *
ある長屋に久六という八百屋さん、お人好しで、人に頭をなぐられても、
このおとなしい猫久さんが、ある日、血相を変えて家に帰り
それを知った長屋の熊(熊五郎)さん、早速女房につげにいった。
「いけないよ。鰯こしらえとくれ、鰯を。南風が吹いて、ぽかときてるんだから、
普段まったく無いことですから、それを知った長屋の連中が驚いたのなんの。
「いやぁ、びっくりしたねぇ。あそこのうちに刀があったんだね。あのかかあ、
と、そこに居合わせた侍が、「変わり者だという、その方達がおかしい。
家に帰った熊さんは、髪結い床での話を早速女房にした。
そうしているすきに、台所に置いてあったお昼のおかずのイワシを、
泥棒猫がくわえて逃げだした。
※参考文献:『古典落語(上)』興津要編 講談社文庫
♪♪♪♪♪
『落語』がこんなにも当時の世界を反映しているものとは・・・。
『猫久』に出てくる熊さんと女房のやり取りですが、
『半分垢(あか)』---『猫久』と同様な落語で、『他人の女房を見習えという亭主の言を鵜呑みにするストーリーで笑えるネタ』だと、相互リンクのrakugofunさんより教えていただきました。
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