江戸料理百選タイトル   

*** 第3回 ***

そば清(蕎麦の羽織)[上方版:蛇含草(じゃがんそう)]

【解説】
 そば好きの清兵衛さん。今で言う、そばの大食いチャンピオンです。
真夏のあるとき、越後から信州のほうへ商売にまいりまして、どうまちがえたのか、山中で道にまよってしまいました。疲れ切って一休みしていますと、その向こうに狩人がひとり、こくーり、こくりと居眠りをしているのが見えました。
すると妙な風が吹いてきて、どこからともなく大きなウワバミが現れて、その狩人を大きな口をあけて一呑みに呑んでしまいました。
清兵衛さんはびっくりしたのなんの。息を潜めて見ていますと、うわばみも人ひとりを呑んだのですから苦しいとみえ、しばらく、もがいておりましたが、岩陰に生えている黄色い草をなめると、四斗樽のようにふくれていた腹が、もとのように小さくなっていきました。
ウワバミの姿が見えなくなると、清兵衛さん、食べたものがこなれる草に、こわごわながら近づいて、草をつんで持ち帰ります。

                   * * * * *

江戸に帰ってから、清兵衛さん。七十のそば食いに三両をかけて挑みます。
五十まで食べ苦しくなったので、一息つくといって障子の外へ出て、例の草をぺろぺろなめはじめました。
しばらく経ったが返事がない。あまり静かなので、「清兵衛さんは、かなわなくなって逃げだしたんだ」と。障子を開けると、蕎麦が清兵衛さんが着ていた黒の絽の夏羽織を着て座っておりました。

『そば清』の題名は主人公、そば好きの清兵衛の名からきたもの。 別名を『蕎麦の羽織』、『羽織のそば』ともいいいます。これが上方ですと題名は『蛇含草(じゃがんそう)』で餅を食べる筋書きになっております。
この噺、上方落語のお餅になるとどうなりますでしょうか・・・。
おあとは、どうぞこちらのお席でごゆっくりとお楽しみください。

上方落語『蛇含草(じゃがんそう)』
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                     ♪♪♪♪♪


以上このページは上方落語・世紀末亭様の御協力で掲載させて頂きました。

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