1 プロローグ

 ぐらぐらっときたときは、さほどでもなかった。

 揺れが始まった次の瞬間に停電。そのときは少しあわてた。それでも、離島だからこれぐらいの地震でインフラがちょこっと止まるのかな、ぐらいに考えていた。

 念のため、民宿の外に出てみると、ただごとではないことをようやく理解した。稲穂地区の人たちが血相変えて、高台に向けて走っている。これは尋常じゃない。間もなく第1波がやってきた。家を、人を飲み込んでいった。その間5分もない。僕は被災した。

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1 プロローグ   2 奥尻との出会い  3 奥尻に行く
4 地震だ!    5 父がいない   6 父の生還
7 広がる被害   8 夜が明けた   9 奥尻港へ
10 上陸   11 エピローグ   12 教訓   EXIT!