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読み切り小説
「願わくは」
チェリー&ローランド
(作者:むーむー)

●目次

〇チェリー・素直なエルフ
〇難民キャンプ
〇ひと時の休息
〇気づかぬ想い
〇ライトネス邸襲撃
〇静養
〇ローランド・神の奇跡
〇抗う勇気
〇懺悔
〇夢
〇千年の想い

〇抗う勇気

チェリーの目が覚めた。意識はだいぶはっきりしてきていた。
朝になっているようだ。窓から日の光が入ってくる。
何か嫌な夢のようなものを見た気がするが、思い出せなかった。

体を起こそうとすると、起き上がれた。
ラーダ寺院の客室の部屋に寝かされていた。
ベッドが2つの部屋だった。その認識がちゃんとある。
テーブルがあり花が見えた。ランプの光は消えていた。
部屋には誰もいなかった。
ルーシアがいてくれたような気がしていたが、気のせいだったかもしれない。
少し寂しいな、と思った。でも、それはルーシアに思ったことでは無かった。
誰もいない、この静かな部屋が、寂しかったのだ。

チェリーは部屋を見回す。
隣にベッドがあった。うっすらと血の跡がある。
誰かが寝かされていたのかもしれない。
その視線の先に小型の盾が置いてあった。
これはローランドさんの盾だと思った。だいぶ血が付いている。

少し思い出してきた。
チェリーは意外と冷静になっていた。
ちゃんと思い出そうとした。
そうしなければならない気がしていた。

どのくらい前かは、分からない。
恐ろしい顔をした聖騎士たちが屋敷の中になだれ込んできた。
恐怖に震えた自分は逃げることも出来ず、暴力を受け、痛さと怖さのあまり、
嘘をいっぱいついてしまった。
何の嘘をついたかも覚えていない。でも、嘘をついた、だけ、覚えている。
何度も剣で刺された。血がたくさん流れていた。
途中から、痛すぎて何も考えられなくなっていた。
長くいたぶられた後、目の前には自分の血で汚れた風景しか見えなくなっていた。
動くことも出来ず、その場所にうずくまっていたと思う。
死ぬのだと思った。そう思った途端、辺りは真っ暗になった。
そう、真っ暗闇の中に自分はいたはずだ。

だが、その時、暗闇が突如ひらけ、ローランドが助けに来てくれた。
それを思いだした今この瞬間、胸が苦しくなるような、嬉しいような、何とも言えない気分になる。
涙が出る。
ローランドは捨て身の覚悟で自分を助けに来てくれたのだ。
呼べば、助けに来てくれると、言っていた。
あの人は……、あの人は本当に助けに来てくれた。
抱きかかえてくれた。
体中が痛くて、怖くて、泣きたかったけど、その瞬間だけは、幸せだと思った。
嬉しさを伝えようとした時、彼が誰かに襲われた。
その時、彼の手は吹き飛ばされた。
その手に持っていたのが、この盾だった……。

チェリーは隣のベッドに置いてある盾をずっと見つめた。

自分はその後のことをあまり覚えていない。
何故ここにいるかは分からない。だが、死なずにここに生きている。
ローランドさんが、あの残虐な場所から自分を救い出してくれたに違いないのだ。

心の中にある言葉が上手く紡げない。
命の恩人への感謝……、違わないけども、ちょっと違う。
約束を守ってくれたことへのお礼……、もっと遠くなった気がする。

苦しいくらいの想い。
あの人の顔を思い浮かべるだけで、何かが満たされるような、
泣きたくなってしまいそうになる、この想い。
自分の中にある幸せなものが、全て湧き上がってくるような、この喜び。
もう少しで、何かが出てきそうなのだが、すぐに出てこなかった。

どのくらいそうしていたかは分からない。
結構な時間を使ってしまった気がする。
その時、あることに気づいた。
窓の外から、何やら光る虫のような、白い光がふわふわと部屋に入り込んできたのだ。
見たことも無い物だった。
その光はローランドの盾のところまで飛ぶと、そこにふわふわと漂っていた。

チェリーはその光をもっと見てみようという気になった。
ベッドから出る。体はちゃんと動くようだ。
隣のベッドの上に乗り、盾の前にちょこんと座る。
その光をまじまじと見る。何とも言えない光だった。
美しいような、儚げなような、神聖な物のような、
そして何か勇気をくれるような、そんな光だった。
触れてみようかと思って手を近づけてみるとふわっと離れていった。
触ると消えてしまう物かもしれないと思い、無理に触れるのは止めることにした。
その光は、またしばらくすると、盾の周りをふわふわと漂い始めた。

チェリーは、この光が、盾を持て、と、言っている気がしてきた。
素直にそう感じた通り、持ってみた。
小型の盾ではあったが、思ったより重かった。
あの人は、これを軽々と片手で使うのだ、と、素直に凄いな、格好良いな、と思った。
自分だと両手で抱えてなんとか前に突き出すくらいしか出来なさそうだった。
ちょっとやってみる。
これを振り回して守るのは、私には難しそう、と思った。
でも、それを持つと少し安心できた。
不意に盾を抱きしめる。
暖かい温もりがあるような気がした。
チェリーはしばらく、盾を抱きしめ続けていた。

そんな時だった。
巨悪との戦闘が終わろうかというその頃、ブラス村のラーダ寺院に黒装束の集団が押し入ってきた。
警備は手薄となっていた。
屈強な暗黒騎士が数人、あっという間に無力化される。
魔法や毒を使う暗殺集団だった。
彼らの狙いはこの寺院に匿われているサキュバスの姫カミラだ。
ここにいるのを何故か知っていて、巨悪との戦闘で手薄になったころを狙って、襲撃してきたのだ。
彼らは中にいる者と戦闘をしながら、手当たり次第にカミラを求めて、部屋を探し回りはじめた。

ラーダ寺院の中で悲鳴や戦いの音がし始めていた。
その音がチェリーにも聞こえてくる。
心臓がバクバクいい始める。

――この感じは……、この嫌な感じは……。

屋敷内に突入してきた聖騎士たちの血走った眼を思い出した。
また突入してきたのだろうか。
また自分は引きずり倒されて、痛い目にあうのだろうか。
体が震え始めてきてしまった。
怖くてうずくまりそうになる。
だが、チェリーは盾を抱きしめていた。
いつもなら本当に丸まってしまって、全く動かない体勢になるところだったのだろうが、
盾を抱きしめているために丸まれなかったのだ。
おかげで、怖くて震えあがって周りを見なかったいつもの自分と違い、今は周りが見えていた。
はっと思い至る。

――逃げなくちゃ!

ローランドさんにそう言われていたのだと思い出した。
何故だろう、不意に思い出せたのだ。
盾を持って、ベッドから降りようとする。
だが、間に合わなかった。
部屋の入口に、黒装束の盗賊風の男が突如として現れたのだ。

――あ、あ、あ、あらがわなくちゃ!

チェリーは、半ばパニックにはなっていたが、それでも、行動に移そうとする意志が残っていた。
盾を両手で持ってなんとか体の前に持ち上げる。
必死だった。
とはいえ正直、何の意味もない行動ではあった。
盗賊風の男は、とっさに襲い掛かるでもなく、入り口から部屋の様子をじっくりと眺めている。

何やら盾を両手で抱えたエルフがいる。
目的はサキュバスだ。エルフではない。
だが、待てよ?
確かエルフも探していたな。
それに清らかな乙女の匂いがする。
生贄には使えそうだな、と。

この盗賊の中身はレッサーデーモンだった。
生贄となる処女の匂いは、魂で分かるのだ。
とりあえず捕らえて連れて行こうかという気になっていた。
小さくて、弱そうなエルフだった。
盾を持って構えているが、怯え切ってるのが分かる。
正直負けるとも思えない。
普段なら、さっさと始末するために、目にも見えない速さで飛び掛かるが、油断しまくっていた。
もうちょっと言えば、抵抗したら、ちょっといたぶってやろうかとすら思っていた。
舌舐めずりしながらゆっくりと近づいていく。

チェリーはその顔を見て、怖くなってしまった。
今まで素直に言うことを聞いていたら、痛いことをされる事はないと思っていたが、
つい先日、それは間違いだったと身をもって知った。
今、目の前にいる黒装束の男は、あの聖騎士たちと同じか、それ以上の残忍さに見えた。
舌舐めずりをしていたのだ。
このままでは、また酷い目にあってしまう。

――えと、えと、えと……。大きな声で、名前を呼ぶ!

「ローランドさん!助けて!!」

思った以上に声が出た。
出した自分がびっくりしていた。
黒装束の男もびっくりしたようだ。
男は一瞬後ろを振り返る。
背後に何かいる気がしたのだ。
だが、何もいないし、何も起こらない。

「焦らすなよ?このガキが」

男は、イラついた表情で、またチェリーに近づこうとする。
いたぶる気になっていた。
チェリーは、ローランドの言いつけをちゃんと守ろうとしていた。
彼が来なくても、とにかく叫べと、言われていたのを思い出していたのだ。

――いなくても、大きな声で叫ぶ!

「たすけてぇ!!!」

こんな大きな声を出したのは、生まれて初めてというくらいの声が出た。
心臓はバクバク言い続けている。
盾を必死に掲げていた。
何の役にも立たなくても、意志だけは持って抗おうとしたのだ。

「くそがぁ!」

そういって黒装束の男はチェリーに掴みかかろうとした。
が、出来なかった。
男は突然、何者かに襟首を掴まれ、入り口のほうに放り投げられる。
何が起こったか分からなかった。

チェリーの目の前には、半透明の盗賊風の少年が立っていた。
幽霊、いわゆるゴーストだった。
そのゴーストは彼女を庇うように、黒装束の男との間に立って、守ってくれようとしている。

「お待たせ!心配すんな、守ってやんぜ!w」

チェリーはそれにもびっくりしていた。
突然目の前に透けて見える男の子が立っていたからだ。
昨夜、ゴーストシーフとして皆の元で可視化出来るようになったノーラッドだった。
だが、チェリーはノーラッドの存在を知らなかった。
ただ、これがゴーストと呼ばれる存在だということは分かっていた。
敵か味方は分からなかったが、守ってくれると言うのだ。
味方と信じたかった。

黒装束の男は、起き上がると速やかにノーラッドに襲い掛かる。
ノーラッドは近くにあった花瓶を手に取って黒装束の男の顔にぶつける。
男の顔に当たり花瓶が割れる。
男は、毒の塗られたダガーをノーラッドに向かって刺そうとしたが、攻撃が体をすり抜けて当たらない。

不思議な光景だった。
ノーラッドは男を掴んだりして投げ飛ばすなど、現実世界に影響を与えられるのだが、
男がノーラッドに触れるのはすかすかと透けて、攻撃が出来ないのだ。
反則と言って良かった。

「あれー?w もしかして、俺すげー強くなっちゃったんじゃないの? これw」

ノーラッドは暢気に笑いながら、黒装束の男と戦っている。
かなり良い戦いをしている。
調子に乗ったノーラッドが男の攻撃を受けるフリをして、体をすり抜けさせて避ける。
男は透けた体を通り抜けてしまい、態勢を崩したままチェリーの所に突っ込んでくる。
チェリーはびっくりした。

「qwせdrftgyh!!!!!!」

もう、訳も分からず盾を振り回して、男が突っ込んできたのを押し返した。
半泣きだ。
ノーラッドは男を両手で引っ掴んでまた入り口の方に投げ飛ばす。

「ごめんごめん、調子乗りすぎた。真面目にやるよ!」

ノーラッドは入り口付近で、男とやり合っている。
数秒切り合いをしている。
チェリーは、びっくりして盾を振り回したときの動揺が抜けきれず、涙目になりながらそれを見ていた。
そこへ、先ほど盾の周りをふわふわしていた光が、チェリーの前に躍り出た。
そして不意に眩しく光る。
チェリーは、とっさに盾を持ち上げるようにしてその光の眩しさを防いだ。
その途端、盾に何かがガツン、と当たった音がした。
黒装束の男がチェリーに毒のダガーを投げ付けてきていた。
間一髪で防いだのだ。

「ナイスガッツ! この野郎!舐めてんじゃねーよ!」

ノーラッドは黒装束の男の目に、幽体のまま掴みかかる。
その後、いきなりそこで実体化し、目の玉を掴む。
黒装束の男は絶叫をあげて後ずさる。
目玉がえぐり取られていた。
とんでもなく卑怯な技だった。

「おい!こっちだ!いたぞ!」

遠くの方から、黒装束の男たちの声が聞こえてくる。
サキュバスのカミラを見つけたのだ。
この部屋で戦っていた黒装束の男も、舌打ちをしながら、よろよろそちらの方に走っていった。
ノーラッドは一旦、それを身構えたまま見送る。
その後チェリーの様子を振り返って見やる。

「大丈夫か?
 ナイスファイトだった。
 俺は他の部屋の様子を見てくる。
 ここにいてくれ。
 何かあったら助けにくる。
 大きな声を出してね!
 じゃね!」

少年の幽霊は、そう言うとあっという間に走って出て行ってしまった。
相変わらず、勝手な所のあるノーラッドだったが、チェリーはそれを知らない。
お礼を言う間も無かった。

チェリーは、盾を持ったまま、心臓をバクバク言わせたまま、その場に座り込んでいた。
何か音がする度に、大きな声で叫ぼうかと、盾を持って身構えた。
だが、その後、襲い掛かってくる者が現れることは無かった。
建物の中で争う音が続いていたが、やがて小さくなっていった。
戦いの音は寺院の外で聞こえ始めていた。建物の中の戦いはどうやら終わったようだった。

――助かった……。

チェリーは力が抜けたように、へたりこんだ。
身を守るために必死に両手で持っていた盾を膝の上に置く。
どっと疲れていた。
呼吸が落ち着くようになるまで、だいぶ時間がかかった。
その間、ずっと盾を見つめていた。
盾の周りには例の光の粒が相変わらずふわふわと浮いていた。
この光に守ってもらえたのだ、という気がしてきた。

「守ってくれて、ありがとう……嬉しい……」

素直に声が出てきた。
光は、その言葉を聞くと、安心したのか、ふわふわとチェリーの周りを回った後、
窓の外に出て行って、その後、戻ってこなかった。

それをしばらく眺めた後、チェリーは考えた。
確かにあの光は守ってくれた。

だけど、一番は、そうじゃない。

あの人のこの盾があったから、自分はうずくまったり縮こまったりせずに、周りが見れた。
さらにこの盾は私をちゃんと守ってくれた。
逃げようとか、抗おうとか思わせてくれたのは、あの人がそう言ってくれていたからだ。
あの人が真剣に言ってくれたから、こんな怖い時にでも、素直にやれた。
大きな声が出たのだって、あの人の名前だったからだ。
あの人の名前なら、どんなに大きな声でだって、叫ぶことが出来る!

やっと分かった……。
私は、ローランドさんを、愛してる……。
ずっと、苦しかったのは、好きだったからなんだ。
やっと、自分の気持ちに気が付いた……。
なんて嬉しいことなんだろう。
愛してる人に守られて、私は今日、生き延びることが出来た。
あとで、ローランドさんを見つけたら、お礼とともに、この想いを言おう。
大好きだって、愛してるんだって、言いたい……。
正直、好いてもらえるかは、分からないけど、でも、言いたい。
彼に好きだって、言ってもらえたら、嬉しい……。

チェリーは、ローランドの盾を抱きしめながら、自らの想いを噛み締めていた。

どのくらい経っただろう。
外の争いの音も無くなり、だいぶ時間が経った後、
ルーシアがチェリーのいる部屋の様子を見に来た。
チェリーがベッドに座り込みながら、盾を抱きしめて固まっているのを見て、
心配になった。

「無事でしたか?!」

チェリーは穏やかな笑顔で自らの無事を伝える。

「はい、ちょっと襲われましたけど、助けてもらえました……w」

ルーシアはチェリーが襲われたということに少し驚いたが、
とりあえずチェリーが無事なのは分かったので、胸を撫で降ろした。
後、もう一つ、驚いたことがあった。
聖騎士からあんな酷い目にあった後で、昨日まではあんなにうつろな感じに見えたのに、
今のチェリーは、凄く幸せそうな、穏やかな表情をしていたのだ。
うつろさなどなく、にこやかだった。
意外と強い子だったのかな?
心が回復するのに凄く時間がかかるだろうなんて、変に気を回し過ぎてしまったかな?と思っていた。
そのくらい、何事も無かったかのように、チェリーは穏やかな笑顔だったのだ。

「無事なら、良かった……w」

チェリーは座り込んでいたベッドから降りて立ち上がる。
盾は抱きしめたままだ。
取り急ぎルーシアは、立ち話ではあるが、チェリーにかいつまんで状況を伝える。
ブラスに起こっていた大きな問題が色々終わったことや、今後ブラスがどうなるかなどだ。
ガーディアンの住まう村になること、
聖騎士の暴走は一旦収まったこと、
黒装束集団の頭領と目される悪魔プゥを討ち滅ぼしたこと、
そして巨悪との戦いが終わったことを伝えたのだ。

チェリーは安心した。
種族や職業や国の垣根を超えた村の実現が近づいたそうだ。
ライトネス様は凄いお方だなと改めて尊敬した。
非道を働いた聖騎士は捕らえられたそうだ。
もうこれで聖騎士の襲撃で怖い思いをすることは無さそうだった。
先ほど襲われた黒装束の男も、悪魔の手先だったようだ。
良く生き残れたな、と安堵のため息が漏れた……。

何気なく、巨悪との戦いについて聞く。
そもそも巨悪とは何なのか、分かっていなかった。
魔術結社が作り上げた、凶悪な魔獣で、恐ろしい強さだったようだ。
聞いているだけでも怖かった。
だが、倒したというのだ。
改めて、この人たちは、凄い…と尊敬の眼差しでルーシアを見てしまう。

「そんな凄い魔獣を……倒せて良かったですね……」
「はい……。その代わり、尊い犠牲を出してしまいました……」

ルーシアは、辛そうな顔をしていた。
それだけ強い魔獣なのだ。犠牲が出るのは仕方無さそうだった。
不意に気になった。
何の気無しだったが聞いてしまう。

「あの……ローランドさんは……」

ルーシアは、辛そうな表情をさらに強める。
今回の巨悪との戦いで唯一犠牲になった者。
神の御業を体現し、その体に神を宿し、光の粒子となって神に召された男。
チェリーが口にしたその名前こそが、その男だったからだ。
重々しく、ルーシアは告げる。

「彼は、もう、戻って来ません…。彼には、感謝の念しか浮かびません…」
「え…?」

チェリーは何を言われてるか、良く分からなかった。
ルーシアはうつむき、涙を流しながら、さらに言葉を続ける。

「彼は、命を賭けてその身に神を宿し、皆を救ってくれました。……復活は……出来ません……」

チェリーはその言葉を呆然と聞いていた。
意味が分かるまで、少し時間がかかった。
持っていた盾が床に落ち、カランという音を立てる。
チェリーの顔から表情が失われていく。
暗闇が、真っ暗で何もない空間が、彼女を包む。
チェリーは、そのまま意識を失った……。

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●本コンテンツについて

・本コンテンツは同好者の間で楽しむために作られた非公式リプレイ内のショートストーリーです。
・個人の趣味で行っておりますので、のんびり製作しております。気長にお待ちいただきながらお楽しみください。

・原作の設定とは無関係の設定が出て来たりしております。あくまでこちらのコンテンツは別次元のお話と思ってください。
・本コンテンツの制作にあたり、原作者様、出版社様とは一切関係がございません。
・TRPGを行うにあたり、皆が一様に分かる世界観、共通認識を生んでくださった原作者様と、
 楽しいゲームシステムを販売してくださった関係者の方々に、深く感謝申し上げます。

●本コンテンツの著作権等について

・本コンテンツのリプレイ・ショートストーリーの著作権はむーむー/むーどす島戦記TRPG会にあります。
・本コンテンツのキャラクターイラスト、一部のモンスターイラスト、サイトイメージイラスト等の著作権は、
 むーむー/マーコットPさん/アールグレイさんにあります。
・その他、原作、世界観、製作用素材については以下の権利者のものとなります。

●使用素材について

・本コンテンツは以下の製作者、原作者、製作素材等の著作物を使用して製作されています。

【プレイヤー】

・トゥナ・P
・マーコットP
・ヤトリシノP
・むーむー(GM)

【挿絵・イラスト】

・マーコットP
・むーむー

【キャラクター(エモーション・表情差分)】

・マーコットP
・むーむー

【使用ルール・世界観】

・ロードス島戦記
 (C)KADOKAWA CORPORATION
 (C)水野良・グループSNE
・ロードス島戦記コンパニオン①~③
 原案:安田均、水野良、著者:高山浩とグループSNE
 出版社:角川書店

【Web製作ツール】

・ホームページデザイナー22
 (ジャストシステム)

【シナリオ・脚本】
【リプレイ製作】

・むーむー

【ショートストーリー・小説製作】

・トゥナ・P
・マーコットP
・ヤトリシノP
・むーむー
 (むーどす島戦記TRPG会)

【製作】

・むーむー/むーどす島戦記TRPG会

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