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読み切り小説
「願わくは」
チェリー&ローランド
(作者:むーむー)
●目次
〇チェリー・素直なエルフ
〇難民キャンプ
〇ひと時の休息
〇気づかぬ想い
〇ライトネス邸襲撃
〇静養
〇ローランド・神の奇跡
〇抗う勇気
〇懺悔
〇夢
〇千年の想い
それから数カ月が経ったある日。悲劇は突然に起きた。
マーモに捕らえられていた聖騎士と神官戦士の一団がヴァリスに帰ってきた。
その一団はブラス村にある聖騎士の詰め所に押しかけてきた。
一団のリーダー格の聖騎士の持つ槍の先には何人かの首を突き刺さっていた。
マーモの城で捕えた魔術師の首だという。
血祭りにあげてやったとみな意気揚々に叫んでいた。
異様な光景だった。その一団は興奮しきっていた。
元から詰め所にいた聖騎士や神官戦士たちに、声高にこう叫んでいた。
「この村の領主はマーモと通じている。ダークエルフが仲間になっている!
この首はそいつらの仲間だ!洗いざらい罪を白状した!
このままではマーモ軍がヴァリスに再び攻め込んでくるぞ!お前ら、目を覚ませ!」
最初は何事かと聞いていた詰め所の何人かの聖騎士たちは、よくよく考えれば思い当たる節がある、
と同調し始めた。
おかしな領主の命令に慣れすぎてしまっていたが、確かに領主はダークエルフとつるんでいる。
色の黒くて耳が長いだけの女だ、などと言っていたが、あれはダークエルフだ。
なんでみな、それで許していたかが分からない。
怪しげなフードの小さい魔術師もいる。10歳などと言っているが、そんな魔術師などいるものか。
あれも妖魔なのかもしれぬ。
さらにマーモの暗黒騎士がラーダ寺院を守っている、我々聖騎士と同格だと?ふざけるな。
そもそもオークやハーピーなどの妖魔が村に住むなどと言っている。キチガイだ。
ずっとおかしいと我々は言っていたのだ。ここはヴァリスだ。マーモではない!
だが、領主が聖女だの、神託が下りているだので、こちらの言い分の聞く耳も持たないで、
我々だけが言うことを聞かされていた。
さらに言えば、ファリスの神官戦士たちまで、それが正しいなどと言っていた。
神の命令は絶対だと。
ファラリスの間違いじゃないのか?!
ようやくまっとうな意見を言う者が現れた。
皆、目を覚ませ! 我々はキチガイ領主に洗脳されていたのだ!
無理もない話だった。
ここがヴァリスの他の村や町であれば、これらの意見の方が全面的に正しいのだろう。
そして、一度こう思い始めたら止まらないのだ。
10名ほどの聖騎士たちは邪悪に汲みしているキチガイ領主を捕らえ、
ロイドで審問にかけようと、一気にライトネス邸になだれ込んでいった。
だが、そこにいたのはチェリー1人だった。
チェリーは戦士でも精霊使いでもない、力を持たないエルフだ。
戦う術など持っていなかった。
屋敷内に突入してきた聖騎士たちは目を血走らせていた。
チェリーは何が起こったか分からなかった。
心の中から「逃げろ!」という声が聞こえてきた。
慌てて逃げようとしたが、あっという間に捕らえられた。
いきなり髪を掴まれ、床に押し倒される。
チェリーは元々素直に言うことを聞く娘だった。
そのおかげで、痛い目にあった経験など無かった。
痛みを受けたことで、今起こっていることが何なのか全く分からなくなり、
ひたすら怯えてしまっていた。
心の中から「抗え!」という声が聞こえてきたが、体が震えてまるで言うことを聞いてくれなかった。
「や、やめて…」
「キチガイ領主はどこに行った!」
「お、お出かけになって」
「どこへ行ったと聞いている!」
いきなり殴られた。
それだけでチェリーは恐慌に陥った。
今までにこんな暴力を受けたことが無いのだ。
相手の質問など一瞬で分からなくなってしまった。
「た、たすけて…!」
「どこへ行ったと聞いてるのが分からんのか!」
さらに殴られた。痛みのあまり涙が出る。
呼吸が出来なくなるほど苦しい。命乞いしか考えられない。
「こ、ころ、さないで…」
残りの聖騎士が屋敷中を荒らし回ってる中、数人の聖騎士がチェリーの前に集まる。
「こいつしか見当たりませんな…」
「なんだ、こいつ…。エルフだな」
「こいつも妖魔の仲間か?本当は色が黒いんじゃないのか?」
物のように扱われる。数人の聖騎士が忌々しそうにチェリーを小突き回す。
「話を聞くだけなら、そこまでの扱いをしなくても…」
それを見ていた若い聖騎士が止めようと声をかけるが、数人の聖騎士が睨み返す。
「お前、我々の仲間がマーモでどれだけの仕打ちを受けたか、忘れた訳ではあるまいな?!」
「笑いながらいたぶられ、首をさらして死んでいった者もいる!
マーモとはそういう地であったろうが!」
「こいつが妖魔と通じているなら、生かしておく必要すら無いのだぞ!」
若い聖騎士は何も言えなくなってしまう。確かにマーモでは酷い仕打ちを受けたのだ。
その恨みを忘れろと言われても忘れる訳にはいかなかった。
若い聖騎士はその場を離れて行ってしまう。止める気にならなくなってしまったのだ。
残った聖騎士の数人は、チェリーを囲んで拷問の準備を始める。
ちょっと痛めつけただけで、すぐに口を割りそうな、チョロそうな人外の女と思ったのだ。
人でないなら、妖魔と似た様なものだ。何をしても許されるだろう。
がっつり痛めつけて洗いざらい悪行の数々を引き出してやると、思っていたのだ。
「お前の主は、マーモとつるんでヴァリス転覆を謀ろうとしているな?」
「ラ、ライトネス様は、そのようなお方では…あぁぁぁあっ!!!」」
チェリーの足に剣が突き付けられていた。焼けるような痛みが足から体中に走る。
「もう一度問うぞ。お前の主は、ヴァリス転覆を謀ろうとしているよな?」
「やめて、やめて…がぁぁっ、うぅ!!」
再度刺される。
「質問したことに、うんと言わなければ、次は今より痛くなるぞ?」
「たすけて…言うこと、聞くから…たすけて…」
剣を見せられる。恐怖で頭が回らなくなる。刺された箇所は焼けるように痛い。
鼓動の激しさとともに、痛みがズキズキと傷口からやってくる。
正しいことを言うなど、もう無理だった。
チェリーの中で、助けてくれたみんなに対する思いなどが色々あったはずなのだが、
もう、全て吹き飛ばされてしまっていた。
「聞いたことに答えろ」
「…その、通り、です…助けて…」
泣きながら、許しを請うように嘘をついてしまった。心が壊れた気がした。
聖騎士たちは「やはりな」などと頷きながら、さらに拷問を続けていく。
チェリーはその都度、意に沿わない回答をすれば刺され、気を失っても起こされては刺された。
部屋中がチェリーの血で染まっていく。
答えるごとに、チェリーの良心はごっそりと削られていく。
エルフとしての尊厳が失われていく。
生き延びたいがために、嘘をついてでも許してもらおうとしか思えない。
躾けられた動物のようになっていく。
途中からもう、チェリーは自分が何者なのかすら分からないほど、おかしくなってしまっていた。
聖騎士たちは、言わせたいことを一通り聞き終わると、
ごみを捨てるかのようにチェリーを置き去りにし、
他の証拠品などを物色すべく家探しをしに行ってしまった。
チェリーはその場に打ち捨てられていた。
体が動かない。出血も酷かった。
このまま放置されれば、死ぬ状態だった。
意識はあった。が、何も考えられない。
体も痛めつけられた。心も壊された。
何を答えたかもう分からない。
でも、自分が助かりたいあまり、嘘をいっぱいついてしまった。
――誰か…助けて…。
チェリーはうつろな目になる。周りが見えなくなってくる。
暗闇に閉ざされたかのように、1人そこに取り残されていく感覚。
時間の感覚はチェリーにはもう分からない。だいぶ時間が経った気もする。
――このまま、きっと死んでいくんだ…。
チェリーがそう思ったとき、薄っすらと、その暗闇の中に1つの灯が光る。
優しい、温かい、穏やかで、力強い声が、聞こえてくる。
――あなたには、死を簡単に受け入れて欲しくない…。
「死にたく…ない…」
――もし、危ういと思えば、私の名を叫んでください。必ずや現れてお救いします。
「たすけて…。たすけて…。ローランド…さん…」
かぼそい声で、ようやく出た声。
まだ愛していると自分自身では気付いていないが、今この時は、その名の顔以外、思い浮かばない。
チェリーの血だらけの頬に涙が伝わり落ちる。
チェリーのこの声を聞く者は、いない。
チェリーはまたうつろな目になる。周りが見えなくなってきた。
暗闇の中に入り込んでいくような感覚。眠りに落ちていきそうになる感覚。
周りの世界がゆっくり動くようになり、音もどんどん遠くなっていく。
もう、周りが何も見えない。
そんな中、遠くで何か音が聞こえてきた。
侵入者だ、などと言う声が薄っすらと聞こえる。
叫び声、怒声、悲鳴、絶叫、何かが吹き飛ぶような音、断末魔のような恐ろしい音、雄叫び…。
チェリーの音だけの世界に、再び静寂が訪れる。
その時、突如として食堂のドアが蹴破られる。
傷付き、血だらけになったローランドだった。
ほんの少し前、詰め所で何が起こったかを知り、
ライトネス邸に突入した聖騎士たちからチェリーを救い出すため、単身で乗り込んできたのだ。
チェリーがどんな目に合ってるのか、それを思うと生きた心地がしなかった。
目の前に立ちはだかる聖騎士をメイスで撲殺し、数人がかりで取り押さえられそうになるなら
不得意な気弾の魔法を連発した。
引き剥がしたならまた力任せに撲殺しひたすらにここまで来たのだ。満身創痍だった。
「チェリー!!どこだ!」
食堂のドアから入ってこようとしていた聖騎士をメイスで殴りつける。
聖騎士はもんどりうって倒れ、起き上がらない。
ローランドは辺りを見回す。そして、この惨状を目撃してしまう。
自分よりも深く傷付き、血溜まりの中にうずくまっているチェリーの姿がそこにはあったのだ。
「チェリー!!!? 何という惨いことを…!」
すかさず近寄り神聖魔法をかける。
だが、ローランドは魔法がさほど得意ではない。チェリーの傷が薄っすらと治るだけだ。
「チェリー!!返事をしてくれ!!」
ローランドはうつろになった目のままのチェリーを抱き起こす。
抱いた瞬間にぬらりとした血がチェリーから垂れる。
――何という邪悪な仕打ちなのだ! これを行ったのは人か?! 許せぬ!
こんなか弱い者をいたぶるなど、決して許さぬ!
チェリーは心が無くなったようにうつろな目のままだ。
ローランドは返事をして欲しくて、心を落ち着かせる魔法をチェリーに使う。
その瞬間ローランドは気を失いそうになる。
しまった。魔法を使い過ぎた…。
ライトネスの屋敷に突入して食堂に来るまでの間に、ローランドは7、8人の聖騎士を殺していた。
気弾の魔法もかなり使ってしまっている。
なんとしても突破するためになりふり構わず、自らが傷付くのも厭わず来たのだ。
だが、もともと肉体派の戦士だ。
魔法を使うための精神力に乏しく、多くの魔法を撃てない。
既に精神力は枯渇してしまっていたのだ。
――意識を取り戻す魔法など使っている場合では無かった!
何故、治療のために力を残しておかなかったのだ!?
ローランドは己の浅はかさに怒りを覚える。
だが、平静さを取り戻す魔法の効果が、少しずつチェリーの傷付いた心を癒していた。
うすぼんやりとしたチェリーの意識の中で、自分が抱きしめられているのが分かった。
顔が…、ぼんやりとして見えていた顔が、見えてくる。
「ロー…ランドさん…」
「気付いたか!チェリー! すまない、…もっと早くに来ていれば…すまない…!」
ローランドは涙した。必ずや守る、と約束したにも関わらず、守れなかったのだ。
チェリーは安堵した。自分の名を呼んでいる。嬉しかった。いつもの呼び方と違うことが嬉しかったのだ。
「助けに…来てくれた…嬉しい…」
途切れ途切れになる言葉を、何とかして紡ぐ。嬉しさを何とかして伝えたい…。
本当に、来てくれたのだ…。
暗闇の世界の中で、唯一灯された優しい希望の光と声…。
名を呼べば、必ずや現れると言い、本当に来てくれた、私の英雄…。もっと感謝の言葉を…。
チェリーが言葉をかけようと思っていた矢先、ローランドの背後に、
先ほど入り口で殴られた聖騎士が忍び寄っていた。
ローランドはチェリーに気を取られるあまり、不覚を取ってしまったのだ。
「あ、ぶない…!」
聖騎士が後ろからローランドに切りかかる。
ローランドはチェリーの声を聞き、とっさにチェリーを突き離すと、
無理な体制のまま聖騎士のいる方に向き直ってチェリーを守ろうとした。
聖騎士の剣がローランドの左腕を切り飛ばした。血しぶきが舞う。
「ローランドさん…!」
チェリーの弱々しい悲痛な叫びが漏れる。
チェリーはその光景を見てしまった。飛ばされた腕が、その惨劇が、ゆっくりと流れて見える。
彼女の視界が不意に闇に包まれた。意識を失ったのだ。
「えええい!!!!!この邪悪がぁ!」
ローランドはそう叫ぶと背後から切りかかってきた聖騎士の顔に向かって、
渾身のメイスの一撃を叩き込む。
その一撃で聖騎士の頭蓋が叩き割られ、吹き飛び、絶命した。
ローランドの心が憎しみに支配されそうになる。邪悪、死すべし。
だが、そんなことを考えている暇はない。
ここから脱出せねば、チェリーを死なせてしまう!
ローランドはチェリーを抱えようとする。
だが片腕では難しい。チェリーは意識を失っているようだ。
力が全く入らないチェリーを抱き起すのは諦めた。
ローランドはチェリーを肩に担ぐようにして持ち上げた。
片手しか使えないのだ。それしかやりようが無かった。
幸いチェリーは小柄で軽かった。
これなら、片手でも担いだまま何とか走れそうだった。
切られた方の肩からの出血が止まらない。
早く逃げねば2人とも死ぬ。
それだけは絶対に避けねばならぬ!
ローランドは大急ぎでライトネス邸から逃げ出す。
幸い、発見されること無く、屋敷内からは脱出できた。
敷地内を見やる。今はまだ誰もいない。門まで走り抜ける。
道に出て、ファリス神殿を目指そうとしたが、遠くから聖騎士がこちらに向かって来る様子が見える。
ファリス神殿には真っ直ぐには向かえない。
だが、ここにもいられない。
遠くにラーダ寺院が見えた。
畑を通っていけば、人に見られず、行けそうな気がしていた。
迷わず走り出す。
見つかったなら、ひたすら走り続けるつもりだった。
――ままよ!
道を横断し畑に飛び込む。
少しだけ様子を見る。
どうやら、気付かれなかったようだ。
神は見放していない! 見放す訳が無い! 我らを救い給え!
ローランドは祈りながら、チェリーを抱えてひた走り、命からがらラーダ寺院に辿り着いたのだった。
彼はラーダ寺院に着くとすぐさまセラフィに治療を願った。
だが、セラフィはサキュバスだ。残念ながら治療の魔法など使えない。
運悪く今日は治療をできる神官がいなかった。
高位の司祭のカルスはリスモア方面に所用で外出中だったのだ。
セラフィはチェリーとローランドの応急処置をした。
チェリーは気を失ったまま目覚めなかった。
チェリーの傷も酷かったが、ローランドの傷も相当なものだった。
セラフィが、何事があったのか問うので、応急処置を受けながらローランドは事情を伝えた。
それを聞いたセラフィは緊急事態と判断し、警備のマーモ兵に指示を出し、ラーダ寺院の死守を命じた。
また聖騎士が暴走する恐れがあるとして、妖魔の宿営地に急いで使いを出し、防衛体制をとることと、
ラーダ寺院に守り手がほしい旨、追加で指示を出していた。
チェリーはひとまず別室で休ませることとなった。
自分の部下の神官戦士たちはファリス神殿にいる。
マーモやラーダ寺院の使いが行ったところで、今は取りあってもらえないだろう。
部下たちが気付いてここに来るのを待つしかない。
治療を早急にしてやりたいが、すぐには出来ない状況だった。
自分が休めば多少は治療が出来るはずだ。
だが、心がまるで休まらない。
寝ようにも怒りで眠れない。
横になっていても精神力が回復するような気にもならなかった。
焦る一方だった…。
その後ほどなくして、聖女ライトネス一行が帰還した。
チェリーとローランドはルーシアにより回復された。
ローランドはようやく安堵した。チェリーを死なせないで済んだ、と。
ただ、チェリーの傷は癒えたものの、心は癒えていないようだった。
あれだけの仕打ちを受けたのだ、無理も無かった。
非道な仕打ちに対する怒りが込み上げてくる。
この非道を行った者を許す訳にはいかなかった。
聖女ライトネスも想いは同じだったようだ。ライトネス邸に向かうという。
顔に表情が無かった。怒りのほどがうかがえた。
一緒に行くことを願い出たが、ライトネスに却下された。
今はここにいろと。ここにいる者をちゃんと守れ、と言われたのだ。
チェリーの側にいてやりたかったのは確かだった。ローランドは大人しく待つことにした。
その際、ルーシアから、大人しく寝ているようにときつく言われた。
掛けられた回復魔法は時間をかけて回復するタイプの魔法で、体力は今日寝れば明日には回復すると。
なのでベッドに横になっているように言われたのだ。
1週間もすれば腕も元に戻るとも言われた。
チェリーの隣のベッドが空いているのでそこで休めと言われた。
男女同室はどうかとは思ったが、近くで見守りたかった。
一旦は大人しく、そのベッドに寝た。
女性の寝顔を見るのは失礼だとは分かっていたが、気が気で無く、たまに彼女の様子を見た。
彼女は目覚めない。
その姿を見ているだけで、胸が張り裂けそうだった。
ほどなくしてライトネス達は戻ってきた。
聖騎士どもをそれなりに成敗したようだ。
また部下の神官戦士たちも20名ほどラーダ寺院に集まっているという。
戻ってきた部下の1人がローランドの寝ている所まで来て、そう報告してくれたのだ。
どうやら不心得者を部下から10名ほど出してしまったらしい。情けなさと不甲斐なさで申し訳無くなった。
報告と一緒に、メイスと小型の盾を渡された。
ライトネス邸から自分の武器と防具を回収してきてくれたのだ。
吹き飛ばされた手は左手だ。盾は持てない。仕方なく盾はベッドに置いておくことにした。
当面は使えないだろう。
体力は明日を待たず完全に回復していた。腕は生えていないが傷は癒えたと言って良かった。
ルーシアの回復魔法の強さに感服した。
どうやら皆、大広間に集まっているようだ。回復したなら、自分も参加するべきだ。
渡されたメイスだけを持って行くことにした。
ローランドは、チェリーの姿を確認した。
彼女はまだ目覚めていなかった。
「行ってくる。チェリー…」
その言葉が、チェリーへの、最期の言葉となった。
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●本コンテンツについて
・本コンテンツは同好者の間で楽しむために作られた非公式リプレイ内のショートストーリーです。
・個人の趣味で行っておりますので、のんびり製作しております。気長にお待ちいただきながらお楽しみください。
・原作の設定とは無関係の設定が出て来たりしております。あくまでこちらのコンテンツは別次元のお話と思ってください。
・本コンテンツの制作にあたり、原作者様、出版社様とは一切関係がございません。
・TRPGを行うにあたり、皆が一様に分かる世界観、共通認識を生んでくださった原作者様と、
楽しいゲームシステムを販売してくださった関係者の方々に、深く感謝申し上げます。
●本コンテンツの著作権等について
・本コンテンツのリプレイ・ショートストーリーの著作権はむーむー/むーどす島戦記TRPG会にあります。
・本コンテンツのキャラクターイラスト、一部のモンスターイラスト、サイトイメージイラスト等の著作権は、
むーむー/マーコットPさん/アールグレイさんにあります。
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●使用素材について
・本コンテンツは以下の製作者、原作者、製作素材等の著作物を使用して製作されています。
【プレイヤー】
・トゥナ・P
・マーコットP
・ヤトリシノP
・むーむー(GM)
【挿絵・イラスト】
・マーコットP
・むーむー
【キャラクター(エモーション・表情差分)】
・マーコットP
・むーむー
【使用ルール・世界観】
・ロードス島戦記
(C)KADOKAWA CORPORATION
(C)水野良・グループSNE
・ロードス島戦記コンパニオン①~③
原案:安田均、水野良、著者:高山浩とグループSNE
出版社:角川書店
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(ジャストシステム)
【シナリオ・脚本】
【リプレイ製作】
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【ショートストーリー・小説製作】
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・むーむー
(むーどす島戦記TRPG会)
【製作】
・むーむー/むーどす島戦記TRPG会