競馬最強の法則

競馬で立派に妻子を養う男 木下健の方法

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 回収率1800%の「複コロ」に

  木下の真髄を見た!

 

 「競馬で妻子を養う男」

   木下健の全方法、

    小倉で丸裸!

 

 いきなりアクシデント「お金がたらん!」

 

 馬券術としては、本誌史上もっとも長い「競馬で妻子を養う男」
木下健の連載。しかし、なぜか単行本も出ることなく不思議に
思っていたら、ついにその時が来たという。
 馬券で妻子を養えるほどの方法の全貌とは?
 早く読みたいなんて思っていたら、ひょんなところから、そんな
チャンスが巡ってきた。 「木下さんの実戦を取材してほしい」長らく
木下(以下敬称略)のページを担当してきた担当Oからの天の声だった。
 なんでも、編集長の指令で単行本の宣伝も兼ねて、
木下の実戦ドキュメントのページを設けるという。我々にはは、
木下健=「レベルの高いレース」というイメージがあるが、彼の連載を読んでいて、
他にもたくさんの馬券戦略を持っているはずだと確信していた。それを明らかにするには、彼の生活の基盤である馬券勝負、つまり実戦を見るのが一番手っ取り早い。この機会を逃してはならない。私は木下の馬券戦術はもちろん、彼の思考、姿勢、普段の素顔まで、全てを丸裸にするつもりで今回の実戦取材に臨んだ。

 舞台は8月10、11日の小倉競馬場。10日の土曜日に木下の仲間たちによる飲み会(オフ会)があるので、この日この場所になった。飲み会といっても、普段は中々会えない全国に散らばる馬券ネットワークの方々との情報交換を交えた軽いもの。こちらとしては、彼をさらに知るためには、このような会も好都合というものだ。 ちなみに担当Oによると、木下は普段競馬場には行かず、もっぱらグリーンチャンネルとPATが主体だという。「レースを徹底的に見る」木下らしいものだ。なので今回は、木下にはイレギュラーなケース。取材する側としては、いつもの力が発揮できるか少々心配だ。
 担当Oも、「単行本の宣伝も兼ねてるから、わかりやすい派手な結果がほしい」と考える一方で、
 「でもそれは木下いつものスタイルに反すること。できればいつものようにマイペースでやってくれれば、おのずと面白いものになるはず」 という完全に矛盾した心理状態である。
 ともあれ、迎えた10日の土曜日。9時30分に私が競馬場へ着くと、木下は馬券サークル仲間をふたり連れて早くも到着済みであった。
 それにしても、馬券で生活しているような人だから、取り組み方もきっとストイックなんだろう。そんな人の実戦を取材して邪魔にならないのだろうか? 初対面であることもあり緊張する私だが、こちらと違い木下は非常にリラックスムード。さあ、今日も競馬を楽しもうといった余裕すら感じられ、ある意味ひょうひょうとさえ見える。 しかし、初顔合わせだからといって、ゆっくり挨拶を交わしているヒマはない。すでに1Rは目前。私には「単なる午前中の未勝利戦」だが、木下にとっては大切な稼ぎ場かもしれない。早速こちらも取材態勢を整える。 が、ここでいきなりアクシデント?が。
 「朝早く着いてしもたんで、銀行からお金を降ろすヒマありませんでしたわ〜」 実は、木下のここ数年の馬券勝負は、「複勝コロガシ」である。いつも1万円からスタートして、週に大体7、8万円を目指すという。だがこの時点で、財布の中にはそこまで入っていない。慌てて、
 「お、お金貸しましょうか?」という担当Oの言葉に、「いや、なら今回は3000円から始めるからエエですわ。博打は自分のお金でやらないと負けますからね」との返事。
 木下にとっては、いつもと違うシチュエーションがどんどん重なりまくる現状に、不安になるスタッフ一行。これだから実戦取材は怖い。しかも今回の原稿を担当するこの私は、今まで何人もの馬券師の実戦を取材をし、そのほとんどの「 コロシ」てきた筋金入りの「馬券師クラッシャー」なのだ。
 その負のパワーがもっとも炸裂するのは、中でも「私がその馬券師の馬券に乗った時」。こんなこと、恐ろしくていえない。ああ木下もクラッシュするのか。その心配をよそに、とりあえずは3000円スタートの複コロ勝負と決まり、木下のゲートは開いた。

       

最初の1Rで、レースを見ながら「オリジナル出馬表」に数字を書き込む木下。

     

これはどうやら、その日の馬場を判断したり、馬の位置取りをチェックするものらしい。

     

「新馬戦裏血統馬券術」を試みてる最中。

    

これが愛機「TARGET」(データベースソフト)。今やパソコン競馬の定番、必需品。

 まず取材エリアを設けそこに陣取ると、早速木下はパソコンを取り出し、いろいろチェックし始める。すぐ側には、彼の作成したオリジナル指数入りの出走表(単行本に詳細)が置かれ、一般客がなんだろうと覗き込む。 各レースの馬をもう一度洗い直し、さらに各競馬場の情報、オッズなどチェックは続く。どうやら1Rは勝負しないようだ。
 1Rのファンファーレがなり、木下もモニターへ。競馬場なので生で見るかとも思ったが、普段は自宅で勝負しているだけに、やはりモニターのほうが慣れているのだろう。
 さてスタートすると、木下は凄い速さでノートに何かをチェックしている。邪魔とわかりながら覗かしてもらうと、馬番がバーッと書いてある。レースが終わって聞いてみると、
 「コーナーごとの馬の通過順を書いたんですわ。ゴールインした結果と見比べて、このレースの脚質の有利不利や、この日の馬場を読む目安にしてます。それにしてもこのレースは、1200やのに馬番のチェックしやすかったですわ。そんだけ先行争いが緩かったんとちゃいますかね〜」
 まだ馬券も当たっていないのに、驚愕する私。その私の驚きをよそに、
「3着のカシノビューティはよかったですねぇ。スタート後もたついたけど、ニの脚が早かった」と、しっかり馬をチェックするのも忘れなかった。

 本人も「レベルの高いレース」は
       信頼度大!!

 席に戻ると、相変わらずパソコンに向き合う木下。どうやら各競馬場の新馬戦のチェック(●別コラム参照)をしているようだ。調べている要素がたくさんありすぎて、こちらには理解しきれなくなってきた。必死に着いていく私は、もうレースが頭に入っていない。
 そんな時、木下も頭をひねり始めた。ついに勝負レースが決まったのか? しかし勝負は「複勝コロガシ」、つまり最初につまづいたら、それでもうこの実戦は 終了する。土・日の約13時間を対象にした取材が、たったの1時間で終了することだってありえるのだ。 対象となっているのは札幌3Rダート1700の未勝利戦、5番のエービーシーマーチだ。
 「この馬は2走前に『レベルの高いレース』で3着に入ってるんです」 2走前の『レベルの高いレース』とは、6月22日阪神4Rの未勝利戦。勝ち馬エスジービームで本誌8月号にも掲載している。このレースでは1、2、4、5着馬が続く2戦以内に必ず3着に入っている。エービーシーマーチは続く前走でも4着と好走。他の上位4頭が全て2戦以内に複勝圏内に入ったということは、この馬も『レベルの高いレース』から2戦目を迎え、今度こそ3着以内の期待大である。しかし……。
 「うーん、その『レベルの高いレース』の時は、アンカツが乗っていたのが気になる。今回は川島……。12番のコパノモリシオも気になるし・・」 下した結論は「見」(ケン)!見送りである。迷ったら買わない。これが木下の「複コロ」の基本である。 さて実際レースはどうなったか?
 結果エービーシーマーチは、4着。勝負を最後になって止めた着順が、これである。ここでちょっと、意地悪な質問をしてみた。
「見送ったレースが当たった時は、失敗したとか考えないのですか?」
「それは絶対ないですわ。何でもかんでも買うてたら、間違いなくスタイルを崩しますからね〜」
愚問であった。
 

                

    

不慣れなマークカードに書き込む。この日まで木下は「馬連」「マルチ」のマークカードを知らなかった。

    

レースを見ている木下。眼光鋭い。なんてことはなくて、フツーの人と同じ。

    

仲間としばし談笑。「生活するための馬券」なんて悲壮感は微塵もなく、むしろ楽しんでいる感じ。

     

払い戻し。やはり気分はいいみたい。

    

なぜか勝負は「新馬戦」大丈夫か木下?

当分勝負レースはなさそうだと思い始めた途端、そのときは来た。
 「札幌の4レース、行きますわ。13番のオースミハルカの複勝に3000円」 は?新馬戦?実は競馬場に着くなり、いろんな画面を開いていたが、そのうちのひとつが新馬戦出走馬の血統チェックだった。詳しくは別項のコラムの通り。本誌8月号で紹介した「新馬戦裏血統馬券術」というやつだ。
 ショッパイ自慢だが、実は私は、昔から新馬戦の予想は他のレースより得意である。予想の中心は「調教」で、これまでも多くのレースをヒットさせてきた。そんな私にとって、新馬を「血統で獲る」なんてことはまったくナンセンスなもの。また今まで数多くの「血統馬券師」に会ってきたが、新馬戦を得意にしていた人はひとりもいなかった。なのに「新馬戦で血統戦術」、さらに「失敗してはいけな複コロの一発目」、大丈夫か?そんな私の心配はどこ吹く風、オースミハルカは好位から楽に抜け出し、4馬身差の快勝。当たり前の表情をする木下と、ボー然とする私。 とにかく実戦の1レース目は見事に勝利。安堵の気持ちとは裏腹に私はショックも残った。「新馬戦裏血統馬券術」は木下が数多く持つ競馬の引き出しのひとつに過ぎない。そのひとつに、私の唯一といっていい「専門分野」で敗れてしまった。「木下恐るべし」を体感。


      <複コロ1回目>
 ・札幌4R 新馬戦
 ・1着 オースミハルカ 複勝220円(単勝750円)
 ・3000円→6600円
 ここで、私の取材が木下の勝負を大きく妨げることになってしまった。というのも、直後の小倉4Rにも、この「新馬戦裏血統馬券術」に適う馬がいたのだ。しかし、複コロ1回目の内容を詳しく聞こうとする私のせいで、このレースを見送るハメに。
 結果、木下の勝負馬だったメイショウカゼッコは、8番人気ながら逃げ切り。対象の複勝は590円もついていた(単勝2640円、馬連4560円、馬単●●円)。しまったと思う私の横で、木下のパソコンを覗いて馬券を買った担当Oが大喜びをしていた。
 

 

 

 

[複コロ1回目] 札幌4R新馬戦
 1着 オースミハルカ
 複勝220円 (単勝750円)
 3000円→
6600円

 

      続く「見送り」の連打もはやガマンくらべか 

 この過ちを繰り返してはいけないと、取材に慎重になる私。しかし、彼の顔には、ショックのかけらも見られない。こんなことは日常茶メシといった感じで、相変わらずのヒョウヒョウぶりだ。午後になって小倉6R、木下が動いた。ここでもターゲットは新馬戦。狙うは8番のケイアイクライメンであ。
 「上(兄弟馬)2頭からしたら、この馬もいけるでしょ」 それにしても「オリジナル指数」(単行本に詳細)もない2歳戦ばかりをどうして買うのだろうか。
 「いや、マジで結構来るんですわ〜。「ここ!」っていう勝負には向かんけど、今日みたいなコロガシの1回目やったら、まあ使えます。それに「最強の法則」8月号で書かせてもろたから、それを証明したいっていうのも、ちょっとあります」
 また我々のせいでスタイルを崩しているのではと、心配が。しかもこのレースには、、チャニングガール(1番人気)とマチカネマスラオ(2番人気)というマル外の評判馬がいる。またまた不安のなかスタートを切る。 人気のチャニングガールが軽快に飛ばす。さてケイアイクライメン(4番人気)はというと、最初こそ置かれたが、徐々に進出を開始。ゴール前はチャニングガールの独走となり、引き気味の画面は2着争いがわかりにくい。大丈夫か? しかし外に眼をやると、ケイアイクライメンが伸びてくるのが見える。見事2着に入線。これで複コロ2連勝だ。

      

     <複コロ2回目>
 ・小倉6R 新馬戦 
 ・2着 ケイアイクライメン 複勝240円
 ・6600円→1万5840円

しかし、ここから木下の動きが止まった。といっても相変わらずパソコンやモニター、そして自分のつくった「オリジナル指数入り出馬表」(単行本に詳細)とのにらめっこは続いている。これという馬が挙がるが、勝負に出るには何か足りないようだ。「派手な結果が欲しい」と思いつつも、まだ時間はあるし、ここでペースを崩されたら・・」と考えていた担当Oが、迷った末「マイペースで、いつもの通りやってください」と伝える。やはりいつもと違う環境、何より本誌の取材という状況が、微かにプレッシャーとなっているようだ。以下、木下が熟慮の末見送ったレース。
 ・札幌8Rハコダテサンサンは「オッズ不足」で2着。
 ・札幌10Rレディーシップは「1番人気が気に入らず」3着。
 ・小倉10Rデュランダルは「ゲン悪い」で2着。
 ・小倉12Rウインスヴェルトも「オッズ不足」で2着。
 この日は結局、最後まで勝負を手控えた。とりあえず最初の3000円は1万5840円に。回収率だけをみたら、一応500%。勝負中何度も「雑誌的にはここでイッタ方ほうがエエんでしょうか?」とこちらを気にかけてくれた気持ちはありがたかったが、木下はこれまずっと「素」のままでやってきた。だから私も、「素」のままの木下をレポートするのみ。まあ明日になれば何かしらあるだろうおもいつつ、この日の飲み会に場所を移した。


 
   「物差し馬」予想炸裂!展開の読みもピッタリ
 
   明けて8月11日、日曜日。まずは札幌2Rから。
 「ここはローズボー(13番)という馬が抜けてます。この馬行こかと思ったやけど、単勝1・2倍なんで複勝は話になりません。でももう1頭おもろい馬がおって、それがファイアフォーゲル。この馬は前走(7月27日函館4レース、未勝利戦)2着やったけど、、内容は一番よかったんですわ。その時のメンバーは、その前走で乗り役がミスって今度こそと横山典弘に乗り換えて成功したメジロガルシア(1着)に、UT馬(単行本に詳細)にもチェックしたヴァクストゥームと、なかなかのモンですしね。で今回は上積みもありそうやし、指数(単行本に詳細)もエエです。ローズボーが先行馬をつぶす展開になりそうやかし、差しやすい馬場も向きそう」
 いわゆる「ものさし馬」(単行本に詳細)を使ったといえよう。ところで12番ファイアフォーゲルは、6番人気で単勝20倍。昨日ほどではないが、まだ少し不安を感じる。だが確信ありげな木下は、昨日膨らませた1万5800円を複勝に入れ、勝負!予想通り、断然人気のローズボーが早めに進出すると、先行勢が苦しみ始めた。それらを尻目にファイアフォーゲルは外から脚を伸ばし、見事3着。展開も含め、ほぼ完璧な予想だった。

       

    <複コロ3回目>
 ・札幌2R 未勝利戦 
 ・3着 ファイアフォーゲル 複勝210円      1万5800円→3万3180円 

 これで昨日から3連勝。にわかに手応えを感じる本誌スタッフ軍団。しかし、いいことばかりは続かない。新潟2Rに木下が自信を持つ馬(ミヨノグリフィン)が出走していたのだが、小倉競馬場では、新潟の馬券は特別と最終レースしか発売していない。 終わってみれば2着に入っており、またひとつ当たりを捨てる形になってしまった。さらにこの直後、小倉の2Rの未勝利戦では9番人気のセイカアブが2着に入り、3番人気馬との組み合わせで馬連8500円。このセイカアブは前走「レベルの高いレース」に認定された7月20日の未勝利戦で5着に入っていた馬。すでにこの時の2、3着馬は勝」ち上がり、6着馬も続くレースで2着と好走。さすがは木下認定の「レベルの高いレースである。終わってから気付いて悔やむスタッフの面々。それに比べ相変わらず冷静な木下氏。しかーし、チャンスはまだあった。続く小倉3Rに、同じ「レベルの高いレース」に出走し4着だったチェリーフブキがいる。なにせ先ほどのセイカアブを含め2、3、5、6着馬が直後連対しているのだ。ならば4着馬のチェリーフブキもきっと連対してくれるだろうと単純に我々は考えた。だが木下は食指を動かさない。結果は4着。もちろん私はワイドを買ってました。木下が買わなかった以上、なにかひっかかるものがあったのだろう。
 こうしているうちにも、木下の「予想」→「勝負の見極め」→「見送り」は続く。
 ・札幌3Rエクセレンススパレスは「タイムオーバーで買えず」1着。
 ・札幌4Rハコダテノユメは「オッズ不足で見送り」2着。
 そうこうしてるうちに、すでに4時間近くが経過。そして小倉の9R、ついに動く。
 「9番のヒーリングガールに行ってみよかと思います。指数(単行本に詳細)的には7番のスターアラインに足りですけど、なんやこの馬、今回はヤバイそうな気がしますし・・。ここ(小倉)芝1700は、1コーナーまでの距離が短くて、このメンバーやと、先行争い激化しそう。それに馬場も差し馬向きになってきてますんで、ヒーリングガールやったら、中団よりちょっと後方に付けて、外をまわって差して来るんちゃいますかね」
 そしてレース。ヒーリングガール和田はほぼ木下の予想通り乗っているように見えるが、内にいた角田の馬が邪魔で動きにくい形になり、3〜4コーナーでもイマイチ伸びてるように思えない。嫌な予感がする。横で木下も声援を飛ばす。すると外から1完歩ずつ差を詰めてきて、あっという間に2着争いにまで飛び込んでいた。ほっと胸を撫で下ろすスタッフ陣。それにしても木下の勝負強さ、ハンパじゃない。
 
      

     <複コロ4回目>
 小倉9R 対馬特別
 ・3着 ヒーリングガール 複勝160円      3万3200円→5万3120円  

       実践最後の最後・・・結果やいかに

 今回の実戦取材もいよいよ大詰めな雰囲気になってきた。ここで、「できればわかりやすい、派手な結果が欲しい」担当Oが、 「木下さん、そろそろ、なんかこれっていういのがあれば、ちょっとガツン!といってもらえれば・・」 といった直後に、「あ、でもやっぱり、いつもと違うことは・・」いうことが矛盾している。当の木下からも、「できれば期待に応えたい」のと「でも自分らしくないことは・・」と気持ちでゆれ動いているのがヒシヒシと感じれれる。そしてその重圧の中、予想は続く。以下、熟慮の末やはり見送ったレース。
 ・札幌10Rアドマイヤジャックは「オッズ不足」で1着。
 ・小倉10Rバイアンは「タイムオーバー」で1着。
 さらに予想、そして見送り。
 ・札幌12Rマイダイナマイトは「オッズ不信」で5着。
 ・新潟12Rシンメイワンダー「決め手不足」で3着。
 そしてオーラス、小倉12R久留米特別。ここで勝負にいく構えをみせた。ターゲットになるのは5番テイエムロカビリー。木下の指数(単行本に詳細)や予想法(単行本に詳細)を大なり小なりとりこんでいるサークル仲間も、畑違いの本誌スタッフも、「この馬なら大丈夫、軸鉄板!」と全員が意見一致。だが当の木下、なぜか踏み切れないでいる。その理由を聞くと、
 「・・う〜ん、佐藤哲三っていう騎手が信頼できんのですわ〜。この取材を、テツゾーでしめるって、なんか煮え切らんっちゅうか・・・、あとこのレースは、それ以外にも、何か起こりそうな、嫌〜な感じがするんですわ・・う〜ん、やっぱ止め!止め! 止めときます! 申し訳ないけど・・」
 担当Oも「まあ無理してまでは・・」と、もはや腹を括った様子。やはり木下は「そのまま十分」との判断のよう。 そして最終レースがスタート。すると、いつも早めに進むテイエムロカビリーが後方にいるではないか。ちょっと待て、・・さすが佐藤哲三、いや木下??? 結局同馬は5着。うなだれる木下以外の面々。すると場内から突然大きなどよめきが。
 ターフビジョンに確定した配当が出ている。「3連複 83万6510円」翌日の新聞で、「JRA史上の高配当記録」と報道された、あれだ。
 

    今回の実戦のまとめと単行本の宣伝
 

 さて、今回の実戦取材、いかがだっただろう。最終的に「複コロ」は4回成功し、5万3120円に。回収率にすれば約1800%だ。これは人よっては、物足りなく感じるかもしれない。が、そういう方には、ぜひいいたい。「複コロで、毎週『確実』に、1800%とはいわないから、800%計上できるか?」これが1万円単位からできれば、その人は恐らく、木下と同じ馬券生活者になれるだろう。それくらい「複勝コロガシ」というのは難しいのだ。これまで同じような馬券師をくさるほど取材して来た私が、断言する。それに、何よりもいいたいのは、その予想の正確さ。それは今回の取材では、当たったレースは当然ながら、実はある意味、「見送り」の方に隠されているいるのではないだろうか。
 この2日間、
 ・「勝負しようかと考えたレース」は16レース
 ・「実際に勝負したレース」は4レース となると、
 ・「見送たレース」は12レース
 この「見送ったレース」のうち、木下の「複コロ」の対象である3着を外したのは、札幌12Rの1レースのみ。予想としてなら、15R÷16R=的中率93.75% なのだ。それに「複コロ」自体は、あくまで「買い方」の部分な。予想だけなら、恐るべき的中率、いや正確さといえる。それにしても、これだ見送って、当の木下は、悔しくないのだろうか?
 「・・う〜ん、『複コロ』は、外した時点て全部パァですからねぇ、そないに考えてたらキリないですわ〜。でもあんまり連続すると、ちょっとストレスたまりますけどね(笑)」
 なるほど、確かに。「コロガシ」の基本は、「狙ったレースはすべて当てる」でることは、いうまでもない。だとすれば、木下の「予想」と「買い方」の関係はいわば、「予想が自信のあるレースから、さらに勝負レースを選んでいる」といえるのではないだろうか。この関係を、わかりやすくするために、アホみたいな図を作って見た。下の図の通り。

 最後に、思いっきり単行本の宣伝をしておく。担当Oの命令でもある。連載の「レベル高いレース」以外にも、今回の実戦ででてきた「オリジナル指数」「UT馬」やその達人的な「レースの見方」、果ては「馬場」「展開の読み方」「騎手」「予想方法」「儲ける買い方」・・・ああ面倒くさい、とにかく「木下の方法」のあらゆる部分を網羅する、分厚い本になるらしい。「新馬戦裏血統馬券術」なんてのは、数ある木下の「引き出し」のほんの一部分にすぎないのだ。私には、これだけでもスゴイのに。
 ともかく、一家に1冊といわず、2冊3冊! 予価は2800円だが、読めばすぐに元は取れるはずだ。

    8月号掲載の「新馬戦裏血統馬券術」は

      マジでスゴかった!

 実戦レポートの「新馬戦裏血統馬券術」は、本誌8月号で紹介しているが、その時の号を引用してみよう。
 「とにかくね、新馬戦に出てきた馬の兄弟馬を一頭一頭探しますねん。兄弟ゆうても何頭もいてる馬もいれば、一頭もいてない馬もいてますからね。けど、兄弟がいてる馬だけでええですわ。兄弟のいてない馬のことなんか、この際無視します(^o^)。見つけ出したら兄弟たちの成績を見ます。ポイントは次の通り。
1 新馬1〜2戦目を好成績で走っているか。
2 通過順位は前で走っているか。
3 ダート成績(今回ダート戦の場合)
4 兄弟馬の距離適正
 以上ですね。
 ほんとに以上だ。いやそれにしても、これがおもしろいほど当たるのだ。担当Oも狂喜していた。今回の実戦でさらってみよう。まずは、木下の「複コロ」のスタートにもなった8月10日札幌4Rの新馬戦。一頭一頭ていねいにパソコンを使って兄・姉を調べていく。すると13番オースミハルカの兄、オースミエルストがデビュー戦の1000メートルで逃げ切り。これだけでOKだ。結果は実戦の通り。
 同じ日の小倉6Rは8番ケイアイクライメン。兄のケイアイバリアがデビューから2、2、1着でいずれも先行策。とくに3戦目の初芝で勝利を挙げ、芝向きがわかる。もう1頭の兄ケイアイミリオンは芝を使ってくれないのでデビュー直後はダートばかりだが、初戦の新馬戦を逃げ圧勝と、性格が新馬向きと判断できる。他にも気になる馬がいるが、メイショウレグルスは上が完全にダート馬。ランドストロングは、兄ランドミラクルが新馬好走も脚質が新馬向きじゃない(後方から行っていた)。ミッドフィルダーは兄トウカイアロー、ブリリアントノバが新馬から好走も、今回の状況(芝1200メートル)とは全く違う舞台。以上の理由で消しとなった。 ケイアイクライメンは2着。消した中では、まだマシかなと思ったミッドフィルダーが3着(複勝1070円)。「距離延びておもしろい」と木下。木下は買わなかったが、こそこそパソコンを覗いていた担当Oも、ちゃっかり儲けた。狙ったのは小倉4Rのメイショウカゼッコ。結果は見事1着で、Oは単勝2640円、馬連4560円の穴馬券をゲット。馬券のコピーを参照。
 明けて日曜日。「新馬戦は調教から」の私もついに木下理論にのることに。
 札幌4R、ダート1000の新馬戦。本文中でも申し上げたが、私は「10年以上新馬戦を中心に馬券勝負してきた」男だ。それなりの自負もある。なのでここは、評判馬ワンダーボーイが相当な確率で勝つと、経験から断言できる。といっても単勝180円。馬連は相手がわからない。すると木下が、
「ここはハコダテノユメかな?」で試しに1点勝負し、見事的中。今回はホントいろいろお世話になりました、木下さん。
 ところで、この馬券術には少し難点がある。本誌8月号でも書いてるが、パソコンを持っていて、なおかつしっかりしたデータべ―スソフト(「TARGET」など)を持っていないと、調べるのに手間がかかる(詳細は8月号を)。
 何かいい方法がないかといろいろやったが、パソコンのない人は、過去の競馬四季報を揃えて調べるしかないか。 パソコンを持っているが、データベースの類がない人は、インターネットを使い「インターネット血統表」と入力。画面が出たら馬名を入れる欄に、新馬出走馬の名を入れる。すると血統表が出てきて、下を見ると兄弟の欄がある。これをクリックすると兄弟名が出てくるので、さらにこれをクリックすると成績が出てくる。しかしこれも、やはり手間。でも効果絶大なので、このまま指を加えているのわ悔しい。なので、もっといい方法があったら誰か教えてください。一番いいのは、「TARGET」導入か?
 

   
 

 

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