`01/11/8更新:頼んでおいたナイフがやっと出来た

フイゴに呼ばれて `01/2


 わたくしめ、鍛冶の神に見込まれてしまったのだろうか。。。なんと、三尺の上物のフイゴが格安で手に入ってしまったのだ。
 それも殆ど傷んでいないもので直ぐに使えるものだ。八王子の長房辺りの鍛冶屋さんの持ち物だったらしい。此の件を、小山師匠に報告すると、傷んでいないなら鍛冶屋さんが予備に持っていたものだろうと仰る。
 以前には、小山さんが、信州高遠に廃校になった小学校を工房(木工、陶芸の)として持っている偏屈大学教授N氏に、鍛冶場も作るという理由で手持ちの予備のフイゴを上げるのを横で羨ましげに見ていた経緯もある(N氏も小山師匠には、古道具屋で見つけた出物があると色々持ってきている)。その時は、場所もないし自分が持っていてもしょうがないからなあ、でも、わたしもフイゴが欲しいなあと横目で見ただけだった。また、縁があれば手に入るだろうと思っては居たのだが。。。

 それが、まさかリサイクル屋から出てくるとは。目が利き、観察眼の鋭い小山師匠を二度もお連れしているのにも関わらず、そのリサイクル屋に、誰にも気づかれずにフイゴが残っているとは。それも、4500円の値札が付いた上物が。。。

 今日は気分がいいなあ、ちょっとお出掛けしようなどと、仕事を放って車で出掛けたわたくし目が、リサイクル屋の社長に言った一言、“鍛冶の真似事したいので一軒家を探しているんだ。”で、フイゴが登場したというシチュエーションがとてもいい。やはりシンクロニシティが起こるのは意味があるでしょー。
 いやいや、此は、わたくしめのために取って置いていただいた ものでしょう。そう考えるしかない出合いでしたね。

 で、どうするんだアパート暮らしで??? 早く良いところを探して引っ越さないとね。どなたか良いところご存じ無いですか。山の中の一軒家。日当たりが良くて場が良い農家が良いなあ。仕事柄関東近郊が都合良いのですが・・・それも西側が。

  フイゴはリサイクル屋さんに礼儀を欠くといけないので、いつもの儀式。社長!安くしてよー、と4000円でお支払いを済ます。もっと値切っても社長は引き受けてくれたのだろうけれど、あまりやりすぎるのもフイゴに失礼かと思い、一言で済ます。

では、4000円のフイゴの初公開!!!

狸の毛もピンシャン。奥に見える四角い板はエアバルブ。
二カ所のエアバルブと送気口は板が打ち付けられていてネズミが進入しないようになっていた。
どーです。いいでしょう! 4000円。このリサイクル屋の名前と連絡先は、ええっと、忘れちゃったなあ。。。
領収書も貰ったことないしー(おお、教える気なさそうー)。
す・み・ま・せ・ん!

 以上。

by フイゴに呼ばれたRecycler `01/2/21記す。


`01/3/17追加

 先日、確定申告の期限が過ぎた翌日、確定申告の書類作成をしていて悟った。もう、今日中には出来ないわ、やめんべえ。。。
 で、小山師匠の工場に、別ページにも書いたチベットの忿怒尊を引き取りに行きながら、ふいごをお見せしに行くことにした。他にもお届け物もあるし。

 こりゃあ良い買い物をしたなあ。。。殆ど傷んでいないし丁寧に使ってある。と小山師匠。昔はここに桐の木で作ったパイプを差し込んでフイゴに熱が伝わらないようにしたんだと、詳しく伝統的なふいごの設置の仕方を教えていただく。でも、現代では耐火煉瓦を使って、かつ火床の大きさを固定しないで変えられるようにしておくと、大きなものの火造りをするときには便利なんだ、と今風のやり方、設置の仕方を詳しく教えて貰う。3尺あれば充分な火力が得られるそうだ。刀鍛冶は4尺のふいごを使うそうである(ですね?)。
 大分、小山さんが昔、都内の古道具屋で見つけた3尺のふいごは1万5千円だったそうだが、もっと傷んでいたらしい。もっとも、最近はふいごなんて出てこないから手に入れられただけでもラッキーなのに、4千円は良い買い物だったと、何度も言われた。因みに師匠は、使っているものを含めてふいごを3機持っている。

 これは家の近所のリサイクル屋(ふいごを買ったところ)でみつけた水牛の頭。その場で師匠に電話をして必要かどうか聞いたら、安かったら買っておいてくれという。リサイクル屋の親父に聞いたら5千円だというが、でも、、、こちらが値引きの一声を出す前に、2千円で良いから持って行け、と親父が言う。ついでに直径60cm以上はある銅の大きなボール(あんこやカスタードクリームを練る用の)の値段を聞いたら1万2千円だというので、併せて1万円にしてくれと頼んだ。
 親父は引き取りの時のメモを見せて、その銅のボールは仕入れが1万2千円だと言う。そうかあ、それじゃあ悪いから要らんわ、牛だけ2千円で頂戴な、と2千円を渡そうとしたら、親父はわたしの手から1万円札1枚と千円札1枚を取って、これで良いわと曰った。
 リサイクル屋のおやじはわたくしめに良いものを安く提供するために働いている。いい仕事してますねえ。感謝感謝!!!

 その水牛の首を早く車の荷台から降ろしたかったので喜んで小山師匠の所へ届けた。その角を骨から引っこ抜いて、これは良い色が出るかも知れない、と喜ぶ師匠が上の写真。もっとも、切って見るまで中の色が解らないそうだが。
 このところ此のリサイクル屋で、もっと大きな角セットを3セットも小山師匠に言われて買っているのだ。上の写真の角の倍近くもある大きな角だが、どういう趣味か解らないけれど、こんなのを置物にする人達が沢山居たんだねえ。リサイクル屋に沢山置いてある。
  それを3千円とかいうのを1セット2千円にして貰って3セット買ったのがつい先日。これは、ナイフショップで売っているハンドルの材を買うより安いし、いい具合のに当たると面 白いものが出きるので、良さげなものが目についた時には買ってストックしておくのだ。
 小山師匠は材料もストックだらけ、ナイフもオーダーストックだらけで、何人もの顧客を待たせている癖に気が乗らないと全然作らないものだから、作りかけが沢山ある。師匠は置いておくことで熟成させているんだとか、自分のパワー(ヴァイブレーション)を籠めているんだとか言っているが・・・
 足下にも立て掛けてあるハンドル材の木は、メイプルやブビンガ、カリンの根っこなど、数日前に東京、木場の木材ショップ“もくもく”などで5万円分ぐらい仕入れてきたものだ。
 本業が忙しいと曰って、ちっともナイフ造りが進まない。そのわりには、古道具屋や材料屋には週に何回も足を運んでいる。自分のの父親にやろうと思って頼んでいるナイフ(下の方。上のはわたくし用)も去年の秋から何も進んでいない。父親が爺さん婆さんからお呼びが掛からないうちに作ってくれるように頼んでいるんだが。。。

 と、此の文章を書いていたら小山師匠から電話を貰った。お友達でナイフを作る人が焼き入れをしてくれと持ってきたのだそうだ。電気炉でやると大変だから酸素で良いよとお友達が言うので、酸素で焼き入れをして上げたら、バッチリと良い焼き入れが出来たそうだ。
 そして、 そのお友達やら、近所の人間が件の牛の頭を見てみんなで驚いていたとのこと。師匠は、午前中仕事をしないで皮を剥いで中の頭蓋骨を取り出していたらしい。受けて良かった。でも、早う仕事を仕上げて、ナイフ作りもお願いしますぜ。。。

以上


`01/11/8追加:頼んでおいたナイフがやっと出来た

 頼んでおいたナイフがやっと出来た(上の写真の作りかけのもの)。が、沢登りのシーズンもキノコ狩りのシーズンも終わってまった。今回出来上がったのは、父親に上げようと作って貰った刃渡り5cmのユーティリティナイフ(1年前に頼んだ)と、自分が沢登りなどに行く時用の登山ナイフ?刃渡り9cmだ。両方とも材はATS34のミラー仕上げ。小山師匠のナイフは、鋼が洋材でも炭素綱と同じように良く切れ長切れすると猟をする人間にも評判だ。でも、本人は作っていて楽しいのは火造り鍛造の方ということなので、洋式ナイフはあまり作る気がないようだ。たまに気まぐれて、洋材まで鍛造するような戯れをやるようだが、単に見栄でやっているだけで意味はないと自分で言っている。

派手さはないが、実用的で使いやすい。
刃付けは、蛤刃だ。

 

柄はカリンのコブ材。上品ないい味を出している。
ストラップを通すための処理がこれも上品で手間が掛かっている。

 

こちらは自分用。シースは自分で作る予定。カイデックスのシースは、東京マタギの深瀬氏が教えてくれるというし、皮のシースは、ラブレス直伝を教えてくれるというS氏に習う予定。お教えを請い、ものに出来る様頑張りましょう。 ハンドル材は、チップマイカルタ。ちょっとカメラの腕が良くないので、ハンドルの部分の微妙なアールが表現されていない...実物は、こんなにのっぺりして居らず、良い形をしている。切れ味は、週刊誌の雑誌ならグイグイ押していくと幾らでも二つに別れる

 ハンドル材の風合いは上品で、持ち主によく似合っているのだが...(^^;;...この色では、山で落としたら探し出せ無さそう。山で使う鉈の様に、オレンジ色の派手なテープでも巻いておきましょうか。。。
 また、ストラップを通す穴があいていないのは、小山氏が作りかけて放っておいたもの、それは上記の水牛の頭がどうこうという所の記事にある写真の作りかけのストリップのナイフ、それを譲ってくれと頼んで仕上げて貰ったからだ。最初から、デザインして作って貰うとなると、1年以上は出来上がってこないこと確実なので、早く欲しい為に妥協してしまった。もうこの工程まで来ていたら孔は開けられないと言われて納得した。まあ、此のナイフは藪払いには多分使わないだろうから、ストラップが無くともまあ由としよう。

こちら自分用のものも和風の蛤刃。切れる切れる。薄紙は当てるだけで音もなくスーッと切れる。
A4サイズのコピー用紙の端を左手に持ち、その持ったところから2cm位離れたところに、 そおっとナイフの刃を乗せ、そのナイフの
自重を掛けただけで、シューッと刃が紙を切り裂き下りていく。刃が、引っかかる感じがまるで無い。
小山師匠の作るものは、洋式ナイフでもみな蛤刃だ。これは研ぐのが難しい。
シャープナーなんかじゃまともな刃はつけられない。
ちゃんと研げる人向き、やる気のある人向きだ。
自分の所へ持ってくれば研いでやるよとは言うが。。。
人工砥石でいえば1200番くらいの中砥。2000、3000番くらいの仕上げ砥
(キングの場合は一番上の白い砥石のもの)。それからバフ掛けでやる。
もっとも、蛤刃(ロールグラインド)とは言っても、フラットグラインドでV字型
に収束した後に、刃先の方だけ蛤になっているので、極端に難しいわけではない。
じつは、このATS34鋼材の自分用ナイフ、火造りで鍛造してある。余計なことかも知れないが、
鍛冶をやるもののこだわりらしい。ATS34の含有物のせいで、圧延性が良くないため、
焼いて赤め、ハンマーで打っているうちに、材が割れてしまうことが多いとか。

 

去年作った樺太アイヌタイプのマキリ用の刃を模した少し大きめもの。
刃渡りは約9cm片刃。鋼材は白紙2号。北海道の方に5本頼まれた。

`01/11/13追加:切り傷にはアロンアルファ!
 小山氏のナイフは、洋式のものも炭素綱のものと同様に良く切れるし、長切れする。
 切れ味はバッチリだ。

切れ味最高!.....なんて、OKサインを出しているわけではない。どのくらい切れるか、やはり自分の身体を呈して試してみようと、夜中に体内をアルコール消毒してから執行した。その後の、修理法を写真に撮っているだけ。(^^;;
画像をクリックするともう少し詳しく観られるが、血を見るのが嫌な人は、わざわざ開くことをお薦めしない。
書きたいことは、切り傷にはアロンアルファがとても良い、これだけだ。

12/1:上記の、カリンのこぶのハンドル材を使った小型のユーティリティナイフ(父親へのプレゼント用)を見て、自分も欲しくなった。小山師匠は、同時に同じタイプのものを何本づつか作るので、同じ様なものがもう一本作ってあった。刃の形もハンドルのデザインも微妙に違うのだが、電話で他の方に売らないように唾を付けておき、それを受け取ったのが今日。

先に掲載した同様のタイプと、かなり印象が違う。一番は目釘(とは洋式ナイフでは言わないが)の太さが違う。ハンドルの形も違うのだが、機能的なところでも、先のものとは、刃の形と刃の角度も違う。 ちょっと分かり難いが、ハンドル部分は微妙なシェイプを描いている。ハンドルは、カリンのコブ材。ナイフを映している、ちょっと傷が多い此の鏡は、純チタン材の板、ミラー仕上げ。新潟、燕の(株)ホリエ製。

 

全長145mm、刃渡り50mm、重量40g
シースに入れた状態で、160mm、重量75g

 以上


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・【考察とお願い】
・【番外編】にわか鍛冶ワークショップ
・【更に番外編】フイゴで炭を熾し、炭焼きバーベキュー

・ある日の小山製作所`01/2
・手打ち鉈他、造林用の良い道具類を手に入れる`01/2---刃物は使ってなんぼ。使わなければ良さは解らない
・フイゴに呼ばれて`01/2---鍛冶の神に見込まれてしまったのだろうか。欲しかった鞴の上物が格安で!
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・騙された渓(メタボリック沢登り)ぎょうじゃにんにくぎょうざはどうじゃ?の巻 2008年7月:沢には原初の汚されていない美しい風景があり、そして美味しいものが沢山ある。天気にも恵まれ、楽しい仲間たちと行けば、それは天国さ。それにしても荷物重てぇなあ。一泊なのになんでこんな荷物背負ってるんだろ。足下が良きゃいいけど、ちょっと滑ったら滑落だぜ。俺等なんか勘違いしていないかなー。
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