深瀬校長には、日頃お世話になっているので、工房の製品を紹介させていただいてしまおう。自分は、炭素綱の火造り鍛造手打ち包丁が好きだが、沢では何とも具合が悪い。沢では、泳ぎ、飛び込み、シャワークライミングと、如何せん炭素綱鍛造品には分が悪いのだ。やはり錆びにくい材質の刃身で、グリップも水を含まないもの。シースはカイデックスという熱可塑性プラスティック素材。シースを縫うのは水を吸わないナイロン糸だ。
 沢では料理することが多いので、形状も用途に特化した独特のフォルムを持っている山包丁を紹介する(仕事じゃないよ。興味ある方は下記連絡先で聞いて下さい)。

深瀬氏がJKGのショウに出展したときの写真
シースは、皮もあるが、沢登り用には濡れても平気なカイデックスを使用

 山包丁が、ヒルトより刃の部分が出ているデザインなのは、まな板の上で調理がしやすいようにするための形状。沢登りでは、料理をする機会が多い。食材も水も豊富にあるからだ。沢登りを楽しむ人は、良い刃物が欲しいことを実感されているだろう。また、料理だけでなく多岐にわたって刃物は要る。あとは、軽くて良く切れる鋸があれば完璧だ。火を熾して夜の沢はパーティ会場になる。

山包丁とマメ包丁
深山で、釣った岩魚を捌く

ナイフがないと、手と歯を使って料理しないといけない。
て、言うのは冗談で、岩魚は内臓を取り出し、鰓と腹のところを
ナイフで割いた後、皮を歯で噛んで引くと綺麗に皮が剥ける。
生命力の強い深山幽谷の野生の岩魚の皮が持つぬめりは、強い指を持ってしても、
簡単に摘めるほど柔ではない。岩魚はそのぬめりで身体を守っているからだ。

「深瀬工房」:“山包丁”・鋼材ATS34他、刃長125mm、刃厚2.6mm〜3.5mm。グリップ・キャンバスマイカルタ、和鹿の角他。価格6万8000円から。受注生産、納期約3ヶ月。“豆包丁”刃長60mm以下、刃厚3mm、グリップ・キャンバスマイカルタ、和鹿の角他。価格2万5000円から。
“山の男は料理がうまい、うまい料理は切れるナイフから”

「ナイフ教室のお知らせ」:深瀬工房では、一枚の鋼材から1本のナイフが出来上がるまで指導します。世界に1本しかない自分だけのナイフを作ってみましょう。1日20,000円〜、鋼材、熱処理代、材料費別途(1日2名まで、平日歓迎、但し教室のオフシーズン中に限る。11月から2月くらいまで)。下記までお問い合わせ下さい。
東京マタギ、ナイフメーキング教室?`06/3:“此のページの後編を追加`06/3”熱可塑性樹脂カイデックスを使ったシース(鞘)作り& 山菜キノコ採り教室の風景


「深瀬信夫」:1947年生 関東沢屋交流会:代表世話人、遡行同人「梁山泊」代表、JKG(ジャパンナイフギルド)会員、著書、ビデオ多数、NHK、ニッポン放送系、フジTV系出演多数。

 生まれは宮城県。ご幼少の頃から山菜、キノコ採りは、日常業務だったとか。子供の時は山で遊ぶことが多く山の恵みを持ち帰るとご両親が喜び誉めてくれたこと、また、その料理が美味しかったことが原点となっている。長じて、縦走、冬山、山スキー、岩登り、沢登り、鉄砲打ち、渓流釣りを行ってきた。特に、杣人やマタギでもきびすを返す激流の徒渉や飛び込みを得意とする。水量が多いときの黒部上ノ廊下、柳又谷などの遡行に関しての実績は沢屋の中でも群を抜く。また、山菜、キノコの種類から料理まで博識。食うこと飲むことに関しては、特に執着が強いため、料理の豊富さも凄く、それを山奥で執行してしまうところが特長。深山での生命力に関しては、ピカイチだ。斯くして、いつの間にか東京マタギの名が付いたというわけ。
 また、その性格は、見かけに似合わず気遣い心配りの人柄だ。だから、此の講習会は、何時も楽しい雰囲気で笑いが絶えない(食べ物も美味しい!)。また、講師陣や仲間も自然とそういう人が集まってくる。
 実は、この講習会中の大きな怪我が殆ど無い。それは、この様な人柄と雰囲気から来るものと考える。沢登りのようなシビアな遊びは、当然技術は大事だが、その技術だけでなく、心持ちや他人や自然に対して気遣うという意識がないと、大事なところを見落としてしまう。此の講習会では、全体がそういう雰囲気のため、自然とそういったことが身に付くことがよい。
 卑近な例でいえば、この講習会の参加者は、美味しい食べ物を持ってくることを希望される。いや、義務ではないので、無理することはないのだが、工夫したり努力したりするのが見受けられれば、それは、受講生同士でもコミュニケーションが深まり雰囲気も盛り上がる。中には、美味しい果物をお土産に持ってきて、「はい、お土産。」とそのまま校長に手渡すお方もいるが、そういった人でも回を重ねると、不器用ながらも自分で皮を剥いて周りのみんなに食べ易いようにして出すなどの気遣いをするようになる。また、自分で料理をし、そのゴミや道具の後始末を自分自身ですることにより、自分の中で完結し、環境や周りに対してのことを考え行動する意識が芽生えることになる。
 こういった具合で楽しい講習会が進むから、危ないことをやりながらも、危険な目に遭わず、単に沢登り技術や方法だけでない付加価値の高いものを身に着けられるのが深瀬教室の美点であり特長である。微妙なバランスの上に成り立っている原初の自然が残る渓には、そういう人だけ行って欲しい。渓魚、山菜、キノコなどを根こそぎ盗ってしまうようなメンタリティでは無い人に。。。永続的な循環するサイクルの中で我々が楽しく生きているためには、自分の後始末は自分で行い、かつ他人や環境の事を気遣えるメンタリティを取り戻す事が必要。
 その為に、沢登りは良い場を提供してくれると思う。どーですか?深瀬教室。。。当サイトのお薦め理由

“深瀬工房”お問い合わせ先Tel、Fax 0492-71-0978
e-mail:matagi@mta.biglobe.ne.jp

フットホールドの取り方、グリップのさせ方を説明する東京マタギ深瀬信夫氏。親指の付け根が一番力が入るので、岩の凹みに合わせグリップする。 東京マタギ2001年の沢登り講習会の1回目。丹沢勘七の沢の15mを登る。此処は、ホールドだらけの登りやすいところだが、それでも濡れて滑りやすいので慎重に登るべし。

 

上から見るとこんな感じ。下の方に座っているのが深瀬氏。瀧の音にも負けないデカイ声で指示を出している

「深瀬信夫のアウトドア教室」:東京マタギのサイト。此のWebサイトの【教室スケジュールのページ】の中に【ナイフメーキング教室】のページがある。そのページに深瀬工房での山包丁製作作業工程の画像が詳しく載っている。興味がある方はご覧あれ。※ナイフメーキング教室は沢登り、山菜キノコ採りシーズンが終わった11月から2月くらいまでの平日のはず。

東京マタギ、ナイフメーキング教室?`06/3:“此のページの後編”熱可塑性樹脂カイデックスを使ったシース(鞘)作り& 山菜キノコ採り教室の風景
2000年5月某日某所、東京マタギの沢登り講習会の前夜
山岳渓流ガイド:東京マタギの講習会


・日本の智慧:鍛冶屋さんに日本古来の鍛造法でナイフを作って貰ったへ戻る
・【考察とお願い】
・【番外編】にわか鍛冶ワークショップ
・【更に番外編】フイゴで炭を熾し、炭焼きバーベキュー

・ある日の小山製作所`01/2
・手打ち鉈他、造林用の良い道具類を手に入れる`01/2---刃物は使ってなんぼ。使わなければ良さは解らない
・フイゴに呼ばれて`01/2---鍛冶の神に見込まれてしまったのだろうか。欲しかった鞴の上物が格安で!
・中古道具屋・砥石屋さん巡り`01/3---少ない投資で充実した設備。新品? 要らんやろう。。。丹念に探せば出物があるある
・火造り遊び`01/6---長野からMちゃんが鍛造ナイフを造りに来た。オイ、止せよ、アブねえなあ。ナイフ振り回すな.....って。(^^;;
・新しく出来たナイフの仕上がりを調べるために、自分の指で試したバカな奴の話。恥ずかしいので知り合いだけにと思っていたけれど、此の切った指の修理方法は結構有効なことが経時変化で解ったので、敢えて恥を忍んで公開。やっぱり、切り傷にはアロンアルファでしょ!--`01/11/14
・東京マタギ深瀬工房製ナイフ、山包丁:まいどお世話になっている深瀬校長のナイフの紹介ページを作ってしまった。沢屋さんにはピッタリよ。
・刀鍛冶のところにお邪魔してきた'02/秋
・特別貴重刀剣認定書付き、太刀姿日本刀譲ります:日刀保の認定書付き、博物館クラスのもの“備後國住正広”。知人に依頼されたものをWebサイトにもアップします。ご縁のある方に。`03/7/5
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・肥後の守の使い易い点?---家の近所の金物屋さんに寄ったら肥後の守で竹とんぼを作っていた。切り出し小刀などより意外と使い易い肥後の守の形状とは???って、大したことではないのだけど取り敢えず書いてみました。(^-^;;--`04/12/5
・東京マタギ、ナイフメーキング教室?`06/3:熱可塑性樹脂カイデックスを使ったシース(鞘)作り& 山菜キノコ採り教室の風景
・小さいけれど本物。ミニ沼田鉈「鍛冶屋の誇りが籠もっている鉈?」`06/8---“趣味のミニ鉈”とは書いてありますけれど
・東京マタギ深瀬教室の仲間とのキノコ&蕎麦の会 `07/11/20---裏々キノコ教室:性格悪い奴はキノコ採れない伝説。楽しい仲間とのキノコ採りの風景と、少しばかり美味しく出来るようになった蕎麦打ちのプチ自慢。性格悪い奴ほど能書きが多い!!!って、、、誰のこと?
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・“山仕事の道具と技術、智慧は、自給と自衛の基本”(社)全国林業改良普及協会刊 森と暮らすNo.2「ノウハウ図解山仕事の道具」(`08/6/10発行)のお薦め-----自給自足、半農半X、田舎暮らし、農的生活指向の方々に必須? 自然と共に暮らそうと思ったら山と木々があってこそ。本書は、山主や林家向けの入門編の本だが、山の作業と道具に関わることから安全管理まで全てを網羅している。当サイト管理者も、鍛冶屋の智慧や、道具類の修理修復、熱可塑性樹脂カイデックスを使った鉈や道具類の鞘(シース)作りのページを70頁ほど書かせて貰った。実践的な智慧が籠もった本なのでお薦めする。---`08/6/11
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