マッタリとした宴会に、深山の夜は更けゆく(エゾ鹿さんに感謝)の巻き

 最近、あんまり書くことが無いので、ちょこっとだけ、仲間内と、東京マタギにアクセスしてきた方にレポート
 2000年5月某日某所:沢登り講習会の前夜のみ  by:Recycler


 五月某日、土曜の昼。トゥルルル。「ハイ、×××××です。」と、営業モードの声で仕事場の名前を元気よく言うワタシ。
 「深瀬ですう。。。ご無沙汰あ・・・」 おお、深瀬校長から電話だ。だみ声のオッサンの声はすぐにわかる。
 「なに、あのホームページ作ったの○○さん?」 おおっと!“さん”付けだ。
 「やっぱりそう、、、だれが作ったのかと思ったよお。良く見ても誰が書いているのか、名前が良くわかんないんだもんね。」「いや、奥ゆかしいね。さすが○○ちゃん。」 前からHP作るからフィルム貸してって言っていたじゃない。。。 それに名前は、モノを売っている家頁だけにしか書いてないの。。。偉そうな能書きばかり書いているから、こっ恥ずかしくて名前なんて書けないですわ。

 「今晩から、○○で講習なんだけど、遊びに来ない?」 なんだ、文句じゃなくて、HPの出来を気に入ってくれたみたいだ。
 いやあ、明日外せない用事があって、折角だけど残念ながらだめっスよ、と言うと。
 「じゃあ、夜だけでもお出でよ。近いでしょ?」 なになに、、、夜だけでも来い。。。うーん、、、つまり酒のつまみを持ってこいと言うことかなあ???

 解りました、ちょっと予定を立ててみますと、電話を切って、すぐに知り合いの猟師に電話を入れる。「Nさん、まだエゾ鹿の肉ある?」 OK、あるよ、と言うことなので、夕方に取りに行くことにして、校長に電話れんらくをし、今晩、現場にお邪魔することを告げる。校長は夜の8時に秋葉原で受講生をピックアップしていくので、現地に11時半頃に着いているという。それに合わせて小雨の中を夜の9時頃に、当地、神奈川県西部のど田舎、山の中の自宅を、これまた更に山の中に向かって出発。

 国道をひた走り、やっと山に入って現地に向かう。(始めての人間は必ず驚くような)ほんとにこんなところの先に宴会の場所(宴会の場所じゃないって!講習会の集合場所だ)があるのかよおという、車一台がやっと通れるくらいの細い、雨のそぼ降る山奥の林道を、真っ暗な中20分以上エッチラオッチラと車を進める。

 やがて、暗闇の先に明るく照らされた広い場所が現れる。オオ居た居た。車が6〜7台停まり、大きなブルーシートの天幕が張られた宴会場(泊まり場)が、車のライトを頼りに出来上がりつつあった。全員が小雨の中忙しく準備している。初めてお会いする受講生の方々に、誰だろう比奴はという視線を受けながら中に入っていく珍入者のわたくしめ。

此のオッサンが東京マタギ、ゴルジュもひとマタギの校長だ。自慢の自作の山包丁でエゾ鹿の肉を細かく切って食べやすくして振る舞っていた。
どうだ、わたしの作ったナイフは切れるでしょ。
みんな一本づつ買ってね。深瀬工房のナイフ・・・・・







東京マタギの講習会、いつもの風景。
旨いものを食いたい受講生お待ちしてます。
宴会は楽しく、沢ではピシッとね。
受講側のレベルが高ければそのノウハウを惜しみなく(?)
相手に合わせて少しづつ教えてくれる。システマチックで実戦的な講習だ。
何と言っても、安全を確保した上での楽しい遡行だ。
命が懸かっているモンね。素人衆をこれだけ楽しませて、無事安全に運営する。その上、実戦技術も確実に伝授する講習会はそうざらにはないはず。
今回は受講生十人位に対して、エキスパートの講師五人ですぜ!!!

 久々の再会のご挨拶を、校長と講師の方々にして、マッタリとした宴会の始まりだ。受講生全員の自己紹介と、講師の方々の自己紹介を、飲みながら、料理をつまみながら、そして調理をしながら拝聴する。---もう真夜中ですぜ。

 それにしても、多彩な、そして多量の旨い料理が飛び交い、いろいろな職業の人、またそれぞれの道のエキスパート達の面白い話が飛び交うのは此の講習会ならではだ。

食べ物が一杯で食べきれない。深瀬校長のお得意の鍋は、結局手つかずで翌日に回されてしまった。
2.4kgのエゾ鹿の肉も食べきれずに、お土産に置いてくる始末。どうせ、講習当日は、朝飯をしっかり食べて、夕方に山から下りてくれば、またまた宴会(反省会)だ。

講師のナベおじちゃんと、石川氏。二人とも鉄砲を撃つ。
石川氏は冬山から岩からアイスクライミング何から何までもこなすスーパークライマー。
ナベおじちゃんは昔はブイブイ言わしたが最近は仕事が忙しくてなかなか山に行けないらしい。講習会のコック長。料理が旨い。手際よい。今回も旨い茸やら行者ニンニクを持ってきてくれた。

 でも、わたくしめは、エゾ鹿の肉(マイナス50度で冷凍してあったのを夕方から自然解凍)2.4kgを切るのが忙しい。話を聞くどころではない。

 あんまり日頃、肉を食わないので手さばきが悪いのだ。鍛造ナイフの切れは良いのだが、薄く料理するには、深瀬工房の山包丁の方が、刃が薄い造りだし使いやすそうだ。
 最初はサシミでニンニク醤油、あとは塩焼きだ。炭と網は持ってきたのだけれど、あいにく七輪は持っていないし、雨は土砂降り(ときどき雷が鳴り響き辺りが明るくなる)になってしまい、それどころではない。しかたがないので講師の那須氏にお願いしてフライパンで焼いていただく。

 ・・・・・良かった、皆さんに美味しいと言って頂いた。エゾ鹿の肉は、普通の和鹿の肉とはかなり違う。もっと旨味があり、また軟らかくて美味しい。脂がかなり乗っているが、嫌みがないので幾らでも食べられる。
 でも、この時はフライパンで焼いたので、味が今一のレベルに終わってしまった。やっぱり炭で焼く方が断然旨い。これは誰もが絶賛する味だ。今年はエゾ鹿イヤーで、従兄弟会やら友人達とやらでだいぶ食べたので、これで合わせて10kgくらい消化している。あまり肉を好んで食べる自分ではないが、エゾ鹿は別腹? 食べた人間が誰しも旨いと喜ぶエゾ鹿さま。迷わず成仏せいよと、合掌。

 受講生の吉野氏が、エゾ鹿はシャブシャブが一番美味しいと教えてくれる。聞くと猟をしている人が多い。講師の男性4人のうち3人はやる。みんな岩もやったり、冬山や縦走もやるし、釣りは当然のたしなみだ。また受講者にはダイビングの第一人者といわれる海の方のオーソリティも来ていて話がバラエティに富む。そしてどれも勉強にもなる話ばかりだ。似非ナチュラリストの自分は、フムフムと頷くのみ。

 みんな自分で刃物を作ったり、作らせたりしているので、柄(ハンドル)の材は何が良いとか、黒檀は水に濡れると膨らむとか、実用レベルのウンチクがあるウルサ型が多い。やがて自分の持ち物自慢が始まる。酔った勢いで、わたしは新潟の燕まで行って作って貰った純チタン製の発色加工(光触媒効果で菌を分解してしまう)した菜箸を、校長にプレゼントしてしまう。(※中空のパイプじゃないのでチタンだけどちょっと重ためなのが残念。チタンのパイプのものはロットで数がまとまらないと作れないし、箸の形にするのはかなり大変で、前に料理教室に頼まれて作ったときでも1セットで2万円は掛ったと言われたのですぐに諦めた)

手前の女性は講師のスメアリングのマエダ女史。身体が柔らかくてバランスが良いので難所も何のその。若い男の子を捕まえては、「そんなとこで、ビビッてんじゃないよアンタ!」と激励する。
すぐ奥の横顔は、梁山泊ならぬ尿蛋白のナベオジン講師。一番奥で笑っているのが、遡行同人梁山泊の那須講師。みーんな料理が上手い。登るのも上手い。マエダのお姉 んには“宴会だけ来るなんてバカッ!”と罵られ誉められた。
マッタリした夜も明け、雨も止んで曇り空の翌朝の景色。ブルーシートで下で寝ていた人達も起き出した。
さあ、わしは用事があるから帰るモンね。
皆さんは、曇り空の中、冷たい沢の中を登るんだ。
じゃあねえ!バイバイ


 結局、飲んで食って、2時過ぎにはボチボチと片付けに入る。明朝は8時から行動開始だから7時前には起きて食事やら準備やら支度をしなければいけない。此の教室、受講するにも体力要るのだよ(そんなに酒飲まなければ良いんだけどね)。

 当日は、滝に張り付き、登攀して、確実で安全な支点の取り方、ビレイの方法、懸垂下降をビュンビュンとやるなど、一日中、実践的で、且つ現場でしか解らない臨機応変の、そのシチュエーションに合わせたハードな講習が行われるのだ。皆誰もが、極限の中で培われてきたノウハウを盗み取ることが出来る、そんなチャンスに真剣だ。

 女性陣はいつの間にかフェードアウトして車の中でご就寝。男共はブルーシートの下でシュラフを並べて雑魚寝の準備だ。

 ときどき雨は降っているが、雲の流れが速いので、切れ間から綺麗な☆々が輝いている。さあ、明日はどうなるかな。


・東京マタギ深瀬教室の仲間とのキノコ&蕎麦の会 `07/11/20---裏々キノコ教室:性格悪い奴はキノコ採れない伝説。楽しい仲間とのキノコ採りの風景と、少しばかり美味しく出来るようになった蕎麦打ちのプチ自慢。性格悪い奴ほど能書きが多い!!!って、、、誰のこと?

・`03/7 丹沢本谷川水系キュウハ沢「巻き巻き」の巻き:久々に行ったキュウハ沢(中級の沢を初級にしてやるぞ)

・2000年5月某日某所、東京マタギの沢登り講習会の前夜

99/5/23 丹沢、神の川水系伊勢沢:ほとぼり冷めたかなあと思って載せたけど。またまた能書き満載

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