七日目
実践マーケティング
失敗例を上げて検証してみましょう。1987年当時の逸話です。
この逸話は株式会社やまやでの出来事です。会社が総合食品会社として拡大路線を取って急成長している時のエピソードで、私はマーケターとして新しい自社開発商品を伸ばしていくために消費者ニーズ分析調査をしていたところ、たまたまインスタントラーメン(カップタイプ)市場では次にどんな商品が売れるのだろうかとCAS分析調査をしている時に、未充足のニーズを見つけました。
それは、「カップラーメンであっても腹いっぱい食べたい」「インスタントカップラーメンは量が少ない」というニーズで、この消費者ニーズを満たしている商品は当時存在していませんでした。そこで仮称としてカップラーメンダブルとしました。
その当時のカップラーメンの販売価格はメーカー希望小売価格は150円が中心でした。 麺が2倍入ってメーカー希望小売価格150円〜170円で売ろうと思い、安く供給してもらえるOEM工場を捜しましたがそんな工場は日本国内にはありませんでした。
そこで眼をつけたのが韓国のラーメン会社で新興のインスタントラーメン製造会社で名称はチョンボ食品株式会社でした。試行錯誤のすえ、製品が完成しました。
カップラーメンの試作と平行して動いたのは販売網の問題でした、当時会社の商品売場は塩干売場が中心でほとんどの量販店を口座に持っていました、当時の営業マンは営業のプロ集団と豪語していましたから、販売網を構築してくれるだろうと思ってました。
しかし、営業マンはカテゴリーが違うと販売に尻込みをするのです。新しい勝手の違うカテゴリーの商品は、すべて一から作り出すという作業が必要になるので思考が停止したり動きが鈍く成るのです。要は不安に襲われてしまうのです。また、商品が売れない理由を次々に出してきます(韓国産、麺が良くない等々)、人間は新しい事が苦手です。
失敗を理由を下記に提示します。
●営業は類似(意識の連続した)商品しか販売できない売れない、営業の行動様式理解。
(新しいカテゴリー商品を販売する時は別組織か別会社を立ち上げて行動しないと
ビジネスとは成らない、人間の心の軌跡の理解と固定観念を知る事が大切です。)
●新営業網構築・新配荷網構築ができなかった。
●経費の面から広告が打てなかった、消費者に認知させる事が出来なかった。
●綿密なスケジュール管理が必要。
●ニーズを商品化するときに組織に対して十二分な根回し必要。
しかし、それから約1年後に、エースコックが同じコンセプト商品をスーパーカップとして発売し成功する。参考にエースコックホームぺージスーパーカップ秘話をご覧下さい。