■FR−022■
大阪湾&瀬戸内海 USJ→南港航路・大阪→東予→新居浜・新居浜→東予→大阪航路

写真 USJ港桟橋に着岸するドリームシャトル<ベイシティー>

2002年 正月 本年最初の船旅はドリームシャトル<ベイシティー>で南港へ

                      

●航海 往路・大阪湾 往路・瀬戸内海 復路・瀬戸内海
@★★★★☆ 
USJ→南港 ドリームシャトル<ベイシティー>ベイユニバース(港通船株式会社)
A★★★★★ 往路 大阪→東予→新居浜 四国開発フェリー=オレンジフェリー<おれんじ7>特別室右舷側410号室 夜行便
B
★★★★★ 復路 新居浜→東予→大阪 四国開発フェリー=オレンジフェリー<おれんじ7>特別室右舷側410号室 昼行便
 総トン数:9,917.00  主機関:27,000 馬力  航海速力:22.5ノット  旅客定 員:750名  積載可能車 両数:トラック139台  就航年月日:1994.3.28

●旅程 船中一泊 一泊二日
第一日目 京都→大阪USJ港21:30→21:55南港(大阪南港フェリーターミナル)・大阪22:50→
第二日目 →06:10東予06:40→07:50新居浜東港→JR多喜浜駅→JR観音寺駅→観音寺港→琴弾公園展望台【銭形】眺望→神恵院(六十八番札所)→観音寺(六十九番札所)→八幡神社→JR観音寺駅→JR多喜浜駅→新居浜東港12:50→14:00東予14:40→21:50大阪

 

年始の願いを込めて現世ご利益にあやかろうと観音寺の【銭形】を眺望・・・

 お正月三ヶ日を過ぎ、思い立っての初船旅はUSJ港→南港着の<ベイシティー>二十五分間の航路でした。そして、おなじみ<おれんじ7>で新居浜へ。新居浜から観音寺へちょっと移動し【銭形】の御利益にあやかりと思い立ったのでした。ちなみに新居浜は愛媛県ですが、観音寺は香川県なので美味い讃岐うどんにもありつけるかと・・・。

 

●第一日目 またしてもオレンジフェリー

●ドリームシャトル<ベイシティー>で大阪南港フェリーターミナルへ
 
USJ港は何とも夏向きと言うか、吹きさらしのテントの大屋根で、何故か不思議だが真ん中にヘリポートマークが記され、その回りにベンチが配されていた。腰の辺りまでの柵が巡らされ四隅に @天保山へのハリウッド乗船場 A中之島方面への乗船場 B天保山キャプテンラインの乗船場、そして今宵の我が航路 C南港へのドリームシャトル<ベイシティー>乗船場 がある。小一時間も前に到着し寒さに震えながらも、天保山のライトアップされた大観覧車の彩りや、発着するハリウッド、キャプテンラインなどの光景を眺めているうちに、やがて<ベイシティー>定刻21:30の十分前。暗闇の中から小ぶりな船が C番乗船場 に接近してきた。乗り場には灯りもなく薄暗い中での接岸、船体横には「港めぐり」の文字が見受けられるが船名は認められない。どこかに記されていたのであろうが分からなかった。何ともみすぼらしい船姿である。
 船を引き寄せタラップを渡し接岸作業をしていた無愛想な係員が
「二列に並んで・・・。」
 と、言うと乗船開始となった。係員に乗船券を手渡し船に歩みよると作業服姿の親父さんが
「危ないから気を付けて、頭打たないように・・・。」
 と、誘導してくれる。何とも庶民的な船と言うのが第一印象。ともかく揺れる船内に乗り込むと前向きの椅子が中央通路を挟み両側に並ぶ。乗客定員は六十七名と記されていた。家族連れや若いカップルなど約二十名程度がこの最終便の乗客であった。程なく乗船口のドアが閉じられ出港。橋下を潜ると左手に天保山埠頭を見ながら先端の海遊館の辺りを行きすぎる。その先で左手に旋回して行く。大阪湾を横切って南港へ向かうのではなく河口からちょっと遡上して港大橋を潜りコンテナバースを右手に巡りながら迂回して裏手から南港へ向かうと言う航路である。


写真 左:<ベイシティー>操舵室横の机上、神棚、お鏡、お守りなどが雑然と置かれ何とも印象的 右:乗船券、今時珍しい手書きで必要事項が記入されている。
 一番前の左手に座席に座っていたのだが、外の眺めもさることながらどうも眼前の様子が気になる。そうだ席の左手の机上に雑然と置かれたテレビ、神棚、お守り、鏡餅にその他諸々。ついついカメラを向けてシャッターを切った。
 コンテナバース通過時には大型貨物船が停泊していて煌々と照明に照らされていた。船腹に大きく「HANJIN」と記された巨大な船舶でコンテナを満載していた。多分、五万トン、いや十万トンも有ろうかと思われる韓国の韓進海運の船舶であろう。ガントリークレーンが勇壮に稼働していて荷役作業最中の様子であった。
 コンテナバースを迂回し切ると右手に旋回し再び高速道路の橋下を潜り、間もなく大阪南港フェリーターミナル、前方に入港してくる<おれんじ7>の姿が見える。程なく浮き桟橋に到着した。桟橋から岸壁に渡りフェリーに乗船する車両の駐車場を横切って、ようやくターミナルの連絡橋ブリッジ北端のスロープに辿り着くと言った感じ。こちらはUSJの吹きさらしをしのぐ完全露天。この経路では雨傘必携との思いを抱きながら一緒の乗客達とは、やや遅れて最後に辿り着いた。
 ターミナルビルへの連絡ブリッジ入口では係員が一人・・・。
「もう他に誰もいませんでしたか?」
「ええ、私が最後のようですよ・・・。」
 と小生が最後の乗船客であったことを確認すると、係員は私と一緒にスロープを上りブリッジに。本日の営業終了と言うことでブリッジ北端の扉を閉じることになっているそうである。

●往路 大阪→ <おれんじ7>
 連絡ブリッジを進むとターミナルビル二階の待合室に。既に三百人程度の人々で満杯である。昨年末に高知シーラインの甲浦・足摺航路が休止して以来、今宵乗船するオレンジフェリー三便<おれんじ7>がここ南港フェリー埠頭からの最終便となるので最早、他のフェリーの船影はないから待合室の人々は総てが<おれんじ7>の乗客なのであろう。
 発券窓口は階下一階である。階段を下り乗船表に必要事項を記入して窓口へ。混み合うこともなくスムーズに購入することが出来た。オレンジ会員割引は総額の二割引なのだが、この日は適用除外期間と言うことでオレンジ会員の印籠は役立たず。往復割引は適用されるので、これにて購入。オレンジフェリーの往復割引は同一等級での往復の場合は復路は三割引となる。希望通り往路も復路も右舷側特別室をゲット。往路は410号室、復路は310号室。
 22:20いつものように乗船開始。ここ大阪南港フェリーターミナルでの乗船時には、何時も不思議に感じるのであるが、最近では多くの港が空港同様に連絡ブリッジから直接乗り込めるようになっている。この航路でも東予港、新居浜東港ともに岸壁に降りることなく乗り込める。だが、ここ大阪南港はブリッジのスロープを降り岸壁を歩き、船腹を横目に見ながら歩み進み乗船口に掛けられた乗船タラップから乗り込むことになっている。小生にとっては結構これも楽しみのひとつであるが、船好きでもない限り、やはりこれも移動手段としての交通機関の中では海路は、どうも一般的にどんどん敬遠される傾向になる一因かも知れないと思ったりもする。要するに大阪南港フェリーターミナルはターミナルビルは昨年玄関脇に二階へ上がるエレベーターが設置され一応バリアフリーとなったのだが、連絡ブリッジを後にすると、こと岸壁に至っては幸か不幸か、未だに旧態然とした港らしい様相を呈している。バリア山盛りの港と言うことになる。
 ともかく梅田での阪急からJRへの乗換。ユニバーサルシティー散歩&乗換。ここ南港フェリーターミナルでの浮き桟橋から連絡ブリッジの行き来。そしてこの乗り込みで今宵はこれで結構日頃の運動不足は解消された思いがする。
 乗船口で少々お疲れ気味の愛想笑いで出迎えてくれた制服のクルーに、会釈を交わしエスカレーターで階上へ。案内所で鍵を受け取り部屋へ。鍵穴にキーが入らない・・・。特別室410号室、キーホルダーには特別室310号室と記されていた。どうも案内所のクルーのお疲れのご様子である。私のさらなる健康のためにキーを渡し間違えてくれたらしい。(笑)
 案内所へ戻りキーを取り替えてもらい再び部屋へ。旅装を解きレストランへ。既に夕食はユニバーサルシティーでのインド料理で済ませていたから空腹ではなかった。が、例によって「じゃこ天」はゲットしておかねば、と言うわけである。「じゃこ天」はいつもは注文してから揚げてくれるので少々時間がかかるのだが今宵は既に揚げたモノが並べられていた。
 それを気づかずにキムチの皿を一皿取ってキャッシャー嬢に
「じゃこ天お願いします。」
「毎度ありがとうございます。じゃこ天はあそこに出てますよ。」
 どうも彼女には顔を知られている様子である。そう言って微笑みながら彼女が「じゃこ天」を取ってきてくれた。皿盛りでは無くちゃんと透明プラスティックのパックに入っていた。これは好都合である。テーブル席でキムチを紙コップに詰め込み「じゃこ天」に醤油をかけて割り箸を頂戴して部屋へ戻る。レストランでの食事も悪くはないのだが、やはりこの<おれんじ7>の特別室の場合は室内に足下まで大きな畳一枚ほどのガラス窓が二つもある展望デッキがあるので、ここでののんびり夜景を眺めながらの夜食の一時は楽しみである。もちろん浴衣姿でくつろいでの趣もレストランでは異なり格別である。
 定刻22:50出港。程なくこの航路に珍しく少々ゆらゆら揺れる。そう言えば出がけに見たTVの天気予報では今夜の瀬戸内海には強風波浪注意報が出ていた。
 風を切る音が途切れることなく港を出ると珍しく<おれんじ7>はゆらりゆらりと揺れ始める。大した揺れではないが、この辺りから揺れるとはこの航路では珍しいことである。船旅をしていると言う実感がわいてくる心地よさがある。一風呂浴びて湯上がりの浴衣姿で再び室内デッキの籐の椅子に腰を下ろしながら阪神間の街並みの灯りが移ろい行く船窓からの夜景はいつものことながら美しい。
 出港から小一時間、やや灯りが集中する辺りは神戸であろう。前方には明石海峡大橋の橋脚の灯りが視野に入ってくる。既にこの時期は吊り橋のワイヤーのイルミネーションは消灯されていている。時期や曜日によって消灯時間が異なるようで、この<おれんじ7>は十二時頃に橋を通過するから、あのイルミネーションの消灯を見るのも楽しみのひとつなのだが今宵はその楽しみはない。静かに揺れる船旅である。ほぼ予定通りに十二時丁度頃、橋を通過して明石の街灯りを見送ることになる。
 何時しか寝入っていて、風を切る轟音に目覚めると午前四時であった。リビングで熱いコーヒーを入れ煙草を燻らせながらBS放送を見るとシダの特集番組を放送していた。なんでもウラジロもシダの一種で関東辺りから以南の地方でのみ、お鏡飾りやしめ縄飾りに用いられているとかで結構興味深く見入っているうちにおはようにっぽんの朝一番のニュースが始まった。ニュースの後の天気予報によればどうやらまだこの辺りには階上強風波浪警報が発令されているようであった。そう言えば相変わらずゆらりゆらりと揺れていた。

 

●第二日目 新居浜上陸半日

 程なく東予港入港間近を告げる船内放送、定刻06:10入港予定三十分前の05:40。辺りはうっすら明けてきている。前方にはしまなみ海道の島々、それを繋ぐ橋が遠望できる。
 定期航路のフェリーは多少の天候事情などでは殆ど意外に遅延したりすることはない。この日も多分迎え風にかなり悩まされていたに違いなのだが定刻に東予港へ入港した。船窓の前に<おれんじエース>が間近に迫り停泊している。夜が明けてくる。
 再びベッドへ潜り込む。東予港出港は夢の中で一寝入りして再びの船内放送に目覚めると新居浜東港定刻07:50入港間近を告げていた。07:20のことである。浴衣姿のまま室内デッキで入港の様子を眺めながら再び熱いコーヒーでモーニングブレイク。前進が止まり大きく船は旋回を始めていた。間もなく接岸である。洗顔し着替えて煙草を一服、定刻07:50新居浜東港に接岸した。

●四国上陸五時間の小さな旅 今回は観音寺へ銭形の御利益にあやかりに
 下船してターミナルビル前のタクシー乗り場に向かう。難なくタクシーをゲットしてJR多喜浜駅へ。多喜浜発08:17の普通列車で観音寺へ向かう予定をしていたのだが順調に十五分前には多喜浜駅に着いていた。多喜浜駅は無人駅だが従前の駅舎はそのまま残っている。多分、正面入口があり乗車券の販売窓口や駅事務所があったであろう。その駅舎中央部はラーメン屋と化していて屋根上に遠慮がちに小さな字で「多喜浜駅」と表示されている奇妙な駅である。


写真 JR多喜浜駅正面 何故か大きな赤楕円の上に遠慮がちに小さな字で「多喜浜駅」と記されている。
 
暮れにこの駅には初めて降り立っていて既にとまどった経験をしていたので驚きはなかったのだが、初めて、この駅から乗車するとなるときっと大いにとまどうに違いないと思う。入口が何処なのか一見しては分からない。ラーメン屋の右手に元の待合室への入口があり、その引き戸をガラガラガラと引き開け一旦待合室へ入り、そこから駅舎の線路側へ出る引き戸を再び引いて出る。それから陸橋を渡りホームに降り立つのである。
 ひとまず誰もいない待合室で煙草を一服していると突然構内アナウンス。
「瀬戸大橋が強風のため列車は少々遅れて運行しています・・・。」
 と女性の声。これは一体何処からどのように放送しているのであろうか。何とも不思議な思いに駆られる。とにかく列車が遅れていることは理解できるが、何分遅れとも言わないからこれまた不思議というか何だかよく分からない。分からないままに一服ゆっくり吸い終えると間もなく定刻08:17直前。とにかく待合い室を出て陸橋を渡り島式の両側を線路に挟まれたホームに降り立つ。ホームにもちゃんと待合室がある。風はそこそこあるので肌寒い感じがする。待合室に入るとベンチの脇には灰皿とゴミ箱が置かれていた。近頃のJRの駅は何処も禁煙ばかりで、どうも私のようなヘビースモーカーにとっては不都合なことが多いのだが、ここは、その点、誠にありがたい。まま、煙草税で旧国鉄債務返還に一役かっているつもりの身には有る意味当然しかるべきとも思うのだが・・・。
 普通列車は八分遅れで到着した。急ぐ旅でもないから多少の遅延は気にならない。

 観音寺09:08到着予定はやや遅れ09:20頃に着いた。駅の改札の係員に切符を手渡しながら
「まだ、これからも遅れそうですか?」
「ええ、瀬戸大橋の強風が収まるまでは乱れそうです。今は五分あまり遅れています。」
 と尋ねるとさりげなくダイヤの乱れを告げる。
 香川県観音寺市の玄関口駅であるから一応JR駅らしい佇まい。発券窓口も自動販売機も売店、うどんのスタンドなどもあるこじんまりとした駅舎である。一巡して駅前からタクシーに乗り込み、まずは銭形の御利益を授かりに行くことにした。事前のネット情報で得た船に関する情報では観音寺港があり伊吹島への航路がある。今日はそんなに時間がないから伊吹島へ渡る航路を制覇するわけにはいかないが、いずれまた制覇したいと思っているので銭形の前にまずは観音寺港下見と思い立ち
「銭形を見たいので琴弾公園まで行って欲しいのですが、その前に伊吹島へ渡る船の港にちょっと寄ってくれませんか・・・。」
 とタクシーの運転手に告げ駅を後にした。

写真 観音寺港に停泊中の 左:伊吹島航路の連絡船 右:漁船 実際は道路からは写真とは逆に漁船溜まりが左手に、伊吹航路の乗り場は右手にある。
 駅から五分あまり、タクシーは魚市場や漁協などに囲まれた道端に停車した。車が数十台駐車する向こうに小さな白い船の姿が見える。回りには漁船も多い。操舵室の後部壁面に「観音寺・伊吹」の表示が見える。伊吹発09:00で今し方09:25着いたばかりなのであろう。人の気配が多くちょっとした賑わいである。生活の香りが漂う港である。船尾には小型クレーンが装備されていた。とりあえずシャッターを切り船姿をカメラに収めてタクシーに戻り琴弾公園展望台に向かった。財田川の琴弾橋を渡り右折したタクシーは間もなく左折して曲がりくねった山道に差し掛かる。標高60mの展望台まで地図で見る限り駅からの直線距離は精々2kmもない。はじめは徒歩で巡ろうかと思っていたのだが、どうやらこの様子ではタクシーに乗ったことは正解に思えた。徒歩で向かっている人も路傍に散見したが、ちょっとくたびれてしまいそうな坂道の連続であった。登り切った展望台の前でタクシーを降りる。

写真 琴弾公園展望台から望む銭形 御利益山盛りいただきました?(^^)
 風が思いのほか強く、防風林の間からヒューヒューと頬を撫でてくる。【銭形】を見た眺めた拝んだ! この【銭形】を見るとお金に困ることはないと言う御利益は授かった?(笑) 念のためカメラに収めて持ち帰りここに掲載し、ご覧下さるみなさまにも御利益有ることを願いつつあまりにも風の強さに長居は無用と早々にその場を退散。下山することにした。

写真 左:六十八番札所の神恵院 右:六十九番札所の観音寺
 琴弾公園展望台で【銭形】の御利益にあやかった帰路下山途中には、これまた有りがたい四国八十八カ所の霊場が唯一ここでは二ヶ寺一緒に巡れると言うので神恵院をお参りして正面の石段を下り観音寺の二ヶ寺を一気に参拝。観音寺を後に正面階段から下りたのだが・・・。気づけば、どうやら裏から逆に参拝したようであった。まま、いいだろう。裏からの参拝のご無礼もお許しいただくことにして霊場を後にした。街角のガソリンスタンドで駅の方向を尋ね帰路を確かめ、のんびりぶらぶら財田川に架かる三架橋に差し掛かる。振り向くとそこには八幡神社、初詣もこれでも幸いと両手をポケットにつっこんだままに心の中で一礼二拝のお参りを済ませJR観音寺駅に戻る。全行程丁度一時間、10:20に戻っていた。次の下り普通列車は10:28発で11:24多喜浜着となる。
 駅の案内アナウンスでは下り普通列車は少々延着と告げている。これ幸い讃岐にきて讃岐うどんを食さねば讃岐のみなさまに無礼千万と思い立ち構内のうどんスタンドへ。天ぷらうどんを食う。カウンターでうどんを受け取るときに、何とも旨そうなちくわの天ぷらがあったのでこれもひとつゲット。さすがに讃岐、うどんはかなり旨い。天ぷらも旨い。それもそのはず天ぷらは、ここ観音寺名物の魚の練り製品、うどんに乗っていたのはさつま揚げ風のエビ天ぷら、ちくわはタコ入りの特製ちくわ。
 うどんをたいらげホームに出ると丁度定刻10:28。再び案内アナウンスで今度は二十二分の遅れだと告げていた。まぁいい、のんびり・・・。しかし、列車は十分あまりの遅れで入ってきた。二両連結で入ってきたので後ろの車両へ乗り込もうとしていると、前の車両から係員が手招きしている。前の車両に乗り込むとワンマンカーで、後ろの車両は切り離され列車は間もなく発車した。
 思いのほか遅れることなく十分弱の延着で11:35多喜浜に到着した。復路の出港までは一時間あまりもあるので駅前の喫茶店でコーヒーブレイク。確か「YOU&ME」と言う店名であったように記憶する。表の広告電光掲示板には何故か、寒風吹きすさぶ最中「夏到来、フラッペ・・・ミルク金時、宇治・・・」とかき氷の宣伝文句が流れていた。(笑)

写真 新居浜東湊停泊中の<おれんじ7>遠望
 多喜浜から新居浜東港へ戻るタクシーでちょっと脇道に寄り道してもらい、停泊中の<おれんじ7>の姿をカメラに収め、定刻三十分前の12:20港に戻り着いた。なお多喜浜駅にタクシーが待ち受けてくれていることはない。駅前を真っ直ぐ直進、約50mほどで国道の交差点に出るので、その左向かいの多喜浜タクシー? の営業所でゲット。
 帰路の乗船券には特別室310と記されていた。310号室は410号室の階下で舳先の湾曲に差し掛かる部分に位置するからやや狭い部屋である。410号室のベッドはセミダブルが二台なのだが310号室のベッドはセミダブル一台とシングルが一台である。どちらでも良いのだが、広い部屋の方がゆったりしているので、発券窓口で変更の可否を尋ねると難なく変更できた。

●復路 新居浜→東予→大阪 <おれんじ7> やっぱり素敵です、瀬戸内海昼行便
 <おれんじ7>は定刻12:50新居浜東港出港。右舷の特別室410号室の眼前には対岸の黒島が迫り港の出入り口にさしかかる頃には黒島の向こうに大島の姿が重なる。そして東予付近まで間には幾つもの島影を船窓に巡らせながら、間近にはかもめなどの海鳥も飛び交う。さすがは昼行便の瀬戸内海の眺めである退屈する暇がない。そして東予港に近づくと左に大きく旋回し、しまなみ海道を遠望しながら港内へと進入していく。接岸は再び大きく旋回し、後進し船尾を岸壁に突き刺すようなかたちで船腹後半と船尾の二面を接岸し舳先を岸壁から30度程度海に突き出す珍しい接岸をする。
 東予港14:00入港、同14:40出港。一路大阪へ向かう。

写真 瀬戸大橋通過直後の<おれんじ7>展望デッキからの黄昏
 東予を出港して暫くすると、いつものことだが心地よい眠気に誘われる。まどろむうちに暫しの昼寝、目覚める頃には瀬戸大橋付近となることが多い。この日もその昼寝の一時を過ごし瀬戸大橋間近で目覚めた。相変わらず風は強い様子だが西の空には晴れ間が広がっているようで夕陽が低い。秋のようにあわよくば黄昏のシャッターチャンスかと、カメラを手に船室を出るが今日は強風のためデッキへの出入りは禁止。やむなく階上展望ラウンジからの眺めとなった。
 瀬戸大橋を通過すると、右舷側では高松の街並みの灯りを巡りながら進む。高松の夜景を見送り、ゆったり風呂に入り、まどろむうちにいつしか再びうたた寝。今度は気づくと、既に明石海峡大橋を通過していた。時計は午後九時を過ぎていた。相変わらず階上の風は強いようだが航海は順調の様子で、この分では定刻入港であろう。
 普段なら、ゆっくり部屋で出入港を見定め接岸の案内を聞いてから下船するのだが、この日は正月明けの帰省ピーク繁忙期で、昼行便にしては珍しくほぼ満席である。しかも大阪では僅かに一時間の停泊で夜行便となる。折り返しも満席の盛況ぶり。貨客の積み降ろしは繁忙を極める時期である。
 乗船時、ルームキーを受け取るときに珍しく
「大変申し訳有りませんが今日は大阪ではお部屋は三十分前に空けて下さい。」
 と念を押されていた。(笑)
 少々不本意ではあるが常々お世話になっているオレンジのことである。まさかクレームを言うわけにも行かず快諾していたので、三十分前には部屋を明け渡すことにしていた。が、普段なら入港三十分前のはずの入港案内のアナウンスは早々と一時間前に響きわたり、車での乗船客には既に車両甲板への通路が開いているのでどうぞと繰り返している。
 そして個室利用客にも
「キーを案内所へ戻してください。」
 と案内を繰り返す。程なく、キーの戻った部屋番号を業務連絡放送でアナウンスする。入港四十分前、次々ルームキーを戻された部屋の番号アナウンス。
 部屋のドアを開け廊下を覗くと廊下にはシーツやタオルなどが散財している。
「○○号室、○○号室、○○号室・・・キーが戻りました。」
 そう繰り返されるアナウンス。やがて・・・
「○○号室、○○号室以外は戻りました・・・。」
 そして
「410号室以外はもどりました・・・。」
 (笑) 我が特別室410号室は名指しで取り残されていた。三十分前、南港入口の信号灯の灯りが視界に入る。部屋を出て廊下へ。散乱したシーツやタオルの間を抜け階下の案内所へルームキーを戻す。暫しロビーの椅子に腰を下ろしていたが、やがて椅子席は何処も満席。階上の展望ラウンジへ移動する。こちらは順次階下へ乗船客が降りていくので閑散としていてゆったり心地よい。
 おかげで、この日初めて展望ラウンジからの入港風景を目にすることが出来た。右舷側を大型フェリーがすれ違って出港していく。この時刻ならあれは大阪高知特急フェリーの便であろう。今日は奇数日なので今年年始の配船スケジュールからすると<かつら>のはずである。定刻21:50、我が<おれんじ7>は無事大阪南港フェリーターミナル岸壁に接岸した。
 【銭形】の御利益に授かったはず? の2002年初めての思い立っての船旅は相変わらずのんびりだらだらのびのびゆったりとその幕を下ろした。(^^)

 

●余談 オレンジフェリーさんへひとこと
 何時もお世話になります。楽しく瀬戸内海の船旅を重ねさせていただいています。ところで幾度かこの乗船記中でも記させていただいてはいるのですが・・・。
 特別室でちょっと気がかりなことを一言。
 未だに特別室のベッドにはマットレスに直接シーツが掛けられていてベッドパッドあるいは敷布団がありませんねぇ。あのマットレスのボタンが身体に直接当たる感触だけはどうもいただけません。時には足のつま先などを引っかけて爪を割りそうになり寝返ると飛び上がることがあります。まま、予備に備えられている毛布を敷き込めばいいのかも知れませんが、現に時々そうしていますが何とかなりませんかねぇ。(^^)

写真 特別室に用意されているアメニティーセットにはタオル・歯磨きセット・ヘアブラシの三点が淡紫色のビニール袋に入っている。(ひげ剃りは入っていない、以前は入っていた。) 袋の上に乗っているのはお茶と一緒にサービスで置かれているオレンジ煎餅、サクっとした食感の良い美味しい煎餅だ。
 それにあえてお願いもうひとつ、あの素敵なアメニティーセット。いつの間にかひげ剃りが無くなりましたね。おかげで近頃はひげ剃りひとつ荷物に増えてしまってます。是非再びひげ剃りをお入れいただきたいと願う次第です。(^^)
 もう一言。特別室410号室、ここ数回連続お世話になっていますがテレビのリモコンがいつの間にか無くなってますね。あのソファに寝ころんでリモコン操作でTV観賞といちいちテレビ本体での操作とでは前者は楽々、後者は結構運動不足解消となるのですが・・・。一言のつもりが二言、三言になってしまいました。(^^)
 こんなことも、とても気楽さ溢れるオレンジフェリーさんたる所以なのかもと、決してクレームを申し上げるつもりはありませんがオレンジファンのひとりとして不思議に思うのでした。

 

●余談 新居浜東港の売店は?
 ここ数回、新居浜東港での下船時、乗船時ともに何時も売店のシャッターが降ろされたままになっている。閉店したのであろうか? 復路での乗船時に、あの売店で伊予蜜柑タルトを購入するのがひとつの楽しみであったのだが・・・。ちなみに新居浜東港の立派なターミナルビルの中には売店がなければ、ジュース類の自動販売機が一階発券窓口の側に一台、二階待合室横に二台あるのみ。コインロッカーなどもない。

 

■ORANGE ROOM■

@ドリームシャトル  ABオレンジフェリー

 

2001 H13
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2002 H14
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■ORANGE ROOM■
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思い立っての船旅 今世紀・2001-200X