■FR−021■
瀬戸内海 大阪→東予→新居浜・黒島←→大島・新居浜→東予→大阪航路 <大島丸>制覇

写真 大島港停泊中の<大島丸>(新居浜市営渡海船の予備船)

2001年 師走 本年最終の船旅は期せずして新居浜市営渡海船予備船<大島丸>制覇!

                      

●航海 往路・瀬戸内海 途次・新居浜市営渡海船・黒島←→大島航路完全制覇! 復路・瀬戸内海
@★★★★★ 往路 大阪→東予→新居浜 四国開発フェリー=オレンジフェリー<おれんじ7>特別室右舷側410号室 夜行便
 総トン数:9,917.00  主機関:27,000 馬力  航海速力:22.5ノット  旅客定 員:750名  積載可能車 両数:トラック139台  就航年月日:1994.3.28
A
★★★★ 途次 黒島港→大島→黒島港 新居浜市営渡海船フェリー予備船<大島丸>(予備船)
 総トン数:99.67 主機関:230馬力 航海速力:9.0ノット 旅客定員:231名 積載可能車両数:トラック2台 就航年月日:1982.2
B★★★★★ 復路 新居浜→東予→大阪 四国開発フェリー=オレンジフェリー<おれんじ7>特別室右舷側310号室 昼行便

●旅程 船中一泊 一泊二日
第一日目 京都→大阪南港→
第二日目 →新居浜東港→JR新居浜駅→JR多喜浜→黒島→黒島港→大島港 大島瞬時上陸 大島港→黒島港 新居浜東港回遊散策 新居浜東港→東予→大阪南港→京都

 

新居浜市営渡海船に感激して一週間後、再び渡海船で大島再訪・・・

 本年最後の思い立っての船旅は暮れも押し迫る中、ここ連続三度目となる<おれんじ7>での新居浜往復となりました。新居浜での五時間をどう過ごすか・・・、行き当たりばったりでいいと出かけたのでした。

 

●第一日目 またまたオレンジフェリーで

●往路 大阪→ オレンジフェリー<おれんじ7> いつものように大阪南港へ、そしてオレンジ(^^)
 前回十月の二回の同航路乗船時は以外にも大変な混雑に驚いていたが、今回はまだ帰省時期の直前だからと、きっとがら空きであろうと勝手に決め込んでいたのが大間違い。途中、大阪の美味しいと評判の蕎麦屋で早めの年越し蕎麦とこれまた思い立ち、のんびり食らっていたのが幸か不幸か港に到着したのは定刻22:50の三十五分前であった。ところが、発券窓口には長蛇の列。予約は済ませてあるので焦ることもない。おっとり構えて列の最後尾に、案じたほどには時間を要せず発券窓口の手際は良く十分あまりで乗船券をゲット。
 往路は右舷本州側の特別室410号室、復路も右舷四国側の特別室310号室を希望通りに確保できた。定刻十分前、船室に旅装を解いた。珍しく出港は二十分遅れで22:10静かに岸壁を離れる。

 

●第二日目 黒島再訪

●往路 →東予→新居浜 オレンジフェリー<おれんじ7>
 翌朝、虚ろな中で東予港入港、何時しか出港していて気づくと既に新居浜東港に差し掛かっていた。船内アナウンスは十分遅れの08:00入港を告げていた。持参のコーヒーパックに熱湯を注ぎコーヒーブレイクで目覚めながら下船準備、復路までの五時間弱の行動予定は何も決まっていなかったが朝食もせずに新居浜東港での下船となるのでひとまず連絡バスでJR新居浜駅へと決め込んだ。連絡バスは定刻07:50入港五分後07:55発なのだが十分遅れでも待っていてくれるだろうとこれまた勝手に決め込んで一応バスに乗る予定と定めた。
 多くの乗船客は東予で下船していたようでロビーには数十人が下船を待っていたに過ぎなかった。接岸下船準備完了のアナウンスと共にエスカレーターが動き出し、乗船券半券を係りのクルーに手渡して下船。ブリッジを渡りターミナルビルへ。新居浜東港のターミナルビル売店はシャッターが下ろされていて何もない。ビルを出ると右手のバスストップにバスが停車していた。乗り込んだ客は総勢五名、路線バスにしては驚くほどにゆったりとした快適な観光バス並のリクライニングシートである。バスは程なく08:05に発車。タクシーなら十分か十五分くらいで行くJR新居浜駅までをバスは市街地を巡回経由して約三十五分を費やし08:40にJR新居浜駅に到着した。
 行くアテもないままに、ひとまず朝食をと駅ビル内のコーヒーショップでモーニングセットを注文。ピザトースト、ミニ野菜サラダ、ゆで卵にカリタ式ドリップコーヒーで500円。(^^)<08:45 駅の発着時刻表を見ると08:58観音寺行き普通列車があった。思い立って再び新居浜市営渡海船大島航路往復乗船をと決定、それに乗ろう。急いでモーニングセットを食べ終え乗車券を購入して改札を出ると一番ホーム。右手(松山方向)に列車が小さく見えていた。間もなく普通列車到着乗車。一駅東隣の多喜浜駅まで束の間のローカル列車の旅である。

写真 JR多喜浜駅、陸橋越しに駅舎が見えるが無人駅だった。
 08:02喜多浜駅到着、手動式のドアを自ら開いて下車する。他には誰も降り立つ人はいない。ひとまず深呼吸、空気が何ともすがすがしい。
 と、突然は以後から人声が・・・。
「ここで降りられますか?」
「ええ。」
「そうですか、じゃぁ乗車券をいただきたいのですが・・・。」
 なんと、今、降車した列車の車掌さんであった。
「ここ無人駅なんですか?」
「はい、そうですよ。ありがとうございました。」
 乗車券を手渡しながら尋ねると車掌さんは愛想良く答えてくれ列車に戻っていった。苔むした陸橋を渡ると駅舎に降り立つ。最近までは有人駅であったことは容易に想像できる駅舎の造りであるが確かに駅員はいないし切符売り場なども見あたらない。妙に大きなラーメン屋の看板が目立つ。出口が何処なのか一瞬迷うがどうやら改札が有ったであろうと思われそうなところに引き戸があった。そこから待合室に入る。待合室から今見かけたラーメン屋へ入る入口がありその左手に外への出口の戸があった。ラーメン屋は廃業しているのか、あるいはまだ時間的に早いから営業していないのかは定かではなかったが人影はなかった。ようやくにして駅舎から外へ出ることが出来た。辺りを見回すと駅前広場は数十台の車が駐車できそうで結構広い。真向かいには喫茶店があり営業している様子であった。
 丁度玄関先を掃除していたお店のおばさんに

「黒島までは歩けば遠いですか?」
 
と尋ねると
「結構、遠いですよ。バスがありますからそれで行かれるたらいいですよ。タクシーもありますよ。」
 と気さくに愛想良く教えてくれる。
 駅舎に向きを変えると確かにさっき出てきた入口の右手にパス停の標識が立っていた。隣には公衆電話ボックスもある。バスストップの時刻表を見る。腕時計は08:10を示していた。次のバスは08:27少し待てばいい。全く風はなく、日溜まりが穏やかで暖かい。
 すがすがしい空気の中で美味い煙草の一服。待合室には小柄な老婆が一人
「どちらからきなはった?」
「京都から大島へ行く船に乗りにきたんですよ。」
「そうかい、私は黒島のひとつ手前のバス停の近くに住んでますよ。」
「じゃ、バスで?」
「そうだよ。タクシーもあるけど急いでないからバスでね。昔はバスももっと本数が多かったのに最近は少なくなって不便になったけどね。」
 なんとも親しげに話してくれる。ローカルな旅の常で、人の温かみを覚える嬉しい一時である。程なくバスがやってきた。他に乗客は居ない。まるで貸し切り観光バス気分。バスは駅前広場から一旦国道に出て程なく右手に入り旧道を東進した。途中幾つかのバス停に停車するが乗降客は居ない。左折して国道を横断すると前方に黒島が近い。老婆は終着黒島の手前の停留所で降り立っていった。貸し切りバス?は終着黒島に到着した。
 目の前に黒島港。フェリー乗り場の駐車場を横切りターミナルビルへ。ターミナルビルと言うのが正しいのかどうかは定かではないが、前回訪れた時には港の地上係員が一人居て机に向かい、乗船券売場は急ごしらえの木製机に券売りのおばさんがお菓子の空き缶を机上に置き販売していた。岸壁には船が接岸していたが前回の<おおしま>ではない。確か大島港に係留されていた予備船の<大島丸>である。怪訝に思いながらとりえずターミナルビルにはいると何と売店が営業している。これは前回は見かけなかった。
 はてさて売店が出来たのかと驚きながらキャッシャーでは乗船券を販売している様子なのでそちらへ向かう。
「乗船券はここでいいですか?」
「はい、40円。」
「売店出来たんですね?」
「いいえ、前から有りますよ。日曜祭日などは休んでますけど・・・。」
 そうだったんだ。前回は確か日曜日だった。それで営業していなかったらしい。ついでに船のことも尋ねてみると、さっきまで<おおしま>が運行していたが機関の調子が悪くなったようで急遽予備船<大島丸>になったと言う次第であった。<おおしま>は修理のために岸壁の向かいに係留されていた。
 ラッキー!!! 期せずしてまたとない予備船<大島丸>乗船制覇を果たせることになった次第である。

●途次 黒島←→大島<大島丸>

写真 左:<大島丸>デッキから黒島港に繋がれた漁船群 中:船室桟敷 右:船室椅子席

 大島港到着時刻は09:30乗船券を購入すると直ぐに乗船できた。定刻09:45黒島港を出港し大島まで十五分の航海は始まった。<大島丸>は<おおしま>の両舷に細長い船室が設けられた異様な構造とは異なり船らしい普通の感じの構造で乗降は船首部分一方からのみとなっていて一階が車両甲板、二階が船室になっていた。船室の両側にデッキが巡り後部甲板もある。

写真 左:黒島港出港直後、後部甲板から係留されている<おおしま>を見た。 右:黒島港を後にして大島に向かう<大島丸>後部甲板から大島を遠望。

写真 大島港入港時の<大島丸>

写真 瞬時の大島上陸証明に撮影した大島観光案内図看板

写真 黒島を後に、また折り返し10:45大島へ向かう<大島丸>の向こうには係留されている<おおしま>があった。
 折り返し大島に向かう<大島丸>を見送って後、急ぐこともないので黒島港から新居浜東港までは約2km程度の道のりはのんびり散歩と決め込んだ。

写真 道すがら遠望できる<おれんじ7>の全景
 ゆっくりのんびりだらだらちんたら途中の岸壁に立ち寄りながら新居浜東港岸壁に雄姿を佇ませる<おれんじ7>をカメラに収め、穏やかな陽射しに恵まれて快適爽快な散歩。丁度一時間足らずの散歩には最適な距離である。

●復路 新居浜→東予→大阪<おれんじ7>
 十一時四十分頃にはターミナルビルに到着していた。<おれんじ7>出港七十分前だが人影は全くない。既に乗船券は出発時に購入していたから発券窓口に立ち寄る必要もないので二階の待合室へ。誰もいない。売店もシャッターが降ろされたまま。この時期、大阪からの便は帰省客などでごった返す時期であるが大阪へ向かう乗船客は皆無に等しい。灰皿のあるベンチを独り占めして伊予蜜柑の氷結水オレンジポンジュースの缶を自動販売機で購入、散歩の後ののどごしに浸みる甘さは格別。
 通常は三十分前に上船開始になるはずだが一向にその気配すらない。徒歩での乗船客は他には精々数人である。何のアナウンスも無いままに時計の針は12:30を定刻二十分前を指していた。ベンチに腰掛けていた作業服姿のおじさんが腰を上げるとこちらへ向かってくる。何のことはない乗船開始で乗船券をもぎりにきたのである。差し出す乗船券の半券をもぎると乗船口の方向を指さしておじさんはどこかに消えた。乗船ブリッジを進み船内にはいるとクルーがひとり手持ちぶさたにエスカレーター前で微笑んでいた。エスカレーターでロビーへ。案内所で特別室310号室のルームキーを受け取り営業を開始しているレストランへ。
 何度も書き記したがオレンジフェリーのレストランの食事は総てが船内でちゃんと調理されているようで決して豪華と言うには程遠いのだが何を食っても結構美味い。この日は「とんかつ定食」を食したのだが何ともジューシーでやわらかなボリュームのあるとんかつにまたもや感激。味噌汁は例によってやや甘めの味付けでこれだけはまぁまぁと言った感じなのだがライスの量も相変わらず大盛り。昨夜は食いそびれた待望の「じゃこ天」もゲットできてすっかり満腹。(^^)

 船室に戻りまどろむうちに何時しか東予港も後にして穏やかな瀬戸内海を東進していた。半ば夢の中で気づいたときには既に瀬戸大橋を背にしていた。

 

●余談 小さな旅見つける歓び
 この航路は毎日二便(<おれんじ8>&<おれんじ7>)が運行されているので思い立ってぶらりと出かけるには誠に都合が良い。いきおい乗船機会が多くなる。今回は<おれんじ7>での新居浜往復であるがこの場合は新居浜上陸時間が約五時間ある。乗降に要する時間を差し引くと正味四時間あまりと言うことになるが、この時間が何とも楽しい「小さな旅発見」の機会となる。それは前回新居浜市営渡海船大島航路制覇を目指したときに発見したことなのであるが暫くはクセになりそうな気配。
 今回は上記記事中にも記しているように、この上陸時間をどう過ごすかを決めることなく新居浜東港に降り立っていたのだが、ふたたび大島航路をと言うことになった次第である。復路の船中で今回JR多喜浜駅界隈の状況を知ることが出来たので、次回は観音寺辺りへ行ってみても面白そうだと思いを巡らせた。
 観光ガイドブックやインターネット情報では主な観光地の情報は容易に知ることが出来るが、例えばこの多喜浜界隈のローカル情報などは皆無に等しい。従って観光客が訪れることは希になるのであろうが賑わいを見せる観光地では知ることの出来ないほのぼのとした旅情を味わうことが出きるのは、むしろこのようなところを訪れたときである。往路の乗船から復路の下船までわずか二十三時間弱、されど旅をした実感を大いに満喫できる旅、そんな思いを何時も抱かされる不思議な旅となるのである。

 

■後日追記 2002年 1月
 このとき期せずして乗船できた新居浜市営渡海船<大島丸>は、地元の方から寄せられた情報ではいよいよ間もなく引退の様子。春頃には新船が就航するようだ。

 

■ORANGE ROOM■

@Bオレンジフェリー  A新居浜市営渡海船

 

2001 H13
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