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ぶらり岡山へ、そして小豆島巡り 新岡山→土庄航路・大部→日生航路

写真 左:新岡山港の<おりんぴあ> 右:黄昏の日生港に入港した<フェリーひなせ>

2002年 春 土曜日の朝、昨日入手した青春18きっぷを手にちょっと思い立ちました。全行程十二時間の旅。

                      

●航海 小豆島航路
@★★★★☆ 途次 新岡山→土庄(小豆島) フェリー<おりんぴあ> 四国フェリー
 総トン数:606.30 主機関:1,300x2馬力 航海速力:13.0ノット 旅客定員:480名 積載可能車両数:トラック20台 就航年月日:1979.11
A★★★★☆ 途次  大部(小豆島)→日生 フェリー<ひなせ> 瀬戸内観光汽船
 総トン数:998.00 主機関:1,600x2馬力 航海速力:13.5ノット 旅客定員:500名 積載可能車両数:トラック28台 就航年月日:2000.12.20

●旅程 日帰り
第一日目 大阪10:00(JR新快速)→10:59姫路11:04(JR)→12:26岡山(バス)→新岡山港 @新岡山港13:55(四国フェリー<おりんぴあ>)→15:05土庄 土庄15:55(バス)→16:25大部 A大部港16:50(瀬戸内観光汽船<フェリーひなせ>)→17:55日生港 日生18:38(JR)→18:51播州赤穂18:52(JR新快速)→20:29大阪20:30→20:58京都

 

気分18、青春18きっぷ、オリーブの島・小豆島を巡る定期航路を巡って・・・

 JRの青春18きっぷを入手した。期間限定で発売される普通列車に乗降自由で一日乗り放題のきっぷが五枚綴りになったかなりお得なきっぷである。しからば近場の瀬戸内の島を巡る航路にでも、と、あれこれ思いを巡らせているうちに眠ってしまった。翌朝は土曜日だった。夜明けと共に目が覚めてコーヒーブレイクをしながら昨夜の続き。外はどうやらいい天気の様子。で、思い立ちました。
 そうだ、行こう小豆島! と、なったわけでした。

 

●第一日目 一日目しかありません。日帰りの船旅であった・・・。

 岡山駅に降り立ったのは12:26。向かいのホームにはカメラを手にした人たちが何かを待ち受けている様子で右往左往している。何でもSLが間もなく入線くるような気配であった。小生は鉄道も好きである。ちょっと見てみたいとの気持ちを振り切りながら空を見上げる。朝方はどんより曇っていた空がすっかり晴れていた。今回は久々に思い立ってのミニエキスカーションであるが思いを巡らせているうちに全行程十二時間で、小豆島航路を二航路巡るタイムスケジュールを組んでいたのでとりあえず改札へ向かう。

写真 駅前の新岡山港行きバス乗り場(8番乗り場)からのJR岡山駅
 こんな日は瀬戸大橋からのの眺めは綺麗だろうなと
「高松行きマリンライナーは12:42、7番線からの発車です・・・。」
 のアナウンスに後ろ髪を引かれる思いで改札を出た。コンコースを案内表示に従い進むと駅前のバスターミナルに出る。新岡山港行きのバス乗り場までの移動所要時間はホームから約十分近くを見て置いた方がいい。次々にバスが入ってきてそれぞれの乗り場で乗客を乗せては出発していく。約三時間の禁煙タイムから解放され灰皿の側のベンチに腰を下ろしゆっくり一服。程なくバスがやってきた。小生の他に数人の乗客が乗車するとバスは直ぐに発車した。
 繁華街の幾つかの停留所を回り国道に出て一路新岡山港に向かう。途中で幾つかの停留所に止まるたびに乗客は降りる人たちばかりで乗り込んでくる人はいない。道路標識に「新岡山港まで○km」と表示の出る頃には小生の他に乗客は誰もいなくなった。約四十分でバスは新岡山港に到着した。

●途次 @小豆島航路 新岡山港→土庄港
 新岡山港は、その名前からして最近出来たのではないのかと思うが確認はしなかったので詳細は定かではない。確かに新しく整備された港の様子で、バスは港を直前にして綺麗な公園の停留所を通過した。
 バスはターミナルビル前の広い駐車場傍らで停車して降ろされた。岡山駅からの運賃は480円。平屋建てのターミナルビルは降り立ったバス停からは左手に岸壁があり、その岸壁に面して木製甲板を模して作られたテラスに野外用の椅子とテーブルのガーデンセットやベンチなどが配されていた。一部には手摺なども取り付けられていてなかなか洒落た雰囲気である。テラス越しに<おりんぴあ>は接岸していた。

写真 新岡山港に接岸中の<おりんぴあ>
 待合所へはバス停の側からも入れる様子であったが何だかレストランへの入口のようで乗船客がいきなり入るのにちょっと気が引けて、テラスの中程の入口から建物に入った。
 乗船予定の便は定刻13:55発の土庄行き。ひとまず乗船券発売所で乗船券をゲット。辺りを見回すとカフェテラスのようなレストラン、立ち食いうどんスタンド、おみやげ物の売店などがあり海側(テラス側)に面した一角が待合室となっていた。
 テラス側に面した壁面は全面透明ガラスの開放的な建物でガラス越しに接岸している<おりんぴあ>が見えている。
 出港までにはまだ二十分ほど有った。テラスに出てみると目の前に小さなフェリー<第一きりしま>が停泊していた。どの航路を行くのか定かでない。定期航路の船はないのかも知れない。<おりんぴあ>に乗船できるかと接岸している徒歩乗船口を兼ねた船首車載ブリッジへ行ってみると乗船を待ち受けていた数台の車が並んではいたがロープが張られていてまだ乗船は開始されていなかった。で、少々岸壁を巡る。

写真 新岡山港 左:ターミナルビル前には何故か小型のフェリー<第一きりしま>が係留されていた。 右:岸壁
 岸壁は直角にL字の形状で二方向にあり<おりんぴあ>の岸壁の向こうにある陸地に向かって直角のもうひとつの岸壁には船影はなく釣り糸を垂れる釣り人がのんびり楽しんでいるようであった。その向こうには透けた帆をなびかせた観光船? のような船舶が停泊していた。
 程なく乗船開始の案内があり乗船口のロープが外され作業服姿の地上係員が車を誘導しながら乗船券をもぎる。
 このような航路では見慣れた光景ではあるが何とも大らかである。

写真 左:前方ラウンジ 中:客室 右:後方デッキのベンチ席
 車載甲板から勾配の急な階段を折り返し三階へ上ると客室のある階。船室内は前方が展望ラウンジ兼スナックになっていて中程が窓側から二人掛け、三人掛け、四人掛けのベンチが並ぶシート席となっていた。後部デッキからはさらに階上へ上る階段があって上は展望デッキになっていた。
 この便には車がトラック数台に乗用車が十台弱乗り込んでいた。徒歩での乗船は小生の他に数人のグループが一組だけであったように思う。乗船客は総勢百人弱かと思われたが定員の五分の一程度であるから、船内はどこもゆったりとしたものであった。

写真 船尾から遠のく新岡山港
 <おりんぴあ>は乗船後間もなく新岡山港を定刻13:55に出港した。ひとまず展望ラウンジのフロントビューの窓際の席に陣取り暫しコーヒーブレイク。その後に船内を一巡りした。新岡山港は入り込んだ入り江の中にある。穏やかな天気にも恵まれすっかり海は凪いでいた。穏やかな春陽射しの中、のんびり進む船足にデッキにそよぐ風も心地がいい。この時期この船ではどうやらデッキのベンチが最上級席のようであった。
 航行時間は一時間あまりの予定。既に二十分あまりを経過していた。最上級席の後部デッキベンチに移り船旅のひとときをまどろむこと暫し、やがて瀬戸の海に出た。

写真 左:<おりんぴあ>の航跡 中:土庄沖で行き交う四国フェリーの船舶 右:土庄港沖に停泊する僚船
 穏やかな海面にくっきりと航跡を描きながら<おりんぴあ>は順調に土庄港へ向かって航行している。かもめが追いかけてくるように船尾にまとわりついて飛び交っている。獰猛な性格の鳥と聞いてはいるが飛び交う姿は優雅な趣に満ちている。
 就航してから二十年あまりを経過している船舶である様子はあちこちに浮かぶ錆や塗り重ねられた塗装に見ることが出きる。古さを充満させていると言うわけではないが、仄かに漂うペンキやオイルの香りにはちょっと懐かしい思いもする。
 やがて前方に小豆島の島影が徐々に迫ってきて土庄港が遠望できる辺りになるとさすがは瀬戸の海の中でも島々へ行き交う航路も多い海域である。航路上では小型の貨物船や漁船、モーターボートなども頻繁に見受けられる。その合間を縫うように右に左に蛇行しながら揺れることもなく進む。
 反航する船舶や遠望できる船舶が数多い。宇野港へ向かうのであろうか四国フェリーが反航していく。前方、土庄港沖合には、この<おりんぴあ>の四国観光汽船の僚船が碇を降ろして停泊している。その向こう彼方には高松へ向かう航路の船舶が南進している。

写真 左:近づく土庄港の全景 右:河原を追い越していく<スーパーマリン1>
 やがて土庄港が前方にその姿をくっきりと認められる頃、早くも一時間あまりの航海は無事に終わりを告げようとしていた。入港間近、スマートな高速船<スーパーマリン1>が傍らを追い越していった。

●途次 束の間の小豆島
 定刻15:05<おりんぴあ>は土庄港に入港した。ここ土庄から大部まで路線バスで移動して大部港発16:10の便で日生に渡る予定だが路線バスの運行本数は少ない。ひとまず港の前のバスターミナルへ行き時刻を確かめる。およそ五十分の待ち時間である。まだ四十分近くは待たなければならない。

写真 左:土庄港に入港した<おりんぴあ> 中:接岸中の高松航路の<おりーぶ>と<スーパーマリン1>の間に遠望できる<おりんぴあ> 右:オリーブの苗木
 向かいの二十四のひとみの群像のある公園を巡り、メインストリートをちょっと散歩。旅館やみやげもの店などが立ち並んでいるのだがシャッターを降ろしている店が多い。ありきたりのひからびたみやげものには食指は動かない。なにを買うつもりもないままに数件のみやげもの店を回りバスターミナルに戻る。まだ少々の待ち時間を余していた。バスターミナル売店を一回りして外に出るとウインドウ際にオリーブの苗木の鉢が棚に並んでいた。「オリーブの苗木700円」と張り紙がしてあるのでどうやら売り物らしい。こういう代物にはちょっと食指が動かされる。育ててオリーブの実を実らせオリーブ油を・・・などと大それた目的など有ろうはずもないのだが一鉢買い求めた。
 バス乗り場で待つこと暫しバスがやってくる。可愛い小型のバスである。乗車する客は小生の他にはいない。乗り込むと直ぐに発車した。途中の停留所で次々と乗客が乗り込んできてほぼ十人あまりの乗客で座席は埋まってきた。土庄の町中を抜けると峠に差し掛かり西北の海岸線をバスは行く。北回りの福田港行きのバスである。途中のバス停では乗客はなく降車する人ばかり。
 三十分あまりでバスは大部に到着する。大部と言うバス停で降りようとして
「港はここですか?」
 と運転手に問いかけると
「次ですよ・・・。」
 と言う。何という停留所であったか記憶にないが、大部で降りると一停留所間歩かなければ羽目になるようであった。港に最寄りの次の停留所まで土庄からの運賃は780円。
「この道左へ行けば直ぐですよ・・・。」
 降り際に運転手は親切に目前の道を指さしながら教えてくれた。降り立ってその道に入り左に向きを変えると道の先は確かに海だった。徒歩一分あまりか、道の行き着く先は大部港の岸壁であった。

●途次 A小豆島航路 大部港→日生港

写真 大部港に入港してくる<フェリーひなせ>
 港に至る道の行き着く先の岸壁の手前、左手に一階が駐車場となった結構立派なターミナルビルがあり、二階の喫茶へ上がる階段の側に発券窓口があった。何も言わずに千円札を差し出すと窓口の老婆が綴りになった乗船券を270円のお釣りと一緒にちぎって渡してくれる。
「この船には一等室があるんですよね・・・。」
 二等乗船券を手にした小生が尋ねると
「あるよ、中で買って下さい。」
 と言うことで最上級船室一等室に乗船する一等乗船券は発券窓口では販売していないようであった。

写真 <フェリーひなせ>のブリッジ
 <フェリーひなせ>のブリッジ(操舵室)は非常に特徴的である。左の写真は椅子とテーブルの配されたデッキ右舷から前方をブリッジ越しに撮影したものであるが、ご覧の通り後方にも大きく窓が連なっていてブリッジ越しに後方からも前方が見渡せる。もちろんデッキからブリッジ内を覗くこともできる。右三枚の写真はデッキからブリッジ内を撮影した。

写真 <フェリーひなせ>の船室 左:最上級船室一等室<四階デッキ中央にある隔離部屋?(^^) 中左:二等船室 中右・左:デッキの椅子とテーブル
 さすがに新造船。船室もデッキも、どこもかも真新しくぴかぴか。二等船室には売店もある。船室の後方にはゆったりとしたラウンジがあって回転椅子を六脚配した大きな円形テーブルを挟む席が三つ、それに長椅子ベンチが数列配されていて喫煙スペースとなっている。
 この日は海も穏やか、寄港も暖かであった。最上級船室一等客室には人の影はなかった。入り口も開放されていて一等室利用は別途料金を売店で支払うことになっているようだが、この分ではその必要もなく出入り自由と言った様子であった。が、相変わらず海は穏やか、気温もかなり上がっていたようで穏やかでそよぐ潮風も心地がいい。小生は新岡山から土庄への航海と同様に殆どデッキの椅子とテーブルを独り占めしていた。
 トラックやマイクロバス、乗用車などがかなり乗り込んだようであったが徒歩での乗船は小生の他に多少の個人客と数十人の巡礼姿の一団のおよそ五十名程度であった。が、船内では何処から沸いて出たのかと思われるほど船室はかなり賑わっていた。それでも精々二百人余りかと思われる程度であったあから定員の半分にも達していないのであろう。混雑と言うほどではない。それぞれに思いも思いの場所をゆったりと陣取ってくつろいでいる様子であった。

写真 左・右:日生へ向かう船上から遠ざかる大部港の遠景
 穏やかな瀬戸の海を日生に向かい出港していくと後方に大部の港が徐々に遠のいて行く。右舷から船腹の下を覗き込むと穏やかな海面に<フェリーひなせ>は波しぶきを上げていた。船足は13/5ノットであるからそんなに速いわけではないが見下ろす波しぶきはそれなりに速度を感じさせてくれるものがある。
 バリアフリーを歌い上げている新造船だけあって船内の段差は少なく快適である。デッキの手摺も一歩内側へ入り込んで設けられているので、これなら手摺を乗り越えても海面へ一直線と言うことにはならないようだ。

写真 左:前方に本州を遠望 右:日生港近くの小島

写真 日生港に近づく
 一時間の航海は余すところ十五分あまりとなる頃湾内に差し掛かる。新岡山港の日ではないが、ここ日生港もちょっと入り込んだ入り江の中で穏やかな海面はますます穏やかに凪いでいた。
 我が<おりんぴあ>は、ゆっくりと湾内を航行して日生港に向かう。ブリッジ越しに前方に日生港が近づいてくる。港の入口に差し掛かると舳先を左へ向けてほぼ直角に旋回する。前方に船尾をこちらに向けた船舶が停泊している。本船はそのまま岸壁に向かって直角にまっしぐらに前進を続ける。港の前の国道を行き交う車が見える。その向こうにはJRの駅舎が見えている。
 定刻17:55<おりんぴあ>は最後の微速前進でぴたりと舳先を岸壁に接岸した。

●日生上陸、そして夕食、それから帰路に

写真 日生港の<フェリーひなせ>
 前の駐車場は国道に面している。JR日生駅も、その国道を渡れば真向かいにある。車の乗船客が多いフェリーの場合は徒歩乗船の場合はアクセスが不便なことの多いフェリー発着の港が多い中にあってここ日生は極めてアクセスの便利な港である。

写真 「おいしん坊」の刺身定食1600円
 降り立った日生港を一巡して後、国道を渡り、駅で上り列車の発車時刻を確認<18:38 まだ四十分あまり時間があった。国道沿いに町中方向へ向かうと向かい側海側沿いのビルの一階に「おいしん坊」と言う看板が目に止まった。再び国道を渡り店の前へ。メニューが出ていてお任せ会席が3000円、定食類があれこれ2000円弱、一品料理も色々あるようで、どうやら寿司&和食の店のようであった。
 ちょっと中を覗くと誰もお客がいないがこざっぱりしていて割烹着姿の板前さんの姿も幾人かが見えていた。食い物屋は一般的にお客のいない店はまずいというのが定評のようであるが、お客はいないが何となく活気がありそうなのでとにかく腹も空いていたので入ってみた。
 カウンターに十席あまり、それに桟敷席に座卓を挟んだ6人掛け席が三つ、結構ゆったりしている。間ターの座りメニューを一巡。板前さんに話を聞きながら刺身定食を注文した。目の前で魚の説明をしてくれながら刺身の盛り合わせを作ってくれている。
 何でも、ここ日生湾の底で撮れる「朱口(シュクチ)」と言うボラに似た魚が今が旬だそうでそれも盛りつけてくれていた。その間にお客さんが次々とは入ってくる。予約の十人ばかりのお客さんもいて奥には宴会用のお座敷でもあるのだろうか、暖簾を潜り店の奥に入っていった。桟敷席も家族連れやグループのお客さんで詰まってきた。これならきっと旨いかなと期待が高まる。
 程なく目の前で盛りつけられた刺身は一旦厨房の奥に消えて他の料理と合わせてお盆に乗せて運ばれてきた。
 刺身は旬の朱口三切れ、明石の鯛、マグロ、ハマチ、キングサーモンがそれぞれ三切れ、剣先イカ二切れに蛍イカ一匹が添えられた盛り合わせ。切り干し大根と海草の煮付けの小鉢、これにも何やら魚が入っていた。小さな茶碗蒸しに、味噌汁、これにも魚入り。さらに炊き込みご飯、これには鯛とマグロが入っていた。魚が入っていない品は香の物だけであった。
 期せずして海の幸をたっぷり堪能。

写真 JR日生駅の黄昏 左:日生港を背にした下りホーム 中・右:暮れゆく上りホームの線路脇に咲き誇る桜
 急いで食事を終えると上り列車発車まで十分。駅は「くいしん坊」から徒歩一分あまり。もう急ぐことはないのでのんびり歩いて日生駅へ。改札は開け放たれ駅員はいるのだが小生が通過するにも無視の様子で知らぬ顔。こちらも清秋18きっぷを見せることもないだろうとそのまま通過してホームへ。ここ日生は海辺にまで山懐の迫った地で、JRもちょっと築堤のような感じで線路が通っている。上り線のホームへは地下道で連絡され階段を上って至る。
 ホームに上り海側の下りホームを見るとその向こうには日生港が見えていた。反対側には待避線を兼ねた線路があり、この上りホームは島式となっている。何と、その待避線の向こうは線路沿いに桜並木。目の前の桜はすっかり満開。期せずして黄昏時の束の間の花見満喫。
 上り列車は定刻18:38三両連結で入線してきた。乗客は疎らでゆったり座れる。播州赤穂行きで十分あまりで播州赤穂に到着予定で、そこからは始発の新快速で大阪まで連絡が良く二時間二十分弱で帰り着けることになる。
 余談だが、この時期山陽線の普通列車の運行は他の路線に比べ本数も多く連絡もいい。それで観光客も多いのだが、さらに小生同様に青春18を楽しむ気分18の方々も多いようで普通列車は軒並みよく混雑する。以前にも一度、高松まで行き帰路にJRで戻ったことがあるが、岡山、播州赤穂での乗り替え時には大急ぎで慌てた思い出がある。座席の確保は容易ではなかったのだが、この経路でならゆったり座席の確保はできる。播州赤穂での乗り替えには山陽本線上りの普通列車よりこちらの方がほんの少し先に到着するので座席は確実に確保できるわけである。お気の毒だが山陽本線の普通列車から乗り換えてきた気分18の多くの方々は、おくたびれのところ立ち席覚悟をいただくことになる。
 加古川、姫路を経由し明石海峡大橋の夜景を見送ると程なく神戸、三宮。間もなく瀬戸の海の眺めとも別れを告げて程なく大阪に到着する。

 自宅を出てから帰宅するまで全行程十二時間。十二時間でこんなに巡れるとは時間という物は不思議な物である。過ごしようによって早くも遅くも、その時々で色々に感じることを実感した思い立って珍しく入念緻密に計画してぶらりと出かけたミニエキスカーションであった。

 

@四国フェリー  A瀬戸内観光汽船

 

2001 H13
■FR−015■  ■FR−016■  ■FR−017■  ■FR−018■  ■FR−019■  ■FR−020■  ■FR−021■  ■BANGAI-2001■
2002 H14
■FR−022■  
■FR−023■  ■BAGAI-2002A■  ■BANGAI-2002B■ 
■ORANGE ROOM■
■FR−024■  ■FR−025■  next02.gif (38489 バイト)■FR−026■  ■FR−027■  ■FR−028■

思い立っての船旅 今世紀・2001-200X