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インフレ・トリクルダウン?

 「安倍相場」というのだそうだ。ネクスト・プライム・ミニスターが確実視されている安倍晋三先生の一連の発言が日経平均を押し上げている。

 解散の方向が決まった15日、安倍は「わたしが政権を取ったら、日銀の協力を得て2ないし3%のインフレターゲットを設定し、それに向かって無制限に金融緩和を行う」とぶちあげた。解散・総選挙が確定した週末には「日銀には輪転機をぐるぐる回して無制限にお札を刷ってもらう」とか、「建設国債を全部日銀に買ってもらい、公共事業費にする」とか、なかなか勇ましいことを言い始めた。

 すると、11月5日以来、7営業日連続で下げ続けていた日経平均は14日急ブレーキをかけ、15日からはきのうまで164円99銭、194円44銭、129円4銭と3営業日連続で上げ続けた。驚きなのはニューヨークダウが14日(日本時間の15日朝)には185ドル23セントも下げた(15日は28ドル57セントの下げ、16日は持ち直して45ドル93セントの上げ)直後だったこと。

 いまの日銀のインフレターゲット1%がまったく無意味な値(それさえ達成できない現況)であることは事実だし、かなり思い切った日銀券の増刷があったとしても、日銀とその息のかかったエコノミストがいつも持ち出す「ハイパーインフレ」には絶対にならない(第一次大戦後のドイツや今世紀初頭のジンバブエのように、生産力が壊滅状況あるいは未発達であるということが前提条件、したがって潜在的な生産力が整っている環境下では少なくとも「ハイパー」を冠するようなインフレは発生しない)とは思っている。むしろ、我が国のみならず膨大な政府債務を解消するために「制御されたインフレ政策」が魅力的な方策(インフレによって債務を目減りさせることができるわけだから)であることは認める。

 しかし、現在、いわゆる先進国に共通している問題は「買い手の不足・不在」だと思われる。公共投資にいくらカネをつぎ込んだところで、圧倒的多数の勤労者の賃金が横ばいか減少傾向にある間は「買い手の不足・不在」は解消されない。いわゆる「トリクルダウン論」が真っ赤なウソであるのと同じリクツから賃金水準の向上とセットにならない限り、公共投資という名前で投入したカネは企業と一部の富裕層に滞留し、よりいっそう富の偏在化を強化するという効果しか生まないだろう。

 すると何が起きるか。圧倒的多数の国民の収入は横ばい状態であるのに、インフレにより物価が上がるという悪夢が正夢となって現出するということだ。まあ、所詮、自民党という政党は「頭の不自由な」(「馬鹿」と書くと怒る人が多いからこう書くが)貧乏人を騙し、富裕層に手厚い保護を実現することを目的にした政党であるから、こんな主張が出てくるのはある意味当然のことなのだが。

 インフレターゲット、結構。紙幣の増刷、結構。ただ、分厚い「買い手」をどのようにして復活させるかという政策の実現がない限り、日本経済の好循環は期しがたい。(11/20/2012)


バカとアホウの絡み合い

 「第三極」という言葉を聞かない日はない。話は簡単。民主党にはガッカリ、ではどこにゆくか。ここでふたつに分かれる。「自民党に戻るしかないでしょ」という人と「それじゃ元の木阿弥じゃないか」という人だ。前者は高度成長期の夢が棄てきれない人であり、後者はもはやあんな経済成長など再現するとは思えない人だ。

 大多数の人は、「明確に」かどうかを別にして、客観的に考えて高度成長期の再現は難しいだろうと思っている。つまり「自民党的なもの」が自分たちの現況なり、明日を良くしてくれるとは信じられない。しかし民主党のていたらくを見れば、「いま一度、民主党」とは絶対に考えられない。たしかなことは「民主党には託せない」という苦い思いであり、にもかかわらず「自民党だって信じられない」というやるせない気持ちなのだ。

 だから、民主党でも自民党でもないものに対する「漠然とした期待」が充満することになる。

 ただ現状に否定的ではあっても、では何が優先度の高い問題であるかは分っておらず、どのような着地点を望むのかすらもイメージがない。もっと絶望的に言えば、そういうことを考えること自体が不得手なのだ。これが現在の選挙民のマジョリティだ。

 一方、いわゆる「第三極」に手を挙げている連中にあるのは、政治家になること、または政治屋でメシを食うことに対する「憧れ」である。とにかく当選だけが目標であり、目的ですらある。そのためにはフワフワと漂っている選挙民の「期待」に自分の主張をチューニングして、その気持ちにアピールしようということになる。

 かたや、何が何だか分っていない「選挙民」という烏合の衆、こなた、問題の所在も着地点に対するビジョンも持ちあわせない政治屋志向のチンピラ。これぞまさに「バカとアホウの絡み合い」状態だ。「維新」やら「太陽」やら「風」などという党のネーミングにその状況が現れている。

 そもそも「維新」とは何なのか。「改革」に飽きたから「維新」なのかい。そこまで言っては可哀想。少しばかり同情しながら書くと、こういうことになる。

 いまは混乱期だ。いちばん現在に近い混乱期は「戦後」なのだが、そもそもいまの混乱がその「戦後」に淵源するのだから、それよりも前・・・とたどって「幕末」に行き着く。だからこその「船中八策」であり「明治維新」なのだろう。

 「船中八策」なるものがどのていど時代の変革に寄与したものかは知らない。どこか後付けの作り話の匂いがプンプンするが、まあ「偉人譚」にはこういう真贋紙一重のアクセサリーがつきものだから、ここは微苦笑しておこう。

 では「明治維新」とは何か。「維新」を連発する人に「明治維新」の「何が特殊」で「何が驚き」であるかについて問うても、答えられる人はいないだろう。所詮、そのていどの歴史理解しか持たない連中が語っているとしたら(そう信じて疑わないが)、「『改革』という言葉が鼻につくようになったので『維新』と言っているんです」という返事になるに違いない。彼らには先行例に学ぶだけの知識もなければ、思考力もないことはほぼ間違いない。

 とすれば、「第三極」とはたんなる「売り出しルート」、「ナントカ維新」とは消費者を釣る「新ブランド」ということになりそうだ。(11/17/2012)


国連におけるパレスチナの資格が「オブザーバー機構」から「オブザーバー国家」に格上げされた。・・・(11/30)

久しぶりに**(家内)と横浜へ。前回は・・・というと、よく憶えていないほどの大昔。山下公園の方から中華街に向かって・・・(11/29)

【北朝鮮の「ミサイル」 と 韓国の「ロケット」:ミサイルは怖いけど、ロケットは怖くない???】・・・(11/28)

豊崎由美と聞いても、「誰?」という状態だったが、相当過激な書評家として知られているらしい。その豊崎が、この4月来、・・・(11/27)

雨のぱらつく中をウォーキング。こういう天候の方が、他人様のことはお構いなしに道をふさいで歩くうっとうしい仲良し・・・(11/26)

九州場所が終わった。おととしの初場所以来、ずいぶん久しぶりの2横綱そろっての本場所。・・・(11/25)

石原慎太郎が都知事職を放り出したために尖閣購入募金として集まった15億近いカネが宙に浮いているのだそうだ。・・・(11/24)

雨。久しぶりにステップボード。通常のウォーキングよりはこちらの方が同じ「歩数」でもカロリー消費が大きい。・・・(11/23)

朝刊のオピニオン欄に鈴木邦男へのインタビューが載っている。本棚には彼の本が何冊かある。読むに足る、信頼するに足る・・・(11/22)

今週月・火の両日にわたって開催された金融政策決定会合後の記者会見での日銀白川総裁の発言が朝刊に載っている。・・・(11/21)

「安倍相場」というのだそうだ。ネクスト・プライム・ミニスターが確実視されている安倍晋三先生の一連の発言が日経平均を・・・(11/20)

小沢一郎の無罪が確定した。指定弁護士トリオが上告を取りやめたからだ。なんとまあ絶妙のタイミングだなぁと独り嗤い。・・・(11/19)

「日本維新の会」と「太陽の党」が合併することになった由。党名は「日本維新の会」で、代表は石原慎太郎がなり、・・・(11/18)

「第三極」という言葉を聞かない日はない。話は簡単。民主党にはガッカリ、ではどこにゆくか。ここでふたつに分かれる。・・・(11/17)

約束した人に旅行中の写真を一通り送り、手帳に手書きした日記も転記した。不完全なメモを確認しながらの転記には・・・(11/16)

どうやらあした解散、来月16日投票は本決まりらしい。野田佳彦としては「死中に活を求める」心境なのだろう。・・・(11/15)

旅行中の写真、送る分を印刷。食事の時の写真などは、ストロボが窓ガラスに映り込んだりしていて、顔が暗めになっている。・・・(11/14)

石原新党が旗揚げをした由。基本的には「立ち枯れニッポン(本名:たちあがれ日本)」の母屋に新党の看板を上げただけ。・・・(11/13)


変更履歴
2012.12.20:「最近の滴水録」の内容入れ替え
2012.12.20:「滴水録-2012/4Q-」に追記
2012.12.5 :「ブックリスト」に追記
2012.12.1 :「滴水録-2012/3Q-」に追記
2012.12.1 :「滴水録-2006/4Q-」の12月28日記事を公開
2012.10.7 :「玄関飾り」掛替え
2012.10.7 :「詩のリスト」に追記
2012.7.12 :「滴水録-2012/2Q-」に追記
2012.5.9  :「滴水録-2012/1Q-」に追記
2012.1.13 :「滴水録-2011/4Q-」に追記
2011.10.25:「滴水録-2011/3Q-」に追記
2011.7.10 :「滴水録-2011/2Q-」に追記
2011.5.28 :「滴水録-2011/1Q-」に追記(2月21日~震災前日分追記)
2011.4.4  :「滴水録-2011/1Q-」に追記
2011.1.10 :「滴水録-2010/4Q-」に追記
2010.10.11:「滴水録-2010/3Q-」に追記
2010.7.18 :「滴水録-2010/2Q-」に追記
2010.4.13 :「滴水録-2010/1Q-」に追記
2010.1.11 :「滴水録-2009/4Q-」に追記
2009.11.1 :「滴水録補注」に追記
2009.10.16:「滴水録-2009/3Q-」に追記
2009.7.22 :「滴水録-2009/2Q-」に追記
2009.4.14 :「滴水録-2009/1Q-」に追記
2009.1.12 :「滴水録-2008-」に追加
2008.1.20 :「滴水録-2007-」に追加
2007.1.20 :「時の墓碑銘」リストを追加
2007.1.8  :「滴水録-2006-」に追記
2006.10.31:「想い出ジュークボックス」に追加
2006.1.15 :「滴水録-2005-」に追記
2005.1.2  :「滴水録-2004-」に追記
2003.12.31:「滴水録-2003-」に追記
2002.12.31:「滴水録-2002-」に追記
2001.12.31:「滴水録-2001-」に追記
2001.5.14 :「滴水録-2000-」を追加
2001.5.3  :「元号考」を追加
2001.5.1  :3年ぶりに改修(「憲法」に一部追記)
1998.1.8  :創設