私は霊力の証を見た
奇跡の心霊治療
M・H・テスター(著)
近藤 千雄(訳)

"The Healing Touch"
By M・H・Twster Psychic Press Ltd,
20 Earlham Street, London WC2H 9LW ENGLAND.

目 次
まえがき
第1章 奇跡の体験から自分自身が治療家になるまで
 第1節 地獄の苦しみ
 第2節 一縷の望み
 第3節 希望
 第4節 そして奇蹟
 第5節 真理を求めて

 第6節 運命の紡ぎ車
 第7節 モーリス・バーバネル氏との出会い
 第8節 古代霊シルバーバーチに導かれて
 第9節 心霊治療M・H・テスターの誕生
 第10節 治療家としての一日

第2章 心霊治療とは何か
第3章 遠隔治療とは何か
第4章 奇蹟のメカニズム

第5章 自分の健康は自分で管理できる
第6章 子供はどう育てたらいいか
第7章 感情を抑えすぎてはいけない

第8章 いつも希望を抱く
第9章 患者からよく受ける質問
第10章 人間とは何か

第11章 なぜこの世に生まれて来るのか
第12章 過ちを犯すとバチが当たるか
第13章 自殺者や夭折した子はどうなるのか

第14章 背後霊とは
第15章 死の真相
第16章 葬儀は本当に必要か

第17章 夫婦は死後も夫婦のままか
第18章 あなたがもしも今夜死ぬとしたら
「供養」と「除霊」についての私見

まえがき
私は世に言う心霊治療家である。私を訪ねてくる患者のほとんどが、ありとあらゆる医学的療法を試みてなお治らない人たちである。医薬品で簡単に治るような患者はまず来ない。ほとんど全部といってよい人々が〝慢性的不治〟の病人である。闘病生活で疲れ果て、衰弱し、腰は曲がり、まともに歩けない人たちばかりだ。そういう人たちが私の治療室で、あるいは希望を見出し、あるいは霊的真理を理解し、そして、しばしば、奇跡的に全治して帰っていく。

奇蹟的治癒を体験した人は当然、自分を治してくれた不思議なエネルギー(霊力)の秘密を知りたいと思う。そういう人に、私は秘密の扉を開いて真理の花園へと案内してあげる。その時の、魂の奥底から湧き出るよろこびは、この私がいちばんよく知っている。なぜなら、私自身が言語を絶する痛みと、苦しみと、挫折感と、絶望の淵から這い上がり、やっとの思いで真理の花園に辿り着いた体験を持っているからである。

その真理の扉へ案内してくれたのはトニーという知人だった。その扉を開いてくれたのは心霊治療家のテッド・フリッカー氏だった。そしてその花園の中へ手を取って案内してくれたのは、心霊ジャーナリストで霊媒でもあるモーリス・バーバネル氏だった。〝感謝とは忘れずにいること〟というフランスの名言がある。この三人は私の魂が忘れない。

さて、今では私が扉を開けてあげる立場にある。治療家としてはまず病気を治療してあげる。治る人は一度で瞬時に治ってしまう。治るべき人だったのだろう。が、心の支えと、人の道を求める人もいる。そのほうが必要な人がいる。

この道だけは〝何人の人を救った〟と言うような、数では計れない要素がある。たった一人でもいい。魂が求める真理の花園へと案内してあげることが出来たら、それで十分、人間としての存在価値があったと私は考える。

患者の中には過去の過ちと愚行の数々を、後悔の念を込めて語ってくれる人がいる。その人にとっては二度とやり直しのきかない唯一の人生であるから悔やむのも無理はない。が私にとっては人間の誰にもある〝お互いさま〟のパターンなのだ。私はフランス人のモラリスト、ラロシュフーコーの名言を引用して慰めてあげる。

「過ちを犯さない人間は、たいてい、良いこともしない。大過なく人生を送る人間は、自分が思っているほど立派な人間ではない。」

私も人並みの煩悩の中で迷い、苦しみつつ生きてきた。その体験の中から綴ってみようと思う。その中に何かが、あなたにとっての真理の扉への案内となれば幸いである。

治療することも、こうして書くことも、だから、私の真の目的ではない。いずれも目的への手段に過ぎない。私の究極の目的は霊的真理の普及にある。そのわけは次の聖書の一句に尽きる。

ヨハネ曰く──「真理は汝を自由にすればなり」