3辺 a, b, c が有理数となる直角3角形の面積 g として表される数を合同数 (congruum)と呼ぶ。
a, b, c が自然数の場合、a, b が直角を挟む辺とすると、直角3角形の面積 s は、
s = ab/2
kを、s=k2g (kは1以上の自然数、gは2乗因子を含まない) と定義し、両辺をk2で割ると、
g=(a/k)(b/k)/2
よって、合同数の定義は、
「3辺 a, b, c が自然数となる直角3角形の面積 s から 2乗因子を取り除いた数として表される自然数 g」
と云いかえることができる。
3辺が互いに素な自然数となる直角3角形の3辺a、b、cは以下の式で表される。
a = m2-n2
b = 2mn
c = m2+n2
(m, n は任意の自然数)
この直角3角形の面積 s は、s = mn(m2-n2) となる。
s の2乗因子を k をすると、 s =k2g = mn(m2-n2)。
例えば、
m=2, n=1
に対し、
a = m2-n2 = 22-12 = 3
b = 2mn = 2 * 2 * 1 = 4
となり、
s = mn(m2-n2) = 2 * 1 *(22-12) = 6
であるから、6は合同数である。
上の定義を<定義1>とする。合同数 g は、さらに 2通りの定義方法がある。
以下の連立2次不定方程式
x2+gy2=z2
x2-gy2=±w2
が、x, y, z, w についての整数解を持つような自然数 g 。
楕円曲線 y2=x3-g2x が、
(0,0), (±g,0) 以外に有理点を持つような自然数 g 。
これらの定義間には互いに変換公式がある。
また、楕円曲線の有理点の2倍に相当するような公式が、<定義1>、<定義2>についても存在する。
『数論における未解決問題集』D27 に、1000以下の合同数361個が載っている。
ここでは、それらについて、上記条件を満たす m, n を求めてみる。
(1 ≤ g ≤ 999 の範囲の全解は、こちら)
この問題の意味するところを理解するために、以下の解を求めてみて下さい。
1.<定義1>による探査 | 計算結果 |
---|---|
1 ≤ g ≤ 99,
100 ≤ g ≤ 199 | |
1 ≤ g ≤ 99,
100 ≤ g ≤ 199 | |
2.<定義2>による探査 | 計算結果 |
2.1 x, y についての単純ループ |
|
2.2 補助方程式による解 |
|
3. 各定義間の変換公式 | 計算結果 |
4. 各定義の2倍公式 5. <定義1>に関する Godwin の方法 6. 合同数の判定条件 7. まとめ |
1 ≤ g ≤ 999 の範囲の全解, |
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数学者の密室 目次 |
11章 数論的アルゴリズム |
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