2000年12月
・<柊の僧兵>記(菅浩江) | ・神保町の怪人(紀田順一郎) |
・心では重すぎる(大沢在昌) | ・上と外3 -神々と死者の迷宮(上)-(恩田陸) |
・涙(乃南アサ) | ・The Twelve Forces(戸梶圭太) |
・DIVE!2-スワンダイブ-(森絵都) | ・ミッドナイトコール(田口ランディ) |
・リビング(重松清) | ・生存者、一名(歌野晶午) |
・狼は瞑らない(樋口明雄) | ・夢の中の魚(五條瑛) |
・転・送・密・室(西澤保彦) | ・ライオンハート(恩田陸) |
・千里眼 運命の暗示(松岡圭祐) | ・オーデュボンの祈り(伊坂幸太郎) |
・ビコーズ(佐藤正午) | ・親友記(天藤真) |
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<柊の僧兵>記
著者 | 菅浩江 |
出版(判型) | 徳間デュアル文庫 |
出版年月 | 2000.11 |
ISBN(価格) | 4-19-905020-5(\590)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★ |
ミルンは他の人たちと違う白い肌を持っていた。白い子供は不幸をもたらす、そんな伝承のせいで砂漠の民に疎まれるミルン。ところがある日、村が謎の侵略者に襲撃され、ミルンともう一人の白い肌の少女・アジャーナだけが、辛うじて難を逃れることができた。彼らは、襲撃の謎を解くために、柊の僧兵を探す旅にでる。
典型的な少年成長記。最初に出た1990年当時に読めば印象は違ったかもしれませんが、やはりこういう話はターゲットが絞られてしまいますよね。夢のあるファンタジーって大好きなんですけれども、あまりにも純粋すぎてそれが鼻についてしまうのが残念。というか、自分自身が勧善懲悪って受け付けなくなってきてるように思うのは、歳のせい?
神保町の怪人
著者 | 紀田順一郎 |
出版(判型) | 東京創元社 |
出版年月 | 2000.11 |
ISBN(価格) | 4-488-01285-X(\1700)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
古本をこよなく愛する私が遭遇する、古本を巡る事件3編。
同じ本好きにもいろんな人たちがいて、私のように新刊をひたすら追いかけるのもいれば、入手困難な本を探し当てるというのを趣味にする人もいるわけです。中身よりも本そのものが好きっていうのは、この小説で批判されていますが、それでも数の少ない探求本を、頭や足を使って探すっていうのは、宝探しのような魅力があるというのも、本好きの端くれとしてわかる気がします。
そういう古本好きの方にもまたいろいろいて、ジャンルによって専門の古本屋やネットワークがあるらしいのですが、この本を読んでいると、そういうのがよくわかって面白いです。本っていうのは、年代やバックグラウンドを超えて共通の話題にできるもののひとつだと最近よく思うのですが、特に古本の方たちは、中身の話題以外にも「入手情報」というのも話題にできるわけで、より緊密なネットワークを持っているのかもしれません。
本好きだからこそ起こる数々の古本事件。本が好きなみなさんにおすすめ(^^)。
心では重すぎる
著者 | 大沢在昌 |
出版(判型) | 文藝春秋 |
出版年月 | 2000.11 |
ISBN(価格) | 4-16-319730-3(\2000)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★☆ |
佐久間公のところに、再び沢辺が依頼を持ってきた。まのままるという一世を風靡した漫画家が今どうしているか知りたい、という金持ちのファンからの依頼。「セイル・オフ」にひとり気になる少年がいた佐久間は、その少年の周辺を調べることも兼ねて東京へやってくる。
新宿鮫もそうでしたけれども、やはり佐久間公も歳取ってしまいましたね。もしかすると、著者の大沢在昌自身が最近思っていることなのかもしれませんが、若い人との世代ギャップが激しくなってしまって、彼らが理解ができないという焦りともいらだちとも言える感情が全編に流れているように思えました。
ストーリーとしてはちょっと長すぎるかも。少年漫画の裏側や、今時の渋谷に屯する少年少女たちといったテーマはよく取材されているように感じましたが、全部入れる必要ななかったのではないでしょうか。元々雑誌連載だったこともあるのでしょうけれども、単行本化するときに、削ぎ落としてもよかったのでは、と少々残念に思います。
上と外3 -神々と死者の迷宮(上)-
著者 | 恩田陸 |
出版(判型) | 幻冬舎文庫 |
出版年月 | 2000.12 |
ISBN(価格) | 4-344-40042-9(\419)【amazon】【bk1】 |
評価 |
*『上と外2』までを読んでいない人は、思いっきりネタバレですので、あらすじを読まないでください。読みたい方は、白いところをドラッグ!
やっと目指す神殿にたどり着いた練と千華子。しばらくそこを拠点に救助をまとうとする。一方囚われの身となっていた賢と千鶴子は、子供たちを助けにいくために脱出を試みるが・・・ |
どんどん話が広がっていってるような気がするのですが、彼らはどうなるのでしょう。この森の秘密、そしてクーデターの行方。ここでやっと半分ですね。続きが楽しみなのですが、この本、全部が出たあと、再び加筆されて単行本化するような気がしてきたのは私だけ?
→『上と外4』に続く。
涙
著者 | 乃南アサ |
出版(判型) | 幻冬舎 |
出版年月 | 2000.12 |
ISBN(価格) | 4-344-00041-2(\1800)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★☆ |
あと少しで挙式という時、刑事である婚約者が失踪した。しかも、同時期に同僚の娘の殺害事件が起こり、彼は殺人犯として追われることに。萄子は、彼の無実を信じて必死で捜そうとするが・・・
これ、本当に高木彬光の『検事霧島三郎』そっくり。あの本の男女を入れ替えたお話。時期も同じ頃なのでは。乃南アサはそれを意識してつくったのか、それとも偶然なのか、ちょっと聞いてみたい気もします。といってもこの作品を否定しているわけではなく、女性著者が書く、女性側が人を捜す話となると、こんな風になるのかなと面白く読めました。人捜しドラマがお好きな方におすすめ。
The Twelve Forces
著者 | 戸梶圭太 |
出版(判型) | 角川書店 |
出版年月 | 2000.12 |
ISBN(価格) | 4-04-873261-7(\1600)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
冒険家であり医師でもあるハリーは、よく費用を提供してもらっている大富豪ランドルフに呼び出されていた。用件は、アマゾンで彼が行っているプロジェクトに医者として参加しないかということ。謎の多い話ながら、ランドルフへの義理のために参加することになったハリーだったが・・・
金銭感覚の大きさって、どこからギャグになるんでしょうね。と、この本を読んで思いました。例えば、○億円の豪邸を建てたとか、何千万円もする車を何十台も持っている程度の金持ちというのは結構多いですし、そんなの単なる嫌味でしかありません。でも、自分の趣味のために、アマゾンの事業毎買い取ったり、これまた趣味のために偵察衛星を何個も持っていたり、これまた趣味のためにロボットを開発してしまう・・・ところまでいくと、やっぱりギャグですよ。痛快です。
そんなスケールの違うランドルフが思いついた、究極の環境対策。そのために駆り出される人間は、皆風変わりながら、最先端の学者ばかり。さて、プロジェクトは無事成功するのでしょうか?電車の中で読んでいたら、思わず吹き出してしまいました。かなり変な人でした。ブラックユーモア冴え渡る戸梶圭太らしい痛快作。この本で笑える方、仲間です(笑)
DIVE!2-スワンダイブ-
著者 | 森絵都 |
出版(判型) | 講談社 |
出版年月 | 2000.12 |
ISBN(価格) | 4-06-210520-9(\950)【amazon】【bk1】 |
評価 |
DIVE1から続く。
中国への強化合宿のための選考会に出場したMDCの面々。やはり要一が候補ナンバーワンではあるが、知季の成長もめざましい。そして、飛沫は・・・
オリンピックの飛び込みを見ていましたが、面白いですね。中国勢が圧倒的に強かったのですが、それでも10メートルの台から、様々な形で飛び込みするっていうだけの競技がこれほど面白いものだとは思いませんでした。しかも、ちょっとしたミスで大きく順位を落としたり、逆に難易度の高い技で完璧な飛び込みをすると一気に上に上がれるのも面白い。結局最後まで真剣に見てしまいました。日本人でも一人強い子がいましたが、残念ながらメダルには届かず。次回もあるのかな。がんばれ。というわけで、この作品、なんとDIVE3(7月下旬刊行)へ続くそうです・・・。実はこのまま4年間持たせて、次のオリンピックとか思ってます?
→DIVE!!3へ続く
ミッドナイトコール
著者 | 田口ランディ |
出版(判型) | PHP研究所 |
出版年月 | 2000.12 |
ISBN(価格) | 4-569-61377-2(\1300)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★☆ |
実りのない恋愛をする女性を描いた短編集。
私は「アカシヤの雨に打たれて」がよかったかな。たぶん人によって、どれが好きとか、どの人に自分は共感するとかあると思うのですが、私は「アカシヤ」が一番痛かったかも。こういうのって感想書きにくいですね。一番人によって受け取り方に差が出る小説かも。たぶん女性におすすめ。
リビング
著者 | 重松清 |
出版(判型) | 中央公論新社 |
出版年月 | 2000.12 |
ISBN(価格) | 4-12-003085-7(\1600)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★ |
家族をテーマにした短編集。
そろそろ重松清には感動的な長編を書いてもらいたいなと思う今日この頃。そろそろ飽きてきたかなあ。この短編集では「ミナナミナナヤミ」が好き。母親がぶつぶつとつぶやいていた呪文のような言葉の意味に、ずーっと後にになって思い当たるというちょっとセンチメンタルな物語です。ささっと読みたい本を探している人にはおすすめかも。
生存者、一名
著者 | 歌野晶午 |
出版(判型) | 祥伝社文庫 |
出版年月 | 2000.11 |
ISBN(価格) | 4-396-32812-5(\381)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
都内で爆弾テロを実行した4人と、彼らの指導者2人は、鹿児島のはるか沖にある孤島、屍島へと潜伏していた。ところが、指導者1人が船で去り、残った5人が一人、また一人と殺されていく。
そして最後に残ったのは・・・という話ですが、中篇ながらなかなか良く出来た小説でした。本を忘れたときにキオスクで買うのにぴったりですね<祥伝社400円文庫。この形態続けていってくれるのでしょうか(^^)。
狼は瞑らない
著者 | 樋口明雄 |
出版(判型) | 角川春樹事務所 |
出版年月 | 2000.11 |
ISBN(価格) | 4-89456-905-1(\2100)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
現在はダムの下に沈む貞観寺村に住んでいたタカシ。民間の山岳ガイドである貞観寺ガイドを父に持ち、その父を山で亡くした彼は、紆余曲折の末に警察官として再び山に戻ってきた。
厳しい山の現実と、タカシの抱える秘密という2つの線で作られた山岳小説。面白いことは保証しますが、季節は1つのほうがよかったんじゃないかなあ。山の小説っていうと冬山というイメージがあるのですが、それは偏見でしょうか(^^)。トラウマを抱えるタカシの謎と、それに絡む事件の数々を派手な演出で楽しませてくれる小説でした。ただ、こういうのってもっともっと映像的なほうが楽しめるかなと思ったりもしましたが。。。山岳小説がお好きな方にはそこそこおすすめ。
夢の中の魚
著者 | 五條瑛 |
出版(判型) | 集英社 |
出版年月 | 2000.12 |
ISBN(価格) | 4-08-774502-3(\1700)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★☆ |
少年は海を見ていた。彼はある事件から東京へ行こうとしていた。
パクを取り巻くお話。前の後援会でも話が出ていたように、この著者は、別の世界を書くわけではなく、どの作品も地続きにするとかいう話で、シリーズ主人公じゃない人を中心にした物語も書きたいと言っていましたが、これが正にそれ。葉山につながる人物たちの裏側を描く物語です。逆にこの短編集がシリーズにも影響したりするのかもしれません。『パーフェクト・クオーツ』が楽しみ。
最近立て続けに2つの韓国映画が広く上映されたり、在日朝鮮人の話を書いた本が直木賞を取ったり、2002年のワールドカップ共催もあったりと急激に近くなっている朝鮮半島ですが、実際のところそれぞれの民族に横たわる隔たりは大きい気がしますね。日本の子供よりも、朝鮮の人たちはいろんなこと考えさせられてる気がするのは、この本を読んでも、映画を見ても、『GO』を読んでも感じたのですが、それはやはり環境のなせる業なのでしょうか。
転・送・密・室
著者 | 西澤保彦 |
出版(判型) | 講談社ノベルス |
出版年月 | 2000.12 |
ISBN(価格) | 4-06-182160-1(\900)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
「チョーモンイン」の万年相談員見習、神麻嗣子が活躍するシリーズ第5弾。メフィストに掲載された5編と書き下ろし1編。相変わらずドタバタ系ながら、論理の部分はしっかりしたこのアンバランスな雰囲気が私は好きですね。メフィストで「<擬態>密室」を読んだとき、お、この子は誰?と言っていた新しい子の正体も判明。これからはレギュラーメンバーになるのでしょうか。
「念力密室!」で話題になっていた「念力密室F」。その顛末が最後で明らかに。今後ももちろん続くそうです。一体どんな続き方になるのかとっても楽しみ。シリーズで読んでいる方は必読。
ライオンハート
著者 | 恩田陸 |
出版(判型) | 新潮社 |
出版年月 | 2000.12 |
ISBN(価格) | 4-10-397103-7(\1700)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★☆ |
時を超えて出会うエリザベスとエドワードのお話。
帯を見たとき、もっとコテコテの時間モノ恋愛小説なのかと思ったのですが、ちょっと違いました。恩田陸っぽい不思議な世界。絵をモチーフにした5編をつないで長編風にした小説ですが、ちょっと最後、頭がこんぐらがってしまいました。。。彼女って、いつ何をしていても小説のことを考えているのかも。すごいですね。恩田陸の世界が好きな人にはおすすめ。
千里眼 運命の暗示
著者 | 松岡圭祐 |
出版(判型) | 小学館 |
出版年月 | 2001.1 |
ISBN(価格) | 4-09-386066-1(\1600)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
自分の不手際によって捕らわれてしまった岬美由紀を助けるため、嵯峨敏也は中華街をさまよっていた。そこで、岬を同じように探している刑事・蒲生誠に出会う。二人で手がかりを追いかけることになるが・・・。
前作「ミドリの猿」に続く千里眼3部作最終話。読みたい方は、「千里眼」、「ミドリの猿」を先に読んだ方がよいと思います。また、嵯峨のエピソードは「催眠」で読むことが出来ます。
いや、もうこの話は壮大なホラ話として読むには、本当に壮大で気分いいですね。特にクライマックスのシーンなんか、本当映像が頭に浮かんでくるようでした。こうして集団で操られるというのは恐いですね。多分時代の流れが変わるというのは、ある一定以上の人間が別の方向へ流れるということなのだと思うのですが、その臨界点以上の人間を操ることができれば、世界を巻き込む流れを作ることも不可能ではないということなのでしょうか。卑近な例でいえば、オイルショックの時のトイレットペーパー騒動とか正にそれなわけで、ふと、自分がしようと思って選んだことが、実は誰かが予測した結果だったりしたら・・・と考えるとちょっと恐くなったりもするわけです(ちょっとだけウソ)。中学のときの先生で、すぐ「生活態度がよい生徒は、成績も上がる」なんていうことを言う人がいましたが、そういう集団でしかモノを見ない心理学的な考え方って私は好きではないですね。ただ、そういう「好きではない」ということが、その心理学の網から逃れているかというと、それもまたどうかなと思ったり。
オーデュボンの祈り
著者 | 伊坂幸太郎 |
出版(判型) | 新潮社 |
出版年月 | 2000.12 |
ISBN(価格) | 4-10-602767-4(\1700)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★☆ |
気がつくと知らないところにいた。自分は強盗をして、かつての悪友の刑事に苛められていたはず・・・。しかもその島は、日本にして日本ではない場所、そしてカカシがしゃべる島だった。
誰にも気付かれず、独自の文化を何千年にもわたって築き上げてきた島があったとしたら、その島は文明社会が考える「常識」を凌駕した文化をもっているかもしれない・・・。それってある意味真実だと思うんですよね。例えば、イースーター島のモアイだって、一体どういう風に運んだのか、いまだに謎なわけで、もしかするとトンデモ系の一説のように「石を飛ばす能力」を持った人間がいたのかもしれません。主人公が連れて行かれたこの島は、そういう鎖国しているような島で、未来を知るカカシと、人を殺しても文句を言われない家系、一生島を出ない人々、なんていうかなり変わった文化をもっている島。さてさて、その島で起こる「殺カカシ事件」・・・なのですが。
ミステリーとして読むよりも、全体の奇抜な設定のほうが楽しめる感じ。無理矢理殺人事件にしなくても、設定をうまくつかった謎を解くみたいな小説のほうがこの方は上手いんじゃないかと思いました。今後の活躍に期待の作家さんです。
ビコーズ
著者 | 佐藤正午 |
出版(判型) | 光文社文庫 |
出版年月 | 1988.5 |
ISBN(価格) | 4-334-70742-4(\533)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★ |
ぼくは、第2作の執筆に行き詰まっていた。そんなとき、十代の頃を思い出すような出来事が次々と起きて、自分の記憶から締め出していたある女性を捜そうと思い出す。
いやー私はこういう男嫌い〜(^^;。無責任の典型っていうイメージ。もしかすると小説の形態からして佐藤正午の「私小説」みたいなものなのかもしれませんが、私はイライラしながら読んでしまいました(笑)。
親友記
著者 | 天藤真 |
出版(判型) | 創元推理文庫 |
出版年月 | 2000.11 |
ISBN(価格) | 4-488-40812-5(\780)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
混んでる電車の中で、前の席が空いたと思った瞬間別の人間に取られてしまった。ふと見ると、もう何年も会っていなかったかつての親友ではないか。標題作「親友記」他9編の短編集。
なんかこの話を読んだとき、菊池寛と芥川龍之介の話を思いだしたりしたのですが、どうでしょうか。やっぱり標題作になっているだけあって、最初の1編が本当によいです。ラストは泣ける。何冊か読んで思ったのですが、この人の本はユーモアの方向性が好きですね。最初期の短編もその雰囲気は変わりません。おすすめ。
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