2001年08月

DIVE!!3-SSスペシャル99-(森絵都) ドミノ(恩田陸)
プリズンホテル 夏(浅田次郎) 上と外 6-みんなの国-(恩田陸)
夏と花火と私の死体(乙一) 墜ちていく僕たち(森博嗣)
ジュリエット(伊島りすと) プリズンホテル 秋(浅田次郎)
R.P.G.(宮部みゆき)
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DIVE!!3-SSスペシャル99-

著者森絵都
出版(判型)講談社
出版年月2001.7
ISBN(価格)4-06-210857-7(\950)【amazon】【bk1
評価

DIVE!!2から続く
オリンピック候補の内定が出された。何故こんな早い時期に・・・。オリンピックを目指しながらも、突然の内定に納得がいかない要一。せっかくもらった内定の取り消しを訴えるため、ミズキの社長への面会を求めた。

そう言えば、シドニーの時も水泳のオリンピック選抜は結構もめましたね。スポーツと言っても、オリンピックともなると国の威信だの、経済効果だの、ほとんど政治と言ってもいいほどの利権のからむ問題。「参加することに意義がある」なんて、所詮建前で、結構水面下ではこんな話もゴロゴロしてるのかもしれません。まあ、私の場合はオリンピックだろうが、世界選手権だろうが、たまたまテレビがついていたから見るだけ、程度なので、面白ければ何でもいいんですけどね。

というわけで、まだまだ続きそうなDIVE!!。これからどういう風になっていくのでしょうか。続きが楽しみです。
DIVE!!4へ続く

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ドミノ

著者恩田陸
出版(判型)角川書店
出版年月2001.7
ISBN(価格)4-04-873302-8(\1400)【amazon】【bk1
評価★★★★★

今月の締め切りに追われる保険会社社員、オーディションを浮けまくる少女、マニア受けのホラー映画監督、俳句サークルを主宰する元警官・・・。東京駅に様々な人たちの様々な思惑が集まったとき、そこにある大事件が起きた。

痛快娯楽ドミノ小説?こんな話も書けるんだ、とちょっと感心。こういうトントン拍子にいろんな人々が混じりあっていく話って、私は結構好きです。単なるナンセンス小説になっちゃうと理解できなくなるのですが、この本はひたすら楽しめる小説。ドミノが倒れるように起きる様々な事件が徐々にでっかくなってきて・・・。というテンポがメインのドタバタ劇です。恩田陸を読んだことのない人にもおすすめ。

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プリズンホテル 夏

著者浅田次郎
出版(判型)集英社文庫
出版年月2001.6
ISBN(価格)4-08-747329-5(\552)【amazon】【bk1
評価★★★☆

ヤクザである叔父が、なんとリゾートホテルのオーナーになるという。作家・木戸孝之介が招待されて行ってみると、なんとそのホテルは任侠団体専用だった。周りからはプリンスならぬプリズンホテルと呼ばれるそのホテル、今日もまた一騒動が・・・

どうもこの人の文章って「わざとらしさ」が感じられて余り好きではないのですが、この小説は設定が奇抜で笑えますね。「館内ロビー・廊下での仁義の交換はご遠慮ください」が私は気に入って買ってしまいました。。。(^^; ただ、春夏秋冬あるそうですが、同じように進むのだとすると、ちょっと飽きるかなあ。次に期待。

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上と外 6-みんなの国-

著者恩田陸
出版(判型)幻冬舎文庫
出版年月2001.8
ISBN(価格)4-344-40137-9(\457)【amazon】【bk1
評価★★★☆

*『上と外5』までを読んでいない人は、思いっきりネタバレですので、あらすじを読まないでください。読みたい方は、白いところをドラッグ!

とうとう火山が噴火した。練と千華子はジャングルから脱出できるのか?

この人の本って、盛り上がるところは本当に面白いのですが、最後の落ちがいまいちなんですよね・・・。うーん、あの大風呂敷を、この中篇で収束させたことは評価できますが、もう少しラストのどんでん返しに期待してたんですけどね。こんなものかな。

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夏と花火と私の死体

著者乙一
出版(判型)集英社文庫
出版年月2000.5
ISBN(価格)4-08-747198-5(\419)【amazon】【bk1
評価★★★★

友達を殺してしまった。ささいな事故のようなものだった。しかし、そこには死体が存在する。死体を始末しようとする兄と妹のお話。

微妙にぞぞーっとくるホラー小説。ただ隠すものが死体なだけに、緊迫感はなかなか。一方で少年少女の無邪気さの中の怖さといったものもあって、面白い小説でした。ホラー的な味付けを抜きにしても、冒険小説としても面白く感じられる1冊。もう1編は、ありがちな怪談だったかな。

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墜ちていく僕たち

著者森博嗣
出版(判型)集英社
出版年月2001.6
ISBN(価格)4-08-774532-5(\1500)【amazon】【bk1
評価★★☆

暮れも押し迫ったある日、僕と先輩はラーメンを食べようとしていた。いつもどおりの夜のはずだった。ところが、ふと目が覚めると、僕たちは女の子になっていた。

森博嗣版とりかえばやものがたり・・・?とはちょっと設定が違いますけど、突然性が変わってしまった人々の面白くも悲しい物語といったところ。ただ、あまりにも著者の思想?が加わってしまいすぎていて、物語として読んでも、あまり面白くないんですよね。シチュエーションだけは笑えるのですが、それだけ。結構社会的に自分が同定されるという部分で、性というのは確かに重要。もし、性別が男と認知されていて、書類上もそうなっていたら、女性の体を持った時点で、社会的には「その人」ではなくなってしまうのですよね。その部分は納得というか、設定として面白いんじゃないかなとは思いました。

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ジュリエット

著者伊島りすと
出版(判型)角川書店
出版年月2001.7
ISBN(価格)4-04-873305-2(\1400)【amazon】【bk1
評価★★★

地震、そして母の死。心に傷を持った親子たちが、人里離れた島で暮らすことになった。ところが、陸の孤島で暮らす彼らを「思い出」が襲う。

うーん、長い・・・。実際長い話ではないのに、何故か妙に回りくどく感じてしまいました。というか、ホラーでしょう。面白くて、怖かったーっていうのが最上だと思うのですが、全体的に文学的で怖くないのです。まだバカバカしい中にも面白さがあったというところで、私は『夏の滴』のほうを推します。島の伝承的なところもちょっと唐突だったような気が。もっと別な読み方をすればよかったのかもしれません。次の作品がもう出るみたいなので、そちらに期待。

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プリズンホテル 秋

著者浅田次郎
出版(判型)集英社文庫
出版年月2001.7
ISBN(価格)4-08-747339-2(\724)【amazon】【bk1
評価★★★☆

「任侠団体専門」の宿、プリズンホテル。そこへ何を間違えたか、なんと警視庁青山警察署の慰安旅行がやってきてしまった。これがバレたら、何が起こるか・・・。

前作はプリズンホテル自体を取り巻く自己紹介的な話でしたが、そろそろそれを土台に話が動き出す今作。なんとプリズンホテルに警察官ご一行様が到着したことから始まる、珍騒動。本当にこんなことがあったら、こんな笑える展開にはならないとは思うのですが、小説として読めば設定的には面白いですね。というか、こんな宿があったら、一度泊まってみたいと思うのは私だけでしょうか。ちょっと怖いかしらん。

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R.P.G.

著者宮部みゆき
出版(判型)集英社文庫
出版年月2001.8
ISBN(価格)4-08-747349-X(\476)【amazon】【bk1
評価★★★☆

ある工事現場で、男性の死体が見つかった。捜査の結果、その男性はネット上で擬似家族を演じていたことがわかる。「お父さん」の役だった彼は、本当の家族ではないそこで一体何を得ようとしていたのか。

そう言えば、大学時代のサークルでも擬似家族を作りたがる人がいました。お兄さんとか、お父さんとか、妹とか弟とか。あれってどういう心理なんでしょうね。私にはよくわかりません。自分の家族に満足してないのか、それとも家族という枠にはめることで、友人よりもより近しい存在にしようとしているのか。一人っ子が兄弟を欲しがるようなものなのでしょうか。

そんな擬似家族を、本当の家族とは別にネット上に持っていた男。そして起きる殺人事件。その裏には一体・・・というお話。割とあっさりとした推理小説でした。電車の中で読むのにちょうどな1冊かも。

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