2000年08月
・依存(西澤保彦) | ・マジックドラゴン(長屋潤) |
・ハニームーン・ゴースト(上領彩) | ・あやし(宮部みゆき) |
・上と外1-素晴らしき休日-(恩田陸) | ・超人計画(響堂新) |
・大誘拐(天藤真) | ・舞姫通信(重松清) |
・スクランブル(若竹七海) | ・四十回のまばたき(重松清) |
・スクリーミング・ブルー(藤木稟) | ・雨のなかの犬(香納諒一) |
・君の孤独のそばで(K・羽音) | ・ビタミンF(重松清) |
・瑠璃荘事件(有栖川有栖) | ・<擬態>密室(西澤保彦) |
・フレームシフト(ロバート・J・ソウヤー) | ・青空(桃谷方子) |
・配達される女(逢坂剛) | |
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依存
著者 | 西澤保彦 |
出版(判型) | 幻冬舎 |
出版年月 | 2000.7 |
ISBN(価格) | 4-344-00006-4(\1800)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★☆ |
7月28日。その日はあたしにとって生涯忘れられない日となった。
タックシリーズ第6弾。
「スコッチゲーム」をうけて、今度はタックの過去話が明かされるこの作品。人に対する「依存」というか執着をちりばめた小品を、タックの打ち明け話を挟むことで一つの長編にする構成で、これまでになく(いやこれまで以上に)重い。タックにこんな過去が!というかなり衝撃的な本作、やっぱりシリーズモノってこういう醍醐味があるから良いですね。続きがものすごく気になる〜。
マジックドラゴン
著者 | 長屋潤 |
出版(判型) | マガジンハウス |
出版年月 | 2000.7 |
ISBN(価格) | 4-8387-1234-0(\1600)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★ |
子供の頃好きだったピータ・ポール&マリーの「パフ」。JRAの訓練校で教師をすることになった佐野貴志は、そのアーティストの名曲から名前を取ったパフという馬に出会う。坊ちゃん文学賞受賞作である表題作を含む競馬の短編4編
話のつくりはメロドラマっぽくはあっても悪くはないと思うのですが、ちょっと端折りすぎかなと思える部分があったり、こなれてない会話が不自然だったりとものすごく「新人」の匂いを感じてしまいました(^^;。2編目の「ミラクルボーイ」とか実は涙出るほど良い話だったのです。でもその辺りがもう少しかな。
ハニームーン・ゴースト
著者 | 上領彩 |
出版(判型) | 角川ティーンズルビー文庫 |
出版年月 | 2000.8 |
ISBN(価格) | 4-04-441301-0(\419)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★ |
運良くツアーのキャンセルを格安でゲットした久保寺真理(まこと)。ところが連れだと現れたのは横暴な男、しかも幽霊なんていうおまけまでついてきて・・・。
彩さんとは実は別口で面識があるのですが、とっても食べる主人公を書いてくれて、ちょっとうれしかったり(笑)。ちょっと悲しい幽霊さんのお話です。主人公の少年いいなあ。でもやっぱり******系っぽいんですね・・・(^^;
もう「ティーンズ」じゃないことを思い出して寂しくなったかたぎりでした(笑)。
あやし
著者 | 宮部みゆき |
出版(判型) | 角川書店 |
出版年月 | 2000.7 |
ISBN(価格) | 4-04-873238-2(\1300)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
江戸を舞台にしたこわーいお話9編。
世の中には、理屈では割り切れないことって実はたくさんある気がするのです。普段もたくさん見ているのかもしれないのに、気づいてない怖い話がこの中にはたくさんちりばめられている。「蜆塚」なんて、本当にありそう。10年前に会った人なんて、もともと人の顔を覚えない私は絶対覚えてないです・・・。しかも私は「すんごい似てる人がいる」って言うことがよくあるのですが、もしかしたらその中にはこんな人も?ゾゾー。真夏にふさわしい怪談たち。ちょっと涼しくなりたい人におすすめです。
上と外1-素晴らしき休日-
著者 | 恩田陸 |
出版(判型) | 幻冬舎文庫 |
出版年月 | 2000.8 |
ISBN(価格) | 4-344-40004-6(\419)【amazon】【bk1】 |
評価 |
両親の離婚で離れ離れになってしまった兄妹。年に1回だけ、今は海外に赴任中の父のところへ行くために母も一緒に3人で会う。今年もまたその時期がやってきて、3人は中央アメリカへと向かうが、その先で母である千鶴子がとんでもないことを言い出して・・・。
隔月刊行5巻完結予定の第1巻。こういうのって、続きが気になるところで終わらせるものですが、それにしたって、150ページちょっと、まだ登場人物紹介が終わったかな、っていうくらいのところで終わるなんて・・・。再来月、本当に第2巻が出るのでしょうか。隔月で5巻ということは、完結は来年6月っていうことですね。まとめて買ってもいいのでしょうけれども、怖いのは来年の6月とかになったら、もうこの1巻は手に入らないんじゃないかってことですね(笑)。この話がどういう方向へ行くのか、まだ全然見えないのでこの程度しか感想が書けません。でも期待なのです(^^)。
→『上と外2』に続く
超人計画
著者 | 響堂新 |
出版(判型) | 新潮社 |
出版年月 | 2000.7 |
ISBN(価格) | 4-10-438501-8(\1700)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★☆ |
個人的な事情で、大学病院を辞め、アマゾンの奥地で診療所を開いている佐倉は、最近近くで末端肥大症を患う人間が多いことに気づく。血液検査や聞き取りなどの調査を行ううち、彼らにある共通点があることを発見するが。
こういうのってどうしても先が見えてしまうのが寂しいですね。実際の理論に裏づけされた恐怖というのは、実際起きる可能性があることもあって、やっぱり怖いのですけれども、この場合ちょっと迫力が足りなかったというか。でも前の本に比べると格段に面白くなってます。もともと輸入肉ってなんとなく怖いと思う人間なのですが(^^;、これ読んだらますます食べたくなくなったかも・・・。
大誘拐
著者 | 天藤真 |
出版(判型) | 創元推理文庫 |
出版年月 | 2000.7 |
ISBN(価格) | 4-488-40809-5(\840)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★☆ |
大阪刑務所で出会った戸並健次、秋葉正義、三宅平太の3人。出所後はもう悪いことからは足を洗おうと思っている。しかし、そのためにどうしても資金が必要な彼らは、さる大富豪の当主、柳川とし子を誘拐する。ところがそのとし子刀自、一筋縄ではいかない人物で・・・
岡本喜八監督の映画でも有名な「大誘拐」。今更ご紹介する必要もないかと思いますが、私は映画は何度も見ていても、本は読んでいませんでした。読んでの感想。映画はかなり原作に忠実ですね。というわけで、本当に面白い。この本は、私が3歳のときに発表されたようですが、20年以上経った今も全然古くなってないですし、痛快な誘拐劇は最後まで飽きがきません。読んでいない方は是非。
舞姫通信
著者 | 重松清 |
出版(判型) | 新潮文庫 |
出版年月 | 1999.4 |
ISBN(価格) | 4-10-134911-8(\552)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★☆ |
10年前、一人の女子高生が学校で飛び降り自殺をした。舞姫という名のついた彼女は、その学校で伝説となりながら今も語り継がれている。双子の兄に理由のない自殺をされた岸田宏海は、その高校へ教師として赴任し、その事件を「舞姫通信」というもので知ることになったが。
かなり前の重松清ですが、最近の本と比べると重いです。いや、最近の本も重いテーマですが、もう少し救いがあるというか。飛行機の中で読んだので、かなり疲れてしまいました。生きていくことに意味が見いだせないなら、死んでいるのと同じではないかと言って自殺しようとする少年少女たち。痛いですね。日本はキリスト教ではないですし、どちらかというと自殺を美化するという歴史を持っていると思うのです。だからこそこういう物語が成立するんでしょうし、そういうのって単に隠すよりもちゃんと話し合ったほうがいいと思うんですよね。生と死をテーマにした重い話が好きな方におすすめ。
スクランブル
著者 | 若竹七海 |
出版(判型) | 集英社文庫 |
出版年月 | 2000.7 |
ISBN(価格) | 4-08-747216-7(\476)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★ |
15年前の1980年。私たちの高校で殺人事件があった。様々な事件に遭遇しながら、その殺人事件を解こうとする文芸部の仲間たち。そして15年後。仲間の一人の結婚式で再会した私たちは、その殺人事件の真相に迫る。
女子校っぽーい(^^)。なんとなくこういう雰囲気って典型的な女子校のイメージなのですが、どうですか?私は共学しか行ったことがないので、単に女子校を出た子の話を聞くだけなのですが、その話からイメージする女子校ってこういう感じなのです(笑)。どこかにも書いたような気がするのですが、17歳くらいのときって、本当に今思うとくだらないことに真剣でしたよねえ。どちらかというと女の子におすすめ、でも高校を出てしばらくしてからのほうがいいかな(^^)
四十回のまばたき
著者 | 重松清 |
出版(判型) | 幻冬舎文庫 |
出版年月 | 2000.8 |
ISBN(価格) | 4-344-40010-0(\533)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
耀子は1980年代の冬を知らない。妻の妹である彼女は、冬になると「冬眠」してしまう奇病を持つ。妻が事故で亡くなった今年も、彼女は自分の家に「冬眠」にやってきて・・・
こちらは(私にとっては)珍しく、学校が舞台ではない重松清。冬眠してしま義妹と、売れない翻訳家のお話。面白かったですね。感情を出すのが苦手な翻訳家に、妙に共感できてしまって、読むのがつらかったです。私も結構自己完結してしまう人間なので、よく「ぎりちゃんて悩みなさそうだよね」と言われてきました。まあ実際人に言うほどの悩みなんて皆無なんですけど、そういう意味では彼と同じで損してるのかなという気もします。重松清って本当にいろんな人間の感情を描くのが上手いですね。今まで「って感じ」と思ってきたことに、説明をつけてあげられる気分です。
スクリーミング・ブルー
著者 | 藤木稟 |
出版(判型) | 集英社 |
出版年月 | 2000.8 |
ISBN(価格) | 4-08-775274-7(\1800)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★☆ |
沖縄で起こっている連続殺人事件。すべての被害者は血液を抜かれ、内臓を除去されている。警視庁から派遣された沖縄出身のエリート刑事久義英一と心理捜査官夏目淳子は、沖縄で捜査をするが。
沖縄が舞台なだけで、なぜこうも雰囲気が変わるのでしょう。沖縄には行ったことがないので、もしかしたら私の大いなる勘違いなのかもしれませんが、南の島沖縄は、私たちのいる本土とは違う世界のような気がしてしまいます。
その沖縄で起こる猟奇殺人に、東京から捜査官が派遣されて・・・という一見よくある刑事ドラマの焼き直しのような書き出しながら、徐々に明らかにされる不思議な現象や、沖縄という「異世界」のために、単なる推理小説になっていないところがハナマル。わたし的にはちょっと納得しがたいラストだったのですが、沖縄に免じて(?)許しましょう・・・。
雨のなかの犬
著者 | 香納諒一 |
出版(判型) | 講談社文庫 |
出版年月 | 2000.8 |
ISBN(価格) | 4-06-264918-7(\552)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
有楽町のガード下に事務所を構える碇田探偵を主人公とした連作短編集。
ハードボイルドな探偵ってなんでこうも格好いいのでしょう(^^)。セリフからストーリーから予想のつくものでありながらも、やっぱりかっこいいし、面白い。この短編集も、そんなハードボイルド探偵が活躍する連作。ひねくれた中年オヤジがかっこうよく見えるのは、絶対探偵よね、と勝手なことを思いました(笑)。
定年間際の刑務所教育官から、逃げてしまった釈放直前の男を探してくれという依頼を受ける「黄昏に還る」がいちおし。こういうおじいちゃん系に私は弱いかも。あと原りょうを思わせる感じの短編「遙か彼方」も良いですね。寂しい人間像が続くこの短編集、おすすめです。
君の孤独のそばで
著者 | K・羽音 |
出版(判型) | 角川書店 |
出版年月 | 2000.7 |
ISBN(価格) | 4-04-873237-4(\1500)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★ |
プロのミュージシャンを目指す二人の男の子のお話。
どちらも雰囲気がそっくりなのが難点。こちらはものすごく頼りない少年のお話なのですが、もう少し違う話にするか、あるいは同じ主人公で連作短編集にしたほうがよかったんじゃないかなあと思いますね。それにミュージシャンになりたい、あるいはミュージシャンとして成長していきたいと思う人って、もう少し仕事に対してハングリー精神があるんじゃないかなあと思うのですが、それは偏見なのかな。恋愛小説なので、そちら方の描写は省略してしまったのでしょうか。「〜だったんだ」という地の文がどうしても幼く思えてしまって、いまいち感情移入できなかった1冊。話としてはベタながらそれほど悪くないと思うだけに、かなり残念。
ビタミンF
著者 | 重松清 |
出版(判型) | 新潮社 |
出版年月 | 2000.8 |
ISBN(価格) | 4-10-407503-5(\1500)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
家族、父親など「F」をキーワードとする短編集。
最近元気のない「おやじ」に送る短編だと思いました。子供はキレる、妻には怒られる、そして会社ではリストラの危機にさらされるオジサン方、これを読んで元気になってください(^^)。
私は、近所の悪ガキとちょっとかっこいいお父さんのお話、「ゲンコツ」がよかったかな。こういうオジサンいいですね。土曜日の朝、山手線で靴も眼鏡も置いて、長椅子に横になって爆睡しているオジサンとは大違いかも。
わたしは寂しいおじいちゃんの話に弱いので、あとはやっぱり「母帰る」ですね。息子の結婚を期に妻にいきなり離婚して家を出ていかれてしまった父親のお話。重松清の描く「家族」は恥ずかしいくらい「真面目」なのですけれども、でもこういう話ってやっぱり良いですよね。どうしてでしょう。
瑠璃荘事件
著者 | 有栖川有栖 |
出版(判型) | メフィスト9月号 |
出版年月 | 2000.8 |
ISBN(価格) | |
評価 |
望月がノート泥棒の疑いをかけられた。望月を救うべく現場である瑠璃荘という名の下宿に行った推理小説同好会の面々。アリバイの無いのは望月だけ。さて、犯人は?
江神探偵最初の事件のような雰囲気のこの短編。「双頭の悪魔」から実に8年ぶりの江神探偵の登場でしたが、やっぱり長編で読みたかった。でも4人の掛け合いはやっぱり面白いですね。続きも早くでないでしょうか。
<擬態>密室
著者 | 西澤保彦 |
出版(判型) | メフィスト9月号 |
出版年月 | 2000.8 |
ISBN(価格) | |
評価 |
能解の部下であるモモちゃんが、殺人事件に巻き込まれた。またまた超能力がらみの事件らしいが・・・
私の知らないうちに、レギュラーメンバーが増えてました(^^;。このシリーズも結末が気になる・・・。毎回毎回、新しい超能力を出してこなくてはならないのは、ドラえもんの新しい道具を毎回考えなくてはならない藤子不二雄氏に匹敵するくらい大変なのではないかと思うのですが、そろそろ「チョーモンインシリーズ最大の傑作!」とかいって、分厚いハードカバーで長編が読みたいかも。
フレームシフト
著者 | ロバート・J・ソウヤー |
出版(判型) | ハヤカワ文庫 |
出版年月 | 2000.3 |
ISBN(価格) | 4-15-011304-1(\880)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
カナダから移住し、ヒトゲノム・センターで研究をする遺伝学者ピエールは、なぜかネオナチグループの一員に命を狙われ、逆にその男を殺してしまう。何故自分がネオナチに狙われなければならないのか。疑問に思ったピエールは、その男のことを調べようとするが。
もし、自分の遺伝子から未来が読めるなら、それを知りたいですか?いつ頃どういう病気にかかって、いつ頃こういう原因で死ぬ。あまり知りたくないですよね。でも自分の子どものことならどうでしょう。生まれる前の診断で、この子は美人になるとか、この子は頭がよくなるとか、この子は病気にかかりやすいとか、寿命はどのくらいとか。もしかしたら、その情報によって子どもを選別しようとするのではないでしょうか。今でさえ出生前診断が問題になっているのに、そんな情報が手に入ったら、究極の選択になるかもしれないですよね。だからといって中絶できるかというとまた別問題ですが、その情報によってこんな犯罪が行われる可能性があることを考えると、遺伝子学の恐ろしさがよくわかります。今でも出生前診断で、重度の障害をもつ可能性があるという胎児の中絶が問題になってますよね。ちょっと前に読んだ「ifの迷宮」でも同じような命題が出てきますが、個々の遺伝子の役割が解明されていくことは、思った以上に怖いことなのかもしれません。
というわけで、このフレームシフト。遺伝子をめぐる様々な問題を考えさせられる作品。もちろんヒトゲノム計画の功績は大きいのでしょうけれども、その一方でそれがどういう意味を持つのか、そして何に活用し、何に使ってはいけないのか、皆が考えなければならないんじゃないかなと思ったのでした。
青空
著者 | 桃谷方子 |
出版(判型) | 講談社 |
出版年月 | 2000.8 |
ISBN(価格) | 4-06-210261-7(\1600)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★☆ |
女子高生の美有が、ある日中島公園で座っていると、一人の老人が声をかけてきた。
うーん、私が若いのか、それとも作品のせいなのか。どうも最初の部分は異和感ありすぎ(笑)。74歳ですよ。74。60とかならまだしも、74。やっぱり無理があるような気がしちゃうんですよね。この人物造形。こんなおじいちゃんがいたら見てみたいですけど。と思っていた私でしたが、でもなんだか読んでいるうちに、そんなことを忘れてしまったというか。いい話でした。やっぱりお年寄りは大切にしなくちゃだめですね(^^)。
配達される女
著者 | 逢坂剛 |
出版(判型) | 集英社 |
出版年月 | 2000.8 |
ISBN(価格) | 4-08-774481-7(\1700)【amazon】【bk1】 |
評価 | ★★★★ |
幼馴染の斉木と梢田。今は警視庁御茶ノ水署で机を並べているのだが、斉木は係長、梢田は平巡査。そんな二人きりの生活安全課保安ニ係に、新署員が赴任してきた。なんと女性で、階級は梢田よりも上。文句たらたらの梢田だが、その新署員五本松が実はとんでもない女性で・・・。
ユーモアたっぷりの短篇連作集。こういう話好きです。斉木と梢田のあぶない刑事のようなコンビも笑えますし、その中に飛び込んできた女性刑事五本松のぶっとびぶりがまたすごい。単なるコンビモノというのではなく、この五本松が入ってくることでまた一味違った笑いを提供してくれているところが良いですね。こちらはシリーズ化を大いに期待。真面目なミステリーに疲れたときにおすすめ。あとお馬鹿な笑いが好きな方にもおすすめです(^^)。
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