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XXI THE WORLD 〔世界〕 ◆水のオリビア ■作成者名 高広さん ■作成者サイト fo ■作者コメント み、見事にキーワードを消化できていないあたり、 がっくりな感じです。 タクティクス界の最凶ねーさんことオリビアさんの静かな手厳しさと 優しさが表現できていればよいのですが。 |
■ 正位置と逆位置 〔ウェイト版より The Rider Waite Talot Deck〕 |
このアルカナのテーマは、完成と統合です。 このアルカナは、正位置の方が良い意味になります。 正位置は、強い力で最後の変化を達成し、物事を成就させることを意味し、逆位置は、これまで築き上げてきたものが壁にぶつかり、このままでは分解するような状況を意味します。 正位置はタロットの全ての中で、最強かつ最良のカードです。 ●正位置のキーワード 完成、完全、統合、秩序の回復、目的の達成、願望成就、成功、最後の変化、世間的なこと、 世間を驚かすような事件や出会い、協調、好ましい環境、強い影響力、保証、能力、実行 ●逆位置のキーワード 未完成、低迷、失敗、破産、現状維持がやっと、疲労、スランプ、企画の中断、苦労、挫折、婚約破棄 |
■ タロットの解説 〔ウェイト版より The Rider Waite Tarot Deck〕 |
![]() 彼女は手に二本のバトンを持っています。 四隅から雲が湧き上がっています。雲の中には「運命の輪」に描かれていた四元素の象徴が描かれています。 「運命の輪」は一種のマンダラでした。それは物質的な世界から心霊的な世界へ入ることを意味しました。 「世界」では、逆に心霊的な世界から、現実の世界へ戻ることを意味します。 月桂樹の枝で作った輪は、勝利の栄光を表します。では、いったいどういう勝利を表しているのでしょうか? これは統合と秩序の回復を勝利として讃えているのです。 「運命の輪」では、事態の推移の主導権は、自分にはありません。 そのことを象徴するように、アルカナには人間が描かれていません。しかし「世界」では、中心に人間が描かれています。 これは、中央にいる女性が事態を完全にコントロールしていることを象徴するためです。 この女性のコントロールの仕方は、「戦車」の若者とは違います。 「戦車」の若者は、自分を振り回す外部の力を制御しようとする努力です。 それに対し、「世界」の女性は、力の中心であり、力の源泉なのです。 彼女の力は「力」と「魔術師」の意志とが一つになったものです。 「力」では何かの確信や理想が力の源泉でしたが、「世界」の女性は違います。 「星」の女性や「太陽」の子供と同じく、自然本来の本質の自己表現なのです。 裸であるということは、借り物の人生を脱ぎ捨てて、本来の自分に戻ったことの象徴だからです。 彼女は手に二本のバトンを持っています。 バトンは光と闇、古いものと新しいもの、男性と女性など、対立あるいは相互補完する二つの力を表します。 彼女がバトンを自在に操っている姿は、彼女がこれらを統合し、秩序と平和を作り上げることに成功したことを意味しています。 彼女は、四元素、つまり光の四つの性質に働きかけて、自分の求めることを完全な調和と秩序の中に具体化しようとしているのです。 このようなことから、「世界」は、統合の完成、困難な仕事の完成や成功を表すとされるのです。 創造は、精神的なものが物質的なものに働きかけることで行われます。 これは「女帝」と「皇帝」の共同作業と同じです。 そこから「世界」には結婚という意味が加わるのです。 |
■ 光と闇の神話 〔古代ペルシア神話より〕 |
気が付くと若者は町の広場に立っていた。 魔術師はすでにおらず、町の人達も帰り始めていた。 若者の近くには、先ほど彼に魔術師の名を教えてくれた娘が立っていた。 彼は魔術師に会いたいと思い、彼女にどこに行けば会えるかを尋ねた。 彼女は、若者を思い当たる場所に連れて行ってくれた。 しかし、魔術師はそこにいなかった。 その後、若者はこの娘と何度か会った。 二人は次第に親しくなっていった。 若者は自分の旅が終わりかけているのに気付いた。 若者はこの娘と共に、この町に住む決意を固めつつあった。 間もなく、ザラシュストラとその弟子達は、次の町へと旅立っていった。 若者は結局、魔術師に会うことは出来なかった。 しばらくすると、ザラシュストラの魔術のお陰で、病気が治ったという人や、彼の言葉から希望の光を得て、不幸から立ち直ることが出来たという人達が現れた。 町の人達は、これほどたくさんの人が幸せになったということに驚いた。 人々はこうして、彼が見せてくれたのは魔術ではなく、奇跡だったのだということに気付いたのだった。 そして、魔術師の弟子達があれほど彼を尊敬し、慕っていた理由を知ったのだった。 それから、数ヶ月が経ったころ、誰が言い出すともなく、コスモクラトールの像を建てようという話が持ち上がった。すぐに寄付が集まって、町の中央の広場に、立派なコスモクラトール=ミトラの像が建った。 公園では、いつも誰かがこの像を見上げているようになった。 老人達の中には、熱心に祈りを捧げる者もいた。 この像を見上げている人達の姿が、やがて町の欠かせない風景となった。 さらに年月が流れた。 若者は大人になり、結婚して、すでに父になっていた。 公園の近くに教会が建てられた。 かつての若者は、この教会の司祭となった。 町の人々が教会を訪れた。 ここの司祭の語る「光と闇の戦いの物語」を聞くためだった。 その見てきたようにリアルな語り口と、そこに込められているコスモクラトールへの尊敬と信頼とが人々の心を捉えたからだった。 彼はザラシュストラのようだと、町の人達は口々に言った。 その噂を聞いて、はるばる遠くから、この教会を訪ねて来る人もいた。 教会を訪ねる人の数は、年を追うごとに増えていった。 ある六月の晴れた日、新緑の上をさわやかな風が渡って、家々に芳しい香りを運んでいた。 教会では結婚式が行われていた。素晴らしい音楽が演奏されていた。 教会の中には二人の門出を祝福するように、預言者ザラシュストラの像が飾られていた。像の下には、次の言葉が刻まれていた。 「幸いあれ、新しき光よ!」 |